経営シミュレーション採用の狙いから開発秘話まで!「シャインポスト Be Your アイドル!」開発者インタビュー再びゼロから作り上げた“アイドル讃歌”

インタビュー
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コナミデジタルエンタテインメントが2025年6月5日に発売したNintendo Switch 2用ソフト「シャインポスト Be Your アイドル!」の開発者インタビューをお届けする。

2021年に発売された小説を原作とし、アニメ・音楽・LIVEなどで、アイドルたちの物語を展開するメディアミックスプロジェクト「シャインポスト」。そのコンテンツの一つとしていよいよリリースされたゲーム「シャインポスト Be Your アイドル!」は、長い構想期間の中で市場などの変化を受けながらも、さまざまな決断が下されて世に送り出されたタイトルだった。

今回、本作のプロデューサーである石原明広氏、ディレクターの永島盛日人氏へのインタビューを通して、本作の開発に関わる数多くのエピソードを伺うことができた。本作、そしてプロジェクトに込められた熱量の一端をぜひ感じてもらえればと思う。

(写真右から)石原明広氏、永島盛日人氏
(写真右から)石原明広氏、永島盛日人氏

長きにわたる構想を経た今だからこその変化

――「シャインポスト」はメディアミックスプロジェクトとして小説、アニメ等で展開していますが、ゲームはプロジェクトにおいてどのようなポジションになるでしょうか?

石原:元々「シャインポスト」自体ストレートエッジさんと弊社が共同で企画して立ち上げたもので、これまで多くの仲間たちを募りながらやってきました。ゲーム会社が仕掛けるメディアミックスプロジェクトという成り立ちがあって、ゲームをいつかは出すというところを目指してきましたので、結局は最後発にはなってしまいましたが、(プロジェクトの)最初であり最後でもあるという立ち位置になっています。

――当初はモバイルゲームとしてリリース予定だったものの、時間を経て最終的にNintendo Switch 2で発売されることになりました。その経緯について、お話できる範囲でお聞かせください。

石原:今回のプロジェクトって、企画の構想段階からで言うと、恐らく皆さんの想像以上に長い時間がかかっているんです。最初の頃は遅々として進んでないので本当に言い出しただけなんですけどね。その当時はスマートフォンもそこまで高品質じゃなくて、やっとガラケー(フィーチャーフォン)からスマートフォンに移行して、スマートフォンでも3Dのゲームも動くかも、みたいな状況でしたが、そこから時代がすごい勢いで変わっていきました。

永島:僕が最初に作っていたのはブラウザゲームだったんですけど、企画が立ち上がったくらいの時期はというと、そのブラウザゲームもまだ現役で頑張っている頃で、一部アプリゲームも作り始めているという感じでしたね。

石原:当時はスマートフォンゲームアプリ市場みたいなものはまだそこまで大きくはありませんでした。ですが、いずれネイティブアプリがもっと普通になって、端末の性能も上がり、3Dのリッチコンテンツがメインになる時代が確実に来ると思っていました。なので、そこを見越しながら、メインプラットフォームはモバイルになるんじゃないかという話は初期から考えていましたし、スマートフォンゲーム市場の成長を考えるとリッチコンテンツを出さなきゃいけないという使命感のようなものはありました。

そこからモバイルゲームとして企画していく中で、「コンシューマーゲームとして出す」と我々が判断することになった要素はいくつかあるのですが、その中で大きかったのが、やはり構想期間中の市場の変化でした。近年出ているタイトルの中にはものすごくリッチにお金をかけて、かつ現地で十二分にきちんと叩いていって、その上でちゃんと強いコンテンツとして日本に来ることも多いですよね。ただの一意見ではありますが、リソースも含めて、真正面からぶつかって勝つのが非常に難しい市場になっていると思うんです。

