「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】誰もが夢中になれる新たな傑作を深堀り

東京ゲームショウ2024
0コメント 小林白菜

千葉・幕張メッセにて9月26日~29日にかけて開催の「東京ゲームショウ2024」。期間中に行われたPS5用タイトル「アストロボット」開発のTeam ASOBI代表、二コラ・ドゥセ氏の3メディア合同インタビューをお届け。

ゲーム発売後のインタビューということで、本稿は「アストロボット」を楽しんだプレイヤーが気になったであろう部分にも踏み込む内容となっている。各ステージで登場するボットやヒーローステージ、一部終盤の展開に関するネタバレが含まれているので注意してほしい。

Team ASOBI代表、二コラ・ドゥセ氏
Team ASOBI代表、二コラ・ドゥセ氏

「サルゲッチュ」など、ヒーローステージに選ばれた5タイトルの選定理由は?

――「アストロボット」は発売以降、非常に好評です。私も6歳の子どもといっしょにすごく楽しんでいます。現在までの反応をどのように受け止めていますか?

ニコラ氏:ありがとうございます。発売前日にレビューが解禁されるときは、開発チームのみんなでオンライン通話をつないでいたんです。世界中で50を超えるレビューが公開されて、非常に高く評価してもらえたのにはみんなで驚き、喜びました。

もちろん、私たちは最善を尽くすべくゲーム開発を行っていますが、プレイヤーによる客観的な視点を完璧に把握することは不可能で、発売してからじゃないとわかりません。

最近になって公開されたレビュー(一般ユーザーのレビューなど)も、読むと学びがあります。お子さんと親御さんがいっしょに楽しめているというご感想もすごくありがたいです。

「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】の画像

――本作にはPSハードの歴史を彩ったさまざまなゲームのキャラクターをモチーフとしたボットが会社の垣根を超えて登場します。中でもステージやアストロの能力まで各タイトルをモチーフにしたものになる“ヒーローステージ”はどれも素晴らしく、驚かされました。ヒーローステージに「サルゲッチュ」「ゴッド・オブ・ウォー」「アンチャーテッド」「LocoLoco(ロコロコ)」「Horizon」の5タイトルが選ばれた理由をお聞きしたいです。

ニコラ氏:理由はひとつではないのですが、こうした選定は常にオーディエンスの皆さんのために考えています。やはり近年人気の大作は大事なので、「ゴッド・オブ・ウォー」や「Horizon」を選びました。

比較的新しいタイトルを選んだら、昔からのファンのことも考えなければいけません。そのとき思い浮かんだのが「サルゲッチュ」でした。「サルゲッチュ」のゲームプレイは「アストロボット」と似ているので、ゲーム内に取り入れやすかったのも理由のひとつです。

これらを選んだのには、「アストロボット」の基本となるジャンプアクションに組み合わせやすいゲームプレイが採用できるという理由もありました。「ゴッド・オブ・ウォー」の主人公・クレイトスの武器であるリヴァイアサン(ブーメランのように手元に戻ってくる斧)は、ジャンプアクションと相性が良い。「アンチャーテッド」や「Horizon」のシューティング要素も同様でした。

「LocoLoco」だけはちょっと特殊で、ユニークな操作が取り入れられて、かつソフトボディ(弾力を持った柔らかい材質を表現したグラフィック)の技術もゲーム内で上手く表現できていたので、それらを活かせるゲームとして採用しました。それに、PSPの素晴らしい思い出のタイトルでもありますから。ジャンプアクションをいったん置いておいて、このゲームを選ぶことにしました。

オリジナルのゲームとまったくいっしょにしてしまうのもちょっと物足りないと思い、新鮮な3Dのマップと、懐かしさのある2Dのマップを行き来するステージデザインを採用したんです。

「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】の画像

――先ほど出てきた“ソフトボディ”の表現は、PS5の性能だからこそよりよい形で表現できたものなのでしょうか?

ニコラ氏:そうですね。Team ASOBIは新しい技術に強い興味を持っているチームなので、「以前はできなかったけど、これからはできる遊び」をどうすればゲームに取り入れられるのか、いつも探っています。

「アストロボット」ではソフトボディ以外にも、水などの流体の表現、フィジックス(物理的な影響を受けるオブジェクト)の物量などにフォーカスして、各ステージにこれらを取り入れることを開発当初から決めていました。フィジックスはいつも取り入れていますが、今回はこれまでに見たことのないものをたくさん配置することに力を入れています。

――大量の宝石が降り注ぐステージなどには驚かされましたが、フィジックスの処理といった面では、かなりPS5の性能を引き出した表現なのでしょうか?

