カプコンが2025年5月23日にPS4/Xbox One/Nintendo Switch/Steamで発売を予定しているリマスター版「鬼武者2」のプレイレポートをお届けする。

「鬼武者2」は、2002年3月7日にカプコンからPS2用タイトルとして発売された戦国サバイバルアクションゲームで、前作の初代「鬼武者」から13年後の世界が舞台となっている。
なお、Gamerでは開発陣へのインタビューも掲載しているので、そちらにもぜひ目を通してほしい。
前作「鬼武者」をやっていなくても大丈夫!
本作は初代「鬼武者」から13年後の世界が舞台。幻魔の王となって蘇った織田信長によって故郷・柳生の庄を滅ぼされた剣豪・柳生十兵衛が、かつて幻魔によって滅ぼされた鬼の一族の力に目覚め、新たなる鬼武者となるところから始まる。
柳生一族の仇を討つために、十兵衛は信長を倒す旅に出ることになるのだが、ゲームを楽しむだけならば、初代「鬼武者」をプレイしていなくても問題なく遊べるようになっている。
とはいえ、一応ざっとさらっておくと、永禄3年(1560年)、異形の生命体・幻魔の血を注がれて蘇った魔王・織田信長は、幻魔と契約を結び強大な力を得ようとしていた。しかし、かつて幻魔と敵対していた「鬼の一族」の力を借りた若武者・明智左馬介(あけちさまのすけ)によって、その野望は阻止される。
幻魔の王・フォーティンブラスは左馬介に倒され、幻魔達は地上から撤退し、信長の野望は潰えたのだった。
という、ストーリーとしては非常にシンプルなものとなっている。

そして「鬼武者2」では、信長が新たなる幻魔王となったところから始まる。
幻魔の力を得た織田軍は無敵の戦闘集団へと生まれ変わり、近隣諸国を次々と制圧していった。
天正元年(1573年)、柳生の庄は幻魔兵団となった織田軍の圧倒的な戦闘力の前になすすべもなく、女子供含めて皆殺しにされてしまう。

修行のために里を不在にしていた頭領・柳生十兵衛は、報せを受けて故郷へと駆け付けるが、そこにあったのは惨たらしく皆殺しにされた一族の姿だった。

そこに謎の美女・高女が現れる。十兵衛は高女から、柳生の庄を滅ぼしたのは信長であること、さらに信長が幻魔であることを告げられる。
高女の導きにより、鬼の一族の力に目覚めた十兵衛は、幻魔の力で、信長へ復讐することを誓うのだった。

ここまでが、「鬼武者2」のオープニングだ。
ここから十兵衛は、宝蔵院流の槍の名手である安国寺恵瓊、紀伊雑賀鉄砲軍団の頭領である雑賀孫市、謎の女剣士・小谷のお邑、北条家お抱えの忍者軍団の風魔小太郎らと共に、金山や岐阜城などを巡って、高女の助言に従い聖なる5つの玉を集めていくこととなるのだ。
4人の仲間との好感度が重要
初代「鬼武者」は主人公と仲間ひとりきりだったが、本作では仲間が4人いるので、十兵衛と仲間4人の5人を切り替えながら進むことができるようになった。
ストーリーの途中で仲間に渡せるアイテムをもらったり買うことができるので、それを仲間に渡すことで仲間との好感度が変わる。ちなみに同じアイテムでも、渡す場所やタイミング次第で好感度に変化が出たりするという、細やかさ。
アイテムを渡すと別のアイテムがもらえるので、そのアイテムをまた別の誰かに渡して絆値をあげるという、物々交換のようなシステムになっている。

好感度をあげるとシナリオが変化し、一定以上の好感度があれば操作キャラクターとして使用できたりする。発生したイベントは、シナリオ達成率に加算されていくのだ。
なお、基本的に渡せないアイテムはその仲間からもらったものだけなので、相手の趣味趣向に関わらずどんなものでも渡せてしまう。なので、例えば好きな仲間にこれを渡したらどんな反応をするのだろうか、という興味だけで、ひたすらほぼひとりに貢ぎ続けることも可能である。

とはいえ、シナリオ達成率100%を目指す場合にはそれなりに考えて好感度を上げていかないとならないのでなかなか大変なのだが、周回は楽にできるようになっているので、何が何でもコンプしたいプレイヤーも安心設計だ。
これらの仲間が特定のタイミングで現れ、十兵衛を助けてくれたり、操作できる場面がある、といった風で、常にぞろぞろと4人の仲間を引き連れて進んでいくわけではない。

元々グラフィックの質が高いことで知られている作品だったが、今回のリマスターで一層各キャラクターの表情が豊かになっている点にも触れておきたい。元々合理主義でクールな孫市などは表情もクールな姿が多いが、情緒豊かな恵瓊、そして故・松田優作さんを3Dモデルにした十兵衛も、表情での感情表現に注目してほしい。
また、味方キャラクターではないのだが、敵となる幻魔の勢力も非常に個性豊か。大げさすぎるくらい派手な決めポーズが特徴のゴーガンダンテスは、こう見えて幻魔界最高の剣士なのだ。実際十兵衛は、ゴーガンダンテスとの初見時、勝負にすらならないくらいあっさり負けてしまう。

