2025年7月29日、プラチナゲームズTOKYOにてメディア向けに実施された「NINJA GAIDEN 4」(ニンジャガイデン4)プレビューイベントでの開発スタッフインタビューをお届け。
これまで「NINJA GAIDEN」シリーズを手掛けてきたコーエーテクモゲームス内開発チーム、Team NINJAと、数々の名作アクションゲームの開発で知られるプラチナゲームズのタッグにより共同開発、10月21日にXbox Series X|S、PlayStation 5、PC(Steam)、Game Pass用タイトルとしてリリースされる「NINJA GAIDEN 4」。

このゲームの国内初となる試遊を伴うメディア向けイベントが行われた。本稿は、イベント内で行ったグループインタビューの模様をお届け。なお、インタビューは以下の2部構成となっている。
■第1部 開発スタッフ・リモートインタビュー
・アートディレクター:西井智子氏(プラチナゲームズ)
・リードコンポーザー:宮内雅央氏(プラチナゲームズ)
・レベルデザイン&環境リード:阿部雄大氏(プラチナゲームズ)
■第2部 ディレクター・対面インタビュー
・プロデューサー&ディレクター:中尾裕治氏(プラチナゲームズ)
・ディレクター:平山正和氏(Team NINJA/コーエーテクモゲームス)
筆者が約5時間にわたり本作をプレイした上での所感を書いたプレイレポートも同時公開されているので、あわせてチェックしてほしい。
第1部 開発スタッフ・リモートインタビュー

目指したのは「環境すべてが自分に対して牙を剥いてくる」“逆境”感。ハードかつハイコントラストなビジュアルを追求
――苛烈なアクションゲームである一方で、導線が丁寧に敷かれていて、過去作よりとても“遊びやすい”ゲームになっていると感じました。アクションを駆使して進む箇所は黄色が目印になっていたり、メインルートは明るい照明で照らされていて、暗がりのほうに勇気を出して踏み出してみるとアイテムやサブチャレンジが待っていたり。ほかにもレベル(ステージ)デザインで工夫したことはありますか?
阿部:まず、狙った通りに感じていただけて安心しました。視認しやすい工夫に加えて、“上へ上へと昇っていくステージ”は昇り続ければゴールにたどり着ける、逆に“下へ下へと降っていくステージ”ならば降り続ければゴールにたどり着ける、といった「無意識の感覚」に従えば自然と進んでいける工夫はしています。
あとは、進行方向から敵がバンバン登場するので、敵を倒し続けていけばゴールまでたどり着けるという(笑)。これは「NINJA GAIDEN」らしい目印と言えるかなと思います。
――製品版ではヤクモの体術はゲームの進行とともに習得していく形になるということですが、どれくらいのペースで習得していけるのでしょう?
阿部:体術をひとつひとつ習得していくのは、最初からすべて解放されていても使いこなすのが大変だからです。「これくらいのペースで使い方を学んでいけば、後半の難所でほとんどの体術が使えるようになるんじゃないか」という、プレイヤーの学習速度を踏まえた分配ですね。もちろん「アイテムを買うか、体術を買うか」というジレンマもありますが。
――ヤクモのデザインには鴉(カラス)の意匠が取り入れられていると思います。デザインに関するこだわりがあればお聞きしたいです。
西井:仰るとおり、ヤクモのデザインは鴉がテーマです。走っているときや、空中に飛び上がってたとき、腰から出ている帯が羽根のように見えたり、手先、足先にも黒を持ってきて、真っ黒なシルエットになるのを意識したりしてデザインしました。クリーンというよりはダークでダーティ、野山というよりは都会が似合う鳥、そういう印象を持ってもらえるものを取り入れています。

――リュウとは忍の一派が異なりますが、この点での差別化も意識されたのでしょうか?
