ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)から2026年4月30日に発売予定のPS5用ソフト「SAROS」(サロス)。SIEから発売前にコードを受領したので、レビューをお届けする。
PS5のハードウェア性能を限界まで引き出し、極限の緊張感とプレイヤースキルのみを頼りに進んでいくゲーム性で世界中のコアゲーマーたちを熱狂の渦に巻き込んだ名作「Returnal」という歴史的傑作を生み出したフィンランドの老舗スタジオ・Housemarqueが、1995年のスタジオ設立から数えて30周年という大きな節目の集大成として放つ完全新作アクションシューター。それが、「SAROS」だ。

発売に先駆けて本作の製品版相当をじっくりと、それこそDualSenseコントローラーのグリップを握る手が汗で滑り、指の関節が痛くなるほどにプレイさせてもらったのだが、結論から言うと本作は前作「Returnal」のハードコアなDNAを色濃く受け継ぎながらも、圧倒的なビジュアルの進化、プレイヤーに寄り添う懐の深い多彩なカスタマイズ性、そして「点と線」から「面」へと劇的な進化を遂げた新たな弾幕体験を盛り込んだ、まさに次世代のローグライク弾幕TPSの歴史的決定版である。
前作「Returnal」を何百回と死に戻りながらやり込んだ筆者が、「SAROS」ならではの独創的なシステムや、灼熱の太陽が支配する異星カルコサの妖しい魅力、進化したアクションの奥深さをお届けする。

太陽が支配する、異星カルコサの妖しく不気味な世界観と人間ドラマ
本作の主人公は、ソルタリ社に所属する凄腕の護衛官であるアルジュン・デヴラジだ。彼はとある真実を求めて、姿を変え続ける未知の惑星カルコサへと足を踏み入れることになる。
プレイヤーがアルジュンを操り、このカルコサに降り立った瞬間にまず圧倒されるのが、空に鎮座する巨大で禍々しい太陽の存在感だ。
前作「Returnal」の舞台であった惑星アトロポスは、全体的に薄暗く、孤独感に包まれた閉鎖的な空間が主だった。しかし「SAROS」のアプローチは全く異なる。カルコサは太陽に強烈に支配されており、体験した範囲では視界の開けた開放感のあるステージが複数用意されていたのだ。(もちろん閉鎖的な空間もあるが)

だが、この「普通っぽさ」が逆に底知れぬ不気味さを醸し出している。
自然の風景に不釣り合いなほど巨大な古代文明の遺跡群や、奇妙な幾何学模様が刻まれた謎の建造物、そして人間たちが持ち込んだ無機質なSF的機械技術の残骸。美しく雄大な景色の中に、明確な異物感と死の匂いが混在しているのだ。
PS5のグラフィック性能を極限までチューニングし、超高解像度で描写されるカルコサは、ただそこを歩いているだけでも「決して足を踏み入れてはいけない場所にいる」と本能に警鐘を鳴らしてくる。この支配的な太陽の下で展開される探索は、プレイヤーに常に心地よくも恐ろしい緊張感を与え続けてくれる。

また、本作は死ぬと全てがリセットされるローグライク作品でありながら、ストーリーにも非常に力が入っている。予期せぬ仲間との出会いや、不気味な日蝕のなかで徐々に狂気に当てられて信頼関係が崩壊していく生々しい人間ドラマが展開される。アクション一辺倒だった前作から、物語への没入感という点でも大きな飛躍を遂げていると言えるだろう。

絶望の連鎖。いくつかのボスを死闘の末に討ち果たし、次なるボスで絶望する熱烈な泥沼体験
レビューの序盤で、筆者の現在の進行状況を正直に告白しておきたい。
今回の先行プレイにおいて、筆者は時間の都合と本作の情け容赦ない難易度の高さの前に、未だゲームのエンディングには到達できていない。(恐らく終盤にいるのではないか、という予想はしているが、クリアできていないのであくまで推測だ)
「クリアできていないのにレビューを書くのか」と呆れる読者もいるかもしれない。
しかし、だからといってこの記事の説得力や熱量が下がることは絶対ないと断言できる。なぜなら、自分より遥かに巨大で強大なボスの前に散り続け、絶望を味わいながらも少しずつ先に進める道を見つけていく過程そのものが、最高に濃密なエンターテインメント体験だからだ。死ねば死ぬほど、プレイヤーの心に火が点く。これぞまさに、次世代のアクションシューターの真骨頂である。
カルコサに降り立った瞬間から、プレイヤーは終わりの見えない死の螺旋に巻き込まれることになる。エリアを進むごとに苛烈さを増す敵の群れに何度も何度も蹂躙され、その度に拠点へと死に戻りを繰り返す。
それでも諦めずに敵の行動パターンを学習し、少しずつ自らの反射神経を研ぎ澄ませていった。お気に入りの武器を探して入手しつつ、アルジュンを強化してくれるアーティファクトを次々と拾っていく。
特に苦戦したのは、1体目のボスだ。これは「Returnal」の時と同様である。やはりゲームシステムを体に染み込ませていかなければならないので、1体目のボスには大体どのプレイヤーもそれなりに苦戦するのではないだろうか。
このボスを撃破するまでに、数十回もの死に戻りを繰り返すこととなった。
画面を覆い尽くすほどの幾何学的な弾幕を放つ強敵たちをダッシュとシールドをメインに掻き潜り、死闘の果てにようやく1体目のボスを撃破した時、筆者は思わずガッツポーズをしてしまった。この脳髄が痺れるような圧倒的な高揚感は、Housemarqueのゲームでしか絶対に得られない極上の快感だ。

