「IdentityV 第五人格」を手掛けるNetEase GamesのJoker Studioが開発する新作オープンワールドRPG「シー・オブ・レムナンツ」。プロダクトリーダーのInnis氏、クリエイティブディレクターのAlfie氏、アートリーダーのKairos氏への合同インタビューをお届けする。
「シー・オブ・レムナンツ」は、独特のキャラクターアートを踏襲しつつ、重厚なストーリーと大ボリュームのゲームが楽しめるオープンワールドRPG。以下では、本作独自のシステムや世界観に迫るインタビューに加え、後半には社内施設や趣向を凝らした試遊会場の様子を、写真メインのスタジオツアー形式で紹介する。
今回の取材における試遊内容も別記事で紹介しているので、本作が気になっている人はこちらもあわせてチェックしてほしい。
記憶の連鎖とリセットが紡ぐ新たなオープンワールドRPG体験

――タイトルが「シー・オブ・レムナンツ」になっているのはどういった意図でしょうか。重要な場所となる「忘却の海」を指していると思いますが、「忘れる」を直訳すると「forgetting」になるかと思います。
このタイトルはかなり前から決まっていました。「remnant」は忘却以外にも、過去から残したものの現代への影響も意味しています。そして、プレイヤーがゲームの中を探索、発見し、記憶を取り戻していくという意味も含んでいます。
――「海賊」は社会的に見れば犯罪者側と言えると思いますが、「海賊」を主役にした狙いはなんですか。
本作の中では、海賊の悪の面よりは、抵抗する精神や、深刻な問題と相対しても「なるようになる」という楽観的で自由な心を持つ人々であることを重視しています。
――ゲーム内の至る所にハムスターが登場しますが、なぜハムスターが起用されたのでしょうか?
可愛らしいと感じていただけたでしょうか? このゲームの根底にある世界観や独自の特色を構築しようと考えた際、海賊という存在が持つロマンチック、自由、冒険心といった精神性と結びつけました。海賊たちは出航する際、航海の安全や幸運のために祈りをささげますが、その対象としてハムスターの神様がいるという設定を入れました。
――ハムスターに神性を加えたのはどのような経緯ですか?
独自の設定ですが、ユーモラスな要素を加えることで、ゲームに面白い特徴を盛り込みました。海賊は左手が実力を、右手は幸運を象徴しているところがあるので、こうした愛嬌のある神様という存在が、ゲームをより魅力的にすると考えました。
――ターン制RPGや海上の船舶戦など、「第五人格」とは全く異なるゲーム性ですが、ターゲット層をあえて変えたのでしょうか?どういったジャンルのユーザーを狙っていますか?
私たちは、ターン制RPGユーザーやオープンワールドユーザーなど、特定のターゲット層を絞り込むことはあえてしていません。最も重視している点は、記憶や人生というテーマに対する感情的な共鳴をプレイヤーに届けることです。また、日本のゲームの歴史は長く、プレイヤーの皆さんは経験が豊富です。そのため、一つの核心的なテーマのために、ターン制RPGやオープンワールド探索といった要素を組み合わせた構造は、日本のユーザーにも受け入れられると自信を持っています。
――NPCとの交流において、かなり多くのキャラクターと会話をできたりミニゲームを楽しめました。最終的にどこまでNPCとの交流ができるのか、最終的な目標をお聞かせください。
NPCの人生のストーリーについては、脚本担当者がしっかりと工夫を入れて作り上げました。たくさんのNPCとインタラクションすることで、モブのように忘れられる存在にせず、血の通った一人のキャラクターとして描きたいと思っています。また、街にいる数百人のNPC一人ひとりが何かしらゲームの世界の中で影響を与える存在になることを目指しています。
――ゲーム中、NPCとのやり取りの中で変化があったり、ゲームの進行によってセリフが変わっているところがありました。これがNPC全てで起こってくるということでしょうか?
最終的にはそうなります。ただ、キャパシティや品質なども含めて、非常に高い目標なので、今すぐに全て対応するのは難しい状況です。なぜかというと、全てのNPCの間には複雑な連鎖反応が組み込まれており、例えば、NPC-Aがいなくなると、その影響がNPC-Bに波及し、さらにストーリー全体の状況が変わっていくようにしたいと思っています。
起こりうる全ての結果からベースのアーキテクチャを組む必要があり、そのため非常に難易度が高い設計が必要です。時間もかなりかかる難しい目標ですが、これを完成させるために制作を続けていきたいと思います。
――ゲームの説明の中で、リセットを行うことができるという表記を確認したのですが、これは世界そのものがリセットされるということでしょうか。それとも、任意のキャラクターが対象になるということですか?
