生成AI技術とローグライクゲームシステムを組み合わせたコロプラの新作タイトル「神魔狩りのツクヨミ」を手がける、金子一馬氏と齋藤ケビン雄輔氏へのインタビューをお届けする。
目次

コロプラより今春配信予定の「神魔狩りのツクヨミ」は、生成AI技術とローグライクゲームシステムを組み合わせたスマートフォン&PC向けゲームだ。ゲームクリエイターとして知られる金子一馬氏が世界観やコンセプトを手掛け、従来のソーシャルゲームにはない新しい体験を提供する。
プレイヤーの選択やバトルの結果をAIが分析し、個々のプレイヤーに合わせたオリジナルカードを生成するというユニークなシステムが特徴で、現代の日本を舞台に日本神話を融合させた独特の世界観と、4人の主人公それぞれの視点で展開するストーリー構造も魅力だ。

今回、本作の開発を担当する金子一馬氏と齋藤ケビン雄輔氏に、ゲーム開発の経緯からAI技術の活用、世界観構築の裏側まで、じっくりとお話を伺った。
生成AIとローグライクの融合がもたらす新たな可能性
――生成AIを使ったゲームシステムについて、非常に興味深く感じました。
金子:そこはコロプラがすごいなと思いましたね。普通にRPGを作るのではなく、新しい試みをしていて、クリエイターとして臨む姿勢が違うというか、単純なジャンル分けではないんですよね。
――今回AI技術をゲームに取り入れようと思った最初のきっかけについて教えてください。
金子:私がコロプラに入社した際、コンセプトや世界観の制作を担当してほしいという依頼がありました。私の事をイラストレーターというイメージを持たれている方がいらっしゃるかもしれないのですが、実際には世界観からコンセプトまで全て作ってきました。
そこで、今作はまずはロールプレイングのような、後にアニメや漫画にもなるような世界観とストーリーを考案しました。その後、会社側からカードゲームやローグライク的なアプローチについての提案と、同時にAI技術をゲームに織り込めないかという話が出てきたので、企画部門での検討を経て、AIとデッキ構築型ローグライクを組み合わせたカードゲームという形になりました。
ケビン:私たちコロプラは、最新テクノロジーを使ってユーザーに新しい体験を届けることを主軸とし、これまでもさまざまなゲーム開発を行ってきました。そして、ちょうどAIが話題になり始めた時期に、AIを実際のゲーム体験に直接結びつけられないかというのが企画の発端ですね。
AIが持つある意味でランダム性を持ち、我々が完全に制御できないところがあるという特性と、ローグライクというランダム性を楽しむゲームジャンルの掛け合わせが良いのではないかと考え、「AI×デッキ構築型ローグライク」という形になりました。


――AIはゲーム内でどのような役割を果たすのでしょうか?
ケビン:ゲーム内では、プレイヤーのプレイを通した選択や戦った敵などのプレイログを元に、独自のカードを生成する役割を担っています。AIがカードの見た目を生成し、名前や効果はそれまでのプレイヤー行動に 基づいて個々に設定されます。
――学習にはどれくらいの時間がかかったのでしょうか?
ケビン:イラストのAI学習については、学習自体よりも、どのような画像を学習させるかという選定に時間がかかりました。具体的にはまず金子さんが新たに描き下ろした数十枚のイラストを学習させ、そこで生成された数万枚から数十万枚の画像を我々開発スタッフが実際に見て、適切な画像を再び学習させました。学習させるのに適切かどうかを選定する作業が最も時間のかかった部分です。選定基準には主に2つあります。
1つは生成物のクオリティを高めるためのもの、もう1つは問題コンテンツを排除するためのものです。手足や指などの細部表現が苦手という課題があるため、学習データにも注意しています。選定が完了すれば、実際の学習自体は数日程度で済みました。
――今作におけるAI使用におけるセーフティ対策はどのようになっていますか?
ケビン:弊社内で規定している生成AI技術利用のガイドライン(※)に則り、版権物や不適切な表現を含むものは学習データからの除外を徹底しています。また、生成されたコンテンツがプレイヤーの手元に表示される前にシステムによるチェック機構を設け、万が一問題があった場合は差し替えられるようにしています。カードイメージの生成についても事前チェックを行っています。
※コロプラ社のAIポリシー:https://colopl.co.jp/aipolicy/
――ユーザーのバトルの詳細までAIが学習するのですか?
ケビン:どのカードを使ったかという細かい操作までは実際には収集していません。ただ、どのような敵と戦ったかの情報は記憶しています。
また、ゲーム中に敵キャラクターが話しかけてきたときに、ユーザーがどのような選択をしたかという情報も収集しています。こういった1つ1つの選択が、最終的にすべてAIによって分析され判断されます。



