プレイヤーの当時の思い出を具現化するのがリメイクの目標――「スターオーシャンセカンドストーリーR」インタビュー【TGS2023】

インタビュー
0コメント 米澤崇史

スクウェア・エニックスが2023年11月2日に発売予定のPS5/PS4/Nintendo Switch/Steam用ソフト「スターオーシャン セカンドストーリー R」(Steam版は同年11月3日発売予定)。プロデューサーの小牧恵氏と、開発プロデューサー兼ディレクターの北尾雄一郎氏(ジェムドロップ)へのインタビューを掲載する。

1998年にPlayStationで発売された「スターオーシャン」シリーズ第2作「スターオーシャン セカンドストーリー」(以下、SO2)。東京ゲームショウ2023のスクウェア・エニックスブースでは、本作の試遊台が設けられている。今回は先行試遊と共に、開発陣にインタビューをする機会を得たので、その模様をお届けしていく。

北尾雄一郎氏

現代のRPGとして「SO2」をもう一度ユーザーに届ける

――本作の開発の経緯について教えてください。

小牧恵氏(以下、小牧):今年は「SO2」の25周年にあたる年なので、スクウェア・エニックスとしても何かしたいという考えをもっていました。また、ユーザーの皆様から「『SO2』のリメイクは出さないのか」という声もずっといただいていました。

そんな時にジェムドロップの北尾さんにお会いし、リメイクについての意見が合致したところから企画がスタートしました。

――「SO2」に関していうと、PSP/PS3/PS4/PS Vita向けに「スターオーシャン セカンドエヴォリューション」もリリースされています。その上でのリメイクというのはどういう流れだったのでしょうか?

小牧:「セカンドエヴォリューション」も弊社にとって大切なタイトルですが、今回は「SO2」を最新のプラットフォームで長く遊んでいただきたいなと。旧来のファンの皆様だけではなく、新しくファンになっていただける方にも、現代のRPGとして楽しんでいただけるように、「SO2」をもう一度提供したいという想いがありました。

――自分も少しプレイの方をさせていただき、グラフィックやバトルのパワーアップもあるのですが、プレイテンポやレスポンスの改善がされているのが非常によく分かりました。

北尾雄一郎氏(以下、北尾):そうですね。「SO6」や「SOA(スターオーシャン アナムネシス)」からシリーズに初めて触れた方もおられるので、まずはそういった方々が遊んでも面白いものにするというのは大前提でした。その上で、PS版やPSP版をプレイしてくださったファンの方々の思い出に残っている状態のバトルを進化させたかったんです。

――今のお話、個人的にすごく腑に落ちました。これは「SO2」に限った話ではないですが、昔好きだったゲームって、いざ遊び直してみると「こんな感じだっけ?」となることが多いというか……。

北尾:そうなんです。面白いんだけど、比較すると思い出の中の記憶とは結構違うんですよね。やはり記憶の中では良いものとして残っているので、「SO2R」ではその良い状態のものを具現化したかったという想いがありました。

――本作は、ビジュアルの表現もかなり特徴的です。コンセプトはどのように決まったのでしょうか?

北尾:先程のお話ともつながりますが、本作から遊ばれるユーザーの皆様やPSやPSP版を遊んでくださったユーザーの皆様、みんなが満足できるものにしたいという目標が前提としてありました。

その上で考えたのが、まず原作のドットのキャラクターをもってきて、そのキャラクターたちが本当に「SO」の世界に存在していたらどうなるのか、自分がキャラクターになった時にどういう風景が見えるのか想像しビジュアライズすることが、本作のビジュアルコンセプトの始まりでした。

そこから、ドットのキャラクターにライトがあたって陰影がついて影が落ちたり、背景がフル3Dでカメラが動くようになっていたり、ワールドマップはより遠くが視認できるようになったりと、ビジュアルとしての表現を詰めていきました。