西井:所属が違ければ技術体系も違うだろうということで、鴉一門は鴉一門でデザインしています。一方でリュウさんはすべてが唯一無二な孤高の超忍ですから、装備も龍の一族の中でも本人のために用意された特注品だろう、というイメージを今回のデザインには落とし込んでいます。
――「NINJA GAIDEN」シリーズは共通して、ロケーションに重厚な空気感が漂っていると思うのですが、こうした雰囲気を演出するために意識したことがあれば教えてください。
阿部:本作では、重厚感やハードな雰囲気は引き継ぎつつ、それをさらにピーキーに煮詰めようという意図でデザインしています。降り続けている雨であったり、ライティングもよりハイコントラストにするなど、見た目が刺激的なものになるよう意識しました。ロケーションごとの変化も大きなものにして、ゲーム全体でハードかつハイコントラストなビジュアルを追求しました。
――夜の摩天楼に雨が降っているというビジュアルから、映画「ブレードランナー」を思わせるサイバーパンクな雰囲気を感じました。こうした世界を描くためのアート面とあわせて、サウンド面でのこだわりもお聞きしてみたいです。
西井:“雨とサイバーパンク”という組み合わせを強く印象付けるのは意識しましたし、その上で「ブレードランナー」は参考にしています。そうした画作りのために、阿部が言ったハイコントラストというのは、アート面でも見せポイントのキーワードにしていましたね。
阿部:補足すると、本作には“逆境”というコンセプトがあります。“環境すべてが自分に対して牙を剥いてくる”という感覚を描くために“振り続ける呪いの雨”というモチーフを取り入れたという経緯です。
宮内:音楽についても、「ブレードランナー」や「攻殻機動隊」の要素は取り入れつつ、サイバーパンクの中でもあくまで世界全体がジャパニーズテイストであると。洋風のサウンドを用いてはいるんですけど、どこかジメッとした湿度感があるだとか、そういった部分で日本っぽさをイメージして曲を作っています。

――プレイ中に辺りを見回したら公衆電話が6つくらい並んでいる場所があったのが個人的におもしろくて引っ掛かりました。ほかにも“ちょっと変な意匠”として取り入れているものはありますか?
阿部:まず本作の世界設定として、降り止まない雨により大規模な水害が起きていて、そこから逃れるために東京の街を上へ上へと増築していったというバックグラウンドがあります。それらを「いまにも壊れそうな、歪な世界観」として表現する中で、引っ掛かるような要素というのはけっこういろいろと取り入れています(笑)。
“かつて人々が生活していた痕跡”ではあるのですが、そこは「NINJA GAIDEN」の世界ですから、変な形の銅像があったり、よく見るとヘンテコなことが書かれている看板だったり、とんでもない顔をしたオカメのお面が置いてあったり……。ちょっとトンデモ感のある、突飛さが笑えるデザインというのは、ハードな雰囲気の中にも意図的に取り入れています。これらの出発点には「NINJA GAIDEN 2」の“東京摩天楼”が、その後10年のあいだ発展し続けていたらどうなっていたか? という発想がありました。
音楽面での「NINJA GAIDEN」らしさと「隠し切れないプラチナらしさ」の融合も
――プラチナゲームズ開発の過去作でも見られた、ボス戦のクライマックスでBGMにボーカルが入るサウンドデザインが大好きなので、本作でも取り入れられていて嬉しかったです。サウンドデザインにおいて本作で新たに挑戦したことがあればお聞きしたいです。
宮内:ありがとうございます。制作中は「NINJA GAIDEN」の枠組みから外れないものにすることは念頭に置きつつも、“隠し切れないプラチナらしさ”は存分に出させていただきました。
挑戦したこととしましては、いろいろな音楽を取り入れた中でもボス戦で盛り上がる楽曲としてはメタル、それも“2025年現在に流行っている楽曲性”というのがテーマになっています。過去作に取り入れていたような音楽をそのまま持ってくると、“ひと昔前のロック、メタル”という印象になってしまうので、いまの時代に合ったものを意識して取り入れています。
――最新の流行というと、音楽として過去作とどのような違いがあるのでしょう?
宮内:言ってしまえば“俗な音楽”をかなり意識的に使っています。PVで流れているクラブのロケーションならばクラブで流れているような音楽であったり、格調高いというよりは、ダーティであったり雑多であったり、そういった“俗な音楽体験”を目指しました。

――「NINJA GAIDEN」シリーズのファンと、本作で初めてプレイする新規ユーザー、それぞれに対してどのようなアピールポイントがあると考えていますか?
