「零 ~紅い蝶~ REMAKE」レビュー:怨霊との戦闘の複雑化・“遊び”の高密度化はいい意味でオリジナル版とは別物

プレイレポート・レビュー
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コーエーテクモゲームスより2026年3月12日に発売される、PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC(Steam)用ソフト「零 ~紅い蝶~ REMAKE」のクリアレビューをお届けする。

本作は和風ホラーアドベンチャーゲーム「零」シリーズの2作目として2003年に発売された「零 ~紅い蝶~」(以下、オリジナル版と表記)のリメイク作品。ちなみに、「紅い蝶」のリメイク版が発売されるのは2013年のWii向けソフト「零 ~眞紅の蝶~」に続いて2回目だ。

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このたびのリメイク版は、開発をアクションゲームに長けたTeam NINJAが手掛けており、怨霊との戦闘システムが大きく刷新。ほかにも追加エンディングをはじめとしたさまざまな新要素が取り入れられている。

ここでは、本作の1周目のプレイを終えた上でのレビューを公開する。刷新された戦闘システムに言及する部分では、ネタバレにならない範囲で攻略のヒントも散りばめているので、戦闘で行き詰まったときの参考にもなるかもしれない。双子姉妹の妹・澪として皆神村を訪れる人たちの力になれたらうれしい。

「美化された思い出の忠実な再現」というブレない芯を持ったグラフィック表現

オリジナル版「紅い蝶」や「眞紅の蝶」と比べても、グラフィック表現が大幅に進化した今回の「零 ~紅い蝶~ REMAKE」。キャラクター、フィールドともに細部のディテールはこだわり抜いてアップデートされている一方で、昨今の大作ホラーゲームのようなフォトリアルな方向は目指されていないと感じる。

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現代水準のグラフィックを見慣れてからでは、PS2当時のグラフィックは見劣りして感じられる。本作が指向しているのは「PS2のグラフィック表現を最先端だと感じられた時代の“美化された思い出”に釣り合うレベルのグラフィック」と言えるだろう。

過度にフォトリアルな表現になっていたとしたら、それは“美化された思い出”とはズレたものになる。澪と繭の姉妹や物語上の重要人物である樹月、それから一部女性の怨霊の“人形のように整った美しさ”は、そうしたバランス感覚から注意深くデザインされたのではないだろうか?

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“美しさ”の指向性が当時のまま、というのは本作では非常に重要だ。“美しさ”と悲劇を伴う“残酷さ”、それらにより醸し出される“儚さ”が、「紅い蝶」における恐怖の根底にあるからだ。根底にある恐怖の性質により、実は「紅い蝶」は“怖すぎない”ホラーゲームだと言える。これはオリジナル版における前作「零~zero~」が怖すぎてクリアできないプレイヤーが多かったことを踏まえたものであり、リメイク版もブレずに踏襲している。

それら美しさと残酷さをともなうストーリーは、プレイヤーに「結末が知りたい」と強く思わせる。筆者はシリーズ全作をプレイできているわけではないのだが、以降の「零」シリーズに通じるこうしたテイストを完全に確立したのが「紅い蝶」だったことが、オリジナル版のシリーズ屈指の人気に繋がっているのだと思う。

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敵として出現する怨霊も、「直視に堪えない」というようなおぞましいものは基本的にいない。アイテムを取ろうとしたときや扉を開けたとき、目の前に突如怨霊が現れるといったジャンプスケアはやや増えているものの、ジャンプスケアが苦手な筆者がそこまで不快には感じなかったので、「零」シリーズに慣れているのであれば大丈夫だろう。ただし、恐怖耐性は人によって大きく異なると思うので、シリーズ未経験者はまず体験版をプレイして耐えられるか確かめてみるのがおすすめだ。

リメイク版はサイドストーリーが追加されるなど、サブキャラクターたちに起こった出来事や彼らの心情がいっそう深堀りされており、「紅い蝶」の魅力であるストーリーがさらに多角的に補強されている。

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何度も離ればなれになる姉の繭と手を繋げば、澪の体力と霊力がみるみる回復していくという新しい仕組みも、ふたりいっしょにいるときの心強さと離ればなれのときの心細さをそれぞれに高めており、澪への感情移入度を高めてくれる。

怨霊との戦闘は試行錯誤次第で爽快感あふれるものに

グラフィック全般の表現が「美化された思い出の忠実な再現」に徹しているのとは対照的と言っていいほどに、怨霊との戦闘まわりのシステムは大幅に変更が加えられている。

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筆者は発売前に序盤をプレイした時点での印象をまとめたプレビュー記事も執筆しており、ここでは「怨霊が硬くて手強くなった」と書いたが、このプレイフィールは中盤~終盤にかけて射影機の強化が進むにつれて覆っていった。

