ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアが2013年10月17日に発売を予定しているPS3用ソフト「BEYOND:Two Souls」。本作の開発を手掛けるQuantic Dreamでチーフプログラマーを務めるDamien Castelltort氏にインタビューを行うことができたので、その内容をお届けする。
本作は、不思議な能力を持った少女「ジョディ」と、彼女だけがコンタクトできる霊体「エイデン」によって、数奇な運命を辿るサイコスリラーアドベンチャー。物語はジョディの8歳から23歳までの15年間が描かれ、彼女の幼少期や思春期、そして大人になってからのシーンなど、さまざまな場面を追っていくこととなる。
今回の取材では、Castelltort氏がインタビューの前に「逃亡」と呼ばれるシーンのデモンストレーションを行ってくれた。この逃亡のシーンは、現在公開されているPVでもその一部を見ることができるが、ジョディが大体23才頃、CIAから追われている場面が描かれている(逃亡のシーンは下記PVの後半、約1分20秒頃に収録されている)。
本作で驚かされたのは、この逃亡シーンをはじめ、一見するとムービーのように思えるシーンがほぼすべてリアルタイムで描画されているところ。ムービーが使われているのは、ジョディの過去の記憶がフラッシュバックする場面という、ごく短い部分だけ。
細かい表現にもこだわって作られており、シェーディングモデルは特に力を入れ、光の反射や影の形なども注意をはらって作られている。実際にモデルを作った後もポスト処理の部分にも時間をかけ、光が拡散している様子などがしっかりと描かれている。
逃亡シーンに限って言えば、雨の中を逃げ回るため、「雨が降っているという環境に合わせて当然髪や服も水にぬれた質感になる。この水にぬれた質感も、「服」や「肌」といった括りでキャラクター共通にしているのではなく、キャラクター個別にテクスチャを変えて表現しているという。
グラフィックスのクオリティが高いため、どうしてもその部分に注目してしまいがちだし、今回のインタビューでも一部そういった話を聞いたのだが、インタビューではゲームの魅力なども伺ったので、その内容をお届けしよう。
チーフプログラマーのDamien Castelltort氏へインタビュー
――本作ではプレイヤーの行動によってその後の展開が変化しますが、どのように変化するのでしょうか。
Castelltort氏:アクションの失敗や成功などによって見られるシーン、見られないシーンが存在しますが、全体のストーリーには大きな流れがあります。最終的には、20種類程あるエピローグのうち、この分岐で行くと見られるもの、見られないものが変わってくるといった感じで、「ヘビーレイン」と似たようなものになっています。
――細かいところまで詳細に描写していると処理が重くなると思いますが、どのように処理を軽くしていったのでしょうか?
Castelltort氏:できるだけ多くのデータを圧縮し、SPUによってその時々によってファイルの圧縮や展開を行っています。レンダリングやポスト処理はSPUで行っているため、余力のあるGPUでほかの描写をしています。
――プレイヤーからは見えないところもこだわっている部分はありますか?
Castelltort氏:本作で描写されるキャラクターは、全てパフォーマンスキャプチャーというものを使用して、ひとりひとりの顔から体まで全体をキャプチャしています。そのため、操作キャラクターや、今話をしている人物以外のキャラクターも、そこに人間が存在するようにうなずいたり、瞬きをしています。
――パフォーマンスキャプチャーの収録はどれくらいの期間が掛かっていますか?
Castelltort氏:合計で8ヶ月です。週末を含めて、ほぼ毎日やっていました。
――ゲームの開発は苦労がたくさんあると思いますが、ハイエンドゲームを作っていて楽しかったこと、よかったことはなんでしょうか?
Castelltort氏:確かに制作は大変ですが、有能な人材がそろっていますし、彼らと毎日接してコンテンツを作ること、ゴールに向けて全力で仕事をしている毎日は楽しいですね。例えば、私はツールを作っている立場ですが、アーティストのデスクを訪れると「こんなことやってたの!?」といった驚きがあります。アーティストに接していると、自分が作ったツールを使って全く想像がつかなかったことをやっているので、驚きの連続です。
――これだけのクオリティのゲームを作り続けるモチベーションの源はなんでしょうか?