阿部:これまでのファンの方には、従来どおりの「NINJA GAIDEN」らしいプレイフィールがきっちり残っている上で、より歯ごたえのある体験が提供できると思っています。新規でプレイする方に関しては、いま歯ごたえがあると言ったばかりなんですけど、操作性の向上などで、初めてのプレイでも着実に上手くなれる、間口の広いゲームにもなっていると思います。これまでにない使い勝手のいいメカニクスである“鵺の型”もありますので、ぜひ等しく楽しんでいただきたいです。
西井:アート面では、従来のファンの方には激しいゴア表現を伴うアクションが帰ってきたというのはアピールポイントになると思います。新規ユーザーさんは、テンポがとても速いアクションなので、最初は「速すぎて何が起きているか分からない」と感じるかもしれません。けれど「よく分からないけどカッコいい」と感じてもらえる画作りにも力を入れているので、そういった“一瞬のインパクト”みたいな画の魅力に注目してほしいです。
宮内:サウンドでも“パッと感じ取れるカッコよさ”を追求しています。なんというか、“没頭してしまう体験”をお届けできるんじゃないかと思っています。手触りも直感的で、思ったことがすぐに実行できるスピード感があるゲームなので、その手応えをサポートするイメージで楽曲も作っています。ぜひ、楽しんでほしいです。
ヤクモを闇へと導く、魅惑の高身長お姉さんヒロイン・セオリの魅力
――今回、序盤をプレイしていて「(ヒロインの)セオリさん、良いな」と感じました。可愛らしい中にミステリアスな雰囲気も持ち合わせているのが魅力的だと感じたのですが、デザイン面でのこだわりについてお聞きできればと思います。
※セオリのビジュアルは今回使用できる画像には含まれていなかったので、今後の情報解禁をお楽しみに!
西井:セオリは「こういう人物です」、「黒龍の巫女です」という設定が先に決まっていて、デザイナー側でキーワードを発展させて絵に落とし込んでいきました。ヒロインと言っても守るべき少女やナビゲーターなど、いろいろなタイプがあると思うんですけど、セオリに関しては“ヤクモを導くお姉さん”です。
ただ、セオリが導く方向は“闇”なので、そこも明るい場所に連れ出してくれるというよりは、より仄暗い場所にヤクモを導くお姉さんとしてデザインするならこっちでしょ、と(笑)。
阿部:開発側も非常に盛り上がりながらデザインしたヒロインです。セオリのデザイン面での特徴としては、異様に“縛られている”ところですが、あれもとある設定に由来がある必然的なもので、ゲームを進めていただければ「なるほど」と思っていただけるんじゃないかと思います。
西井:フェチ的な理由だけではなく、ちゃんと役割があって縛られています。
――“導くお姉さん”というコンセプトを聞いて合点がいったのですが、ヤクモより背が高いのがまた良いですよね。
西井:ヤクモの身長は、この手のアクションゲームにしては小柄ではあります。これにはキャラクター同士のコントラストを出す意図もあって、セオリのお姉さん感のほか、リュウとの差異もそこで出しています。ヤクモの小柄さも相まって、敵はより強大に見えるであるとか、偉大な超忍として先を行くリュウという存在であるとか、そういった意識はデザインに込めています。

――お三方それぞれの「自分はここに注目してほしい」といったポイントがあれば教えていただけますか?