各種システムの使いどころへの理解が深まっていったのも感じ方が変化していった要因だろう。また、ほかのゲームでエイミングに慣れていたため序盤は使っていなかった“ロックオン”をしっかり使っていくのが、本作においては怨霊を射影機で捉え続ける上で非常に重要であることに気付けたのも大きい。

本作における怨霊との戦闘は、意識すべきポイントがかなり増えている。まず“霊力”の概念があり、これがいわゆる“スタミナ”に近いゲージとして機能している。霊力は攻撃を受ける、走る、回避するなどの行動で消費され、時間経過や撮影を成功させるなどすれば回復する。霊力がない状態では澪がダウンしてしまい、大ダメージを受けかねないので、このゲージの管理を意識しなければならない。

射影機に“ピント”と“ズーム”の概念も追加されており、ピントがズレているとシャッターを切っても与えられるダメージは少なくなってしまう。さらには最終的に4種類が手に入る“フィルター”をリアルタイムに切り替えることで射影機の性能が変わったり、霊力と引き換えに使える“特殊撮影”にともなう駆け引きも……。

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怨霊の攻撃直前でシャッターを切ることで繰り出せる高威力かつ敵を怯ませる一撃“フェイタルフレーム”と、これによって連続でシャッターチャンスが訪れる“フェイタルタイム”というシリーズを象徴するシステムは本作にももちろんある。しかし、本作のとくに序盤では一度シャッターを切ったあとのフィルムの装填にかなり時間が掛かるので、フェイタルフレームばかりを狙っていると大事なときにシャッターを切れないこともしばしば。

フェイタルタイムが必ず発生するわけではなく、「特定のタイミングで発生する“シャッターチャンス”中のフェイタルフレーム成功」が発動条件になっているのも大きい。

したがって「怨霊を押し戻す」、「怨霊の動きを遅くする」などの効果を持つ特殊撮影が活きてくるし、咄嗟の回避も重要であるという寸法。極論、フェイタルフレームとフェイタルタイムさえ意識すれば十分に立ち回れたオリジナル版とはプレイフィールがまったく異なっているのだ。

おまけに、戦闘が長引くと怨霊が赤いオーラをまとい、回復しつつ凶悪化する“羽化”もある。羽化してしまった怨霊への有効打が、とあるフィルターを入手するまで存在しないのも、序盤の戦闘で苦戦を強いられる要因となっている。

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中盤以降は射影機の攻撃力が上がり、フィルムの装填速度も上がっていくため、ガンガンシャッターを切って怨霊にダメージを与えていく爽快感が味わえた。とはいえ、射影機の強化もままならず、戦闘システムに慣れていない序盤が厳しい事実は変わらない。この段階を乗り越えられるかどうかが、本作に夢中になれるか否かを分けると言っていいだろう。

前述した射影機の強化は項目がかなり細分化されており、この点で煩わしさと分かりづらさがあったのも気になった。序盤の苦戦を踏まえ、筆者が優先的に強化したのは「装填速度」と「最大攻撃力」だったのだが、試行錯誤していろいろな項目を強化していく中で、目に見えて怨霊にダメージが通りやすくなり戦闘が楽になったのは「フォーカスポイント」を増やす項目を強化したときだった。

怨霊を捕捉したフォーカスポイントが多ければ多いほど、シャッターを切ったときに与えられるダメージも多くなるため、フォーカスポイントの強化は単純にダメージが上がる。さらには、怨霊がカメラの中心を外れたときにも安定してダメージが与えやすくなるようなのだ。

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だが、メニュー画面から何度も読み返せる“手引書”にはフォーカスポイントについて詳しく言及した項目はない。もっと攻撃力がほしいと感じたとき真っ先に強化する項目として、多くのプレイヤーは素直に「最大攻撃力」を選ぶのではないだろうか? これはけっこう落とし穴だと思った。

最大攻撃力や装填速度の強化はフィルターの種類ごとに別々に行わなければならないのも、煩わしい部分。たとえば銃器などを扱うゲームならば性能の異なる銃をそれぞれ強化していくのは楽しみも大きいだろうが、本作ではフィルターを変えても通常の撮影における操作感はほぼ変わらない。ここまで強化項目が細分化されていると「むしろひとつのフィルターのみを優先して強化するほうが有用である」という判断にもなりやすく、せっかくのフィルター切り替えを戦術に組み込む妨げになっているのでは? と感じた。

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このあたりは周回プレイにおける強化項目を引き継いだやり込みを踏まえた調整だと思うのだが、少なくとも1周目のプレイにおいては多様な遊びの妨げになっていると思う。射影機の強化項目を振り分け直す“空珠”は非常に低コストで手に入るので、これを使っていろいろ試してほしいということかもしれないが、それでも煩雑さは気になった。

