「三国志アナザー~星将の願い~」をレビュー。ファンタジー的にアレンジされた三国志の世界で、おなじみの武将たちを集めて戦うスマートフォン向けRPG。三国志ファンなら燃える、本作のアツい魅力を紹介する。
「三国志アナザー~星将の願い~」は、阿波羅テクノロジーからリリースされたスマートフォン向けRPG。舞台となるのは、三国志をベースとして異世界ファンタジー的なアレンジがほどこされた世界。プレイヤーは事故をきっかけにこの世界へ転生、三国志の武将たちとともに戦いへその身を投じることとなる。システム的にはいわゆる放置系RPGに近いものになっており、気軽にプレイできることが特徴。しかし、ただお手軽にプレイできることだけが本作の魅力ではない。本作の真の魅力は、異世界ファンタジーという設定を活かして三国志が持つ「アツさ」を発展させたことにあるのだ。
人生をやり直したい…!切望をめぐるアツいストーリー
現世で活躍できなかったキャラクターが、死をきっかけとして異世界へ転生、そこで才能を開花させる…。この「住む世界を変えることで、人生をやり直す」という形式は、異世界ファンタジーの王道といえる設定だろう。本作もこのフォーマットに則っており、プレイヤーは事故をきっかけに現世から異世界である「創星神界」へと転生することになる。
そして「創星神界」へ転生しているのは主人公だけではない。呂布に関羽に曹操といった、三国志の武将たちも同様だ。三国志の武将たちもまた、人生をやり直したいと思っている。もちろん、彼らのほとんどは、歴史に名を残すほどの活躍を見せた存在だ。だが、その多くが志を遂げられなかったことも事実。
たとえば、呂布は三国志最強と言われる武将であり、知名度も高い。三国志のストーリー序盤において最も活躍する武将は呂布だと言っても過言ではないだろう。
しかしながら、呂布は志を遂げることができなかった。裏切りを繰り返した末、曹操に敗北。命乞いしたものの、処刑されるというみじめな結末を迎えた。最強と呼ばれるほどの活躍を見せた武将の最期としては、なんとも悲しい。人生をやり直したいと強く「切望」しても、何もおかしくはないだろう。
本作が秀逸なのは、この「人生をやり直したい」という「切望」をコンセプトにした点。改めて物語を振り返れば、三国志は呂布に限らず「無念」が詰まっている。なんといっても三国志は、天下統一を目指す物語でありながら、最終的に天下統一されることがない。だから「三国」志なのだ。支配力的な意味で最強といえる「魏」の曹操も、天下統一という志を果たすことはない。
また、主人公的な立ち位置で描かれることが多い劉備、関羽、張飛という義兄弟もそう。彼らは漢王朝再興を志し、桃園で誓い合った。「我らは生まれた時は違えども、死すときは同年同月同日に死ぬことを願わん」と。しかし劉備、関羽、張飛はまったく別のタイミングで死ぬことになる。天下統一はもちろん、死に時についての誓いすら守れなかったのだ。
本作がベースとしている三国志の中には、こうした「アツい想いを遂げられない無念さ」が詰まっている。だからこそ、心に強く刻まれるのだ。筆者は中学校のころに三国志を小説、ゲーム、人形劇と様々な媒体で漁るように摂取し、「アツい想い」に心を燃やし、「無念さ」に涙した。だからこそ、本作のコンセプトが輝いて見える。三国志の武将たちが「人生をやり直したい」という「切望」を叶えるため、ふたたび戦う…。これは、異世界ファンタジーというフォーマットを借りた、三国志の続編といえる。登場する武将たちは、生前の記憶を持っており、その記憶に基づき行動するのだから。あの時の「無念」を晴らすために再び戦う。このシチュエーションにアツさを感じずにいられようか!?