――ドットのキャラクターはオリジナル版から変えないという点が先に決まっていたんですね。

北尾:そうですね。バトルの話にも繋がってくる部分なのですが、遊びの部分を含めて、オリジナル版をある程度踏襲したかったという意味合いもあります。

――その一方で、UIやキャラクターイラストなどビジュアルは一新されています。とくにキャラクターイラストは、オリジナル版とも「セカンドエヴォリューション」とも違う方向性になっていますよね。

小牧:「SO2」の世界ってハードなSF的側面もあると思うのですが、これまではドットやアニメ風のイラストで表現されていました。今回はそのハードな側面に光をあて、現代のキャラクターとしての解像度をもたせたいという方向で、キャラクターイラストを担当する弊社の梶本ユキヒロと作り上げたものになります。

ドットキャラクターの演技は北尾さんにお願いしていますが、その演技と共にイラスト が画面に入ることで、よりキャラクターのディティールを把握できるようになります。当時皆さんが頭の中で想像していたものはこうだと我々なりに解釈し、より深くキャラクターを知っていただきたいというのが、本作のビジュアルのコンセプトになっています。

新システムを追加し、よりスピーディになったバトルシステム

――バトルシステムについてもお聞かせください。バトルにも多くの変更点が加えられていますが、どのようなコンセプトがあったのでしょうか?

北尾:ゲーム全体も含めてですが、とくに気を使ったのが、原作を踏襲はするものの、同じにはせず新しい感覚を提供するということ。なおかつ、繰り返しになりますがオリジナル版や「セカンドエヴォリューション」を遊んだ方、これから遊ばれる方の両方が楽しめるものにするということです。

具体的には、スピード感を全体的に作り直した上で、バランスやパラメータの調整も行っています。敵のHPを0にすることがバトルの最終目標なのは変わっていませんが、中間目標的な位置づけとして「ブレイク」というシステムを追加しています。シールド値を0にすることで敵が行動不能になり、一時的にクリティカルが発生するようになるシステムなのですが、特定のタイミングで一気に畳み掛けて大ダメージを与えたり、バトルの中で緩急がつくようになったのが、今回のバトルシステムの一つの特徴かなと。

控えの仲間を攻撃に参加させる「アサルトアクション」は、コンボをより伸ばしたり、敵の攻撃に割り込ませたりといった使い方もできるようになっています。

旧作のいいところは残しつつ、新しい要素を入れて爽快感や共闘感を増すといった、いくつかのポイントを押さえて新しい体験に繋げることを意識しました。全体としては、先程も触れた「当時の思い出を再現して増幅させる」というのがコンセプトになっていますね。

――オリジナル版から、使い勝手が大きく変わったキャラクターもいるのでしょうか?

北尾:どのキャラも結構変わっていると思います。技を入れ替えたり削除したりということはやっていないのですが、細部の触り心地という意味では、どのキャラクターもオリジナル版とは違うものになっていますね。全体的に遊びやすくなったと思います。

小牧:キャラクターの性能的な骨子や役割を変えるというのは、今回我々が目指したものではないですし、ファンの方も望まれていないと思うので、全体としてはどのキャラクターも使いやすくという方向性で調整しています。

――アイテムクリエイションについては、基本的な仕様は踏襲されているようですが、新たに武器に「ファクター」が付与される要素も追加されていますね。

北尾:そうですね、まだ詳しくお話することはできないのですが、素材を集めて確率でいいものが出るのを待って……という従来のアイテムクリエイションの遊びに加えて、ファクターを付与できるようになっています。自分好みのアイテムを作れるという要素が増えているので、遊びとしても結構変わったのではないかと思っています。

――「SO2」のアイテムクリエイションは、工夫次第で強力な効果のアイテムを早期に入手できるという自由度がありました。そういった遊びも引き継がれているのでしょうか?

小牧:はい、我々としても「SO2」はそういった尖った部分こそが特徴のタイトルだと考えています。オリジナル版でチャレンジできた要素は、本作でも受け継がれていると捉えていただいて大丈夫かと思います。

――先日情報が公開された、新要素となる「釣り」についてお話いただけることはありますか?

