声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第16回はサークル・自転車創業が企画、フォージビジョンが開発し、メディアスケープより発売中のPS VRダウンロードソフト「星の欠片の物語、ひとかけら版」を紹介します。
目次

2018年の春はあったのかしらん。暦では例年通りの記載になっていますが毎日気温の変化が目まぐるしく、汗かきの私は早々にクローゼットの衣替えを行いました。夏服に。寒い夜用に秋用のカーディガンも併せて。
しかし、四季を感じられたものといえば植物でしょうか。桜を見て春を感じ、サツキを見かけて季節の移り変わりを感じる…。空想や想像で生まれるものもありますが、経験や体感があるからこそ、より感情移入してしまって没入できる物事も沢山あります。PlayStation VR(以下、PS VR)も、プレイヤー自身が今まで経験してきたことによって、同じゲームをしているのに感じ方はまさに千差万別だなぁ、と思う事が多くてプレイレポートを聞くのが楽しいです。
さて、PS VRが発売されて早数年。今年の春には新価格で少しお手頃な値段になり、この機会に購入されたり検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。このコラムでもPS VRは発売前から度々取り上げさせていただき、いつもチェックをしていましたが、VR技術を駆使した様々なゲームがリリースされています。今回はそんなPS VRゲームの中から、VR専用コミュニケーション謎解きアドベンチャーゲームの「星の欠片の物語、ひとかけら版」を探訪させていただきます。まずは探訪前に私と「自転車創業」のお話からさせていただこうと思います。
自転車創業はゲームソフト開発を目的として2000年1月に設立された企業。
当時からノベルゲームが好きだった私は、ただ読み進めているだけではクリアできない新しいゲーム性のノベルゲームがあると知り衝撃を受けたのが2001年に発売された「空の浮動産」です。ゲーム内で得た情報を管理し、物語中の特定の場面で該当する記憶を選択していると物語が進んでゆくという斬新なシステムでした。
ファンタジー色が強い「あの、素晴らしい をもう一度」、色のない世界で冒険する「ロストカラーズ」等々、私の学生時代のゲームライフをたくさん彩ってくれた作品ばかりです。そんな斬新な自転車創業のノベルゲームにはさらに、音や言葉やシステムさえ巧みに利用した謎解きも特徴的です。それらが合わさって、謎が解けた時の快感やクリア後の達成感の心地よさや余韻を残す物語の結末が私の心を掴んで離しません。
そんな「自転車創業」が製作されているということで、個人的にとても楽しみにしていた「星の欠片の物語、ひとかけら版」。面白くないわけがない。期待値は天井知らずです。
概要
星の欠片に1人の少女が取り残されている、
砕けて力を失ってしまった星からは、脱出する事も他者から認識して貰う事も出来ない、
しかし、その世界の座標軸が重なる1点にだけ、別の世界から「干渉する」事が出来る特異点が存在した、
その特異点に立っているプレイヤーは、手に入れた「他の世界を覗き見る事が出来る装置(VRシステム)」を被る事によって、平行世界に潜り込み、少女と互いを認識しあう事が出来た、
2人は力を合わせて謎を解き、星を元に戻して力を取り戻す事によって、脱出を目指す事になる、
登場人物は、やや古風な言い回しをする少女と、プレイヤーのみのシンプルな構成。少女とコミュニケーションを取りながら、謎を解いてゆきます。
見渡す限り…といっても、そこまで広い範囲で行われる謎解きではないので、ソファに座ってのプレイでもクリア可能でした。スカートや少女の胸元を覗こうなんて思ったら一概には言えないかもしれません。しかし、360度広がる世界観なので後方に視線を移すことはあります。テレビゲームなのにテレビから背を向けてのゲームプレイ。これもPS VRのヘッドセットで遊ぶ醍醐味ですね。
プレイヤーは声も物質に触れることも出来ません。唯一介入できるとすれば視線を送ることのみ。視線で周囲のものを指し示すことで、少女が物を持ち上げたり資料を持ってきて見せてくれます。プレイヤーとコミュニケーションは取れるものの、宇宙のどこかの星の欠片に立った一人ぼっちで佇む少女。状況的に物悲しい情景ですが、明るい口調で少女が話しかけてくれてくれるからか、温かみを感じました。
少女の愛らしいリアクションや、プレイヤーとの会話で生まれる喜怒哀楽が豊かなのも魅力的。目は口ほどに物を言う、といいますが、言葉を交わせないことでのストレスは全く感じさせられませんでした。
字幕のON/OFFも設定できます。イヤフォンを使用してのプレイだと、距離感や音の厚みの臨場感が際立ちますのでオススメ。さらに没入感を演出するなら字幕をOFFにするのもいいかもしれません。しかし、字幕ならではの表記にも注目したいところなので悩ましい所です。
【全てはVRのための設定とシナリオとゲームデザイン】と謳う本作。本作はプロローグ版ということで、物語自体はややコンパクトな内容ですが、充分にゲームを一本クリアした満足感を得られる作品です。謎解きの過程やプレイ中に思った事、物語についてなど、全てが自分の主観(視界)で進行するのでプレイヤー一人一人の今作の感じ方は様々ではないかと思います。これから「星の欠片の物語、ひとかけら版」に触れられる方々の反応を楽しみにしながら、ひとかけら版以外のバージョンが作られるのか、今後の続報に期待しています、
三宅麻理恵さんプロフィール

生年月日:1985年6月7日
出身:大阪府
趣味:読書・落語・ゲーム
主な出演作品:「輪るピングドラム」萩野目苹果 役、「銀の匙」御影アキ 役、「緋色の欠片」春日珠紀 役、「アイドルマスターシンデレラガールズ」安部菜々 役
(C)Jitensyasougyou Inc. Licensed to and published by Mediascape Co., Ltd.
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー