コロプラが2025年春に配信予定の新作タイトル「神魔狩りのツクヨミ」。先行体験版のプレイレポートをお届けする。

コロプラの決算発表会などで「Project MASK」の名で注目を集めていたタイトルがあった。アトラスの「真・女神転生」シリーズや「ペルソナ」シリーズで知られる金子一馬氏が携わることが明かされていたものの、その詳細な情報は長らく謎に包まれていたのである。
そして2025年3月31日、ついにそのベールを脱いだのが「神魔狩りのツクヨミ」だ。本作は、デッキ構築型のローグライクゲームを基盤としながら、そこに生成AI技術を融合させることで、これまでにない独創的なプレイヤー体験の創出を目指した意欲作である。
今回、正式リリースに先駆けて「先行体験版」をプレイする機会を得た。本稿ではそのレポートをお届けする。
金子一馬氏が描く、日本神話ベースのダークファンタジー
本作の舞台となるのは、金子一馬氏がその手腕を振るい創造した、日本神話をモチーフとするダークな世界観である。プレイヤーは、「神魔」と呼ばれる怪異を使役し、他の神魔を狩る存在「ツクヨミ」として、非日常的な戦いに身を投じる。
体験版では、4人いるとされる主人公「ツクヨミ」のうち、「十六夜月のツクヨミ」のみが選択可能であり、先日公開されたインタビュー記事でも語られていたように、それぞれの視点から物語が重層的に描かれることになりそうだ。
主人公の目的は、「HASHIRA」と呼ばれる建造物の最上階に拠点を構える逆賊「登美のりこ」を討伐し、彼女が持つとされる「ソロモンの指輪」を奪還することであった。


デッキ構築、AIによる「創成神魔札」、攻防一体のバトルシステム
本作の基本的なゲーム進行は、デッキ構築が中心となる。プレイヤーは初期デッキを元に、ゲーム進行中に発生するイベントや、後述する「創成」によって新たな「創成神魔札」(カード)を獲得し、デッキを強化していくことになる。この神魔札を駆使して、ダンジョンを踏破していくのが基本的な流れだ。
本作の独自性を際立たせているのが、「創成神魔札」の存在である。これは、プレイヤーの行動ログ(どのようなプレイをしたかという記録)を基に、AIがある程度のランダム性をもって生成する特殊な神魔札だ。さらに、この創成札のイラストも、生成AIによって描かれるという点が、他にはない大きな特徴となっている。プレイヤーの行動が、新たなカードとビジュアルを生み出すのである。


バトルは、プレイヤーと敵が交互に行動するスタンダードなターン制を採用している。プレイヤーは、自身のターンに山札からランダムに3枚の神魔札を手札として引き、これを駆使して戦う。手札の上限はこの3枚である。
手札の神魔札は、攻撃と防御の両方に用いることができる。神魔札を使って攻撃すれば敵にダメージを与えられ、カードによっては特殊な効果を発揮するものもある。攻撃に使った神魔札は捨て札に送られる。捨て札に送られた神魔札は山札がなくなったら、捨て札がシャッフルされて新たな山札となり、再度使用することが可能だ。
神魔札の攻撃には「オド」と呼ばれるエネルギーが必要となる。オドの最大値は4で、ターン中に使い切ると、次の自ターン開始時まで回復しない。限られたオドをどの神魔札に使うかが、戦略の鍵となる。

一方、神魔札を手札に残しておくことで、敵の攻撃に対する防御手段となる。各神魔札には防御力が設定されており、敵の攻撃力から手札にある神魔札の防御力を引いた分のダメージがプレイヤーに貫通する。もし神魔札の防御力の方が高ければダメージは受けないが、その神魔札は破壊され捨て札となってしまう。
防御時には、敵が手札のどの位置(3枚のうちのどれか)を狙ってくるかが事前に表示される。どの神魔札で防御を受け、どの神魔札を攻撃のために温存するか、あるいは強力な神魔札を守るためにあえて他のカードで受けるか、といった戦略的な判断が常に重要となる。

