「Marvel's Spider-Man 2」シニアゲームディレクターRyan Smithにインタビュー:人間味とヒーローの葛藤こそが「スパイダーマン」の魅力

インタビュー
0コメント 米澤崇史

ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2023年10月20日に発売されるPS5用ソフト「Marvel’s Spider-Man 2」。同作のシニアディレクター・Ryan Smith氏のインタビューを掲載する。

いよいよ発売を迎える、マーベル・コミックの人気ヒーロー「スパイダーマン」を題材としたアクションアドベンチャー「Marvel's Spider-Man 2」。

今回のインタビューに答えていただいたRyan Smith氏は、「ラチェット&クランク」シリーズ、「Resistance」シリーズ、「Marvel's Spider-Man」など、Insomniac Gamesに15年以上在籍し、多数のタイトル開発に関わったベテランクリエイターだ。

「Marvel's Spider-Man 2」においてはシニアゲームディレクターを務めるRyan氏に、開発にまつわるさまざまなお話を聞くことができた。

Ryan Smith氏

ユーザーに愛された要素をより進化させるのが「2」で目指したこと

――前作は高い評価を受け、ゲームとしてほぼ完成された作品でもあったと思います。そこから「2」を作るにあたり、どんな部分から開発を進めたのでしょうか。

Ryan:我々は、まず新要素について注力しました。とくに、マイルズとピーターという二人のヒーローが登場するストーリー、ヴェノムやリザードといった新しいヴィランといった要素です。

ストーリーテリングの部分にも気を使っていて、メインストーリーのミッションだけではなく、オープンワールドの中で発生する一つ一つのミッションにも、しっかりとバックストーリーを作っています。

また、今までのシリーズでユーザーの皆さんに愛されてきた要素を進化させるということも重要なポイントでした。ウェブ・ウイングという新たな移動手段もその一つですが、PS5というハードを活かし、さらにスピードアップした移動が可能になっています。

――自分も実際にプレイさせていただいて、移動も含めて全体的にスピードが上がっているのを感じました。とくにファストトラベルの読み込みの早さは驚きです。

Ryan:ありがとうございます。PS5のローディングスピードのおかげで、ユーザーの皆さんにより素晴らしい体験を提供するためのいろいろなチャレンジが実現しました。ファストトラベルのもその一つで、新しい可能性を見せられたのではないかと思います。

――新要素の中でも、空中をグライドできるウェブ・ウイングが最高の体験でした。どのようにして実装が決まったのでしょうか?

Ryan:ウェブ・ウイングについては、原作コミックの表紙や映画に登場したものが基になっていて、本作にも使いたいと考えました。実装にあたって、基本的な移動手段であるスイングとうまく融合させる必要があったので、そのバランスにはすごく気を使った部分です。

また、ウェブ・ウイング使用時に利用できる、素早く空中を飛び回れる「風洞」、高度を上げる「上昇気流」といった要素も追加しています。マップを探索してもらえば、新しいインタラクションを体験できるようになっているのが面白いところだと考えています。

――ゲームスピードの変更や敵のダメージや体力の調整など、本作はアクセシビリティの項目が非常に充実しています。アクセシビリティについてのこだわりを教えてください。

Ryan:アクセシビリティは、我々が非常に重要視しているポイントです。たくさんのプレイヤーを迎え入れるため、Insomniac GamesにはアクセシビリティデザイナーのSam Schaffel、UIエンジニアのThor Gassといったメンバーが中心となっている専門のチームが存在していて、スタジオ全体としてアクセシビリティに注力しています。

また、目や手足が不自由な方もゲームを楽しめるよう、今年の12月頃にアクセシビリティのアップデートを実施する予定です。スクリーンリーダーや音声のキャプション、音声ガイドといった要素が実装されます。

――項目の中には、ゲームの難易度が下がるものもありますが、アクセシビリティの設定によりトロフィーが修得できなくなるなどのデメリットはありますか?

Ryan:本作のトロフィーには難易度に依存しているものはなく、基本的に何かをコンプリートした時に修得されるものとなっています。そのため、アクセシビリティの設定で難易度を下げたとしても、トロフィーが修得できなくなることはありません。

――スキルツリーについて教えてください。本作では、ピーターとマイルズ、二人共通と3つもカテゴリがありますが、優先的に修得するのにオススメのスキルはありますか?