一方で、本作における設計で個人的に良いと感じたのは“フィルムの所持可能枚数”の制限だ。本作でもオリジナル版と同様、射影機には一四式フィルム、六一式フィルム、九〇式フィルムなど性能の異なるフィルムを装填できて、敵にあわせて使い分けていく。いちばん性能が低い“〇七式フィルム”は無制限に使用でき、それ以外は探索時に拾うことで使えるようになるのだ。

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筆者はオリジナル版で勿体なくて高性能なフィルムを使い渋っていたところ、かなり余った状態でゲームをクリアしたことを覚えている。今回のリメイク版はフィルムごとに所持数の上限が決まっているため、探索中にフィルムを見つけてもこの上限を超えて拾うことはできない。

これに気付いたプレイヤーは、探索で見つかるフィルムを効率よく拾うべく、高性能なフィルムもあまり惜しまず使うことになるはずだ。しっかり複数のフィルムを状況にあわせて使い分ける戦い方を促す誘導として、優れたデザインと言えるだろう。フィルムを拾ったときに上限に達した場合は余ったぶんをあとで改めて拾えるのも無駄がなくて良い。

そもそもオリジナル版よりも怨霊たちが強くなっているので、「勿体ないの精神」で弱いフィルムばかり使っていてはゲームが冗長かつストレスが大きいものになってしまう。対抗手段としてプレイヤー側も最善の方法を出し惜しみせず選びやすいというのは、このリメイク版ならではの特徴とも噛み合った調整と言えるだろう。

「カメラによる撮影」をフィーチャーした遊びの“高密度化”も大きな特徴

戦闘以外の面でも、本作はオリジナル版にはなかった新要素を数多く取り入れている。前述のサイドストーリーや不意の怨霊出現に加え、少し離れた場所に一体ずつ配置されている場合もある“双子人形”を見つけ出し、二体ともフレームに入れて撮影する遊びなどがそうだ。探索でも“特殊撮影”は活躍、その場所にかつて存在したものを現出させる、怨念のこもった血によってもたらされている封印を剥がすといった要素も。

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シリーズ恒例となっている敵意のない“浮遊霊”も出現頻度が高くなっており、ズームなどの追加によりこだわった撮影がしやすくなっている(こだわり過ぎると消えてしまい、撮影のチャンスを逃すことになるのだが……)。

あとは戦闘関連で付け加えたいのが、こちらにまだ気付いていない怨霊の一部は一回の撮影で倒せるという、いわゆる“ステルスキル”的な要素。使える状況は限られているものの、決まると爽快だった。

全体的に「カメラ(射影機)による撮影」をフィーチャーした遊びが戦闘以外にも豊富に取り入れられており、アイテム入手に繋がったり、撮影で獲得したポイントをお守りの入手・強化に使えるといった点でゲームプレイとしての恩恵も大きい。

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一方で、ゲームとしての“遊び”が高密度で敷き詰められた本作は、「なにかに見られているのではないか?」と怯えながらも静寂に包まれた村を探索していく、そしてときおり怨霊や浮遊霊と遭遇するというような、オリジナル版にあった“緩急”とはだいぶかけ離れた体験となっている。

戦闘システムの変化もあわせて、“ゲームとしての遊びがい”に満ちた「零」をプレイしたければ間違いない一作だと思う。そして物語やキャラクター描写はあの魅力に満ちた「紅い蝶」をさらに掘り下げたものであり、この点を期待する人も夢中でプレイできるはず。

美しく表現された新たな澪と繭が紡ぐ物語に強く感情移入できた人ならば、2周目以降に解禁される要素を駆使して、新しいエンディングへの到達を目指し、周回プレイで隅々まで楽しめると思う(周回前提のゲーム性を踏まえると、リメイクにありがちな“ゲームボリュームの大幅アップ”がされていないのは美点だ)。

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その上で、ゲームプレイはオリジナル版が有していたシンプルさも含めた“侘び寂び”とは大きく異なるものになっている点は、納得の上でプレイしたほうがいいだろう。

筆者個人としては、本作が打ち出した方向性を十二分に楽しめた。その前提に立った上で、試行錯誤の楽しさは確かにあるが、各要素の整理・取捨選択やプレイヤーに対する誘導がさらに突き詰めて行われていれば、より優れたリメイクになったようにも感じている。

深淵なるゲームのおもしろさを探求しながら「アイカツ!」シリーズや「プリキュア」シリーズ、「プリティーシリーズ」などの女児アニメの魅力を広める活動にも力を入れている。 X(旧Twitter):https://twitter.com/Kusare_gamer

※画面は開発中のものです。

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2026-04-10 18:18:09