エレクトロニック・アーツより10月18日に発売される(Wii U版は12月発売)PS3/Xbox 360/PSP/PS Vita/Wii U用ソフト「FIFA 13ワールドクラス サッカー」。東京ゲームショウ開催期間中の9月20日、本作の開発を担当する牧田和也氏と山下崇彦氏にインタビューを行ったので、その内容をお伝えする。
「FIFA 13ワールドクラス サッカー」は、「FIFA」(国際サッカー連盟)公認のサッカーゲーム。500以上のクラブの公式許諾を取って、世界中のクラブチームを網羅しており、オンライン機能やゲームモードはさらに充実した内容となっている。
また、前作「FIFA12」から導入されたエンジン「プレイヤー・インパクトエンジン」が第2世代へ進化を遂げたことにより、選手の細かい動きにも磨きがかかっているのだ。
東京ゲームショウ2012の開催期間中となる9月20日、本作のエグゼクティブプロデューサーを務める牧田和也氏と、シニアソフトウェアエンジニアを務める山下崇彦氏に、前作からどのような進化を遂げたのか、話を聞くことができたので紹介しよう。
――「FIFA 13ワールドクラス サッカー(以下「FIFA 13」)」では、前作からさらに様々な要素が追加されています。その中でも注目のポイントはどこでしょうか?
牧田氏:本作のテーマは「アンプレディクタブル」、つまり誰も予想できないことが起きる、実際のサッカーを再現することでした。本来のサッカーは、ボールや選手の動きは様々で、同じ試合展開は絶対にありません。それをゲームの中でどう表現するかを今回の大きな課題として取り組んきたのです。
その中で、相手選手の能力に合わせて選手が臨機応変に対応するAI「プレイヤーインテリジェンス」、オフェンス時に空きスペースへ効果的に走り込む「アタッキングインテリジェンス」、細かいドリブルタッチで相手を抜き去る「コンプリートドリブル」、ディフェンス側にとっては予測不能なフリーキックを打てるようになった「タクティカルフリーキック」、よりリアルな選手の挙動を実現した第2世代の「プレイヤーインパクトエンジン」。
この5つの要素をゲームプレイの大きな柱として、開発しました。
――「プレイヤーインパクトエンジン」は、具体的にどのような点が進化しているのでしょうか?
牧田氏:例えばメッシ選手(アルゼンチン代表)のようなボディーバランスに優れた選手ですと、相手のプレスで躓きながらもドリブルを続けることができます。そのような、選手同士がボールを奪い合う際の駆け引きがリアルに再現できるようになりました。
これは、どのような体格の選手がぶつかりあったかによっても、常に勝ち負けは変わってきます。
――ということは、選手の体格によってモーションも逐一変わってくるのですか?
山下氏:もちろん変わってきます。あとは、押したり引いたりといったディフェンス側の動きによっても様々な動き方を見せてくれますよ。
――選手のモーションを作る際に、参考にした選手はいますか?
山下氏:メッシ選手やイニエスタ選手(スペイン代表)が多いですね。彼らは体が小さくても活躍できる、現代サッカーのトレンドと言える選手ですから。今回は全体的に、体の小さい選手の表現に力を入れています。
――では、体の大きな選手で参考にしたのは誰になりますか?
牧田氏:ドログバ選手(コートジボワール代表)ですね。彼の動きは、プレイヤーインパクトエンジンを開発する前から参考にし続けています。
――サウンド面ではなにか新しい試みはしているのでしょうか?
牧田氏:もちろん、より臨場感を出すために、ボールを蹴った音のチューニングなどはしています。また、今回は解説を堀池巧さんに担当してもらっており、そこは新しい部分ですね。
――解説の方が変わったことで、ゲーム全体の雰囲気もこれまでとは違ったものになっていそうですね。
牧田氏:耳から入ってくる情報が今までとはまったく違うので、プレイヤーさんは新鮮な気持ちで楽しめると思います。実際の試合中継でも、誰が解説をするかによって見方が変わってきますし。
――サッカーの解説者はたくさんいますが、その中で堀池さんを選んだ理由はどこにあるのでしょうか?
牧田氏:堀池さんは普段から解説の仕事をしている方なので、ゲームにリアリティを出せるのではないかと考えました。また、ハッキリと分かりやすい声量、声質を持っているのでゲームに合っていると思い依頼しました。
それに加えて、実は私と堀池さんは出身地が同じ静岡県なのです(笑)。そういった縁もあって、今回のオファーにいたりました。
――それでは、グラフィックについては、前作から変化している部分はありますか?
山下氏:今年の3月にリリースした「FIFA」のスピンオフタイトル「FIFA ストリート」を開発する際に培ったノウハウを、「FIFA 13」にフィードバックしています。そのため、グラフィックもさらに洗練されたものになっています。
――今年の3月にはPS Vita「FIFA ワールドクラス サッカー」が発売され、今回の「FIFA 13」でもPS Vita版が発売されます。さらに先日、Wii U版も発表されました。新ハードへの展開が早いのはなぜでしょうか。
牧田氏:新しいハードが発売されるということは、新しいチャレンジができるということでもあるのです。チャレンジをすれば様々な人に触れてもらえるチャンスも増えると思うので、いつも早めに展開するように心がけています。
PS Vitaではタッチパネルでの操作を導入しましたし、Wii U版ではWii U GamePadを利用した独自の操作を採用しています。こういった操作は既存のハードでは体験できなかったことですし、ぜひ多くの人に楽しんでもらいたいですね。
――新ハードでの開発にあたって、苦労することはありますか?
