これぞまさしく都市伝説!映画の世界観を押し広げるホラーアドベンチャー「犬鳴村~残響~」レビュー

プレイレビュー
0コメント 田中一広

ちゅらっぷすからリリースされたスマートフォン向けホラーアドベンチャー「犬鳴村~残響~」をレビュー。映画「犬鳴村」の世界観を広げるその内容について、詳しく紹介する。

「犬鳴村~残響~」はちゅらっぷすからリリースされたスマートフォン向けホラーアドベンチャー。清水崇監督のホラー映画「犬鳴村」をベースとしながら、収録されているシナリオはゲーム完全オリジナル。映画ファンはもちろん、ホラーゲームファンなら興味津々の一作だろう。ただ、本作は買い切り型の作品。なので、内容は気になるものの、なかなか購入の踏ん切りがつかないという人もいるのでは?…そこで本記事でその内容を詳しく紹介したい。

実在のホラースポットがテーマの映画「犬鳴村」

映画「犬鳴村」のベースとなっているのは、実在のホラースポット。日本最恐のホラースポットのひとつとして数えられる北九州の「旧犬鳴トンネル」がその場所だ。「旧犬鳴トンネル」周辺には地図に記載されない村が存在するという都市伝説がある。そう、その村こそが「犬鳴村」だ。

映画「犬鳴村」はこの都市伝説をベースに作られており、都市伝説で語られる要素がシナリオに反映されている。たとえば、村に立っている「コノ先、日本国憲法は適用セズ」という看板などはそのひとつだ。ただ、映画独自の要素も持っている。ゲーム「犬鳴村~残響~」はこの映画版がベース。なのでその内容は、あくまで映画内で描かれた要素に基づいている。

6人の主人公の物語を体験するホラーアドベンチャーゲーム

ゲーム「犬鳴村~残響~」は、ゲームとしてみると、基本的にオーソドックスなアドベンチャーゲームだ。背景をタップして手がかりやアイテムを獲得。ストーリーを読み進めていく。

脱出ゲームでおなじみのスタイルだが、脱出ゲームで見られるような謎解き要素は薄い。謎を解かないと先に進めない…という場所はほぼ存在しないといっていいだろう。基本的にはストーリーを読み進めることがメイン。また状況によってはノベルゲームのように選択肢が挿入されたり、霊を撃退するミニゲームが挿入されたりする。これが全体の緊張感を高めているように感じた。

また、本作のビジュアルは実写。なので、映画のイメージそのままプレイすることができる。映画で不気味な迫力を持っていた犬鳴トンネルや犬鳴村をイメージそのままに体験できるのは本作最大の魅力といっていいだろう。しかも、映画で描かれていた封鎖状態のトンネルと、封鎖がなくなった状態のトンネル、両方とも体験できる。また、呪いの電話ボックスの中に入ることも可能。つまり、本作は映画の追体験ができるゲームといえる。

映画の追体験と書いたが、先に触れた通り、本作のシナリオはゲームの完全オリジナル。映画の主人公たちとは異なる6人の主人公が用意されている。主人公たちは、キャラクター性も様々だが、シナリオのテイストも様々。いかにもJホラー的なストレートな恐怖から、コミカルなギャグ系ホラーまで体験できる。このため、最後で飽きずにプレイできるだろう。また、この「多彩さ」もまた、本作の強い魅力になっていると感じた。

映画の世界観を押し広げる「犬鳴村~残響~」

実は、筆者は映画「犬鳴村」をそれほど怖いとは感じなかった。これには2つ理由がある。ひとつは、清水崇監督作品ということで先入観を持ってしまったこと。清水崇監督といえば、映画「呪怨」の監督。そして、筆者がこれまで観た中で最も怖い映画だと考えているのが「呪怨」だ。なので、「呪怨」に匹敵するような恐怖を「犬鳴村」に求めてしまった。しかし、映画「犬鳴村」は、「呪怨」とは異なる方向性の恐怖を描いた映画だ。

映画「呪怨」冒頭では、「呪怨」という言葉の説明として、「つよい怨みを抱いて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、「業」となる。その呪いに触れたものは命を失い、新たなる呪いが生まれる。」という文章が提示される。この言葉の通り、「呪怨」が描いている恐怖は、「積もり積もっていく恐怖」。呪いに近づくものは、伽椰子・俊雄によって殺される。この積み重なり。とてもシンプルな恐怖だ。

一方、都市伝説がテーマだけあって、「犬鳴村」は「拡散する恐怖」を描いている。都市伝説とは、拡散…つまり、人から人へ伝えられる過程で伝言ゲームのようにその形が微妙に変化していく。このため、映画ではなく現実の心霊スポットである「犬鳴村」についても、様々な「いわく」が存在しているわけだ。このため映画も、犬鳴村の幽霊、溺死によって殺される人たち、犬人…など、多くの要素が詰め込まれている。恐らく、詰め込み過ぎで怖さが半減してしまったという人もいるだろう。…というか、筆者がそんな一人だ。

しかし、そんな人こそ本作「犬鳴村~残響~」をプレイして欲しい。本作をプレイすることで、映画「犬鳴村」はまさしく「拡散する恐怖」の形を得る。なぜなら、ゲームオリジナルで用意された6人の人物によって、ストーリーが描かれるからだ。異なるタイプのストーリーが、6つの新たな視点から描かれる様子はまさに都市伝説そのもの。このことを示すかのように、シナリオによって犬鳴トンネルの落書きが変化するのも素晴らしい。

筆者のオススメは映画→ゲーム!

本作をプレイするとして、映画からプレイするか、ゲームからプレイするか悩む人もいるだろう。ズバリ、筆者のオススメは映画→ゲームだ。映画で観た「犬鳴村」の姿が、ゲームで様々な角度から描かれ、都市伝説としての奥深さを獲得していく様子を是非味わってほしい。なお、ゲームから先にプレイしたとしてももちろん楽しめるとは思うが、できれば映画「犬鳴村」も鑑賞した方がいいだろう。その方がより楽しめると思う。何より、映画で主演している三吉彩花さんがとても美しい。恐怖シーンが苦手という人は「恐怖回避ばーじょん」での鑑賞がオススメだ。清水崇監督の次回作、映画「樹海村」にも期待しかないぜ!

※画面は開発中のものです。

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