宮内:音に限らず関係なくすべての要素で言えば、ボス戦です。敵のデザインも濃くて、バリエーションも豊かで、バックグラウンドもしっかり用意されています。それぞれに楽曲面でも“まったく異なった体験”を各ステージで楽しんでもらうために作りました。ゲームのピークと言える場面に相応しく仕上がっていると思います。
阿部:いろいろあるのですが、強いて挙げるなら“逆境”をどのように表現しているか、というところに注目していただきたいです。
やはりボス戦になってしまうのですが、戦闘中の演出の変化であったり、「こいつ、強いぞ……!」ということをキャラクター・背景・音楽・ライティングのすべてで表現しているので、そこの緊張感は会心の出来かなぁと思っています。
それ以外だとゲームの導入部の演出にはかなりこだわりました。プレイしたらすぐにオープニングのシークエンスに入りますが、ここも“逆境”を上手く表現できていると思うので、注目していただければと。
西井:私はキャラクターに個人的な関心が向くほうなのと、このゲームは戦闘がいちばん楽しいので、「戦闘中のヤクモやリュウの動きがカッコいいからたくさん見てほしい」と思っています。新しい武器や体術が増えれば、カッコいい動きも増えていくので。気を抜いたら死んでしまうんですけど、ときどきは見惚れてもいいんじゃないかなと。ぜひ「戦っている彼ら」を見てほしいです。
第2部 ディレクター・対面インタビュー
「NINJA GAIDEN 2」を強くリスペクト、しかし初代や「3」だからこその魅力もそれぞれ継承
――「NINJA GAIDEN 2」のおもしろさを手触りなども含めて引き継いでいる印象を強く感じました。このあたりはやはり強く意識されたのでしょうか?
中尾:はい、「NINJA GAIDEN 2」はかなり意識しました。とくに今回、絶技引導が再び使えるようになったのも相まって、かなり「2」の良い部分をリスペクトしたゲームデザインになっています。
ただ、「2」以外の過去作を蔑ろにする気はなく、「NINJA GAIDEN 3」の良かった部分や、初代「NINJA GAIDEN」だからこその魅力であるとか、それぞれ継承しつつ柱にあるのは「2」という意識です。
――「NINJA GAIDEN 4」のリリースを期待半分、不安半分で待っているファンは、「プラチナゲームズ色に染め上げられたゲームになるのではないか?」と感じていると思うのですが、プレイしてみて「“100パーセントNINJA GAIDEN”な土台を失うことなく、さらにその上にプラチナゲームズの良さが乗っている」みたいなゲームだと感じました。このバランスを実現するのにどのような議論があったのでしょう?
平山:バトルで言えば、鵺の型をはじめとする新システムがありながらも、それだけで戦っていけるのではなく、あくまで滅却や、過去作のエッセンスにあたる“血塊(けっかい)”と絶技などによるシリーズならではのサイクルに、新システムを如何に混ぜ込んでいくのか? というところでかなり議論を重ねました。
あとは「NINJA GAIDEN」の特徴のひとつとして、どんなに理不尽と感じるような苛烈な状況でも、超忍ならではのアクションで捌いていけるという体験が重要だと思っています。そうした状況を作り出すために、敵が襲い掛かってくる頻度やパターンをどのようにすべきかというのも、かなりやりとりさせていただいたポイントです。
中尾:ファンのひとりとして「NINJA GAIDEN」ってすでに完成されているゲームだと感じているので、ただ単に新システムをくっつけただけだと、敵との攻防の絶妙なバランス感が失われてしまうだろうと考えました。新システムも活かしつつ、元々あったバトルのバランス感、そして苛烈さをどのように維持するのかに関しては苦労しながらチューニングしました。
触ってみると分かったと思うのですが、今回「鵺の型があるから、既存のシステムは弱くしよう」みたいな調整は一切していません。元々あったシステムには元々あった良さをそのまま残しつつ、鵺の型によって新たな攻略の切っ掛けが作れるというバランスになっています。
本作は、開発の母体としては我々プラチナゲームズが担当させていただいていて、その上で、Team NINJAさんとはビルドの確認や調整に関して、週単位くらいの頻度で密に話し合いながら、実際にプレイしながらあれやこれやと進めてきています。それは最初から、いまでも変わっていません。

――最終ナンバリングタイトル「NINJA GAIDEN 3」のリリースからかなりの年月が経ち、この間にアクションゲームというジャンル自体がさらなる進化を遂げたと思います。2025年に登場する“最新アクションゲーム”として意識してアップデートした部分があれば教えてほしいです。