また、「シャインポスト」はアイドルを題材としたメディアミックスコンテンツなのでもう少しライブもやりたかったのですが、コロナ禍の時だったのでレッスンやライブの開催自体も簡単ではなく、思ったようにはできなかったんです。当初やりたかったことが市場の変化やコロナ禍などのいろんな影響を受けて思い通りにいかない状況が続きました。

モバイルゲームとして基本無料で展開するとなると、(市場で)どうしても勝たないといけないですし、リリースしてすぐにサービス終了みたいな結果になってしまったらやっぱり悲しいですよね。さまざまな要因があって我々も“勝負できる”タイミングを逸してしまっていた部分もあったので、そこに対して大きな決断をしなければいけない瞬間はありました。

とはいえ、モバイルを諦めるにしても、IPとして何かを残さなきゃいけないという使命感はずっとありました。良いコンテンツだからこそこれまで作り続けてきたところに、そろそろ新しいゲーム機が出るんじゃないかという話が上がり、コンシューマーゲームで出すという糸口が見えてきました。

当然ものすごい機密事項なのでそういう情報を得ることは難しいのですが、任天堂さんとコミュニーションを取る機会があり、いろいろお話をさせてもらった上でNintendo Switch 2のローンチに向けて動き出すことになりました。

実はきちんとゴールのある遊びを作りたいという気持ちもあったので、モバイルゲームからコンシューマーゲームに変更するという決断はそんなにネガティブなものではなくて、むしろ好機なんじゃないかと考えていましたね。

――そうした経緯を経て、Nintendo Switch 2での発売を発表した際のユーザーの反応についてはいかがでしたか?

石原:ただただ感謝でいっぱいでしたね。発売までに制作からのお知らせを2回ほど出させていただき、1回目は年明け早々にプラットフォーム変更についてお知らせしました。実はこのお知らせを出すのに1ヶ月以上悩みました。どういう言い方にしても絶対に怒られるなと思っていましたし、正直許されないだろうと感じていたので、色んな人の意見とかも聞いて、添削とかもしてもらいつつ文章をまとめて、不安な想いを抱えながら公開したら、本当に温かい反応をいただけました。お叱りもありましたが、それにも裏側には「期待してるんだからな」という気持ちが伝わってきました。

プラットフォーム変更に対する反応については作っている永島たちも不安だったと思うのですが、みなさんの反応を見て開発陣みんな喜んでいたよね?

永島:反応を見ていて涙が出るくらいにありがたかったです。好意的に捉えてくださる人とか、まだ待つよと言ってくださる人もいて。

――年単位となると、本当に待ってくれる人たちの熱量にかかってくる部分がありますよね。

石原:そうですね。やはり小説とアニメでクオリティの高い作品を作っていただけたので、だからこそきちんと熱量を持って好きでいてくれる方が多いのだなと思いましたし、お知らせに対する皆さんの反応は本当にありがたいとしか言いようがないものでした。

その後、Nintendo Switch 2の発表で2回目のお知らせを出したら、「まさかこんな早く出すなんて誰も思ってないよ」みたいな、逆にみなさんすごいびっくりされたみたいで。私たちは1回目に出した時点でNintendo Switch 2で出るんじゃないの、とみなさん予想しているだろうと思っていましたし、そんなに遠くないうちに続報も出すという表現をしていたので、ちょっとネタバレっぽいの匂わせすぎちゃったと思ってたら、みなさん全然なんの匂いもしていなかったようで(笑)。

――私自身も見た瞬間にびっくりしました(笑)。

石原:全然狙っていなくて、「やっぱりね」で埋め尽くされると思っていたんですけど、そこは狙いとはちょっと違っていましたね。

一通りいろんな反応も拝見させてもらって、あの当時はSNSで日本のトレンドにも入ってて、本当にいっぱい話題にしていただいて、ほとんどが好意的な感じだったので、喜んでくださってありがたい限りでした。

