声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第27回はANIPLEX.EXEより配信中のPC用ノベルゲーム「ATRI -My Dear Moments-」「徒花異譚」を紹介します。

この連載でも度々探訪させていただいているゲームジャンルといえばアドベンチャーゲームや、ノベルゲーム。私自身が昔からそういったテキスト主体の作品を好んでプレイし影響を受けていたこともあり、大人になっても常にアンテナを張っているジャンルです。
そんなジャンルに、今年また新しい風が吹きました。
「ノベルゲームだから、おもしろい」というフレーズと共に「ANIPLEX.EXE(アニプレックスエグゼ)」のブランド発足です。
さまざまなアニメーションを製作されているアニプレックスによるノベルゲームブランド!作風の違う二作を同時配信!なんと低価格!期待しないわけがない!
更に「ATRI -My Dear Moments-」はフロントウイング&枕の制作。「徒花異譚」はLiar-softの制作ということで、ノベルゲーム愛好家の方も「おっ!」と興味を惹かれた方も沢山いるのではないでしょうか。
今回はANIPLEX.EXEより配信された、そんな完全オリジナルの新作を二本探訪いたします。
「ATRI -My Dear Moments-」とは?
「沈みゆく世界で、君をみつけた。」
原因不明の海面上昇によって、地表の多くが海に沈んだ近未来。海に沈みゆく穏やかな町で、少年とロボットの少女の、忘れられない夏が始まる――。
「ATRI -My Dear Moments-」は、フロントウイング・枕の共同制作によるノベルゲーム。海に沈んだ世界を舞台に、ロボットの少女と義足の少年が忘れられない夏を過ごす。
探訪する一作目は「ATRI -My Dear Moments-」。海底からサルベージされたロボット、アトリと主人公斑鳩夏生のひと夏の物語です。
水没したかつての町に潜水艇で潜るのが音楽と相まってノスタルジックな気分にさせます。そして、送電が停止されているため作中のキャラクターたちは電気のない生活を送っているのですが、夜は暗く、不便さを体感させられます。近未来の物語でテクノロジーの発達に感心しつつ、一方で現代の私たちより不便な生活を余儀なくされているアンバランスさは「ATRI -My Dear Moments-」の魅力です。
主人公の夏生は年齢的には学生。アトリとともに学校にも通うことになるのですが、そこはほぼ廃校状態の学校。久々に再開した幼馴染や年下の少年少女、不愛想な男友達と共に子供だけの学校生活を送ることになります。はじめは学校に行くことにさえ乗り気ではなかった夏生が少しずつみんなと打ち解けていく過程は必見です。友達や仲間っていいもんだなぁ。こんな学校生活を送ってみたくなりますね。
女の子が出てくるノベルゲームといえば…女の子との交流。
夏生を気にかけてくれる幼馴染の神白水菜萌。気立てが良くてナイスバディ。非の打ちどころのない優しく可愛い女の子です。
そしてもう一人がロボットのアトリ。アトリは夏生の右足として常に側にいるので二人きりの同居生活でドキドキハラハラの楽しい日々が送れます。
ほんの少しネタバレになるのですが、アトリといえば歯磨き。他にもおススメイベントはあるのですが、三宅麻理恵としては「ATRI -My Dear Moments-」は歯磨きゲーム。歯磨きの大事さを教えてくれるゲームです。あと電気。
アトリの歯磨きセット、グッズで発売されないかなぁ。※
※8月17日(月)まで商品化希望アンケート実施中です。
https://aniplex-exe.com/special/questionnaire/
「徒花異譚」とは?
「これは、咲かぬ“はな”の物語――」
記憶喪失の少女・白姫と謎の少年・黒筆は、絵草子の中の世界「徒花郷」の中で、日本のお伽話を渡り歩いていく。歪んだ物語を修復していく先に、二人がたどり着く結末とは――。
「徒花異譚」は、Liar-softの制作によるノベルゲーム。少年と記憶喪失の少女が、お伽話の世界を渡り歩き、歪んだ物語を修復していく。
探訪する二作目は「徒花異譚」。現代より少し昔の時代、御伽噺を渡り歩いていくのですが、色味や絵柄のタッチがまさに童話、御伽噺の世界観を彩ってくれます。はじまりの視点は白姫ですが、物語としては二人で御伽噺の歪みを修復してゆくW主人公です。白姫の愛らしさ、黒筆のヒーローのような佇まいに惚れ惚れします。
何といっても私たちが子供の頃から幾度となく読み聞かされた御伽噺を白姫と黒筆と共に間近で見られるのが面白い。「花さかじいさん」のシロはやはり想像していた通り愛らしく登場すると和みます。しかし、その後のお話を思うと少し切ない…。
そして「浦島太郎」は、乙姫が案内人として白姫と黒筆を導いてくれるので、私たちが知っている御伽噺では語られることのなかった視点での「浦島太郎」を味わえます。浦島太郎を竜宮城でもてなしている時、そして玉手箱を浦島太郎に渡して見届けた時、乙姫は何を思っていたのでしょうか。
他にも「うりこ姫とあまのじゃく」「桃太郎」の御伽噺を渡り歩きます。
「徒花異譚」は「ATRI -My Dear Moments-」と比べると選択肢が多く出現します。虫食いで続きが失われてしまった御伽噺をどのように綴るかは白姫とプレイヤーの選択次第。本来の御伽噺にするのか、その時に生まれた感情を反映させるのかにより変化します。時に想像もしなかった残酷な展開にも…。どんな結末になろうと、白姫と黒筆の二人は御伽噺を修復し続けてゆきます。二人の結末ははたしてどうなるのでしょうか。是非あなた自身で選んだ結末を見届けてください。
それぞれのゲームのボリュームは小説二~三冊分なのでプレイ時間は短くはないけれど大長編ではないという個人的に遊びやすい長さ。しかしロープライスと考えるとボリュームは多いのではないでしょうか。満足度も高く歴戦のノベルゲーマーも満足、初めてのノベルゲーマーにとっても、とっつきやすい二作です。
どちらから先に遊んでみようかと悩むようならば、個人の感想になりますが〈女の子とドキドキしたい・青春・潜水・SF・歯磨き〉という単語に惹かれたら「ATRI -My Dear Moments-」、〈御伽噺・墨汁・和風・儚い・着物〉という単語に惹かれたら「徒花異譚」からプレイしてみるのをおすすめします。
SteamとDMM GAMESでの配信なので、今までそちらを利用したことのない方も初めてのPCでのノベルゲームにいかがでしょうか。
ANIPLEX.EXE公式サイト
https://aniplex-exe.com/
「ATRI -My Dear Moments-」公式サイト
https://atri-mdm.com/
「徒花異譚」公式サイト
https://adabanaitan.com/
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