「モンスターハンターストーリーズ3」開発陣インタビュー:遊びやすさは向上しつつも“ギリギリで勝つ”ようなヒリヒリ感を味わえるバトルを目指した

インタビュー
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カプコンから2026年3月13日に発売予定のPS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC(Steam)用ソフト「モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~」について、開発陣のオンラインインタビューをお届けします。

「モンスターハンター」の世界観をベースにしたRPG「モンスターハンターストーリーズ」の正統続編となる本作。従来の3すくみのバトルや、モンスターとの共闘・育成といった魅力は残しつつ、ハードがPS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch 2/PC(Steam)向けとなり、グラフィックが大きく向上。従来のシリーズと異なり、主人公が普通のキャラクターと同じように喋るようになるなどの大きな変化も起こっています。

こうした「モンスターハンターストーリーズ」の系譜を継ぐ特別映像も公開されました。こちらは花江夏樹さんがナレーションを務めており、動画形式でシリーズの世界観が紹介されています。

今回はそんな本作について、辻本良三氏(エグゼクティブプロデューサー)、大黒健二氏(ディレクター)、若原大資氏(リードゲームデザイナー)、川野隆裕氏(アートディレクター)ら4人の開発陣にオンラインインタビューという形でお話を伺うことができました。

左から川野隆裕氏、大黒健二氏、辻本良三氏、若原大資氏
左から川野隆裕氏、大黒健二氏、辻本良三氏、若原大資氏

ナンバリングの「3」をタイトルにつけた理由

――「1」と「2」は繋がりがありましたが、本作は連続性が薄まっているように思えました。近年はタイトルからナンバリングを廃しているケースも増えてきている印象がありますが、あえて「3」をつけた狙いはあったのでしょうか。

辻本:まず「ストーリーズ」シリーズは、どれもどこから入っても遊べることをテーマにしています。「1」と「2」も繋がっている部分はありますが、基本的には独立した話にしており、その考え方は「3」も同じです。今回もどの順番で遊んでも楽しめる作りになっています。

その上で「3」をつけるかどうかは、確かに悩んだ部分でした。ただ、ここまでRPGシリーズとして「1」「2」と来ている流れがある中でナンバリングを外すよりも、「3」をつけてシリーズが3作あるということを示しつつ、しっかりサブタイトルをつけることで意味合いを分かってもらおうと考え、あえて数字を入れさせていただきました。今後続編を作る際にはまた考え直す可能性はありますが、「3」ではそういう考え方です。

――「ワイルズ」など、本編シリーズもストーリー性が高まる中で、「ストーリーズ」シリーズはどういう差別化を図っているのでしょうか。

辻本:ジャンルがRPGであるというのが一つと、そもそも「モンスターハンター」シリーズで一番人気のキャラクターって、モンスターなんです。そのモンスターたちを近くに感じて遊べるゲームを作りたい、というのも「ストーリーズ」のコンセプトの大きな柱の一つになっています。

今回ならリオレウスが生まれるところから話がスタートしていたり、本編のアクションの方では描きづらい、人とモンスターが絡むお話ができるのは「ストーリーズ」ならではだと思っています。

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――本作はグラフィックも含めてかなりリッチな仕上がりになっていると感じました。本家シリーズからの流用でリソースの節約をできたケースもあったのでしょうか?

川野:節約という意味では、モンスターのモデルに関してはほとんどそのまま使っています。こちらで加工している部分としては、最終的なルックをアニメ調にするためのトゥーンシェーダーの部分や、配色を調整するテクスチャの加工くらいですね。

モーションに関しても、本家のものをベースにしていて、だいぶコスト削減はできました。細かいところでは、背景の木や草などの自然物に関しても本家からお借りしている部分があります。

その分、今回はお話のスケールが大きく、登場人物がかなり多いため、主にキャラクターの作成にコストをかけています。

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――登場するモンスターはどのような基準で選出されたのでしょうか?

若原:大黒といろいろ話し合って決めた部分ですが、やっぱり大きいのは「人気」ですね。ユーザーの皆さんが好きなモンスターは優先的に実装しています。ただ人気があるだけでなく、今回の新要素である「竜気ゲージ」に噛み合いそうなモンスターや、タイプや属性バランスの偏りがないように選定を進めました。あとは、若干の個人的趣味も入っています(笑)。

大黒:実は(若原氏が)ものすごく推してきたモンスターも何体かいまして(笑)、まだ今は話せないんですが、とにかく熱量がすごくて。それだけ熱量があるなら「モンハン」好きな人にもきっと喜んでいただけるだろうと思い、実装したモンスターもいます。

やっぱり作っている人の熱量って物にも出るはずなので、そこは大事にしたいです。何でもかんでも作れと言われても無理なので、「これがやりたいんだ」という開発側の熱量は、いいものを作る上で大事になるんじゃないかと思っています。

――逆に、実装したかったけど技術的な理由などで実装ができないケースもあるんでしょうか?

