Gamerで執筆しているライターに、年末年始に合わせて自由に書いてもらおうという企画。本記事ではカワチがお届けします。
ライターのカワチです。今年(2025年)の8月に“ライター稼業では生活できない”というある方のポストが話題を呼びました。現在の報酬では生活が立ちゆかないことや、これから降りかかる介護の現実などから、今までのままでは生きていけないという内容で、多くの同業者からさまざまな意見が飛び交いました。
確かに広告収入という原資が減っている以上は「食えるライター」でいることは難しい……とは自分自身も思っています。とはいえ、くすぶっていても仕方がない。自分自身がテキストメディアだけでなく音声や動画メディアでも積極的に発信していき、既存のライター以上の存在、ひとりの発信者になっていくべきではないかと考えています。
そんなこともあり、今回の年末年始企画はチャンネル登録者1.9万人を誇るビジュアルノベル系YouTube「まさんの駄べり動画」のまさん氏へのインタビューを企画・実施してみました。筆者も弊誌でノベルゲームを盛り上げるため、【ADVマニアへの道】という連載をさせていただいていますが、より多くの人にリーチするにはどうすればいいのか。まさん氏が普段どのようなことに気を使い、どのような信念でビジュアルノベルの魅力を発信しているのかお聞きしてみました。
AIの台頭もあり、今後はよりパーソナルを出した記事や動画が魅力になってくると感じています。メディアで働いている人はもちろん、これから個人で発信しようと思っている人にも刺さる内容のインタビューになったのでぜひチェックしてみてください。

まさんの駄べり動画
https://www.youtube.com/@%E3%81%BE%E3%81%95%E3%82%93-VisualNovel
誰かを語る場が欲しくてはじめたYouTube活動
――はじめに簡単な自己紹介をお願いします。
まさん:ビジュアルノベルを中心に発信をしているYouTubeチャンネル「まさんの駄べり動画」のまさんです。ビジュアルノベルの魅力や感想を自分の言葉で伝えるYouTubeチャンネルを5年間続けています。

――まさん氏がYouTubeでビジュアルノベルの感想をはじめたきっかけを教えてください。
まさん:15歳でPSP版の「AIR」に出逢い、ビジュアルノベルの虜になったのですが、がっつり語れる友達がいませんでした。話せる場所と友達が欲しかったのが、ビジュアルノベルの感想発信をはじめたきっかけです。

――感想を話せる場を求めていたと。初期の動画は「Summer Pockets」、「シンフォニック=レイン」、「マルコと銀河竜」でしたが、これら3本は思い入れのあるタイトルだったのでしょうか? クリアしたときの感動や思い出をお聞かせください。
まさん:まず「Summer Pockets」は、チャンネルを開設したタイミングでクリアしたタイトルでした。語りたい欲が強いタイミングだったので、その想いを動画にぶつけたのを覚えています。鴎ルートは最高ですよ……。
――分かります(笑)。
まさん:「シンフォニック=レイン」は、10年以上この作品について熱く語りたいという気持ちがずっとありました。雨が降る街、音楽とリンクしたシナリオ、昔から読んだことがある絵本のような世界観に惹かれましたね。シンフォニック=レインだけで動画を3本作っちゃいましたよ!
――「シンフォニック=レイン」は編集長のTOKENさんがベスト級に上げているタイトルなので気になっているんですよね。いつかプレイしてみたいです。「マルコと銀河竜」は?
まさん:「マルコと銀河竜」は、リストラされたタイミングで出会ったタイトルになります。現実逃避が目的でプレイしたのですが、クリアしたら、すんごく元気が湧いてきたんですよね。ビジュアルノベルの魅力を再認識し、YouTubeも本腰入れてやろうと火が付きました。
――なるほど。まさん氏は職を失ったことや精神に疾患を持ったことも動画で公開しましたが、こういったパーソナル部分も動画で公開しようと思った理由はなんですか?
まさん:僕自身、中の人味(み)の強いYouTuberが好きだったという背景があります。「この人だから見る!!」というチャンネルが最強だと思っているので、プラスもマイナスも含めて人となりが伝わるチャンネルにしたいと思っていました。
チャンネルを始める直前は、人生で最もどん底の時期でした。友人の急逝や職場でのパワハラ、精神疾患の発症が重なり休職となり、声を出そうとすると口が痙攣して話せなくなったんですよ。日常生活すらままならなかったです。
毎日リハビリを続けて、声が戻った頃にYouTubeを開設しました。話せることそのものに喜びを感じていましたし、中の人味の強いチャンネルにしたいという思いがあったので、パーソナルな部分も出していこうと決めましたね。
――自分もまさん氏が語っているからこそ動画を観ています。動画を参考に購入した作品も多いです。まさん氏が感想動画を作るうえで心がけている点はなんでしょうか?
まさん:一番大切にしているのは、「好き」という気持ちやシンパシーみたいなものを伝えることです。作品の魅力や、自分が心を動かされたポイントを話したいんですよ。
良かった点だけを並べるのではなく、気になった点も伝え方に配慮しつつ、不利益になることを最小限に、でも自分の感じたことをちゃんと伝えることを大事にしています。「それってまさんの感想ですよね」を地で行くチャンネルです(笑)。
――「イハナシの魔女」の森氏をはじめとしたクリエイターのインタビューもおこなっていますが、インタビューをするときに心がけていることもありますか?
まさん:話すことを決め過ぎないことは心がけています。会話の流れで思いついたことを質問することも多いです。
声にはその場で生まれる空気や感情が乗ります。相手の人となりが見えるような動画にしたいので、準備した質問だけでなく、自然に生まれた会話も大切にすることを心がけています。