こういった敵側のキャラクターにも、ぜひ注目して見てもらいたい。
難易度設定はかなり親切。一撃受けたら死んでしまうモードも追加
アクションが苦手な人から、得意な人まで楽しめるように、難易度は非常に充実。「易しい」「普通」「難しい」「一閃」に加えて、今回のリマスター版では「修羅」という一撃を受けたら即死するというモードも追加された。
なお、開発陣へのインタビューによれば、難易度「修羅」は開発陣でもクリアできるのは極わずかだそうなので、腕に覚えのある人はぜひチャレンジしてみてほしい。
ちなみに、オリジナル版発売時は、難易度「一閃」ですら、「なかなかクリアできない極悪難易度」と呼ばれていたので(筆者はもちろんクリアできない)、まずは「一閃」からのチャレンジが無難だ。
難易度などは「特典」から変更が可能で、オリジナル版では一度クリアしないと開放できなかった特典なども最初から使用できる。ただし、難易度などは本編開始時のみに変更が可能となっており、ゲームの途中での変更はできないので、注意してほしい。

基本的な操作は、前作の「鬼武者」リマスター版からほぼ変わらない。
筆者はPS5でプレイしていたためPS5での操作になるが、□で攻撃、△で鬼力を消費して鬼戦術を使用、×ボタンが決定、〇ボタンで魂の吸収、そして複数の武器を入手している場合、L2ボタンで武器の切り替えが素早くできるようになった。
特に本作では、攻撃と同じくらい重要なのが、魂の吸収である。敵を倒すと赤・青・黄・紫の4色からなる魂が浮かび、〇ボタンでその魂を吸収すると体力(HP)、鬼力(MP)の回復などの効果が得られる他、紫魂を5つ集めることで一定時間無敵となる「鬼武者」への変身が可能となる。
オリジナル版では紫魂を5つ集めると強制的に鬼武者へと変身したが、今作では変身を任意でできるようになった。赤の魂は武具用の経験値のようなもので、武具に注入することで武具の強化ができる。


そして、本作で重要な必殺技「一閃」は、いわゆるカウンター攻撃だ。相手の攻撃がヒットする直前に攻撃を繰り出すことで発生するのだが、タイミングを掴むまではとにかく練習あるのみだ。一閃の成功後、さらにタイミングをあわせることで「連鎖一閃」も出せるのだが、一閃ですら難しいので連鎖一閃はさらなるコツが必要となる。
筆者もちみちみと練習をし続けたのだが、一閃までは出せても連鎖一閃は一度も成功しなかった。
難易度「一閃」は、この必殺技一閃でしか敵にダメージを与えられないので、高難易度に挑むのであれば一閃は必ず修得しなければならない必殺技である。アクションが好きでも致命的に反射神経が劣る筆者にとっては、とても厳しい……。
とはいえ、一閃を使いこなせなければクリアできないのかというと、もちろんそんなことはない。武器攻撃と鬼戦術だけでも充分問題なくクリアできるようになっているので、安心してほしい。
ただ、「鬼武者」シリーズのテーマである「バッサリ感」は、やはり一閃をキメてこそという感じはあるので、闇雲に攻撃ボタンを連打するのではなく、敵の動きをよく見て積極的に狙っていきたいところだ。

ギャラリーなどの特典も大ボリューム!
前作の「鬼武者」は比較的システム寄りのタイトルで、ストーリーはシンプルだったが、本作はシナリオにかなり力が入り、ゲーム全体のボリュームも大幅にアップした。織田信長を討ち取るという目的はあれど、前述の通り仲間や敵の幻魔たちも様々な表情を見せてくれたり、ストーリーも細かい描写が増え、文句なしの内容となっている。

初回クリアにかかる時間は大体15時間ほどだが、周回前提なので、シナリオ達成率100%を目指して数周は楽しめる。
オリジナル版では一度見たイベントしかスキップできなかったが、リマスター版では最初からシナリオスキップができるので、オリジナル版の内容を覚えていてイベントを見る必要がない、とかならば、どんどんスキップして進行していけるようになっており、非常に便利だ。
なお、シナリオスキップを活用しつつ、マップのギミックなどが頭に入っていれば、1周に5時間もかからなくなるので、シナリオ達成率100%を目指すのも苦ではないのが嬉しいところ。

基本的にはストーリーを挟みつつ、ダンジョンをクリアしていく形で進んでいき、ダンジョンには謎解き要素もある。言うなれば、和風「バイオハザード」である。
これはそもそも「鬼武者」自体が「バイオハザード」シリーズのゲームエンジンをベースとしていることもあって、全体的に「バイオハザード」シリーズと雰囲気が似ているのだ。それもあって、「バイオハザード」シリーズのファンならば楽しめる内容になっている。

オリジナル版では移動操作なども初期の「バイオハザード」シリーズと同様のラジコン操作だったため少々移動が大変だったのだが、リマスター版からアナログスティックでの操作ができるようになったので、自分の思った通りに移動してアクションを繰り出せるようになった。
2Dで作られたマップを次々と移動していくので、マップによっては視界が悪かったり、自分と敵の位置関係を把握しにくいという問題点は引き続きあるものの、リマスターとして画像が綺麗になったことにより、それらへの不満も概ね解消されたと言えるだろう。

セーブも、決まったポイントでしかできなかったのが、オートセーブに対応。どこででもプレイを中断できるため、プレイしやすくなった。
そして、高画質化されたギャラリーも見どころだ。ギャラリーは最初から開放されているため、既に遊んだことのあるプレイヤーにも優しい。また、新たに100点以上の「特別画集」も追加された他、サウンドトラック全43曲も収録されている。
特に筆者は雨宮慶太氏の大ファンということもあり、雨宮氏による設定画がより美しい画像で見れるようになったのは非常に嬉しいところだ。


全てがパワーアップして帰ってきた「鬼武者2」リマスター版。特に、「バッサリ感」をウリにした、刀を主軸とした幻魔との戦いは、爽快感たっぷりだ。
「鬼武者」シリーズ初プレイの人も、かつてPS2版をプレイした人も、ぜひ気持ち新たに挑んでみてほしい。
(C)CAPCOM
※画面は開発中のものです。
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