“アイドル讃歌”のコンセプトを変えずに作り上げた、価値観を問う経営シミュレーション

――モバイルゲームからコンシューマーゲームに変更するにあたって、核となるコンセプトとして残したもの、逆に意識的に変えたものがあればお聞かせください。

石原:ゲーム好きな方々はモバイルゲームからコンシューマーゲームにプラットフォームを変更する、という話を聞いたら、みなさん多分載せ替えることをイメージされると思うのですが、今回の「シャインポスト Be Your アイドル!」に関しては、ゲームシステムは本当にゼロから作り直しています。それこそ、企画書をまず紙ペラ1枚でどういうの作ろうかねぐらいのところまで戻して、シナリオも書き直して、再収録しています。再利用したのはデザインアセットや一部の音声ぐらいで、本当に全てを作り直したんです。

モバイルの場合は当然運営していくことを前提にしていますので、正直に言ってしまえばガチャをいかに回してもらうかで、それも自らが望んで回したくなる気持ちにさせるためのゲームサイクルが全て組み上げられます。

ただ、家庭用ってやはり最初にきちんと購入いただいて、お手元に渡ってからお客様がじっくりと遊ばれるので、そこに対して我々が提供すべき体験はモバイルとは違うよねという考えは最初からありました。なので、初期の段階から家庭用でやるんだったらゼロからやるべきだという話は永島と議論していましたし、永島自身も載せ替えるのはやりたくない、やるからには本当に楽しんでいただきたいと話していました。

その上で核になるものというと、コンセプトというよりはテーマという表現のほうが個人的にはしっくりくるのですが、アイドルというものをいかに描くかに尽きます。「シャインポスト」の作品全部で共通していることではありますが、そこだけは絶対ぶらしたくなかったんです。

“アイドル讃歌”という言い方をよく制作チームでするのですが、その言葉に集約されています。良い時もあれば悪い時もあって、アイドルがアイドルとして在ろうとする生き様そのものを賛美するべきものであるという観点が根底にあるので、そこはぶらさないようにキープしつつ、あとはもう見事に綺麗さっぱりゼロから作り直しました。

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――ゲームジャンルを経営シミュレーションゲームにした理由をお聞かせください。

石原:これは議論をたくさんしたのですが、永島が経営シミュレーションがいいという話を提案してきました。

永島:一番に表現したかったのは、先ほど石原からもあったように、コンシューマーというゴールがあるゲームで、アイドルの生き様をどう描くかっていうところでした。

モバイルの場合はずっと続くからこそ、夢を叶えるまでの頑張りや苦労を中心に描いていましたが、コンシューマーはゴールがあるので、夢を追う生き様に対して、夢が叶わないことも描くべきだと考えました。

それをゲームとしてどう提供するかを考えたときに、価値観を問うようなゲーム体験が良いのではと思ったんです。アイドルの生き様やその夢を応援するということは共存するものの、状況によっては対立する概念をシステムとして盛り込んだようなゲームにしたいと。“夢”の対立概念はなんだろうという考えたときに、“現実”的な部分にあたる資金面を上手くゲームに落とし込むことで、プレイヤーの人たちに価値観を問うようなゲーム体験を作れるのではと思ったんですよね。それが経営シミュレーションを選択した理由の一つになります。

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――実際にプレイしていてもいろんな選択肢で価値観を問われますね。

石原:正直、別に正解ルートがあるわけではないんです。女の子たちになるべく寄り添ったゲームプレイでちゃんとゴール達成できるし、逆に女の子たちにあまり寄り添わないようなゲームプレイでもゴール達成できるようには作られていて、その人の中の価値観をある程度許容できるシステムにはなってるかなと思います。

今はみなさん攻略サイトを見ていると思いますし、正解のルートがひとつしかありません、というゲームだと、正解ルートだけクリアしてそれで終わりとなって面白くないので、我々としても「これいけるの!?」みたいな感じのルートがあったほうが良いかなと。