本作ではこうした「切望」をめぐるストーリーを、異世界ファンタジーという設定を活かして巧みに表現している。本来「創星神界」では、「切望」が「星の力」へと変換されるというメカニズムが存在していた。しかしこのメカニズムが上手く働かなくなり「切望」が行き場を失った末、武将たちが「魔将」と呼ばれる存在になってしまう。プレイヤー=主人公の前にたちはだかるのは、こうした「魔将」たちだ。
「魔将」たちを元に戻すための方法は、戦うことではない。プレイヤーが武将たちを深く理解し、「切望」を癒してあげること。たとえば関羽であれば、当然「桃園の誓いを果たしたい」ということが「切望」になる。では、改めて「同年同月同日に死ぬ」機会を与えればいいのだろうか?もちろん、そんなことで「切望」が叶えられることはない。では、どうすれば…?こうした点が描かれることこそ、本作の魅力。英雄たちの切なる願いが、どんな結末を迎えるのか。三国志のストーリーが大好きな筆者は、思わず胸がアツくなってしまった。
切望を叶えて神化!ケレン味たっぷりのビジュアルも魅力
「切望」はストーリー面のみならず、ゲームシステムとしても取り込まれている。武将たちは「切望」を叶えることで進化するのだ。もちろんビジュアル的にもよりカッコよく変化、パラメータも強化される。もちろん、こうしたキャラクターの進化要素は本作に限らず、さまざまな作品に見られる要素だ。しかし、三国志での各武将の物語を知っていると、「切望を果たして神化」という本作にシチュエーションに格別な興奮を感じてしまう。キャラの新しい姿を獲得できて得した、性能アップしてゲーム的に有利…というだけでなく、「展開に燃える」という心のツボが刺激されてしまうのだ。
なお、本作のゲームシステムは冒頭で触れた通り、いわゆる放置RPG的なシステムとなっている。ゲームアプリを閉じていても素材アイテムの収集ができ、アプリを起動して「挑戦開始」を選ぶとバトルに挑戦可能。バトルはフルオートとなっており、プレイヤーは見守っているだけでOK。これを繰り返しつつ、武将たちのレベルを上げていくというのが大まかなゲームの流れだ。
シンプルなゲームシステムなので、お手軽にプレイ可能。だが、スキル使用時にド派手なビジュアル演出が盛り込まれているため、強い爽快感を味わうことができる。
ビジュアル的な魅力という観点では、各武将のイラストに触れないわけにはいかないだろう。呂布や関羽といった男性武将も、尚香・貂蝉といった女性武将や女性キャラクターも、ケレン味たっぷりで魅力的。男性キャラクターはカッコよく、女性キャラクターはセクシーでかわいらしい。
ちなみに、三国志ものなのでキャラクターは魏・呉・蜀といった陣営ごとに分かれているのだが、パーティーには陣営をまたいで編成可能。なので、自分の好きなキャラクターで自由にパーティーを作ることができる。なので、筆者はセクシーな美女系キャラクターでパーティーを固めようかな…と思ったものの、結局思いとどまった。やはりここは、「切望」に基づいてパーティー編成したいと思ったからだ。
たとえば、曹操、孫権、劉備、関羽、張飛といったパーティー編成で、叶わなかった天下統一を目指す……なんてアツい。あるいは、三国志通じて知の化身として君臨するにもかかわらず、魏の討伐という悲願が果たせなかった諸葛亮孔明の「切望」を叶える……というのも燃える展開だ。筆者としては、「切望」基準で考えるパーティー編成が非常にアツく、ハマってしまうポイントだった!ただちょっと残念なことに、各武将はガチャで獲得するかたちになっているため、武将たちの「切望」を叶えるためにはガチャで入手しなければならない。つまりまずは、「武将獲得」というプレイヤー自身の「切望」を叶えなければならないわけだ。
お手軽・カジュアルにサクサクプレイするというイメージが強い放置RPGだが、本作はとにかくアツい。三国志のストーリーを知り、各武将たちに感情移入して胸をアツくしたことがあるなら、このアツさを感じてもらえるのではないだろうか。「三国志」を知らない人も、ぜひ「三国志」本編のストーリーとともに楽しんで欲しい一作だ。
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