AIとプレイヤー体験が融合する新時代のゲーム
――本作ではどんなメッセージを伝えたいですか?
金子:こういった作品は他にないから出したいというのはありますね。特にソーシャルゲームの世界では、スマホでプレイするローグライクカードゲームというのはあまりないので。
ケビン:コロプラとしては金子さん初のタイトルになるので、ファンの方々に対してメッセージを伝えたいです。金子さんの新しい一面を今回の「神魔狩りのツクヨミ」を通して見せたいと思っています。
――ターゲットはどういった層をお考えですか?
ケビン:大きなところは金子さんのファンの方で、その次にローグライクがお好きな方々ですね。
――金子さんが手掛けられたゲームはRPG的なものが多いですが、今回はローグライクカードゲームということで、新しいチャレンジという側面もありますよね。
金子:モバイルというのはすごく重要だと思っていて、ずっとこういうのをやりたかったし、今までとは違うノウハウが必要なので、いいチャンスだと思いました。前の会社では「魔剣X」といったアクションゲームなども出していましたが、どんなジャンルでも自分のテイストは強くなりますね。そういう意味で今回も自分テイストが強くなっていると思います。


――このゲームの見どころをズバッと一言でお願いします。
ケビン:「プレイヤーごとの体験」に尽きます。プレイの仕方や作られるカードの順番によって、人によって遊び方や攻略方法が変わるというのが、今作でAIを使った真のランダム性の部分です。それぞれの体験をSNSなどでシェアしてコミュニケーションを取るという形に繋げていければと考えています。
金子:本作はオリジナリティのある体験ができるゲームであり、世界観にも浸っていただけるものです。ゲームをプレイして新しいものがどんどん出てきて、形容しがたい体験ができる、そんな“オリジナル”を体験していただけるゲームです。
――金子さんのこだわりが一番反映されているポイントは何ですか?
金子:ゲーム全体に関わっていますので、特に「雰囲気」を楽しんでいただければと思います。日常生活の中で少し「ツクヨミ体験」をしてもらって、「今日はツクヨミだね」という気持ちになってもらえたら一番嬉しいですね。そして、できれば毎日そんな気持ちになっていただけたらと思います。
――ローグライクカードゲームとして工夫した点は何ですか?
ケビン:ローグライクは世界的に人気がありますが、日本ではまだニッチなジャンルです。モバイルとPC両方で遊べるよう設計し、間口を広げることを意識しました。従来のデッキ構築型ローグライクは戦略性が深い反面、テンポが悪くなりがちだったため、手札を減らしたり、攻撃と防御を1ターンで行うなどの工夫をしています。遊びやすさを優先しつつも、ゲームとしての深みも残すバランスを追求しました。

――ゲーム内の強化システムについて教えてください。
ケビン:プレイを重ねることでキャラクターのレベルが上がっていき、レベルアップごとにアイテムの獲得や新しいカードの解放、HPの上昇などが解放される成長要素となります。遊べば遊ぶほど様々なアイテムが出現するようになり、戦略の幅が広がりますし、より快適にプレイできるようになります。
――高層階をクリアするとワンゲームが終わるということですが、通常プレイで1ゲームはどれくらいの時間がかかりますか?
ケビン:プレイ時間はプレイヤーによって大きく異なります。入手するカードやプレイスタイルによって変わってきますが、私たちの想定では1キャラクターで高層階までクリアするのに約7~8時間程度かかると考えています。ゲームには主人公が4キャラクターがいるので、全キャラクターでプレイすると合計で約28~32時間の内容になりますね。
高層階がストーリーの終わりになりますが、その先には「本当のローグライク」としてのエンドレスプレイができるコンテンツを用意していて、さらにプレイを楽しんでいただけると思います。


――今後の展開や追加コンテンツについての計画はありますか?
ケビン:前提として、本作はいわゆる「ライブゲームオペレーション」形式の運用は行わないため、現時点では期間限定イベントなどは予定していません。ローグライクというジャンル特性から、バランス調整が中心になる予定です。
将来的な追加キャラクターや追加ストーリーについては、ユーザーの方々の反応等を見て判断する予定です。DLCとして追加するか、続編を作るかなど、様々な可能性があります。場面設定をタワーマンションから別の場所に変えるなど、状況に応じて柔軟に対応していきたいと考えています。