しかし、歓喜も束の間であった。1体目のボスを倒したあとは比較的順調に進み、他のボスも数回のチャレンジで倒していけたのだが、筆者は現在進行形で新たな絶望の壁にぶち当たっている。「あともう少し、せめてセカンドチャンス(一度死亡してももう一度立ち上がれるスキル)が残っていれば勝てるのに!」という悔しさと、強烈な中毒性の泥沼に肩までどっぷりと浸かっている真っ最中なのだ。
ちなみに「ナイトメア・ストランド」といういわゆるモンスターがわんさか出てくるルームに入ってそこをクリアすると、一度使用してしまったセカンドチャンスが復活するというメリットがある。ただし、ナイトメア・ストランドは本当に数多くの敵が出現し、死と隣り合わせとなっている。セカンドチャンスを取り戻すどころか、ここで力尽きてしまうかもしれない。否、セカンドチャンスを取り戻して万全の状態でボスに挑めるかもしれない。そんな駆け引きもあるのだ。
「点と線」から「面」の脅威へ。「Returnal」ガチ勢を唸らせる進化した弾幕とアクション
前作「Returnal」と比較した際、最も明確かつ大きな進化を遂げているのが、戦闘の核となる弾幕のシステム設計である。
筆者は「Returnal」をかなりやり込んだ部類のゲーマーだと自負しているが、「Returnal」の弾幕は、全体的に細かい「点」と「線」の攻撃が中心だった。無数にバラまかれる点と線の隙間を見極め、ダッシュの無敵時間や地形の高低差を活かして、精密な操作で避けることが生存への至上命題であった。
それに対し「SAROS」では、戦闘のアプローチが根本から劇的に変わっている。
本作の敵は、点や線による隙間だらけの攻撃だけでなく、画面全体を大きく覆い尽くすような「面」での攻撃を頻繁に、そして容赦なく仕掛けてくるのだ。光の津波のように押し寄せる「面」の攻撃は、単なる位置取りやダッシュの無敵時間だけでは到底回避しきれない。

そこで生命線となるのが、本作で最初から使用可能となっている主人公アルジュンの装備「ソルタリシールド」と、新たに追加された「パリィ」のシステムである。(※パリィなど一部の要素はゲームを進めていくと解放される)
逃げ場のない「面」の弾幕が迫り来る絶望的な瞬間、シールドを展開して強引に攻撃を受け止めたり、タイミングよくパリィのアクションを合わせることで、敵の強烈な弾幕を弾き返して反撃の機会を作り出すことができる。
さらに本作の銃撃システムは、敵を精密に狙い撃つエイム力よりも、主にオートエイムに任せて「ひたすら撃ち続けながら、いかにシールドと回避に集中するか」という作りに重きが置かれている。つまりはどのタイミングで弾幕に突っ込むかという戦術性が極めて高いのだ。

点と線の隙間を精密に避けるスリルから、面の攻撃をシールドやパリィで真っ向から受け止め、制圧するという、よりアグレッシブで、よりシビアな血湧き肉躍る駆け引きへと、弾幕アクションは確実に進化している。
迫り来る極彩色のネオンのような弾幕をギリギリで弾き返した瞬間、DualSenseコントローラーのハプティックフィードバックを通じて手のひらにガツンと伝わる重厚な衝撃は、プレイヤーの脳に直接快感を叩き込んでくる最高の手触りだ。