ニコラ氏:ハード性能についてはっきりとお答えすることはできませんが、大事なのはどんな体験を提供できるかだと考えています。フィジックスをたくさん用意すると視覚的な気持ちよさがありますが、今回はDualSenseによって触覚的な気持ちよさも組み合わさって、新鮮な感覚が味わえることを意識しているんです。

よくあるフィジックスは建物が壊れるときの表現などに使われますが、「アストロボット」は触れられて、遊べる、“おもちゃになるフィジックス”というのを大事に作りました。

「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】の画像

――子どもと遊んでいても“おもちゃのようなゲーム”という点がすごく魅力だと感じました。6歳にはちょっとクリアは難しくても、いろいろなものに触れているだけで楽しいですし、ミスしたときのリスタートの早さもモチベーションが下がりづらい理由だと思います。こういった部分は、やはり子どもや、ひさしぶりにゲームを遊んだ人たちのことを考えて開発されたのでしょうか?

ニコラ氏:とてもいい質問ですね。私を含む、長年ゲームを遊んできたゲーマーはチャレンジングな内容が好きですが、誰もが楽しめるのは“インタラクションの気持ちよさ”といった部分ですから、すごく大事です。

気持ちよさはいろいろな要因で生じていて、秒間60フレームのゲームプレイも重要です。そんな“気持ちよさ”に関連する話として、実はリスタートはハードの性能的にはもっと速くすることもできたんです。でも適度に一息つく時間を設けないとそれはそれでストレスになってしまうのでバランスを取っています。これは「ASTRO's PLAYROOM」でも同じことをしました。

こうした“気持ちよさのベース”はぜったいに守らなければいけません。私にも5歳の子どもがいて、それから母は74歳なのですが、「アストロボット」における草むらに入ったときのフィードバックでは、ふたりとも同じようにワクワクしてくれたんです。

プラチナトロフィーを獲得できるプレイヤーは限られているでしょうが、そのほかにもさまざまなレイヤーのプレイヤーがいて、ただ操作して楽しいと感じてくれる“おもちゃのレイヤー”をいちばん大事だと考えて開発してきたのが「アストロボット」なんです。

シューティングゲームの楽曲なら90年代のテクノソフトが「完璧」

――とある重要な場面のBGMが現在はセガが権利を所有している「サンダーフォースV」の楽曲でしたが、どういった理由による選曲だったのでしょうか?

ニコラ氏:その話、しましょうか?

――ぜひお聞かせください(笑)。

ニコラ氏:「アストロボット」はみんなの意見を取り入れながら作っているんですけど、ときどき私のパーソナルな判断が必要なときがあります。

まず、各ステージがはじまるときにアストロはDualSense型の飛行機に乗っているのに、シューティングゲームとして遊べないことがフラストレーションとしてありました。ああいった形状を見ていると、やっぱりシューティングゲームがしたくなりますよね?(笑)

それで、各ステージの中にシューティングパートを入れようと思ったのですが、ジャンプアクションと異なる操作が頻繁に入るとゲームが煩雑になってしまいます。それでシューティングはクライマックスに温存したんです。

じゃあどんな音楽がいいか? コンポーザーのケニー・ヤングさんと話して、どんなテンポのどんなテイストの曲がいいのかをすり合わせるために仮の楽曲を聴いてもらい、これをもとにケニーさんのクリエイティビティで新たに作曲されたものを使わせてもらう、というプロセスを踏むつもりでした。

私はシューティングゲームに使用する楽曲なら、90年代のテクノソフトのものが「完璧」だと思っているので、「サンダーフォースV」のトラックを仮楽曲に選びました。

仮楽曲を聴いたケニーさんは「このトラックは完璧なので、自分にこれと匹敵するものが作れるか分からない」と言っていました。ケニーさんは素晴らしい作曲家なので、謙遜もあったと思うんですけどね。

ちょうどそのころ、ゲストキャラクターについてセガさんとおはなしする機会があったんです。それまで私は知らなかったのですが、テクノソフトのライセンスは現在セガが持っていることを知りました。新しい楽曲を作るのではなく、「サンダーフォースV」のトラックをそのまま使わせてもらえないかとお聞きしたところ、セガさんは快く承諾してくれました。

楽曲が流れはじめる場面でゲームタイトルと曲名、“SEGA”の著作権マークが表示されますが、あれはセガさん側から要請などがあったわけではなく、尊敬の想いを込めて私たち自身が入れることを決めたものです。