声に出すことで感情が乗る
――ビジュアルゲームをプレイするだけでなく、その感想を発信することのメリットを教えてください。文章ではなく、動画ならではのメリットはありますか?
まさん:まず声に感情が乗るので、作品に対する温度感が伝わりやすいですね。さらに音楽や効果音を添えることで、作品の雰囲気や感情の起伏を視聴者に直感的に届けられるので、表現の幅が広いと感じています。
もうひとつ大きいのは、ビジュアルノベルの“動画”発信者がまだ少ないことです。動画一本を作るのは大変ですが、「この人は〇〇の人だ」と認知を得やすいのもメリットだと思っています。

――確かにビジュアルノベル特化の動画配信者はまだ少ないですね。では、メディアやチームという形ではなく、個人で発信することのメリットやデメリットもおしえていただけますでしょうか?
まさん:個人で発信する一番のメリットは、100%自分主体で運営できることだと思っています。僕は言葉の選び方・触れない話題などの線引きがはっきりしているタイプです。細かいニュアンスまで自分でコントロールできる点は、個人運営ならではのやりやすさだと感じています。
一方で、作業量はどうしても増えます。企画・撮影・編集・サムネ・字幕まで、全部自分でやる必要がありますし、忙しい時期は負担になることもあります。将来的には字幕と音声カットは人に任せるのもアリだと考えています。
いちばん衝撃を受けたビジュアルノベルは「CROSS†CHANNEL」
――これまで数多くの動画を公開しているまさん氏ですが、とくに反応がうれしかった動画や、多くの人に観てもらいたい動画があれば教えてください。
まさん:反応がうれしかった動画でいえば、「新しい夢ができました」ですね。編集も最低限で、ただ自分の夢を語った動画だったのですが、多くの方がコメントを寄せてくださって……。あの動画をきっかけに、ずっとメンバーシップに入って応援してくれているアツい視聴者さんも大勢います。あの反響は本当に励みになりました。
多くの人に観てもらいたい動画は、やはりコラボ動画全般です。自分で言うのも照れますが、コラボ人選めちゃくちゃ良いと自負しています。貴重な動画ばかりなので、より多くの方に届いてほしいですね。
――数多くのビジュアルノベルをプレイしているまさん氏ですが、これまでプレイしたなかでとくに思い入れのある1本、また、2025年でおもしろかった1本をお教えいただけますでしょうか?
まさん:とくに思い入れのある1本は「CROSS†CHANNEL」ですね。自分のために作られたビジュアルノベルなんじゃないかとさえ思いました。ここまで自分事のように心や言葉を伝えられる媒体があるのかと衝撃を受けた作品です。
――「CROSS†CHANNEL」は弊誌でも特集したタイトルで、自分も思い入れの深いタイトルです。ぜひ多くの人にプレイしてもらいたい作品ですね。

まさん:本当にそうですね。2025年でおもしろかった1本でいえば「ライムライト・レモネードジャム」を挙げたいです。バンドが中心にありながらも、いつものゆずソフトは健在……。最新作にして最高傑作が出たなと感動したものです。今朝も明け星を聴いてきました。

――そろそろインタビューも終盤になってきましたが、これからYouTubeでの発信活動をしようと思っている人にアドバイスをお聞きしてみたいです。
まさん:影でずっと応援してくれる人が絶対にすぐ現れます。あなたの発信は、届いている人にはちゃんと届いています。信じて続けてみてください。
いきなりですが、「ドラゴンボールZ」のOP曲、「WE GOTTA POWER」で好きなフレーズがあります。「夢中になれるモノが いつか君をすげえやつにするんだ」。これはガチです。
――夢中になることこそが夢を叶えるいちばんの道だと。
まさん:はい。「IPPAI OPPAI ボク元気」もガチです。
――えーっと、では、まさん氏はご自身のビジュアルノベルを制作されているそうですが、作ってみようと思った理由はなんですか?
まさん:いつかビジュアルノベルを創ってみたい、というぼんやりした思いはずっと持っていました。YouTubeを始めて、話せる場所と友達が欲しいという最初の目的を達成したこと。ビジュアルノベル制作に関わる方々との接点が増えたこと。そして、将来の夢を実際に叶えていく友人の姿を間近で見たこと。ビジュアルノベルYouTuberが、実際にビジュアルノベルを創ったらどうなるんだろう──そのワクワクも大きかったですね。
いろんなきっかけが重なって、ぼんやりした思いが次第に“はっきりとした夢”に変わっていきました。やるからには、とことんこだわり尽くしたいと思っています。
――完成したときには、ぜひボクが弊誌で連載している【ADVマニアへの道】で取り上げさせてください! では、最後に読者にひとことお願いします。
まさん:これからもビジュアルノベルの魅力と自分自身について発信していきます。来年はびっくりする企画もいくつか動いているのでお楽しみに!!
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