永続ツリーと究極の難易度カスタマイズ。プレイヤーに寄り添う親切な設計
前作「Returnal」は、その理不尽なまでの高い難易度と、一度死ねば数時間の苦労がすべて水泡に帰すという厳しさで、明確にプレイヤーを選ぶゲームであった。しかし「SAROS」では、前作のヒリヒリとした緊張感を保ちながらも、システムがプレイヤーに対して圧倒的に親切で、自由な選択肢に溢れているという素晴らしいゲームデザインがなされている。
その最大の要因が、アルジュンの拠点となる「パッセージ」に用意された、永続的な効果をもたらすスキルツリー「アーマーマトリクス」の存在である。
探索中にカルコサの地で集めたリソース「ルセナイト」や「ハルシオン」などを拠点に持ち帰ることで、アルジュンのアーマーの最大HPを増加させたり、エーテルという回復リソースの回復量が上がったり、さらには死亡時に一度だけその場で復活できる(セカンドチャンス)といった強力なスキルを、永続的にアンロックしていくことができる。
つまり、アクションが苦手で第1ステージのボスにすら勝てないようなプレイヤーであっても、何度も挑戦してリソースを持ち帰ることで、アルジュン自身の基礎スペックが確実に上がり、いつかは必ず突破できるような希望の道が用意されているのだ。

さらに本作の懐の深さを象徴するのが、プレイヤーの腕前や好みに合わせて設定できる細やかで奥深い難易度カスタマイズ機能である。
これは単に「敵のHPを減らす」「被ダメージを下げる」といった単純なイージーモードではない。本作のカスタマイズは、常に「リスクとリターン」のトレードオフで成り立っている。
例えば、「探索中のルセナイトの取得量が減るという明確なデメリットを意図的に背負う代わりに、アルジュンの与ダメージを上昇させるメリット効果を発動させる」といった設定が可能なのだ。

どうしても勝てないボスがいる時は、今後の成長を一時的に捨ててでも火力特化のカスタマイズで強引に突破口を開くことができる。逆に、腕に自信のあるハードコアゲーマーならば、自分自身に極限の縛りプレイを課して、よりスリリングなカルコサ探索に挑んでもいいだろう。
この奥深い難易度の調整機能は、万人にクリアの達成感を提供するのと同時に、ローグライクとしての遊びの幅を無限に広げてくれた最高の発明と言える。単純なイージーではなく取捨選択によるカスタマイズだと思えば、「クリアはできたけれどイージーモードだったからなぁ……」などと自身を卑下することもない。
同じような画面でわかりにくいと思うが、例えば下記画面の設定は上記画面よりもさらにルセナイトを持ち帰れる量が極端に減る、という設定になっている。さらにはハルシオンが出ないようになるという非常に強力なデメリットを課す代わりに、アルジュンの防御力を大幅にアップさせたり、与ダメージを増やしたりという、様々なメリット効果をつけている状態である。

そのマップに落ちているハルシオンの量は決まっており、ワールド画面で確認ができるので、もうハルシオンを取りきったステージや、現状ルセナイトで強化できるマスを全て取り終えている、という状態だと、このデメリットも全くデメリットにならないのである。
ちなみに「どうしても勝てない」という場合にはさらに難易度を下げるモードは用意されている。デメリットを取ることなく、そして+3~-3までという難易度カスタマイズ機能を無視して、例えば-30くらいまでアルジュンが有利になるような効果を盛り盛りにしてしまう、これぞいわゆるイージーモードである。
どこまで利用するかも個人の判断に委ねられる機能だが、ストーリーや美しい弾幕TPSを気軽に楽しみたい、というプレイヤーにはこのモードの利用も考慮してみてほしい。ただし、試しに利用してみたところ、下手くそな筆者でも初見ボスを一回で撃破できてしまったレベルで簡単になってしまう。本作ならではのアドレナリンがドバドバ出るような体験は薄くなってしまうので、そこは何卒心に刻んだ上で使用の有無を決めてほしい。
世界が変貌する日蝕の狂気と、石碑を巡る究極の戦略的ジレンマ
本作のゲームプレイにおける最大の特徴は、太陽に支配されたカルコサの真の恐ろしさを象徴する「日蝕」のシステムだ。プレイ中、日蝕を起こすと空を覆う禍々しい太陽が隠され、カルコサの様相は一変する。


日蝕が起こると世界は突如として狂気に浸食され、おぞましい触手のような不気味な構造物が壁や床を覆う。
ここで特筆すべきは、複数のグラミー賞受賞歴を持つ作曲家サム・スレイター氏が手掛けるサウンドデザインの凄まじさである。
エレクトロニコアをベースとした心を鷲掴みにするダークな楽曲が、3Dオーディオの立体的な音響とともにプレイヤーの正気をゴリゴリと削ってくる。世界がリアルタイムで変異していく演出は、文字通り鳥肌が立つほど恐ろしい体験だ。

しかし、プレイヤーにとって日蝕はただ恐ろしいだけの時間ではない。日蝕の最中には、通常時ではお目にかかれないような非常に強力な効果を持ったアーティファクトがドロップしやすくなるという、大きな恩恵があるのだ。
だが、残念ながらそんな美味しいだけの話ではない。日蝕下で手に入る強力なアーティファクトには、「エーテルの回復効果が低下」「静止時に攻撃力が低下」といった、プレイヤーの生存確率を下げるマイナス効果が付帯しているのである。