3年で武道館に行くというのが基本ルールなわけですけど、プレイは5年ということで経営中に武道館に行ければいい、というのがプレイヤーとしてのゴールの設定になっています。つまり、1期生は3年間で武道館行かなきゃいけないのに、自分は5年やってあと2年余裕があるので、1期生を武道館に行かせるためにはかなり頑張ってやらないとなかなか武道館には行かせられないし、なんだったらライブ成功なんて本当に難しいゲームバランスにしてあるんです。

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発売前に弊社の女性スタッフにゲームを体験してもらって、それをウォークスルーで撮影する企画を行ったんですが、そのスタッフが結構なアイドルオタクでアイドルに対して優しいゲームプレイをすごくするので、ここはちょっと冷たくいかなきゃダメだよ、みたいなことを思っていたら、まさかの1期生で武道館到達&成功までしてしまって(笑)。でも最後は本当にギリギリで、ゲームオーバーか成功するかのどちらかでした。

永島:何度も倒産するかもと思っていました(笑)。

石原:永島たちもいい塩梅に、絶対に安全な道を行っていてもどこかで賭けにでないといけない瞬間を用意しています。

例えば武道館で言うと、ブッキングするための費用がそもそも億を超えているのですが、多分1期生の3年目の時点では資金が億には達していないと思うので、借金のリスクは抱える中でブッキングをしますか、という感じで問われます。

そこで「破産リスクを考えるとちょっと怖いな」と1期生には武道館を諦めてもらって、2期生でちゃんとお金を貯めてから行かせようみたいなマインドになる人も普通にいるだろうし、永島がさっき話していた価値観が問われるというところに関しては綺麗に組み上げられているなと思います。

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――経営シミュレーションはゲームバランスで面白さが変わってくると思いますが、本作はアイドルと経営の2軸を並行して見ていく部分で面白さと難しさを感じました。このあたりのバランスはどのように組んでいったのでしょうか?

永島:ゲームバランスにおいてもちゃんとプレイヤーの価値観を問うことができるように全部意図的に組んでいます。先ほど石原からも説明がありましたが、5年で1回武道館が成功すればクリアという風に提示される中、アイドルたちはそれぞれ毎年3年間ずつしかないので、3期いるアイドルグループのうち、経営基盤とか育成環境とかを整えれば、プレイヤーは年を追うごとにリスクを負わずとも、5年でちょうどよくクリアできるようなバランスにしています。

その一方で、アイドルの育成もあるので、そこで葛藤がうまく生じるようにしています。それぞれ3年間しかないので、経営だけにかまけてたら、3年間しかないのにずっと資金調達ばかりになったり、ずっと小さいところでリスクなくライブばかりしていると、夢が遠のいていくので、焦っていきます。その焦りをゲーム内でもアイドルたちの不安の声として出すようにしていて、不安の声を出す前にはアドバイザーの小夢さんからちょっとしたアドバイスが入ります。

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徐々にしっかりと、あなたのプレイングで不安に思ってる子たちがいますよという強度を強くしていって、その強度に沿うかたちで毎回毎回発生したことに対して自分がどう行動するのかというところを問いながらプレイしていけるゲームにしています。

じゃあアイドル育成を重視しようかとなったら、今度はお金がかつかつになって、経営的に小さい会社だから下手したら倒産するかもしれないみたいな、ゲームオーバーになってしまうかもしれないというリスクが生じます。アイドルたちに向き合うのか、それとも経営のリスクを取るのか、みたいな葛藤が生まれるバランスになっています。

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――そのバランス感覚が絶妙で判断が難しいと感じさせられました。

石原:多分難しいと感じられたのはジレンマの部分で、自分どうすべきなんだろうっていう風に思われたんだと思います。2期生、3期生が出てきたら面倒見る相手が単純に2倍3倍に増えるわけですが、実は1回ちょっとシンプルに考えていただければ良くて、このゲームのゴールは5年で武道館に行くことなんで、1期生、2期生を別に見捨てればいいだけの話なんです。だから、そこが難しいと感じてる時点で、実はすごく優しい方なんです。