デッキ構築の探求、AIが生む偶発性、ローグライク的成長要素
本作の根幹には、デッキ構築型ローグライクゲームとしての確かな面白さがある。初期デッキからスタートし、道中で手に入る多種多様な神魔札を取捨選択し、自分だけのデッキを組み上げていく過程は、このジャンルならではの醍醐味と言えるだろう。神魔札同士のシナジーを考え、組み合わせることで大きな効果を発揮するコンボを探すのも、プレイ経験と知識が活きる楽しい要素だ。
そして、通常のカードドローや入手できるカードのランダム性に加え、AIによって生成される「創成神魔札」の存在が、ゲームプレイに更なる偶発性と深みをもたらしている。どのような効果を持ち、どのようなビジュアルの創成札が手に入るかは、ある程度プレイヤーの行動に依存するとはいえ基本的に予測不可能であり、強力な効果を持った創成札が生成されることもある。この予測不可能性が、単調になりがちな周回プレイに新鮮な驚きを与え、何度も繰り返しプレイしたくなる動機付けとなっている。


繰り返しプレイするモチベーションを高めるのが、永続的な成長システム「ツクヨミ神授」だ。各階層をクリアしたり、途中でゲームオーバーになったりしてもランク経験値は入手でき、一定以上に経験値を貯めるとプレイヤーランクが上昇し、ランクアップにあわせてツクヨミ神授が解放されていく。
ツクヨミ神授には、戦闘中に使用できるアイテム「神装」や、ツクヨミに効果(バフ・デバフ)をもたらす「ツキモノ」の解放などが含まれる。これらが解放されることで、プレイヤーが取れる戦略の幅は広がり、より深みのあるゲームプレイが可能になる。
このツクヨミ神授の解放には、プレイヤーランクを上げる以外にも、ゲーム内で入手可能な特定のアイテムを使用する方法もあるようだ。この部分は課金による時短要素が導入される可能性も考えられる。


先行体験版をプレイする中で感じた攻略の要点は、まずツクヨミ(プレイヤー)のHPをいかに温存するかという点である。HPの回復手段は限られているため、時には攻撃を控えてでも、防御に徹して被ダメージを最小限に抑える立ち回りが重要となる場面もあった。
加えて、神魔札の管理も極めて重要だ。現在の手札はもちろん、すでに使用した捨て札や、これから引くことになる山札に残っている神魔札の内容も確認できる。山札の残り枚数と内容を常に意識し、長期的な視点でリソースを管理しながら戦略を組み立てることが、踏破への鍵となるだろう。

体験版でプレイできた「HASHIRA」エリアは、低層階(3フロア)、中層階(4フロア)、そして高層階で構成されていた。クリア時間はプレイスタイル(探索度合い、戦闘回数、思考時間)によって変動するが、筆者が低層階をじっくり探索しながらボスを倒しクリアするまで約1時間程度だった。
画面上にマップが常時表示され、分岐点も示されているため、最短ルートでボスを目指すか、寄り道をしてアイテムや神魔札の収集に励むかなど、プレイヤーが能動的に探索ルートを選択できる設計となっているため、遊びやすい要素だと感じた。

先行体験版の段階で既に公式Discordサーバーが開設されており、プレイヤー間の雑談や攻略情報の交換などが活発に行われている。
また、ライブ運営要素も明らかになっており、プレイヤーが生成した「創成神魔札」の中から特にプレイヤーの評価の高かったものを対象に、金子一馬氏自らが審査員となって「最優秀・創成神魔札」を選出するコンテストが予定されている。定期的な開催が予定されており、プレイヤー参加型のイベントとして盛り上がりが期待される。
ゲームの基本ルールはシンプルで理解しやすく、序盤の短いチュートリアルで十分に把握できるため、デッキ構築ゲーム初心者でも入りやすい間口の広さを感じた。金子一馬氏が紡ぎ出す唯一無二のダークな世界観と、生成AI技術という現代的な要素を意欲的に融合させた「神魔狩りのツクヨミ」の正式リリースに期待したい。
(C)COLOPL, Inc.
※画面は開発中のものです。
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