Behaviour Interactiveは、マルチプレイヤーホラーゲーム「Dead by Daylight」(以下、DbD)において、8月28日1時より「悪魔城ドラキュラ」とのコラボレーションチャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」をリリースした。

目次
  1. 経験を積んできたタイミングでドラキュラ伯爵を登場させることができたのは良かった
  2. サバイバーにはボス戦のような気分を味わってほしい
  3. 「DbD」の世界でドラキュラ伯爵が勝利する姿を見るのは楽しみ

こちらのチャプターでは、新キラーの「The Dark Lord(ダークロード)」と新サバイバーの「Trevor Belmont(トレバー・ベルモンド)」が登場する。

3つの変身能力を使ってサバイバーたちを追い詰める!新チャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」が登場の画像

リリースに先駆けて、今回のコラボに関するプレスカンファレンスが開催された。同イベントでは、シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャード氏やゲームデザイナーのジェイソン・グッゾ氏に加えて、監修を担当したコナミデジタルエンタテインメントの開発陣も登場し、開発経緯や完成までの秘話が紹介された。本稿ではその模様をレポートする。

経験を積んできたタイミングでドラキュラ伯爵を登場させることができたのは良かった

「DbD」シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャード氏より、今回のコラボレーションが実現することになった経緯について紹介が行われた。ドラキュラ伯爵というキャラクターを、自分たちの思うように作りあげるのは非常に難しかったと語るデイブ氏。しかし、「Dbd」がこれまで経験を積んできた今というタイミングで実現できたのは良かったという。

また、監修を務めたコナミ側もすぐに意欲を見せてくれたため、チャプターに対して無駄なく情熱を注ぎ、細部までこだわって作ることができたそうだ。

シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャード氏。
シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャード氏。

ドラキュラ伯爵はかなり複雑な悪役で、そこが開発陣にとっても魅力的なポイントでもあった。「悪魔城ドラキュラ」のテーマでもあるゴシックロマンスは、「Dbd」の世界観にピッタリ合っている。夜に潜むクリーチャーと闇と光との争い、恐怖感と圧迫感を同時に感じるなど、すべての要素が完全に溶け込んでいるのだ。

デイブ氏は、具体的に「Dbd」の世界にどのようにキャラクターを登場させるのかについて考えたときに、可能性は無数にあったという。「悪魔城ドラキュラ」に登場するドラキュラ伯爵のストーリーは興味深く、シリーズを通して何度も倒されては復活を遂げてきている。ドラキュラの持つ力は、人間の心の中に潜む憎しみと繋がっている。「悪魔城ドラキュラ」は、そうしたドラキュラ伯爵の持つ闇の力を体現したもので、憎しみがある限りお城もドラキュラもなくならない。だからこそ、ダークロードは何度も復活することができたのだ。

3つの変身能力を使ってサバイバーたちを追い詰める!新チャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」が登場の画像

1999年、ベルモンドが英雄たちとともに城を封印した。これにより、ドラキュラと城の結びつきが壊れ、ドラキュラを永遠に葬ることができた。しかし、「DbD」のストーリーでは、城で封印されずエンティティの領域に送り込まれることになる。そのため、城とドラキュラの結びつきはそのまま変わらず、ドラキュラ伯爵は存在し続けることができるのだ。

今回新たに登場するチャプターでは、吸血鬼、オオカミ、コウモリの姿に変身することができるというダークロードのユニークな能力が登場する。こちらは、様々な姿を戦略的に使いこなせるようにするために、コンボでも放つようなスピード感で変身できるようにしているという。

つい最近「ダンジョン&ドラゴンズ」とのコラボで魔法を実装したばかりだが、今回のドラキュラ伯爵が使う魔法は、直感的でぞっとするようなものになっており、呪いや復習といったキャラクター性にあったものなっている。

3つの変身能力を使ってサバイバーたちを追い詰める!新チャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」が登場の画像

それに対するサバイバーについては、ドラキュラ伯爵に対抗できる人物としてトレバー・ベルモンドが登場する。トレバーは、ベルモンド一族最強のキャラクターとして、一家を代表する存在感を放っているところが魅力だ。トレバーと彼の家族は危険人物と見なされ、追放されている。そんな逆境にも負けず、すべてを犠牲にしてまでドラキュラと戦ってきた。こうした要素を元に、トレバーのパークが作りあげられている。

トレバーは、シリーズに登場するほかのベルモンドと比較して脆弱な面がある。どちらかというと、マッチョなヒーローというよりもサバイバータイプだ。それがよくわかるのが、ファミコン版で発売された『悪魔城伝説』(日本版ではトレバーではなく、ラルフ・C・ベルモンドというキャラクター名だった)である。トレバーが初めて登場したのはこの作品で、彼が生き延びて勝利するために仲間を必要とするという要素が、「Dbd」ともマッチしていたのだ。