「サンダーフォースV」はセガサターン版の印象が強いと思いますが、プレイステーション版もリリースされています。だから、“プレイステーションの歴史”とのつながりはゼロではありません(笑)。私が最初に遊んだのもプレイステーション版でした。でも、あとでセガサターン版も買ってプレイしています。

「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】の画像

――ニコラさんにとっては「サンダーフォースV」もまたプレイステーションの大事な思い出のひとつだったんですね。

ニコラ氏:アメリカのファンからも困惑の声は上がっていました。「なんだこのリファレンスは!? すごくマッチしてるけど、おかしい! でも素晴らしい!」と(笑)。プレイヤーの皆さんがよろこんだり驚いたりしてくれるのがいちばん大事です。

――プレイヤーからはいろいろなフィードバックがあったと思うのですが、とくにうれしかったのはどういったものでしたか?

ニコラ氏:やはり、お子さんといっしょに遊んでいるといったコメントは、世代の架け橋になれたことが実感できてうれしいです。あとは、「気持ちよさが感じられた」というのも、とくに力を入れた部分なのでうれしいですよね。

「アストロボット」は12~15時間程度のコンパクトな、それでいて何分かに一度、新しい体験ができることを大事にしていましたので。たぶん、私たちも皆さんも、まだクリアできていないゲームがたくさんあると思うんです。

――積みゲーが……(苦笑)。

ニコラ氏:私たちはもっとコンパクトでハイクオリティなゲームに回帰したほうがいいと思っているんです。ユーザーさんも同じように感じて「アストロボット」を気に入ってくれたのだとしたらすごくうれしいです。

それから、この4~5年間で世界には大変なことがたくさん起きました。暗い世の中になってしまったので、カラフルでハッピーなゲームをプレイしたことで、ポジティブな気持ちになれたといった言葉をもらえたときもすごくうれしかったですね。

ニコラ氏のゲーム愛が炸裂したこぼれ話

――ありがとうございました。2024年秋には無料のアップデートで新ステージや新しいボットが追加されることが発表されていますが、それ以降の展開はいかがでしょう? 私の妻は「せがれいじり」のボットが追加されるんじゃないかと期待しています。

ニコラ氏:まだ発表していないことはお話しできないので、まずは秋のアップデートを楽しみにしていてください(苦笑)。

ボットとして登場させられるタイトルには数に限りがありました。プレイステーションの歴史を鑑みると、ひとつの正解と言えるセレクションはないので、どうしてもすべてのユーザーの期待に応えることはできません……。私が入れたかったけれど入れられなかったのは「ゴッドハンド」の主人公のジーンです。

――カプコンの「ゴッドハンド」! 大好きなゲームですけど、登場したら私はめちゃくちゃ驚いていたと思います。

ニコラ氏:大作ゲームのキャラクターは必要ですし、「日本のみ」「アメリカのみ」「ヨーロッパのみ」で発売されたようなレアなゲームのキャラクターも、それぞれの地域のファンのために登場させることになりました。「蚊」を登場させられたのはうれしかったです(笑)。あとは「俺の料理」! これは日本でしか発売していないゲームを登場させられたパターンです。

「アストロボット」Team ASOBI代表二コラ・ドゥセ氏インタビュー:“あの場面”でセガの“あのゲーム”のBGMが使われた理由を聞いてみた!【TGS2024】の画像

アメリカ由来のキャラクターだとポリゴンマンが登場しています。アメリカでPS1のプロモーションのために作られたキャラクターだったのですが、これが中止になってしまい、失敗に終わりました。でもその失敗自体がおもしろかったので、アメリカには覚えている方もいると思って登場してもらうことにしました(※)。

※ちなみにポリゴンマンは2013年発売の「プレイステーション オールスター・バトルロイヤル」にも登場している。

ほかの地域ではヒットとはいかなかったものの、ヨーロッパで大人気だったので登場させたのはPS2の周辺機器だった「EyeToy(アイトーイ)」と、PS3向けカラオケゲーム「SingStar」のシンガーです。

でも、PS1、PS2のときに日本で作られたゲームがたくさんありましたから、日本のユーザーがよろこんでくれるボットがいちばん多かったんじゃないかと思います。

深淵なるゲームのおもしろさを探求しながら「アイカツ!」シリーズや「プリキュア」シリーズ、「プリティーシリーズ」などの女児アニメの魅力を広める活動にも力を入れている。 X(旧Twitter):https://twitter.com/Kusare_gamer

東京ゲームショウ2024

※画面は開発中のものです。

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連タグ

アストロボット 関連ニュース

関連ニュースをもっと見る

注目ゲーム記事

ニュースをもっと見る

ゲームニュースランキング