――ネタバレになるので触れづらいのですが、やはり小夢さんにあんなこと言われたらさすがに心を傷めないわけにはいかないので(笑)。

石原:どこかでけじめはつけてもらう必要があったりするので、やはりアイドルに対して愛がないゲームプレイをしてしまった場合は、小夢さんにちょっと代わりに怒ってもらったりといろいろありますが、そこを含めてもこのゲームは武道館でのライブ成功がゴールのマルチエンディングになっています。あのエンディングをグッドエンドだと思う方はおそらく世の中にはいないと思いますが、それを踏まえて2期生・1期生をなんとかしてあげたかったと思って、もう一度また遊びたい気持ちになってくれれば、我々としては嬉しいです。難しいと思ってくださる方はむしろいい方で、人間的に正しい感性を持ってらっしゃると思います(笑)。

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永島:僕は石原と一緒に仕事をする前まで、アイドルにはそこまで詳しくなくて、可愛いし、歌えるし、踊れるし、しかも応援してもらえる超勝ち組じゃん、ぐらいのイメージだったんです。

仕事し始めて、アイドルのことを色々と追うようになっていったら、僕が見ていたイメージはもう氷山の一角で、実際のアイドルの方たちはその夢が叶う前に解散だったり、引退だったり、そういう人たちがすごく多いという現実を知りました。その上で、武道館に立つような子たちを見た時に、すごいなって純粋に思えたんです。

今回はNintendo Switch 2のローンチのタイミングですし、アイドルファンの方以外の、もしかしたら僕みたいにあまりアイドルに詳しくない人たちも手に取ってくれるかもしれないと思いました。そんな方々に向けて、“現実を見た上で上手くいかなかったかもしれないけれど、それでも夢に向けて頑張ろうとして泥だらけになりながらもダンス練習している子たちを応援したくなるのかどうか”という問いかけをゲームでしてみたので、プレイしていく内にプレイヤー自身の中でアイドルたちを応援したくなってきた、という風になってくれればありがたいです。

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――全体で5年、ユニットにつき3年という年数はやはりこのくらいのサイクルがよかったのでしょうか?

永島:そうですね。先ほどもお伝えした通り、プレイヤーとアイドルたちの利害関係の差を生みたかったのが、ユニット単位で加入時期がずれている理由です。また、石原がアイドルに精通していることもあり、3年で武道館というのは難しいけど達成できないというものではなく、実際に達成したグループの方たちもいらっしゃるということで、ゲームとしても実際のアイドルとしても夢として掲げるには難易度が高くも納得感があり、目標として設定できると考えました。ターン数は実際にプレイした上で調整して今の形になっています。

――5年間プレイしていると3年目がちょうど3ユニットいる状況になるので頭がパンクして、4年目以降はリソース的にも余裕が出てくるという流れも絶妙だなと思いました。

石原:3年目は1期生がラストイヤーになって、1期生が頑張った分施設とかもある程度充実していて、2期生・3期生は先輩たちのその礎の元に走っていられるので、1期生よりは見る頻度を若干下げてもある程度は育っていくんです。その上で、1期生のラストイヤーをなんとかこなせれば、あとは手が離れるから、みたいな感じになっているので、このゲームで1番大変なのはおそらく3年目だと思います。

ゲームプレイについて社内でいろいろとテストした際に、人によっては普通に1期生を切ってしまう人が結構いたので、やっぱりパニックになるんでしょうね。それは狙い通りでもあると同時に、なかなか罪深いゲームシステムだとも思いました。

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――こういうゲームはいわゆる引き継ぎ的な要素や周回で緩和されるといった要素が入ったりすることもあると思いますが、本作ではそれが本当にないことにも驚きました。

石原:でもプレイヤースキルが確実にたまっているんです。結局、ヒントは初回プレイの時からずっと出ているし、小夢さんのコメントが本当にヒントになっているので、ちっちゃい吹き出しとかも含めてちゃんと1回目のプレイで気付ければ、その気づきや知識、情報がある状態の2周目はびっくりするくらい、やりたいことができるようになっていると思います。

