「Moncage -箱庭ノ夢-」をレビュー。キューブの面を様々な角度から観察し、繋がりを見つけるパズルアドベンチャー。引き込まれるようなビジュアルやナラティブなストーリーなど、本作の魅力を紹介する。
「Moncage -箱庭ノ夢-」は、、PC(Steam)のほか、iOS、Androidに向けてリリースされたパズルアドベンチャーゲーム。スタジオOPTILLUSIONのデビュー作となる作品だ。プレイヤーの前にはキューブがひとつ。このキューブのそれぞれの面には、だれかの部屋だったり、なにかの工場だったり、どこか屋外だったり…と、異なる世界が存在している。本作でプレイヤーが行うことは、キューブを回転することで角度を変え、異なる面に描かれた絵柄を繋げること。絵柄が繋がることで、キューブに描かれた世界も繋がり、それによって物語が進んでいく。
思わず引き込まれる!独特な魅力を持ったビジュアル
本作のプレイを開始して筆者はまず、キューブの中に引き込まれるような感覚を覚えた。まるでVRやARなどをプレイしたかのような没入感。もちろん、本作はVRやARなどの技術を使った作品ではない。ごく一般的な3DCG技術を使って作られた作品だ。にもかかわらず、独特な没入感を持っている。
これは、キューブの各面に異なる世界が存在するという本作の世界観のためだろう。キューブの各面に存在する世界は、2Dの絵としては描かれているのではなく、それぞれ3Dで作られている。このため、キューブを回転させると、それぞれの世界の角度が3D的に変化。この時のビジュアルが、VRやAR…あるいは万華鏡のような…錯視のようにも感じられる独特な魅力を持っているのだ。
本作のビジュアルに錯視的なテイストを感じるのは、現実に存在できない物体だからだろう。当たり前の話だが、現実世界のキューブで、それぞれの面に個別の3D空間を作ることはできない。それぞれの世界が重なってしまう。だからこそ、これまでに見たことのない、新鮮な感覚を抱かせてくれるのだ。本作はまず、このビジュアルに大きな魅力がある。
ギミックを動かし絵を合わせる!世界が繋がり物語が動き出す
既に書いた通り、本作でプレイヤーがやるべきことは、キューブを回転して、各面に描かれた絵柄を繋げること。たとえば、ある面にはクレーンが置かれており、また別のある面には分銅の乗った天秤が置かれている。面が異なるということは世界も異なるという事なので、このままだと、クレーンと分銅の乗った天秤は別に何の影響も与えない。そこでキューブを回転してみる…。
すると、各面の角度が変わっていく。この時、特定の角度から見ると、別の世界に置かれたモノ同士が繋がることがある。たとえば、クレーンのアームの部分と、天秤のアームの部分が繋がるといった具合。そして、繋がったモノ同士は世界を超えて影響を与え合う。たとえば、天秤に乗った分銅の重さによって、天秤と繋がったクレーンが影響を受け、クレーンが動きだす…といった形だ。
しかし、ただ角度を変えればいいワケじゃないというケースも存在している。スイッチを切り替えたり、バルブを開け閉めしたり…などのアクションによって、そもそも世界の形を変えておかなければならないというケースだ。このため、動かせるところはないか、プレイヤーはあれこれ試行錯誤しながらキューブを回転させることになる。
難しく感じる人もいるかもしれないが、本作はヒント機能が充実しているため、行き詰ることはないだろう。まず、画面を2本指で長押しタップすることで、現在繋げるべきオブジェクトが黄色く光り、さらにスイッチやバルブなど、世界の形を変えられるオブジェクトも赤く光る。このため、パズルを解くのに必要なオブジェクトを求めてえんえん探し回る…といったことはない。
さらにその上、4段階のヘルプ機能が用意されている。ヘルプ機能の3段階目までは、謎解きのヒントが文章形式で提示。さらに4段階目はプレイ動画によって謎の解き方そのものが提示される。このため、仮に行き詰ったとしてもクリアできなくなることはない。また、ヘルプ機能はメニュー画面の中に用意されている上、表示には結構な時間、長押しタップする必要があるため、自力で解きたいという人がうっかり見てしまうこともない。よく考慮された設定だと感じた。
こうやってキューブを回転し世界同士を繋げると、物語はドアが開いたり、道ができたり…といった進展を見せていく。ただ、物語といってもそこに言葉は存在しない。本作のストーリーは、プレイヤーが場面の情景から感じ取ることで紡がれる。いわゆる「ナラティブ」なものになっているのだ。
本作が描いているものは、親子。そして戦争といったもの。ネタバレもあるし、ナラティブな作品ということもあるので、ここで筆者が本作の物語はこうだと断言することは避けておく。ただ、描かれている要素と、「面によって分断された世界を繋げていく」というゲーム性が非常に良くかみ合っていると感じた。
ビジュアルに惹かれた人にはオススメ!心に残るパズルアドベンチャー
本作は、キャラクターや世界観を強烈にプッシュしてくるタイプの作品ではない。そして作家性の強い作品でもあるので、万人にオススメできるタイプの作品ではないと筆者は思っている。しかし、この作家性がハマる人には、心に残る一作になるだろう。本作の作家性がハマるかどうかは、この記事の内容と、スクリーンショットから判断できると思う。記事を読み、スクリーンショットを見て「いいな!」と惹かれたならプレイする価値アリだ。本作でしか味わえない、独特の体験を是非楽しんでほしい。
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