牧田氏:新しいハードでの開発は慣れるまでに時間がかかるので、スケジュール面で厳しいところはあります。
――「FIFA」シリーズは少なくとも1年に1作は発売される作品ですし、そういった意味でもスケジュールの管理は難しそうですね。
山下氏:新要素のアイディアは次々に湧いてくるのですが、それをすべて作品に収録するとなると、やはり時間との戦いになってきますね。
――Wii U版だけはハードが発売されていないので仕方がないとしても、他は全機種同時発売を実現しています。同時発売することにこだわりはあるのでしょうか?
牧田氏:こだわり…というほど深い話ではないのですが、ソニー・コンピュータエンタテインメントさん、日本マイクロソフトさん、任天堂さん、それぞれのハードメーカーさんから協力を頂いて開発している以上、極力同時発売にすることは当然のことだと考えています。
――「FIFA」シリーズは日本だとコアユーザー向けのゲームというイメージがありますが、初心者にはどのようなアプローチをしようと考えているのでしょうか。
牧田氏:「FIFA 13」では、新モード「スキルゲーム」を搭載しています。このモードでは32種類のミニゲームで気軽に操作を覚えていくことが可能になっています。
「スキルゲーム」は、試合の結果を反映して、そのプレイヤーに最適なミニゲームを自動で選択してくれるのです。例えばパスの成功率が悪かったら、パス関係の練習を中心にミニゲームが組まれますし、シュートを外すことが多ければ的にボールを当てるミニゲームが楽しめる。これらのミニゲームをこなすだけで自然と上達していくと思うので、初心者の方にはぜひ活用して欲しいですね。
――ミニゲーム感覚で楽しめると、初心者の人にはありがたいですね。
牧田氏:そうですね。我々もサッカーゲームが難しいものになってきてしまったとは常に感じていました。しかし、上級者の方の中には、さらに複雑な動きができるサッカーゲームを望む人もいます。
そういった上級者の方の望みも叶えつつ、初めて触る人も楽しく遊べるようにしようと、「スキルゲーム」モードを取り入れました。
山下氏:「スキルゲーム」を活用すれば、知らず知らずのうちに上達しているはずですよ。これに加えて、2種類のボタンだけで簡単に操作ができるモードも用意されているので、こちらも初心者の方に利用して欲しいですね。
牧田氏:オリジナルチームを運営しながら試合を楽しめる「Ultimate Team」も初心者の方におすすめしたいゲームモードです。ここではシステムやフォーメーションの詳しい紹介が行われているので、分からない部分があってもすぐに理解できると思います。
――「Ultimate Team」はフォーメーションごとの細かい特徴も分かるので、初心者だけではなく、上級者でも楽しめるモードですよね。
牧田氏:そうですね。また、「Ultimate Team」では新しい要素として、iOSのアプリと連動してチームをマネージメントできるようになっているのです。これにより、iOS端末を持っている方は、テレビの前にいなくても「FIFA 13」を楽しむことができます。
――iOSアプリの配信時期はいつごろになりますか?
牧田氏:すでに承認も出ているので、ソフトと同日に配信する予定です。
――ちなみに、Android版を配信する予定はあるのでしょうか。
牧田氏:Android版については現在開発中です。iOS版からは少し遅れますが、後々配信する予定ですので、Android端末をお持ちの方にもぜひ試してもらいたいです。
――モバイルと連動するという構想は以前からあったのですか?
牧田氏:需要は以前から感じていましたね。ここ数年でスマートフォンは爆発的に普及しましたし、我々も何らかの形で連動したコンテンツを作りたいと考えていました。
――その他に、注目してもらいたい新しいシステムはありますか?
牧田氏:「マッチデイ」ですね。これはオンラインを利用したシステムで、毎週、選手の調子やチームの順位が更新され、現実に近い状況でゲームを楽しむことができるものです。
自分の好きなチームが来週はどこと戦うのか、そういった近況も知ることができるので、スポーツニュースがいらなくなると言っても過言ではない要素になっています。
――最後にユーザーの方へメッセージをお願いします。
山下氏:「FIFA」シリーズは世界中のサッカーファン、ゲームファン、クリエイターのこだわりで作られているゲームだと思います。今回の「FIFA 13」はたくさんの楽しみ方ができる作品になっているので、ぜひ手にとって、楽しんでもらいたいです。
牧田氏:今回はゲームとしての面白さが格段に上がった作品だと感じています。初めてサッカーゲームに触れる人でも充分に楽しめるように作ってあるので、サッカーは好きだけどゲームはあまりプレイしないという人にもおすすめしたいです。
――ありがとうございました。
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