伝統と革新が交差する独創的な世界観
――現代の日本と日本神話の融合という世界観を選んだ理由を教えてください。
金子:“現代モノ”が自分の得意分野であり、必然的にこうなりました。タワーマンションの中で鬼ごっこをするような空間設定は以前から考えていました。また、私は日本神話に詳しいのですが、特にツクヨミという神が日本神話であまり登場しないことが気になっていました。なにしろ日本書紀の保食神(ウチモチノカミ)を斬り殺す場面しか出てきませんからね。ちなみに古事記では同じ役割をスサノオがやっています。
――世界観を構築する上で、AIという新たなテクノロジーとの組み合わせについて工夫したところはありますか?
金子:AIという要素が加わったときに、この「AI」を神として位置づけるなど、柔軟に世界観を調整してきました。
ケビン:金子さんの世界設定をゲームシステムとして説明するために、常に金子さんと話し合いながら立て付けを調整してきました。システムを無理やりねじ曲げるのではなく、お互いにクリエイターファーストの姿勢で取り組みましたね。最終的にはゲームが完成形なので、お客様に気持ちよく伝わるよう心がけています。



――「AIカネコ」というメタフィクション的な設定は、どのようにして生まれたのでしょうか?
金子:これは会社からの提案がきっかけです。AIについていろいろ思われる方もいる中で、ゲームとして納得いただけるような建て付けを考えた結果です。ゲーム内では「AIカネコ」はオオカミという神様として登場し、キャラクターたちはそれを知らずに信頼するという設定になっています。
――ストーリーやキャラクターの魅力と、それらがゲーム内でどう掘り下げられるのか教えてください。
金子:4人の主人公がいて、それぞれ異なる視点で物事を見る設定になっています。強引なキャラクターや破壊的な解決策を求めるキャラクター、話し合いで解決しようとするキャラクターなど、様々なタイプがいます。全員のストーリーをプレイすることで物語の全容が見えるような作りになっています。
ケビン:4キャラクターでそれぞれ異なる遊び方をしながら全体像を把握できるように設計しています。また、プレイ中に世界観に関する情報も小出しに提供し、収集要素として実装しています。ローグライクは死と再挑戦を繰り返すゲームなので、その中で少しずつ情報を集めながらキャラクターのストーリーと世界全体の全容を理解していく二軸の構造になっています。
――ゲーム内のキャラクターについて教えていただけますか?
金子:メタフィクション的な要素があり、「画家K」というキャラクターが登場します。1980年代頃に世界の滅亡予言を残して消えた人物が、なぜか現代に現れるという設定で登場します。彼は私自身をモデルにしており、この設定は特にメタフィクション的要素が強い部分ですね。




AIを前面に打ち出す不安と未来について
――ゲームシステムにおいて、AIを前面に打ち出すことへの不安はありますか?
金子:それはもちろんあります。
今作では「AIカネコ」という打ち出し方で、AIというものを遊びに組み込んでいることを示していて、この形が、AIでゲームを作る1つの到達点を目指す試みです。AIは遅かれ早かれ浸透してくるでしょう。
そんな状況に怖がってばかりはいられません。1つの到達点を示すチャレンジをコロプラがやらせてくれる環境があるので、その中で挑戦しているという形です。
ケビン:怖いという気持ちはもちろんあります。AIという技術に対して賛成する人もいれば反対する人もいる現状で、どう受け止められるかは不安です。ただ、AIは今後なくなるものではなく、むしろどんどん広がっていく技術だと考えています。
私たちはAIをフル活用した場合にどのような体験が生まれるのかという挑戦をしていて、それをゲームユーザーの方々がどう捉えるかを見たいという思いもあります。不安はありますが、この一歩を踏み出さなければ、AIがエンターテインメントにどう貢献できるのかという可能性も見えてきません。このゲームが、そうした可能性を示す第一歩になればと考えています。
――AI技術についてどうお考えですか? また10年後どうなっていると思いますか?
金子:AIは完全に道具だと思っています。AI技術の進化で将来的には一人でゲーム制作ができるようになるかもしれませんね。AIは非常に便利ですが、AI自身が欲望を持っているわけではないので恐れるものではありません。ただし、誰かが悪意を持ってAIを使うと騙される危険性はあります。将来的に自律的に動くロボットにAIが組み込まれたら物理的な脅威になるかもしれませんが、現在は主に仕事を奪われるという社会的な問題が心配されていますよね。
自分のイラストや技術がAIに学習されることについては、技術的ブレークスルーがあると常に変化していくものなので、チャレンジするのは面白いと考えています。勝手に使われるよりも、公式な形で版権管理されるほうが良いと思いました。AIが生成するものは学習用に用意した私のデータに基づくもので、新しく私が描くものとは違うので、特に恐れるものではないと感じています。
ケビン:現状では特定分野に特化した職人気質の道具だと思います。人間がどう指示するかに依存し、自分から何かを行うものではありません。しかし、人間が時間をかけて行っていた作業を短時間で大量にこなせる能力があり、ある意味で人に置き換わりつつあります。5~10年後については予測が難しく自由意思を持つようになるかどうかは不明ですが、AIの急速な発展を考えると予想外の展開もありえます。
――本日はありがとうございました!