平山:十数年ぶりの新作ではありますが、やはり「NINJA GAIDEN」は“ピュア・アクションゲーム”として作ることが何よりも重要です。たとえばパリィやジャスト回避を軸としたものなど、いろいろなタイプのアクションゲームが世に出ていますし、「NINJA GAIDEN 4」の体術の中にそういったアクションは取り入れていますが、“それを使わないと攻略できない”というものにはしていません。このシリーズは、まずプレイヤーが思った通りに動かせる、フルコントロールのアクションゲームであるべきだと思います。
アクション面ではそういう回答になりますが、その上で昨今のアクションゲームやアクションRPGはチェックポイントの考え方、リトライ性、オンボーディングなどもまた進化しているので、そこは積極的に取り入れています。
とくに今回、多くの方に遊んでいただきたい新規ナンバリングタイトルなので、ノーマルモードよりも難度を下げたヒーローモードをご用意しました。ヒーローモードではオートガードなど補助的なシステムが有効にできるのですが、プレイヤースキルの向上にあわせて、オプションからひとつひとつの補助システムをオフにできます。
また、プレイの途中などでも常に難易度が変更可能になっていて、「チャプター1がかなり上手くプレイできたから、チャプター2では上の難易度に挑戦しよう」など、柔軟な遊び方ができる点はいままでのシリーズ以上に力を入れたポイントです。
中尾:ユーザビリティの部分はかなり力を入れてモダナイズしているんですけど、手触り感や、理不尽スレスレの苛烈な体験といった「NINJA GAIDEN」シリーズのプリミティブな味わいは、そのまま残しています。
Team NINJAとプラチナゲームズのコラボだから実現できた、“連携継続”と“欠損率上昇”の相互作用
――今回、数時間プレイしてみて、戦術の自由度は上がった印象がありました。この辺りはプレイヤーによって戦い方が大きく変化することを想定しているのでしょうか? それとも上達するにつれてある程度はひとつの立ち回りに収束していくイメージですか?
中尾:今回のプレイではすべての体術を開放していましたが、製品版では購入することで徐々に習得していくことになります。見ていただいて分かったと思うのですが、とにかくテクニックの数が多いんですよ。我々としては「すべてを使いこなして戦ってほしい」というよりは、「攻防を有利に進める手段として、豊富な材料の中から自分に合うものを選んで使ってみてください」という意図でたくさん用意しています。
アクションにおけるアプローチの自由度は高いものを目指しているので、仰るとおり自由度は上がっているかなと思います。戦術についても「こういう戦い方が強いだろう」という形をプレイヤーごとに模索できるものを目指しました。
――過去の「NINJA GAIDEN」は“回避して隙を突く”、“欠損している敵には滅却を使う”、“エッセンスが出たら絶技を使う”みたいな思考をセットで考えていましたけど、今回はジャストガード、回避、鵺の型などの選択肢もあって、ボス戦が非常に楽しくなっていました。さまざまなアクションの組み合わせが有効かつ“テクいことしてる”感が気持ち良くて。それでいてスピード感もまったく失われていません。
平山:敵の攻撃に合わせてのガードや回避も含めて、“いろいろなシチュエーションで敵に攻め入ることができる”というのはいままで以上に幅が広がったところだと思います。

――この十数年はハードウェアの進化もかなり大きかったと思います。これに伴って「前作までは出来なかったけれど、本作では出来るようになった」といった面での注目ポイントはありますか?
平山:「NINJA GAIDEN」は武器ごとにすごい数のアクションが繰り出せるゲームなので、武器種のシームレスな切り替えをバトルに組み込めるようになったのは、ハードウェアの進化で実現できた部分かなと思います。
中尾:武器の切り替えもですが、本作のステージ全体のテーマになっている“雨”が降りしきる表現であったり、血飛沫の表現であったりのグラフィック表現は、いま可能なより良いものを追求して、いろいろと試行錯誤しました。とくに血の表現は、出方、量など含めて、“グロテスクだけどスカッと爽快”に感じられるものを目指してこだわっています。
平山:シリーズを通して、なによりも重要なのはアクションとしての手触りの気持ち良さです。プラチナさんでもそういった方針を汲んだ上で新しい表現を追求してくれました。
中尾:具体的には、ヒットエフェクトなどにはなるべく頼らずに、“肉を斬った感触”を表現するというのはとても力を入れたところです。
――難度は、過去作と比較してどういったものになっているイメージでしょうか?