――その上でも昨今ではあまりない仕様だなと思いました。

永島:周回要素の是非に関しては、作り終わった後のバグチェック期間中もどうしようか、ずっと最後まで悩んでたんです。難易度緩和もできますし、イージーモードも作れますし、引き継ぎ要素も用意はできるので。

ただ、夢を叶えた時のカタルシスと、それを応援する側のカタルシス、アイドルと経営という、その2つのジレンマを両取りできた時のカタルシスが、どうしても損なわれるというのがあって、色々迷った結果、変えずに進めました。

――実際にプレイした時にも感じましたが、全員を成功に導けなかった時に本当にすごく悔しくて、何度でもやりたくなるエネルギーのようなものがすごくあるゲームだなと思います。

永島:そう言っていただけるとありがたいです。

石原:このゲームは最初にスプリントとして作ったバージョンと比べても設計自体はそんなに変わっていないんです。最初からやりたいと思ったことを最後まで走りきって作りました。

実際に社内向けにテストをしたら、いっぱいキャラクターが出てくることもあって、「キャラクターに対して思い入れをもうちょっと持ちたい」とか、「この子の話をもっと知りたい」とか、そういう意見がいっぱい出てきました。同時に、みなさんにキャラゲーだと思ってプレイされてしまうことに気づきました。

そのタイミングでキャラゲーとして見られてしまうのであれば、もう少しキャラゲー的な要素も入れられるところまで入れたほうがいいという話になって大分議論しました。

当初は女の子が不安になった時にコミュニケーションを取れば解消される仕様だけ入れていたのですが、大きな変更として、通常時も交流できて5回話すと覚醒して一気に成長するという仕様を追加しました。あの部分は当初入っていなかったんです。

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不安を解消するということだけがコミュニケーション目的で、あとはちょっとキャラクターのバックグランドを知ってもらおうという感じだったのですが、あそこに成長を組み込むことで、女の子とも積極的にコミュニケーションを取るようになって女の子たちが成長していくし、最後には覚醒し、それがゲージで見られるようにしました。

結果的にエピソード自体の数も増えました。元々エピソードはモバイルの頃に作ったものがいっぱいあったのですが、やはり遊びがまるで違うので使えないものが多いなと判断して最初は使っていませんでした。ですが制作が進む中で、元あるエピソードからある程度採用して持っていきました。

永島:ゲームの作りに合うかたちに調整して、アイドルたちがどんな日常を送っているのか、何を思ってアイドルやっているのかをプレイ中にできる限り自然な流れで見れるように色々変えたことで、良い意味で(ゲーム中の選択に)より悩むようになったかなと思います。

石原:これは日本人ならではな気もするんですけど、ゲームのキャラクターに人間的な感覚を感じ取る共感性を持ってるので、それぞれのパーソナリティを知ると、この子こんなに頑張ってるからないがしろにできないなといった気持ちに不思議となるんですよね。その心情変化も狙っていたので重要な仕様変更になったと思います。

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モバイル版で用意していた膨大なエピソードをいつか届けたい

――ゲーム内に入れられなかったモバイル用のエピソードもたくさんあるかと思いますがいかがですか。

石原:仰る通り、モバイル時点で用意していた膨大なエピソードをお客様にお届けする機会はなかなかないので、正直残念ではあります。声優さんたちも本当に素敵な演技をしてくださっていたので。

モバイルの時の物語を断片的であってもなんとか見ていただこうと「ヒロインストーリーズ」というモードに一部のエピソードは入れさせてもらいました。

ゲームじゃなくて本当に読み物なので、全部オート再生にして音だけちゃんと聴くと冗談抜きで8時間ぐらいかかります。なので、そんなモードをお客様にお届けしていいんだろうか、みたいな悩みもありましたし、入れるべきじゃないみたいな意見もありました。

