Nintendo Switch版が2026年7月30日、Steam版が近日発売予定のLaplacianの新作ADV・「久我山栞の死様手帖」の先行プレイレポートをお届けする。
2020年発売のブランド最大のヒット作・「白昼夢の青写真」をもって、デビュー作「キミトユメミシ」から続いた、いわばSF四部作とでも呼ぶべきシリーズに、一旦の区切りを見せたLaplacian。
以来、朗読劇や小説版の刊行といったメディアミックスの動きはありつつ、完全新作の告知があったのが2025年5月15日のこと。その際に制作中のタイトルとして四作が紹介され、このうち「記憶の鍵盤」に続く第二弾に位置付けられたのが、今回紹介する「久我山栞の死様手帖」というわけだ(なお、「久我山栞の死様手帖」の後には、「Re:ゼロから始める異世界生活」(MF文庫J)でおなじみのライトノベル作家・長月達平氏がシナリオを担当する「MONOCHROME SERENADE」、そしてシナリオに緒乃ワサビ氏、原画には霜降氏/ぺれっと氏と、Laplacianの中核を担うスタッフ三名が揃い踏みする「アイソメリカ」の発売が控えている)。
さて、「久我山栞の死様手帖」では、Laplacian初の試みとして、原案スタッフを外部から招へい。その原案を務めるのが、2025年にアニメ化も果たした「9-nine-」シリーズ(ぱれっと)の原作シナリオライター、かずきふみ氏である。
これまでSF作品を手掛けてきたLaplacianが、伝奇作品に定評のあるかずきふみ氏との出会いで、いったいどのような化学反応を起こすのか――。
それを今から確かめてみたいと思う。
幽霊たちとの会話で進んでいくストーリー。その先に待つのは……?
「……私のこと、視えている?」
物語は、首を吊ったままそう問いかける女性との出会いで幕を開ける。

彼女——久我山栞(CV:小鹿なお)が語るには、自らは幽霊であり、名前以外には生前のことを何も憶えていないのだとか。記憶を持たぬがゆえにこの世への執着も全く持たない栞は、「もう一度死んでみれば成仏できるのかしら?」と、カジュアルに自殺を繰り返す日々を送っている。

しかし、成仏しようにも何も憶えておらずこれ以上は手詰まりだと感じている栞は、“あなた”に記憶を取り戻すための手助けをお願いする。
こうして幽霊の見える生者である“あなた”は、栞と行動を共にすることとなるのだった……。
ギャル子さん(CV:風間万裕子)をはじめとした、他の幽霊たちからの情報収集で物語が進んでいく。


ギャル子さんに続いて出会う幽霊・司書さん(CV:寺崎裕香)によると、幽霊は感情の制御が不得手であり、それぞれに「地雷」が存在するとのこと。まさにその「地雷」こそが、真相に繋がる手掛かりになりそうだ。
従来のLaplacian作品とは異なり、よりシミュレーション寄りのシステムに
主人公である“あなた”には基本的に選択肢以外での台詞はない。都度ポップする選択肢を選ぶことでゲームが進行していく形だ。よりシミュレーション寄りの手触りと言える。



ゲームスタートから数クリックで早速選択肢が登場。

ここは「はい」を押さねば話が進まないのは明らか……ではあるが、「いいえ」を押すと……?
こうして、最終的に全部で12種類の結末が存在するマルチエンディングが次々と展開されていく。

本作ではマップ型の選択肢も登場。
「幽霊」という一見重たそうなテーマに反し、登場する選択肢の数々には遊び心が満ち溢れている。そこのギャップも、本作の大きな魅力の一つかもしれない。
従来のかずきふみ作品との親和性と新規性について
かずきふみ氏が手掛けたシミュレーション色の強いADVと言えば、「きまぐれテンプテーション」(シルキーズプラス WASABI)が挙げられる。こちらもオカルトホラーを題材にした伝奇作品であり、ゲームシステムとリンクした謎解き要素が作品の中核を担っている。
――そう、まさに「久我山栞の死様手帖」との多くの共通点が見られるのだ。
「久我山栞の死様手帖」は、「きまぐれテンプテーション」をはじめとしたかずきふみ作品のファンには、間違いなく興味をそそられる作品だと言えるだろう。
さて、ここで重要なのが既存のかずきふみ作品との差別化だ。
かずきふみが今回新たにLaplacianで原案を務めるにあたって、どのようなアプローチを試みたのかというのも気になるところ。
かずきふみがこれまでに携わってきた作品のほとんどは、いわゆる美少女ゲームと呼ばれるジャンルのノベルゲームに該当する。美少女ゲームには成人向け要素を取り扱った作品も多く、とりわけ恋愛が主軸に据えられているのが特徴だ。
一方でLaplacianは「白昼夢の青写真」を最後に、美少女ゲームブランドから全年齢向けの「ビジュアルノベルブランド」への方針転換を掲げている。
つまり新作に恋愛要素は必須ではなくなり、よりSFやミステリ、ホラーといった方向に軸足を置くことが可能になったというわけだ(なお、成人向け要素さえあれば幅広い表現が許されたことで、数多くの才能を発掘してきたのが美少女ゲームの歴史であることは記載しておく)。
「久我山栞の死様手帖」はまさに、そうしたLaplacianとしての強みを活かしたオカルトホラーミステリに仕上がっている。
ちなみに、筆者がトゥルーエンドに辿り着くまでのプレイ時間は5時間程度で、手軽に楽しめる長さに収まっていると感じた。ぜひとも肩の力を抜いて、かずきふみ氏とLaplacianのマリアージュがどんなものに仕上がっているのか、その目で確かめていただきたい。
(C)Laplacian
※画面は開発中のものです。
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