平山:過去作以上の高難度を目指しているといったことはありませんが、「NINJA GAIDEN」ならではの苛烈で歯ごたえのある戦闘というのは重要だと思っています。その上で、ノーマルより難しい上位難易度はもちろんご用意しています。
ただダメージ量が多くなるみたいな数値だけを調整したものではなく、敵の思考パターンや攻撃パターン、敵種の配置の変更など、さまざまな調整でノーマルとは異なる体験として設計しています。いままでのシリーズで“超忍”と呼ばれてきたプレイヤーさんたちに楽しんでいただける難しさはご用意できていると思っています。
中尾:システム面では、新たに鵺の型が追加されていて、プレイヤー側の能力はアッパー調整と言えると思います。それにあわせて、ステージ構成や敵の能力もアッパーに調整した部分が多々あるので、過去作にあったシステムだけを使っていると、なかなかしんどい難度にはなっています。
平山:逆に言えば、“鵺の型”などが追加されてアッパー調整にはなっていますが、それによってヌルくなったりはしていません。「NINJA GAIDEN」らしい苛烈さを損なわないよう、プレイヤー側の強さに合わせて、敵側も調整していますので。
中尾:先ほど、ユーザビリティに関する現代化の話もしましたが、“楽にクリアできるようにした”ということは一切ないです。逆にあの難しさにまた挑めるよう、楽にクリアできないよう、こだわって調整しました。

――過去作でハードや“超忍への道”などをプレイしていたから、それと比較してそう感じたのかもしれませんが、心なしかプレイしていて敵を欠損させやすかった気がするのですが。
平山:“鵺の型”にも当てはまりますが、特定のアクションを上手く使ったときに欠損させやすくなるというシチュエーションは過去作より増えています。たとえば刀なら、弱攻撃の連打だけではなかなか欠損しないけれど、コンボを長く繋いだ上で“鵺の型”の攻撃を使うなどの方法では欠損させやすくなります。
中尾:プレイしていただいたのがゲーム序盤なので欠損させやすい敵が多いといった部分もあるかもしれません。
――プラチナゲームズの過去作にもあった、コンボの途中で回避を挟んでもコンボを継続させられるシステムが「NINJA GAIDEN 4」にも取り入れられていたのが印象的でした。Team NINJAの過去作のアクションを意識して取り入れた部分などもあったのでしょうか?
平山:もちろんTeam NINJAはいろいろなゲームを作ってきたので、その経験が活きていないということはないです。明確に「このタイトルのこの仕様を取り入れました」みたいなものはないのですが、チームの考え方として“フェアな攻防を達成する”というのは大事にしています。それがプレイヤーの深い没入に繋がるという話はよくしていますから。どんなシチュエーションに対しても超忍らしいアクションでどうにかできる、それをフェアに可能とするためのノウハウというのはこれまでの経験から得ている部分だと思います。
中尾:プラチナゲームズ側としては、参考作品はもう本当に「NINJA GAIDEN」ということに尽きます(笑)。先ほどご指摘いただいた“連携継続”に関しては、「プラチナゲームズらしいシステムを入れよう」というよりは、“鵺の型”をより良く使いこなす切っ掛けのひとつとして導入したものです。
先ほど平山さんからお話があったとおり、コンボの最終段に近づくほど欠損率が高くなるので、たとえば連携継続によってコンボの最終段に“鵺の型”を決めると周囲の敵を一気に欠損させられる、みたいな。そういったテクニカルなアクションを可能にするための仕様は取り入れています。
でも確かに、Team NINJAさんとプラチナゲームズによるコラボだから実現できた落とし込み方ではあると思いますね。

――ハードモード、超忍への道などの上位難易度のバランス調整について、もう少し詳しくうかがえますか?