小牧:仕様などの詳細はまだお話できないのですが、経緯としては、まず本作のフィールドについて、世界を歩いて回る価値があるビジュアルにできたという手応えがありました。その上で、「エクスペルってこういう世界だったんだ」と驚いてもらうには、色々なところに冒険していただくための要素が必要になると考え、いろいろな場所で使えるアクティビティとして作られたのが、「釣り」というシステムになっています。

中身はしっかりと作りこまれているのですが、どのくらいの難易度が適切なのかなど、実装までは本当に紆余曲折がありました。実際に遊んでいただけるタイミングで、是非とも体験していただければと思っています。

「SO」シリーズを通して受け継がれてきた魅力

――「SO2」は、シリーズの中でもとくに高い人気がある作品ですが、個人的な思い出や持たれていた印象などがあれば教えてください。

北尾:当時の開発には関わっていないので、完全にプレイヤーとしての話になってしまいますが、「SO2」が発売された25年前ってインターネットもまだそこまで普及しきっていなくて、あるのは攻略本くらいでしたよね。要素も多い作品だったので、自分なりにシステムを紐解いて試行錯誤がすごく楽しかったことを覚えています。

同時に、「もっとこうなっていればいいのにな」と感じていた点もあったので、良い部分は残し、変えるべき部分は変えるという、本作の開発に活用できた部分も多かったと思います。

小牧:自分もオリジナル版の開発には関わっていないので、そちらのお話はできないのですが、自分が「SO」シリーズを担当させていただくようになってから、とにかく大勢の方々から「SO2」に関するお問い合わせをいただいたことが記憶に残っています。「SO」シリーズは、どのタイトルも沢山のお問い合わせをいただくのですが、その中でも「SO2」を通られた方というのはすごく多いんだなと実感しました。我々としてもそうですが、ユーザーの皆様にもすごく大切にされている作品だという印象を個人的にもっています。

――自分も当時オリジナル版をプレイさせていただきましたが、あの自由度の高さというのはかなり時代を先取りしていたとも思っていて。今プレイしても新鮮さを感じられる作品という印象があります。

北尾:自分は、あの自由度の中に一種の秩序があるのが面白いと思っています。「SO」シリーズ全体がそうなっているのですが、一見混沌としてそうなんだけど、実際に遊んでみると不思議と秩序を感じられるのも魅力なのではないかなと。

小牧:もし「SO2」のシステムが現代に作られていたとしても、新しいものとして受け入れられていたと我々も考えています。というのも、アイテムを作れる仕組みというのは、既にいろんなゲームで実装されていますが、「SO」シリーズのアイテムクリエイションにはすごく独特の味付けがありますよね。皆さんの記憶に残っているのは、その味付けの部分の方なのではないかと自分は思っています。

当時のクリエイターの方々が「こういう体験をさせたい」と考えた様々な要素は、その後のシリーズにも受け継がれていて、当時はもちろんのこと、今でも変わらず誇って提供できるものだと考えています。

――最後に、ユーザーの方々にとくに楽しんでいただきたいポイントなどがありましたら教えてください。

北尾:まずは一新されたビジュアルですね。当時のピクセルのキャラクターたちが、世界の中に入りこんで見える風景を具現化できた手応えを感じています。ストーリーも含め、キャラクター達が旅をしているという世界観をまず楽しんでいただければと。

もう一つはバトルを中心としたゲームシステムで、新しく追加したファクターや釣りを含めて、様々な遊びの結果がバトルに結びつくように設計しています。バトル内にも新しいアクションやシステムを盛り込んでいますが、RPGにおけるバトルって、下手をすると1000回以上繰り返して遊ぶ要素ですからね。とにかくそこが楽しくなるように力を入れましたので、是非遊び込んでいただきたいです。

小牧:自分からは具体的な機能の話をさせてください。今回、オリジナル(PS版)のキャストのメンバーで、初めてイベントをフルボイス化することができました。「Second Evolution」のキャストの方々のボイスも収録していて、キャラクターごとの切り替えもいつでもできるようになっていますので、そういった部分も触ってみていただければと思います。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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