大黒:それはあります。やはり「ストーリーズ」シリーズでは、オトモンになることが前提になるので、特にすごく巨大なモンスターに関しては、オトモンサイズにしていいのかなど、実装の難易度が高く断念するケースもありました。

「3すくみに勝った上で何をするか」がバトルのポイントに

――「ストーリーズ」といえば「3すくみ」のバトルが特徴の一つだと思います。あのバトルは戦略性とランダム性のバランスが面白さだと思いますが、本作ではランダム性をどのような方向性で設定されたのでしょうか。

若原:3すくみがバトルの中心にあることは変わっていませんが、3すくみという要素の立ち位置をだいぶ整理しました。

具体的には、「読み合いに勝った時の気持ちよさ」は残したうえで、「勝った上で何をするか」という、その先にあるダメージリソースの振り分け部分に力を入れています。

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例えば、勝った上で部位を破壊するのか、それとも龍気ゲージを削るためのスキルを使うかなどの選択です。それらを積み重ねていくうちに、龍気ゲージがなくなってモンスターが疲労状態になり、さらに効率よく攻められたり、シンクロラッシュやモンスターライドといった、「気持ちいい瞬間」が連続で起きるようにしました。今回の3すくみは、それらを実現するための「大きな手段の1つ」として位置づけています。

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――モンスターを野に帰す新要素「里孵し」について、元々いないモンスターが出現するようになったり、かなり自由度が高くて驚きました。導入の狙いを教えてください。

大黒:大きく分けて、「設定面」と「ゲーム体験」の両軸があります。

まず設定面ですが、今作は主人公が隊長として「生態系を取り戻す」というテーマがあり、ゲームシステムの中でも、そのロールプレイが体験できるものを用意したいという想いが強くありました。

もう一つのゲーム体験に関しては、これまでの2作で確立されていた「卵を拾って伝承し、自分だけのオトモンを作る」というサイクルをもう一皮広げたいとずっと思っていたんです。

それで思いついたのが、これまでは拾える卵がエリアや進行度で固定されていたので、そこを変化させて「自分だけの土地」が作れたら面白いんじゃないかなということです。

若原と話す中で、「本来ならそこにいないリオレイアを里孵しさせたら、リオレイアの卵だけじゃなく、リオレイア自身も登場した方が生態系を取り戻した感が出るよね」といった具体的なアイデアも出てきて、 これに「1」の時に反響が良かった「色違いモンスター」の要素を、伝承の儀ではなくこちらの方向で取り入れたら面白くなりそうだと、現在の仕様が固まっていきました。

――「里孵し」は、エンドコンテンツ的な位置づけなのでしょうか?

大黒:いえ、そちらはあまり意識していません。今回はストーリーをクリアするまでにしっかりと満足してもらいたいという想いがあり、そちらに注力していて、生態ランク1つ1つの上がり方までかなり気を遣って調整しています。

ただ、クリア後の世界のようなものはないのですが、「里孵し」を行うことで、普通にプレイしているよりも強いモンスターに出会えるようにもできる、遊びの幅みたいなのは持たせられたかなと思っています。

ヒリヒリした感覚を味わえるバトルバランスに

――弱い敵をフィールド上で倒せたり、一戦ごとに体力と状態異常が全回復したり、現代のRPGとして遊びやすくなっていると感じました。こうしたノウハウを得る上で、参考にされた作品はあるのでしょうか。

若原:おっしゃる通り、遊びやすさの向上というのは意識していた点です。

昨今のコマンドRPG、例えば「ペルソナ」シリーズや「メタファー:リファンタジオ」、「崩壊:スターレイル」など、ユニークな試みを取り入れたゲームが増えています。今回から実装した、近接攻撃でモンスターを一発で倒せる機能なども、昨今のRPGにおける「レベリングの作業感を与えずにテンポよく進める」という傾向を研究して取り入れました。

あとはユーザーが何かしたことに対して、必ず何かしらの報酬を与えるという点もそうで、昨今の洗練されたコマンドRPGを研究させていただいて調整しています。もし遊びやすくなったと感じていただけたのであれば、その成果が実を結んだのかなと思います。

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――逆に、ここは簡略化してはいけないと譲れなかったポイントはありますか?