「神魔狩りのツクヨミ」限定先行体験版
先行体験版 概要
株式会社コロプラの新作ローグライクゲーム「神魔狩りのツクヨミ」の限定先行体験版です。本体験版は、限られた方のみにご提供するものであり、株式会社コロプラ所属のゲームクリエイター・金子一馬の最新作をいち早くプレイしていただける貴重な機会となっております。
ゲーム概要
タイトル:神魔狩りのツクヨミ
リリース日:未定
体験版配信期間:2025年4月14日(月)〜2025年4月28日(月) 16:00予定
対応プラットフォーム:iOS/Android/Steam
ジャンル:カード創造ローグライク
ティザーサイト:https://jintsuku.jp/
※予定されている体験版配信期間は前後する可能性がございます。
メディア読者様 特別招待枠
ご応募いただいた読者様の中から抽選で最大100名様へ本体験版の開始時に株式会社コロプラよりプレイコードをお送り致します。
※応募が100名を超えた場合は抽選となります。
応募方法は、下記の「応募フォーム」よりメールアドレスの記入など、株式会社コロプラより体験版DLコードの送付に必要な事項の選択・記入/送信いただく形となります。
体験版のダウンロードURLは、体験版の開始日4月14日(月)の送付を予定しています。
※抽選となった場合の当選のご連絡は、体験版ダウンロードURLのメール連絡を以って代えさせていただきます。
【応募フォーム】
https://forms.gle/QBvyMCeZGsH8BbYU9
●定員:100名様
●応募期間:2025年3月31日(月)~2025年4月6日(日)23:59まで
●応募規約:https://jintsuku.jp/terms/2025033101/
●お問い合わせ先(応募者様用):[email protected]
【「神魔狩りのツクヨミ」先行体験版 期間延長概要】
●追加応募期間
2025年4月7日(月)~2025年4月11日(金)23:59
※上記期間でご応募いただいた方へのダウンロード用URLのご連絡は4月15日以降順次となります。予めご了承ください。
「友人招待制度」について
本体験版のプレイコードを配布された方には、そのご家族・ご友人・知人の方々にも本体験版をプレイしていただく機会を設けました。
運営メールに記載された「友人招待用フォーム」と「友人招待用応募コード」をお伝えいただくことで、ご招待者様も本体験版のプレイコードを受け取ることができます。
詳細は体験版ダウンロード用の運営メールをご確認ください。
※招待可能な人数は、お一人様 最大10名までとなります。
先行体験版 全クリチャレンジ

本体験版の配信期間中に、体験版プレイヤーを対象とした限定イベント「先行体験版 全クリチャレンジ」を実施します。
ステージ「中層階」クリアで限定グッズプレゼントの応募権が獲得でき、さらにステージ「高層階」クリアで“金子一馬サイン入り限定グッズ”にも応募が可能となります。
【イベント概要】
●実施期間:2025年4月14日(月)〜2025年4月28日(月) 16:00予定
●応募方法:「中層階」クリア後、ゲーム内の応募ボタンから応募可能
●プレゼント内容:
「中階層」クリア…限定グッズ「リアル神魔札」1種×200名様
「高層階」クリア…金子一馬サイン入り「リアル神魔札・6種セット」×3名様
※「リアル神魔札」は全6種あり、中層階クリアのプレゼントはいずれかの1種をプレゼントいたします。種類を選択することはできません。
(C)COLOPL, Inc.
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