キャラクターに限ったことだけではなく、特定のタイミングまで戻りたいということでリセットすることが可能です。
――最終目標となる「シー・オブ・レムナンツ」ですが、特定の条件で現れるような場所か、それとも最初からマップ上には存在している場所ですか?
マップ上には「記憶の塔」というものが点在しています。塔の中には鐘があり、これを鳴らしていくと、大きな「記憶の塔」へと繋がり、そこで鐘を鳴らすと最終的には「シー・オブ・レムナンツ」に辿り着くことになります。
――もしキャラクターをリセットした場合、経験値やスキルポイントなどは持ち越して戻ってくる形か、それとも全てリセットされるのでしょうか。
まず前提として説明させていただきますと、NPCとプレイアブルキャラクターのリセットは別々の行動となります。リセットについては、ゲーム概要の説明で触れていますが、「シー・オブ・レムナンツ」にたどり着いてアイテムを持ち帰ることで可能になります。
プレイアブルキャラクターのリセットについては、経験値やスキルなどはリセットされますが、本作ではレベル上限が15と低めに設定されております。そのため再度レベル上げをすることとなっても、必要な時間はそこまでは長くはかからず、1時間程度で強さを戻すことは可能かと思います。
リセットと聞くと、ネガティブなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、リセットするメリットとしては、例えば、探索やNPCとの交流で手に入れた隠しジョブに転職したい時や、スキルの組み合わせなど、新たな戦闘スタイルを組み立てることができる点です。
そして、オープンワールドの探索状況やクリアした「記憶の塔」の進行状況はリセットされません。成長のために費やしたリソース自体が失われるのではなく、新たな選択をするためのリセットであると考えていただけるとよいかと思います。
――進行状況はリセットされないということは、一度、「シー・オブ・レムナンツ」に行けるようになれば、いつでもアクセスできることになります。そうなると、かなり頻繁にリセットをすることもできるのでしょうか?
そうですね。リセットの効率は上がると思います。その辺りをどうやって進めていくかは、プレイヤーの皆さんが自由に選択できます。
――何回もリセットを繰り返すことで強くなるというよりは、一つのRPGの中にリセットという選択肢もあるということでよろしいでしょうか。
はい、その通りです。本作は長期的に運営を続けたいと思っていて、もしプレイヤーがずっと同じ世界とストーリーを進めていたとしたら、やはり飽きてしまうのではないかという懸念があります。そこで、プレイヤーが自分のいる世界を変えたいと思ったり、新たな職業や戦闘スタイルを試したい時に、リセットを通じて体験できるようなゲーム設計となっています。
――本作については、10週間を1シーズンとして定期的に大型アップデートを行うとありますが、具体的にどのような更新をしていくのでしょうか。
10週間毎というのは最終的な設定ではなく、もしかしたら、もっと頻度が高くなるかもしれません。初期の企画では、新しいコンセプトやフィールド、メインシティの新コンテンツ、NPCの状態やストーリーも徐々にオープンしていく予定です。
――長期運営を目指すタイトルとのことですが、ストーリー型のRPGのようにエンディングまでを決めているわけではないということでしょうか?
世界観の全体像や登場する多くの勢力など、大まかな方向性はすでに完成しています。しかし、物語の細部についてはドラマのシーズンのように、ストーリーを作りつつ、プレイヤーの皆さんの反応を見ながら進めていきたいと考えています。
――多くの勢力が登場するということですが、プレイヤーと同盟を組んだり、敵対したりといった要素もありますか?