Ryan:近接攻撃時にコンボを決めると確率でガジェットが再使用できるようになる「コンボ・リサプライ」、敵の武器を奪って投げ返す「ウェブ・ウィップ」がとくに気にいっています。

また、共通のスキルツリーの左側には、空中戦闘で使えるスキルがたくさんあります。スキルツリーを進めていくと、2人の敵を同時にウェブ・ライン・フィニッシュで倒せるようになったり、どんどんスパイダーマンらしいバトルを楽しめるようになっていきます。自分がプレイする時は、そういったスキルから修得していくことが多いですね。

登場するヴィランが選ばれる決め手となったのは?

――「スパイダーマン」というIPを扱うゲームとして、本作が一番大事にしている部分は何でしょうか?

Ryan:これは「スパイダーマン」のDNAとは何かというお話でもあると思うのですが、単なるスーパーヒーローではなく、マスクの裏にすごく人間味のある存在がいるという点が、「スパイダーマン」らしさなのではないかと私は考えています。

今までの「スパイダーマン」シリーズの中で個人的に好きなストーリーは、人間の部分とヒーローの部分がぶつかりあう葛藤を描いたものなんです。

本作のストーリーでも、ピーターとマイルズという二人のヒーローが、友人や家族とどう付き合っていくかという面と、スーパーヒーローとしての活躍という2つの面が密接に絡んでいるのが魅力になっていると思っています。

――コミックや映画で人気の高いヴィランが新たに多数登場するのもファンには嬉しい要素です。登場する中で、とくに注目してほしいヴィランはいますか?

Ryan:たくさんのヴィランを登場させるのは、作っていて楽しかった部分でもあり、一人だけを選ぶというのは難しいですね(笑)。

前作のヴィランは、いわゆるテック的な存在が中心だったのに対して、今作ではリザードやヴェノムといった自然寄りのヴィランが多く登場します。

彼らの大きさや強さ、凶暴さというところを表現できたのは楽しかったです。クレイヴンは人間ではありますが、彼のモチベーションや戦いへのアプローチには通じる部分がありましたね。

――登場するヴィランとストーリーは、どちらが先に決まったのでしょうか?

Ryan:それについては、一概に答えるのは難しいです。

というのも、どのヴィランが登場するかについては、ユーザーに提供するゲームプレイを含めた、さまざまな要素が複合的に影響しているからです。

例えば、先ほどの話にも出たクレイヴンは、クレイヴン自身だけではなく、彼が率いるハンターたちの存在が、プレイヤーがゲーム中に戦う相手として適しており、ゲームプレイの可能性を広げてくれるヴィランでした。ヴィランについては、クリエイティブ・ディレクターのBrian Intiharやナラティブ・ディレクターのJon Paquetteと何度も話し合いを重ねましたね。

――Insomniac GamesがリリースするPS5タイトルは、本作が3作目になるかと思います。どうしてこんな早いペースでハイクオリティなタイトルをリリースできているのでしょうか?

Ryan:Insomniac Gamesではチームワークを非常に大切にしていて、常に同じ目的に向かって、チームとして一緒に働いているというところが大きいのではないかと考えています。デザイナーでもアーティストでも、プロジェクトを進める際は必ずコラボレーションをするという文化が根付いているのも要因かもしれません。

あとは、PS5タイトルとして3作目だからこそスムーズにいった面もあります。過去のタイトルから得られた知識やノウハウは共有しており、開発メンバーの多くがPS5のテクノロジーに慣れてきていています。

オーディオやハプティックフィードバックのチームも含め、どうすれば自分たちが目指すものを作り出せるかが分かるようになってきていて、これまでのトライ&エラーの成果が出ているのかなと。プレイヤーに素晴らしい体験を届けるという目標に向かって、チーム全体がコラボレーションできているのが要因だと考えています。

――最後に、プレイヤーに向けてのメッセージをお願いします。

Ryan:本作はInsomniac Gamesのチーム全員が汗水を流して、力を入れてきたタイトルです。ようやくプレイヤーの皆様に体験いただけることに、大きな喜びを感じています。これから、皆様が素晴らしい体験をできることを祈っております。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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