大黒:簡略化とは少し違うかもしれませんが、便利にする=簡単にするではないと思っていて、今回のバトルに関しては、作業感がなくしっかりと考えて勝つバランスを目指しました。

もちろんプレイスタイルにもよるんですけど、前作までは、どんどんライフがなくなって、ギリギリで勝つ……みたいなシチュエーションが少なかったなと感じていたので、もっとヒリヒリ感みたいなものを味わえるバトルにしたいなと。

バトル終了後に全回復するという仕様もそれとセットです。回復の手間を省くというよりは、自動で回復する分、一戦一戦に全力を出せる形にしたかったんです。それでバトルの体験をプラスアルファする一方で、リソース管理の手間は簡略化しようと。

最初にどういうゲーム体験をさせたいか話し合い、それに紐づく形で利便性などの設計を全て考えていく流れだったので、その結果がいろんなところに反映されているのかなと思っています。

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――前作からもそうでしたが、RPGとしてはフィールドで表示される画面情報が少ないのが印象的でした。UIへのこだわりを教えてください。

川野:そうですね。やっぱりなるべく景色を見てほしい、プレイの邪魔をしたくないという想いがあります。本当はミニマップすら出したくないくらいなんですけど(笑)、とにかく表示は小さくして、なるべく減らす方向でデザインしました。

――前作にあったクエストの表記などもなくなっていますよね。

若原:川野の話にもありましたが、ゲームデザイン的にも、いたずらに表示物を減らすことは避けています。今回狙っているのは、「常には表示せず、でも必要な時は出せてアクセスしやすい」という点です。

例えば目的地ガイドも、ボタンを押せばすぐ表示されますが、自分で探索を楽しみたいという方は、ボタンを押さなければ表示しないままプレイもできます。逆にオプションで常時表示させることもできるようにしていて、ユーザーさんのニーズに合わせて選択肢がある方向でデザインしています。

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――「ワイルズ」とか、最近の「モンスターハンター」だと主人公がある程度ベテランになっていることが増えてきた印象ですが、本作でも新人ではなくエースライダーになっているのは偶然だったのでしょうか。

大黒:「ワイルズ」と一致したのは完全に偶然です(笑)。「ストーリーズ」での意図としては、「3」は「1」「2」の主人公の成長物語から方針を変えようと決まったとき、主人公の年齢について考えて「1」は12歳、「2」は15歳くらいだったので、今回は19歳にして「国随一のエースライダー」という立ち位置にしました。

というのも、過去2作のチュートリアルは、どちらもライダーの先輩に教えてもらうような形式でしたが、そのままだと体験も同じ印象になってしまうので、新鮮さを出すために「エースライダーとして新人に教えていく」という形の導入にしました。

他にも、ストーリーとして新鮮さを出したかったのもありますし、ゲームシステムとかサイクルでも、過去作とは違う印象を与えられたのではないかと思っています。

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――例えば、「1」をプレイしていた層が歳をとってきたのに合わせて……みたいな意図はなかったのでしょうか。

大黒:それはあまりないですね。純粋に「1」「2」と作ってきた後に「次は何をしようか」と考えた結果です。キャラの等身が上がったことで、グラフィックの雰囲気も変わったと思いますが、より幅広い方に受け入れてもらえるものを目指しました。

――今回はオンラインマルチプレイ機能が撤廃されています。その理由と、撤廃したことで実現できたメリットについて教えてください。

大黒:先ほどもお話しした通り、「よりRPGらしくしよう」と考えたとき、そこに特化して作ろうと決めました。

やはりRPGとしては、1人で物語の世界にどっぷりと浸って遊んでもらいたかったので、本作の世界観やシナリオ、キャラクターたちに集中してもらえるゲームを作ろうという方針を最初に決めて、思い切って従来のマルチプレイやオンライン要素を外しています。

そうすることでゲームデザインの幅が広がったり、実装できたシステムもありました。例えば新要素の「里孵し」もその一つで、今回はシングルプレイに注力したからこそ実現したものになっています。

――前作の「マム・タロト」のような、ストーリークリア後のエンドコンテンツについて、アピールするところはありますか?

大黒:エンドコンテンツについては、我々の側から特別強調してアピールする要素はないです。

というのも、先程も少し話しましたが、本作は「RPGとして自立する」ことを目指して、ストーリークリアまでの体験で満足してもらいたいという方向性で作っています。

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もちろんストーリーのラスボスより強いモンスターは散りばめていますし、「里孵し」を利用して強いモンスターに挑戦するみたいな設計の幅は用意していますが、クリアしたら必ずエンドコンテンツを遊んで欲しい……というような意図はあまり強くないです。

――ありがとうございました。

ロボットアニメとRPG、ギャルゲーを愛するゲームライター。WEBのアニメ・ゲーム系媒体を中心に、様々なゲームの攻略本にもライターとして関わらせていただいています。ガンプラと美少女フィギュアに部屋のスペースを専有され、自分の生活空間がどんどん狭くなっているのが最近の悩みのタネに。ここ数年は「原神」を毎日プレイするのがすっかりに生き甲斐になりつつあります。

※画面は開発中のものです。

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2026-03-07 06:33:01