ドラキュラ伯爵と対峙するために登場する新サバイバーが、トレバー・ベルモンドだ。
ドラキュラ伯爵と対峙するために登場する新サバイバーが、トレバー・ベルモンドだ。

サバイバーにはボス戦のような気分を味わってほしい

キラーデザイナーのジェイソン・グッゾ氏からは、今回登場する新キラー「ダークロード」について、より詳細な説明が行われた。ちなみに、普段ジェイソン氏がキラーのデザインを行うときは、常に体験を軸にしているという。たとえば今回のコラボでは、ドラキュラ伯爵をプレイする人にとってどんな体験になるのか、サバイバーとして対戦する人にとってどんな体験になるのかといった部分だ。

そこで今回は、サバイバーがドラキュラ伯爵と対戦するときにボス戦のような気分を味わってほしいということから、様々な姿や能力、ツールを使いこなして大混乱を起こし、不意を突くことができるようにしている。

キラーデザイナーのジェイソン・グッゾ氏。
キラーデザイナーのジェイソン・グッゾ氏。

キラーにとって最も重要なのは、プレイヤーにとって脅威を感じさせることだ。今回登場する新キラーのダークロードは、部屋に入ってきた瞬間に音楽が止まってしまうようなタイプの悪役で、他の殺人鬼とは一線を画した存在である。その特徴をゲームプレイとアニメーションの両方で表現しているのだ。

たとえば、乗り越えのアニメーションでは人間っぽさを消すためにあえて足を使わないようにしている。その代わりに、霧のようなアニメーションで障害物をすり抜け、反対側に現れることができる仕様にしているのだ。これはかなり細かいところではあるが、実際にプレイしてみるとドラキュラの持つパワーを感じることができ、サバイバーにとっても脅威の存在であると思わせるようになっているのである。

ドラキュラ伯爵の変身能力は、「DbD」史上初の試みだ。デフォルトの姿は吸血鬼(Vampire Form)で、こちらで使う攻撃能力は、「Hellfire(ヘルファイア)」と呼ばれている。炎の柱を前方に放つことで、ミッドレンジキラーのような攻撃を繰り出すことが可能だ。

オオカミの姿(Wolf Form)に変身したときは、トラッキングとチェイスがテーマになっている。オオカミの飛び付きは、運動エネルギーが高まり、前方に飛び出すことができる攻撃だ。攻撃を外すとクールタイムが発生するが、その後ふたたび再攻撃することが可能になる。

ちなみにオオカミの姿になっても、移動速度自体は吸血鬼のときと同じである。ただし、オオカミの姿になることで血だまりや傷跡が鮮明に見えるようになる。また、サバイバーが定期的に残す「Scent Orbs(香りのオーブ)」を見つけることで、サバイバーがいた大まかな方向を察知ができるほか、メイン攻撃の飛びつきのクールダウンも減らすことができ、さらに移動速度も上昇する。

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コウモリの姿(Bat Form)に変身すると移動がメインとなり、サバイバーに対して攻撃を加えることはできない。しかし、その分移動速度が大きく上昇するほか、近くのパレットや窓枠などの障害物にテレポートすることもできるようになる。このコウモリの姿の時は、探知不可だ。その代わりといってはなんだが、サバイバーの姿も見ることはできない。見るのは赤い傷マークのみで、視覚を補うために聴覚が発達して足音も大きく聞こえるようになるのだ。

脅威範囲はないものの、コウモリに近づくと翼と鳴き声の音が大きくなり、サバイバーを恐れさせることができる。このように、新キラーのダークロードはこれらの変身ツールをうまく使いこなしていき、サバイバーを見つけ出して近づき、攻撃を名中しやすくさせるというのが開発側の狙いである。

ジェイソン氏によると、吸血鬼姿のままでも強いため、初心者はひとつのフォームに集中することがオススメだという。慣れてきたら、変身能力を使いこなしていくことが上達への早道となりそうだ。

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今回は、メメントモリも必見だ。今回はドラキュラらしさを見事に表現したものになっており、サバイバーを仕留めるときにドラキュラの鋭い爪で喉を引っ掻き、したたる血をシャンパングラスで受け止めて血を飲み干す姿を見ることができる。

「DbD」の世界でドラキュラ伯爵が勝利する姿を見るのは楽しみ

今回行われたプレスカンファレンスで最初に行われたのが、監修を務めたコナミデジタルエンタテインメント開発陣に対するQ&A形式のセッションだった。同社からは、「悪魔城ドラキュラ」シリーズプロデューサーの谷口勲氏とディレクターの島﨑勝也氏、リードアーティストの中島渉氏が登壇し、今回の新チャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」に対するそれぞれの思いが語られた。

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――「悪魔城ドラキュラ」が発売されたのは40年前であるにもかかわらず、今でも大きな反響があることは信じられないことです。この理由はなんでしょうか?