ただ、ユニットの物語を待ってくださっている方が絶対にいて、これだけ待たせていただけにすごいものができると思ってくださる方になんとかユニットごとのエピソードをお届けしないといけない、という気持ちもあって、どうにか4キャラ分入れました。

今回は一部のエピソードだけを入れているので、いつかはほかキャラクターのヒロインストーリーズもお届けできたらいいなと思います。

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――ライブにおけるモーションや曲ごとの歌唱(恐らく全曲個別に収録されているかと思うのですが)など、ライブシーンを見せる上でのこだわりをお聞かせください。

石原:映像ではなくリアルタイムで動いているものなので、元々インタラクティブにもっといろんな育成の経過を入れ込んで、ライブ中にダンスの振りを間違えたり、転んだりと、いろんな出来事が起こるような仕組みに最初はしていました。ただ、それだと結構ノイズになるということもあったりして、そのあたりの仕様はオミットしました。

ただ、リアルアイドルをテーマにしているので、ミュージックビデオみたいな感じではなくて、リアルアイドルのライブ映像とかのようなカメラワークだったり、演出だったりというところをなるべく入れようとしています。あとはシンプルに振付師のCRE8BOY(クリエイトボーイ)さんの振り付けは本当に素晴らしいので、そこをなるべく楽しんでいただけるような感じにして、というところはこだわっています。

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――正直ここまで振り付けにこだわっている作品はないなと思い、ちょっと衝撃的でした。

石原:ありがとうございます。CRE8BOYさんの振り付けが素敵なので、やはりスタッフもこれは指先まで表現しなきゃダメじゃないか、という感じになっていきました。

操作できるミニゲームにしようかという議論もあったのですが、あそこはもうドキドキワクワクしながら、自分のマネジメントしてる子たちが一生懸命頑張る姿を見てもらうのが良いのかなと思います。

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――ゲームが発売を迎えましたが、「シャインポスト」としてもし今後チャレンジすることができるとしたらどういったことに取り組みたいですか?

石原:やり残したことはいっぱいあるので、そういう夢を語るといくらでもあるのですが、とにかく一人でも多くの方に遊んでもらいたいという気持ちがあった上で、先ほど話したまだ見ぬヒロインストーリーズもお届けできたらいいなと思います。

また、ゲームオリジナルユニットであるひまわりシンフォニーやLAUGH DiAMOND(ラフダイヤモンド)はモバイルゲームで半年後や1年後に出す予定の子たちだったので、曲とかについてはまだ着手していなかったんです。だからこの子たちをちゃんと歌って踊らせたいというのが僕の中にすごくあって、それがいつかできたらいいなという気持ちがあります。

TINGSのライブについてもまだやらないんですか、みたいなことを言われるのですが、みなさんものすごく売れっ子になっていますし、いつかそうなるだろうという人たちを選んでいたので、またいつか見れたらいいなという気持ちはありますね(編注:10月29日に3Dバーチャルライブ「シャインポスト TINGS Virtual LIVE 2025 “Another Re-LIVE”」の開催は決定)。

――最後に本作を遊ばれている方、楽しみにされている方に向けて一言お願いします。

石原:Nintendo Switch 2という魅力的なハードで遊んでほしくて、今のこのプレイスタイルにしたみたいなところが僕らの中にはあります。マシンパワーも相当使ってるタイトルの1つだと思いますので、ぜひ本体を手に入れた暁には、性能を試す意味でも「シャインポスト Be Your アイドル!」をぜひ手に取っていただきたいです。

ですが、とにかくまずは待っていただいて本当にありがとうございますという気持ちでいっぱいです。

永島:大変お待たせいたしました。本当に待っていただいて大変ありがたく思ってます。ありがとうございます。もうそれだけです。

――ありがとうございました。

2011年イクセル入社後、Gamerをはじめとした媒体の運営に携わる。好きなジャンルはRPG、パズル、リズム、アドベンチャー(ほぼギャルゲー)。実はゲームよりもアニメが大好きです。

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