この世界に登場する勢力は非常に複雑な関係性を持っており、プレイヤーはゲームを進めていく中で、この勢力図を理解していくことになります。各勢力はそれぞれの背景を持っており、どういった特徴の勢力なのかという点は、ビジュアルでもある程度感じられるようにデザインしています。プレイヤーは、彼らのストーリーを進める役割を担っており、最終的にそれぞれのエンディングに向かっていくことになります。
――キービジュアルの中で、ローズレッドや紫が強調されているところがありますが、どういった意図があったのでしょうか。
本作のキーワードとなる「記憶」の象徴としてローズレッドを採用しています。記憶というのは抽象的なもので、当初、色として何が相応しいか悩んでいました。一方で、本作のオープンワールド探索の中では、森や草原など「緑」を象徴する場所が多く存在します。
そして、現代的なファッションと歴史的要素という、ある意味相反する、衝突する文化が盛り込まれています。そこで、緑と相反する色は何かと考えた時に選ばれたのがローズレッドでした。
また、本作には6つの属性が登場するのですが、それぞれを象徴する色もこのローズレッドの色彩範囲に含まれるものとなっています。プロデューサーが個人的に記憶の色としてイメージするものがローズレッドだった、ということもあります。
――音楽もかなり特徴的ですが、どういったコンセプトで作っていますか。
音楽についても色々工夫をしています。音楽というものは直感的な反応であり、プレイヤーに、シーンや物語を音によってより深く体験してもらうことが目的です。音楽デザインについては、本格的なゲーム制作に入る前の段階からスタートしています。これまでの名作と呼ばれているタイトルは、ストーリーやビジュアル、ゲームシステムだけでなく、音楽も非常に優れていました。
私たちも、本作の独特な音楽をしっかりと作り込み、ユーザーに体験してもらいたいと思っています。そのコンセプトとしては、海辺で音楽を聴いているようなイメージで、プレッシャーから解放される癒やしの体験を与えるようなものを目指しています。
――プレイヤーの相棒的なキャラクターであるロージーについて、キャラクター制作やディレクションでこだわった点はどこですか?
ロージーはこの世界で最も複雑で重要なキャラクターです。通常のNPCは、記憶を取り戻していくプロセスにおいても数個の記憶しか持ちませんが、彼女には数十個もの記憶が設定されています。また、彼女は単なるプレイヤーの友人であるというだけでなく、彼女自身の成長やストーリーがあり、ゲームの展開によって変化を見せていくことになります。
ゲームの序盤の時点で、すでにロージーが二人存在することが確認できるかと思いますが、それだけでも彼女が重要なキャラだということがお分かりいただけるでしょう。どんな時でもエネルギーに満ち溢れ、いかなる困難があってもプレイヤーを世界へと連れ出してくれるような存在となっています。
――プレイヤーキャラクターは性別も自由に設定できますが、ロージーの反応に違いはありますか?
セリフなどには多少の差があります。男性としての友人・仲間か、それとも女性同士としての関係かによって、距離感やニュアンスが微妙に変化するよう、脚本とアニメーションの両面で非常に細かな調整を行っています。
――最後に、ユーザーに向けて一言お願いできますでしょうか。
日本のプレイヤーの皆さんに私たちのゲームを気に入っていただけたら嬉しいです。そして、少しだけ時間をかけて、じっくり遊んでいただければ、きっと新しい驚きや楽しさを見つけていただけると思います。
NetEaseの社内施設とこだわり抜かれた没入型の試遊空間を紹介

後半は社内の様子を巡るスタジオツアーを紹介。広大な敷地や施設の全貌と、特に驚かされたこだわりの試遊会場を写真付きでお届けする。
社内はまるで大学のような広さだ。それも、キャンパスがコンパクトにまとまった都心の大学ではない。地方の大学都市というと少々大げさかもしれないが、モダンで巨大な社屋がいくつも立ち並ぶ様子は圧巻の一言。実際に社員の方でも、自分の部署や馴染みのある施設以外では迷ってしまうこともあるというほどの広大さだ。
案内されたエリアにはカフェが2つほどあり、それとは別に社員食堂も完備されている。今回はツアー外だったが、昼食時に案内された食堂もかなりの広さであった。また、社内には多くの社員が利用するトレーニングジムも設置されているとのことだ。


今回、特に驚かされたのが「シー・オブ・レムナンツ」の試遊会場である。
会場の外には海賊船をイメージしたフォトスポットや、宝箱とそこから飛び散る金貨など、凝った小道具が並んでいたほか、ディフォルメされたキャラクターのチップが添えられたオシャレなスイーツも並んでいた。



室内にはコンセプトアートが額縁に収められた状態で飾られていた。「IdentityV 第五人格」や本作など、アート表現の評価が高いJoker Studioらしい演出が随所に光っていた。
(C)2026 NetEase, lnc. All Rights Reserved.
本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。



















