谷口氏:このフランチャイズには、情熱的なファンがたくさんいます。その方々が何を望んでいるのか、何をやってほしくないのかということを、はっきりと声を大にしてくれています。そうした方々がたくさんいたおかげで、シリーズがここまで長く続いてきたと思っています。

それと同時に、情熱的なファンが多いシリーズに携わることができるということ自体が、私自身光栄だと思うと共に常にプレッシャーと戦っています。

私自身、プロデューサーになる前から「悪魔城ドラキュラ」のいちファンでした。何か企画を考えるときは、ファンの皆様がどう思うのかということを、いつも想像しています。ファンの皆様の声を見させていただくと、すごく参考になります。また、応援してくれているところを見かけると、頑張る活力になっています。

我々は、多くのシリーズファンの方に支えられて活動をしていますが、同時に「悪魔城ドラキュラ」シリーズに触れたことのない方も多くいらっしゃると思いますので、そうした人たちにも好きになっていただきたいなと思っています。

そういう意味では、何千万人もいる「DbD」のファンの皆様が「悪魔城ドラキュラ」の世界に触れるきっかけになる今回のDLCは、すごくわくわくしています。

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――「DbD」の中で「悪魔城ドラキュラ」が蘇ることについては、どのようにお考えになっていますか?

谷口氏:これはシンプルに嬉しいです。「DbD」に入ったことで、新しい発見もありました。制作面では、思っていた以上にスムーズにIP同氏が馴染みました。これは、「DbD」に霧やエンティティといった設定があったおかげです。

今回「DbD」に「悪魔城ドラキュラ」が登場することで、ホラーの側面をお見せする絶好の機会だと思っています。なによりも個人的に楽しみなのが、ついにドラキュラ伯爵としてゲームをプレイ出来るようになったところです。これは、非常に新鮮だと思っていますし、楽しみです。

「悪魔城ドラキュラ」ファンの方からも声として上がっていたものですが、今回の機会にぜひ楽しんでいただければなと思っています。

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――今回の新しいチャプターで最も楽しみにしているところはどこですか?

島﨑氏:製作するアセット数も多かったのですが、それらを見ても「悪魔城ドラキュラ」へのこだわりが感じられるものばかりでした。そうしたこともあり、我々もしっかりと監修にあたり、今回のDLC製作にあたらせていただきました。「悪魔城ドラキュラ」の魅力が詰まったものになったのではないかなと思います。

さらに、大胆なゲームプレイのアイデアも出していただき、ボリューム満載のDLCをユーザーの皆様にお届けできることがなによりの楽しみだと考えています。

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中島氏:今回Behaviourチームから頂いたアセットのご相談というのが、最初の段階から「悪魔城ドラキュラ」の世界観をとてもうまくとらえたうえで、「DbD」の世界観に落とし込まれていました。全体的にとてもスムーズで、個人的にもとても楽しいものでした。

監修内容としては、モデルやアニメーションはもちろんですが、ゲーム内に登場するチャームなど多岐にわたるものが含まれていました。何度もブラッシュアップする必要がありましたが、その都度迅速に対応していただいたので、とても助かりました。結果としては、どのアセットも「悪魔城ドラキュラ」らしさを表現したものに仕上がっています。

3つの変身能力を使ってサバイバーたちを追い詰める!新チャプター「Dead by Daylight:悪魔城ドラキュラ」が登場の画像

――最後にそれぞれのファンに向けてメッセージをお願いします。

谷口氏:ドラキュラ伯爵としてプレイ出来るので、ぜひ楽しんでください! 「悪魔城ドラキュラ」の世界では、試練を乗り越えたプレイヤーの皆様に倒されてしまうことの多いドラキュラ伯爵ですが、今回「DbD」の世界で勝利する姿を見るのは、個人的にすごく楽しみです。逆に、サバイバーの皆様も、頑張ってドラキュラ伯爵に勝利してください。

今回初めて「悪魔城ドラキュラ」の世界に触れる方もいらっしゃると思います。そうした方にも、「悪魔城ドラキュラ」のゲームの方にも挑戦していただければ幸いです。

――本日はありがとうございました!

ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。

https://www.foriio.com/osyamu

※画面は開発中のものです。

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