平山:ハードモードより上の難易度で攻撃パターンや敵配置を変化させたのは、2周目以降のプレイを始めたときに同じステージであっても別の体験ができるというのが重要だと考えているからです。
中尾:敵の連携など、ハードモードもまったく変えていないということはないんですけど、大きな変化があるのは最上位難易度の“超忍への道”ですね。
――単発の延伸攻撃などは、ハードモードの時点でなかなか決めさせてもらえなくなったりと、グッと難しくなった印象がありました。やはり高難易度ではコンボと鵺の型の併用が重要になるのでしょうか?
中尾:それもひとつの答えではあるのですが、敵の行動を見極めつつ、切り替え可能な複数の武器をどのタイミングで使い分けるのかといったところでも変わってきます。連携継続を使わずともコンボの3段目で使おうとした延伸攻撃を、敵が迫ってきたから2段目で放つであるとか。状況にあわせた戦術が無数にあり、それぞれをどのように使いこなすか、その取捨選択を楽しんでほしいです。
リュウ・ハヤブサでプレイできるパートもたっぷり用意、でも成長過程のヤクモだから描けるストーリーにも注目してほしい
――Team NINJAとプラチナゲームズで協力して開発したからこその「組んで良かった」と感じられた部分について教えてください。
平山:もしTeam NINJAで続編を作っていたらおそらく出なかっただろうなというアイデアはたくさんありました。ヤクモという新主人公もプラチナさんのアイデアから始まりましたし、“血殺”などのケレン味溢れるダイナミックなアクションもプラチナさんならではの魅力だと思います。
その上で我々も「NINJA GAIDENらしさ」についていろいろやりとりさせていただいて、それぞれの良さを上手く掛け合せることが出来たかなと思っていますね。
中尾:そうですね。ほとんど同じ気持ちです。ただ、「NINJA GAIDENとしてここはこうしないといけないですよね」みたいなところは本当にお互い正直にぶつけ合ってきました。それが出来たお陰でここまで来れたのかなと思います。
平山:その議論がいちばん多かったかもしれませんね。「こういう要素はどうですか?」と見せてもらったときに、確かに派手だしケレン味があっておもしろいんだけど、「NINJA GAIDEN」シリーズとしては源流の遊びに戻す調整がしたい、みたいなことはすごく何度も話し合いました。
開発中は一時期、鵺の型がものすごく猛威を振るっていた時代がありまして(笑)。極論を言えば絶技や滅却が要らないようなバランスだったのが、そこから如何に「NINJA GAIDEN」らしいシステムに落とし込むのがいいのか? といったやりとりはかなり交わしました。
――効果も含め、派手過ぎたりダイナミック過ぎたバランスを抑えるような調整に時間を掛けたようなイメージでしょうか。
中尾:抑えるというよりは“各システムの役割を明確にする”ことを大事にしました。ケレン味のある派手な部分と、実直な機能としての部分を住み分けるための整理、みたいなものが多かったですね。具体的には、乱殺状態で繰り出せるド派手な血殺の表現などは、以前はもっと高頻度で発生するものだった頻度を落とした上で、発生するときはより強調するなど、模索の結果としていまのバランスになりました。
平山:表現としてはカッコよかったんですけど、通常モードと鵺の型は何度も切り替えるので、そのたびに派手な演出が出るのは没入の妨げになる、けれど表現をただ抑えてしまうのは元々の良さが失われてしまう。それならば一定時間の間は確定で派手な演出とともに強力な一撃を放てるものに調整しようと。それで乱殺状態がいまの形になったんです。

――今回プレイしたバージョンではチャプターセレクトでリュウが使用できましたが、製品版ではいつごろ使えるようになるのでしょうか?
中尾:具体的なところは物語にも関わるのでまだお伝えできませんが、メインとなるストーリーラインではヤクモが主人公として描かれる中で、「リュウがどう絡んでいくのか?」というのを実際にリュウを操作しながら体験していく形になります。
平山:その上で、今回プレイしていただいたチャプターセレクトはストーリーモードのクリア後に解禁になるモードで、この中ではすべてのステージでヤクモとリュウ、両者でプレイしていただけます。あくまで主人公はヤクモなので、ストーリーの比重としてはヤクモのほうが多くなっていますね。
中尾:とはいえリュウを操作したい方にも満足していただけるであろう肉厚さと言いますか、「10分~20分使ってはい終了」みたいなボリュームではありませんので、そこはご安心ください。
――ヤクモとリュウはかなり対比的に描かれている印象ですが、この辺りはいかがでしょう?