Castelltort氏:作品を作っていると、毎回新しいことにチャレンジすることになるので、フレッシュな気持ちでスタートできます。開発を進めてゴールに向かっていく部分も充実していますし、チーム内のスタッフもアイディアをたくさん持っている人が多いので、彼らと接してゲームを作るのが楽しいからですね。
――「ヘビーレイン」から大きく進化した部分はどこでしょうか?
Castelltort氏:本作の制作には3年かけており、「ヘビーレイン」からそれだけの時間が経っているとはいえ、ハードウェアは同じものを使用しています。そのため、グラフィックの処理に多くの時間を掛けました。「ヘビーレイン」と違っているのは、エイデンという霊体のキャラクターを自由に動かせるので、カメラの制限がなく、従来では行わなくていい部分の処理や最適化も必要としたので、そこはチャレンジングでした。
※ここで、本作に収録されるボーナストラック「The Dark Sorcerer(ダークソーサラー)」を披露してもらった。この映像は、PS4で動作する短編映像作品。あくまでテクニカルデモであり、これがゲームに…という訳ではないのだが、本映像を見ての質問も行うことができた。
――「ダークソーサラー」でもパフォーマンスキャプチャーを使用しているのでしょうか?
Castelltort氏:はい、使っています。
――Quantic Dreamにはモーションキャプチャー用のスタジオがあるほど力を入れていると思いますが、例えば今回映像に出てきたモンスターはどのように暁減しているのでしょうか?
Castelltort氏:「ダークソーサラー」のゴブリンに関しては、役者さんに演じていただき、手の部分を調整したり、リターゲッティングしてキャラクターに取り込んでいます。
――「ダークソーサラー」でのモーションキャプチャーの収録期間はどれくらいでしょうか?
Castelltort氏:2日間にわたって行いました。1日目がリハーサルで、2日目が本番です。映像には3人のキャラクターが登場するのですが、同じ時に、同じセットで収録しています。
――あくまでテクニカルデモですが、PS4向けに作品を作ってみての手応えはいかがですか?
Castelltort氏:技術者としては、新しいハードウェアや技術に触れるので楽しいですし、新しい機材がきたことでいろんな可能性が見えてきました。PS3の限界を知っているので、次の機材でそれをどう超えていくか、どう広げていくかがを試行錯誤するのが楽しいですね。
――PS3の限界とありますが、今回の映像でPS4でしかできないことはどういった部分でしょうか?
Castelltort氏:肌やテクスチャの質感ももちろんですし、セットの描写の細かさもPS3ではできなかったレベルで実現しています。ポスト処理や照明など、特殊効果もPS3に比べて格段に多く使用することができるようになっています。
――PS4でこんな作品を作ってみたいといったイメージはありますか?
Castelltort氏:個人的には、今まで作った作品のレガシーを引き継ぎつつ、全く新しい挑戦をしていきたいと思っています。過去に作ったテクニカルデモ(「The Casting」や「KARA」のこと。こちらも「BEYOND:Two Souls」の特典コンテンツとして収録されている)はシリアスなものが続いてきましたが、今回はコメディです。Quantic Dreamとして期待されている作品を作るのではなく、全くテイストを変えたものを作ってみたいと思います。
――最後に「BEYOND:Two Souls」に話を戻して、ご自身が担当された部分で見てほしいところを教えて下さい。
Castelltort氏:皆さんによくお伝えしているのが、「BEYOND:Two Souls」の作品全体を楽しんでほしいということです。始めから終わりまでプレイしていただき、そこで感じるものを楽しんでいただきたいです。細かなディティールなどをご覧いただくのも楽しみのひとつだと思いますが、重要なのは作品としての完成度なので、まずは作品全体を楽しんで、その後に「ここ凄いな」と細かいところに注目していただけると嬉しいです。
――日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。
Castelltort氏:3年間という長い期間を掛け、努力して作り上げた作品なので、ぜひ最初から最後までプレイしていただき、ゲームを遊んだほかのプレイヤーと体験をシェアしたりと、作品全体を楽しんでいただければと思います。
――ありがとうございました。
(C)Sony Computer Entertainment Europe. Developed by Quantic Dream.
※画面は開発中のものです。
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