ここで極めて重要になってくるのが、道中に点在する青い石碑や赤い石碑、金色の石碑との向き合い方だ。
これらの石碑から得られるアーティファクトも、日蝕状態になると効果が強力になる反面、凶悪なデメリット効果が確実についてしまう。
したがって、デメリットがつくアーティファクトを取りたくないならば、あえて日蝕の時は貴重なアイテムである「カルコサ・キー」を温存しておき、カルコサ・キーを使わないと開けられない金色の石碑でキーを無駄に消費しないでおくという、極めて理性的な戦略も必要かもしれない。

日蝕という狂気の中で突きつけられるこの「ハイリスク・ハイリターン」である究極の選択は、プレイヤーの欲と理性を激しく揺さぶり、プレイするたびに全く異なる予測不能なドラマと死因を生み出していくのである。
なお激しく余談ではあるが、筆者は日蝕時のアーティファクトは一切取らない派である。それはデメリットをカバーできる腕前がないからに他ならない。腕に自信のある猛者ほど、マイナス効果のあるアーティファクトをぜひとも使いこなしていってほしい。
唯一の難点は物語の進行による強制リセットがもたらす徒労感
ここまで本作の素晴らしさを語ってきたが、プレイしていてどうしても気になってしまった、ローグライクファンとしての不満点にも正直に触れておきたい。それは、重厚な物語の展開に伴って発生する「強制リセット」の存在である。
前述の通り、本作はローグライクでありながら、アルジュンの内面やカルコサの謎に迫るストーリー、そして仲間たちとの関係性の変化が非常に重厚に描かれている。物語のクオリティ自体は素晴らしいのだが、ストーリー上の特定のポイントに到達すると、強制的に拠点であるパッセージへの帰還が求められる場面が存在するのだ。
ローグライクというジャンルの最大の醍醐味は、道中で強力な武器を運良く引き当て、多彩なアーティファクトを組み合わせ、自分だけの最強のビルドを少しずつ作り上げていく過程にある。
せっかく幾多の死線を越え、運と実力で最高のビルドを構築し、このまま進めば次のマップも比較的楽に進めるのではないかと最高潮に意気込んでいた矢先に、ストーリーの都合という不可抗力で拠点へと戻され、苦労して集めた装備がすべて初期状態にリセットされてしまうのは、プレイヤーの熱を冷まし、強い徒労感を与えてしまう少々残念な仕様だと感じざるを得なかった。
重厚なストーリーテリングと、死んで覚えるローグライクのシステムを融合させる上での構造的な難しさの表れかもしれないが、この点に関しては、今後のアップデートなどで「ストーリーイベント後もビルドを引き継げる」などの何らかのフォローが入ることを強く期待したいポイントである。

灼熱のカルコサで太陽と弾幕に溺れ、終わらない「もう1ループ」の魔力
強制リセットのもたらすもどかしさや、面の弾幕による容赦のない難易度の高さは確かに存在する。
しかし、それでもなお、筆者はコントローラーを置く気には全くならない。
死んでパッセージに戻される画面を見つめながら、「次はルセナイトを捨てて火力を上げるカスタマイズで挑もう」「次はパリィのタイミングをもっと引き付けよう」といった反省と後悔が頭をよぎり、それがすぐさま「もう1回だけ行こう」という次のループへの強烈な原動力へと変換されていくのだ。
PS5の超高速SSDによるロード時間の短さも相まって、死んでからリトライするまでのテンポが異常なまでに良いため、やめ時を完全に見失ってしまう。
極彩色の弾幕が乱舞する美麗なグラフィック、プレイヤーの正気を削る極上のサウンド、そして太陽と狂気の日蝕。「死ぬたびに自分が上手くなり、着実に前に進んでいる」という手応えを確信できる、完璧に計算し尽くされたアクションシューターのサイクル。
Housemarqueが30年の歴史の中で培い、磨き上げてきた技術とゲームデザインの哲学が、この惑星カルコサという舞台にすべて凝縮されている。


前作「Returnal」のストイックすぎる難易度で敬遠してしまったプレイヤーにも、救済措置とカスタマイズを活用してぜひ遊んでみてほしい。そして筆者のように、死に戻りの泥沼の中で己のプレイヤースキルを磨き続けることを愛してやまないハードコアなゲーマーたちには、文句なしに、自信を持っておすすめできる歴史的傑作である。
筆者は今度こそ、現在目の前に立ちはだかる憎きボスを打ち倒すため、再び灼熱の太陽の下、日蝕の狂気が渦巻くカルコサへとダイブすることにする。
それでは、極彩色の弾幕が飛び交うカルコサの地でお会いしよう。

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