中尾:ふたりで共通させている部分と対比させている部分は明確にあります。若き忍であるヤクモと、熟達した真の超忍になった男であるリュウという対比であったり、ステージに関してもヤクモの成長を描くということで、どんどん登り詰めていく構図というのが、最初のステージなどでは顕著に感じてもらえるのではないかと思います。
リュウのように敵を強襲していくのではなく、ヤクモは追いかけていくようなシチュエーションになっているとか、舞台設定しかりアクションしかりキャラクターしかり対比させている……というのはあるのですが、一方でハード、クール、ドライといった「NINJA GAIDEN」ならではの持ち味はしっかり引き継ぎたいので、“寡黙な忍”という骨子の部分はリュウとヤクモで統一させている部分です。
――ここまでに質問されていないことで、アピールしたいことがあればお聞きしたいです。
中尾:今回、リュウにはヤクモで言う鵺の型に相当する新たなアクションとして、“閃華状態(せんかじょうたい)”があるのですが、こちらは過去作で最強技として登場していた“真龍閃華”をリスペクトしつつ拡張させたものになっています。閃華状態で空中攻撃をすれば、まさに真龍閃華の如きアクションになったりします。
「真龍閃華を拡張させて、自在に操るリュウ・ハヤブサ」というのは、まさに私が実現したかったリュウの進化像でした。加えてプラチナゲームズならではの派手さをモリモリに盛り込んでいるので、きっと楽しんでいただけるのではないかと思います。たくさんの方に早く触ってもらいたいです。
平山:リュウ絡みとしては、過去シリーズと違ってリアルタイムで忍法を切り替えられる仕様を本作では入れています。今回は火炎龍と重波弾が撃てるんですけど、たとえば細い通路では貫通性能を持つ重波弾を使っていただいて、まばらに囲まれているときなどは火炎龍を使っていただくなど、切り替えながら戦えるのはリュウの進化のひとつだと思うので、そこも触ってみてほしいところになります。操作としては、閃華状態で手裏剣と同じボタンを押すと撃てます。

――時間も差し迫ってきましたが、おふたりが「ヤクモのどんなところが好きか?」というのを聞いてみたいです。
中尾:私も平山さんがどう思っているかは聞いてみたいです。
平山:どれを言おうかな……悩むな(笑)。ちょっと考えますね。
中尾:では、僕から。いろいろあるんですが、ヤクモって「寡黙でクール、任務はそつなくこなす」みたいなイメージで、ちょっととっつきにくいところはあると思うんですよ。序盤でもそれは感じていただけたと思うのですが、まさにそこがリュウ・ハヤブサとは違う部分かなと感じています。
ヤクモが物語を通じてどのように変化していくかというのは、“すでに完成された超忍”ではないぶん、際立って見えてくる部分だと思います。この先の展開を楽しみにしていただきたいですし、そこで見えてくる「忍者とは?」というテーマはヤクモだからこそより魅力的に描けたつもりです。ぜひヤクモの今後に期待していただきたいですし、そこが僕個人としての好きなところでもあります。
平山:でも自分もそこは好きなポイントですね。「未熟なヤクモがどのように成長していくのか?」というのは。忍者としての能力だけじゃなくて、人として、性格なども含めて、変わっていく様は、物語を通して感じていただけるのではないかと思います。
あれだけクールなヤクモがぺらぺら喋るようになったりはしないんですけど(笑)、寡黙な中でも心境の変化などが感じてもらえるストーリーになっているのではないでしょうか。“リュウでは描けなかった考え方、成長”というのは、過去シリーズにはなかった魅力だと感じます。
中尾:今回ショップなどで会話できた“ウミ”というキャラクターがヤクモの仲間のひとりなのですが、こうした仲間たちとの会話で深堀りされていくヤクモの一面なども注目していただきたいです。相手によってけっこう対応が違っていたりするので、彼の多面的な部分が感じられると思います。
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