アクティブゲーミングメディアとソニーコンピュータエンタテインメント(SCE)が協力しながら進めている、PS Storeを通しての国産インディーズゲームの配信事業。今回はSSJ品川ビルで行われた「PLAYISM」パブリッシングタイトルのお披露目体験会にて今後の動向などを訪ねてきた。
「PLAYISM」は、アクティブゲーミングメディアが運営しているPCゲーム配信プラットフォームで、国内および国外のインディーズゲームを幅広く取り扱っている。そして昨年12月より、インディーズゲームの人気作品「TorqueL」や、Gamerでも紹介させてもらった「マシナリウム」などを引っ提げ、プレイステーションプラットフォームでのパブリッシング展開を開始した。
今回SCEと協力して行われることとなったお披露目会では、フルプライス顔負けのハイクオリティを誇るゲームタイトルはもちろん、両社とインディーズクリエイターの協力体制や、PSプラットフォームで展開(もしくは展開予定)するにあたってのコメント、さらにデジタルハリウッド大学の学生が制作したタイトルの発表などを聞くことができた。
今盛り上がりをみせている国内インディーズゲーム業界の熱量を、この機会に知っていただけたら幸いである。
「PLAYISM」パブリッシングについて
PLAYISMによるPSプラットフォームに向けたパブリッシング事業はおよそ2年前、SCEとの協力関係の構築からスタート。国内における実質的な展開は昨年12月となり、第1弾「TorqueL」を皮切りに、「マシナリウム」、「Prismatic Solid」、明日3月5日より配信される「クロワルール・シグマ」、そして3月19日に配信されることが決定した「アスタブリード」と、年明けから破竹の勢いを見せている。
しかし、こういったインディーズと密接に関係したゲームパブリッシング事業は国内ではあまり事例のないケースで、どのような課題や制約が降りかかってくるのかも分からない場所から、両社ともに全て手探りで進んできたという。元々アクティブゲーミングメディアはPCメインの国内タイトルの配信、国外タイトルの翻訳および配信が主な事業であったため、パブリッシングというものがどう進めていくものかも最初の内はあやふやであったようだ。
また、同席したSCEの伊東章成氏によると、「プレイステーションでインディーズを出す」という課題に関しても、インディーズクリエイター(個人・同人サークル含む)の作品は自由創作であるため、色々難航する部分も出てきたとのこと。水谷氏らアクティブゲーミングメディア側の「数人でプレイステーションでゲームが出せるのか?」という思いからはじまり、両社による協力体制が整えられ、一つ一つを判断しながら進んできた結果、昨年よりようやく軌道に乗ったこのパブリッシング事業。
今後は各作品のクリエイターたちとの話を通し、移植・リメイク・ローカライズなどの配信するにあたってのポイントを判断をしながら配信していくとし、同時にSCE側もPS Storeの運営チームと協議しながら、プレイステーションなりのアプローチで配信タイトルをフィーチャーしていくと展望を語ってくれた。
「TorqueL(トルクル)」
「TorqueL」は、箱の回転させ、変形させ、ゴールを目指していくシンプルかつ奥深い2Dアクションゲーム。制作サークル・FullPowerSideAttack.comが2013年にプロトタイプ版を公開した後、ニコニコ自作ゲームフェス、IndieCade ShowCase @ E3、Intel Level Up、文化庁メディア芸術祭などの場で好評価を博している作品だ。
製作者のなんも氏は現在、海外配信の際に多く受けた「セーブ機能が欲しい」の声に応え、PS4/PS Vita(PS Vita TV)版にセーブ機能を付けるパッチの作業を進めているとのこと。
PSプラットフォームでの配信に関しては、過去にゲーム業界で働いていた知識を活かして進めようとしたものの、個々人でパブリッシングを進めることの規模感が把握できず(関係者一同の思いであった様だが)、“知っているつもりで実際は分からない”に陥り、最後の方は喧々諤々の思いで進めていったという苦労話も。
今後の見通しについては、「1つをやって0から考えるスタイルなので、まだ何をやるかは決めていません。次はビデオゲームですらない可能性もあり、個人的にはアナログゲームやVRなどにも興味があるので、フワッとしながら模索中です」としていた。
「Prismatic Solid」
「Prismatic Solid」は、Yo1 Komori氏の個人開発タイトルで、BGMをゲームミュージック界の巨匠・細江慎治氏と佐宗綾子氏が担当した、アーティスティックな映像表現が魅力のシューティングゲーム。
大いに目を惹くカラフルなビジュアルはもちろん、ゲーム中に変更可能な6種類の武器も特徴的。武器は「ホーミング」「3WAY」などがあり、武器変更と同時に弾消し効果を持つビットがそれぞれのフォーメーションに変形するため、攻防の隊列を見極めるのが重要だ。
Komori氏は個人で開発しながら、ゲーム業界で日々スマートフォンゲーム/コンシューマゲームの開発を担当している。本作は元々Xbox 360で配信されていたが、PLAYISMがPSプラットフォームで配信を行うという話を聞くやいなや、直ぐにメールで「PS4で出したいです!」とアプローチを取り、そこから配信までの道程をスタートしたという。現在は海外版の準備を進めながら、その後に本作の続編やスマートフォンアプリの制作、最終的にはPS4独占タイトルを出していきたいと展望を語ってくれた。
ちなみに本作、ゲーム中に表示されているユニットは全てプログラミングによるグラフィック生成で描かれており、Komori氏は「プログラマーの人にプレイしてもらいたい」とコメントしてくれた。
クロワルール・シグマ
「クロワルール・シグマ」は、同人サークル・souvenir circ.が開発した、4人の少女が魔法剣を用いてモンスターを次々となぎ倒していく、一騎当千ハイスピードアクションゲーム。それぞれ異なるバトルスタイルと4つの武器を組み合わせにより、独自の戦い方でプレイを楽しむことができる。
本作は2008年に同サークルがリリースした作品をPS4向けに組み直し、さらにチューニングしたリメイク作品となっており、そのビジュアルからして今回のラインナップでは“最も日本らしいゲーム”といえる。王道アクションを保ちつつ、アクションゲームが好き過ぎる人ならではのこだわりと、魔法少女大好きな趣味が迸る本作は、SCE側も「アジア展開での相性が良さそう」としていた。
なお、PS4版にあたって凛氏は、「テレビ画面で動くこと、皆が同じ環境で遊べることが嬉しかったです。PCはスペックやコントローラーの環境でグラフィックを抑えたり、操作系を考慮しなければいけないので」と述べた。
また、働きながらゲームを作っているとSCEの就業時間が終わっているなどの苦労話や、今後については「PS4向けゲームが製作ができたので、今回のノウハウを生かして内々でPS4向けゲームを作りたい」としていた。
「アスタブリード」
「アスタブリード」は、同人ゲームサークル・えーでるわいすが開発した、ドラマチックロボットアクションシューティング。本作は2013年12月末のコミックマーケット85で販売されたPC向けタイトルで、海外ではさまざまな場で高評価を博している。
今回はPS4版配信日が2015年3月19日に決定したことが明かされたほか、奇しくも取材日の本日3月4日に、アメリカのゲームコンテンツ展示会「Game Connection America 2015」にて2部門を受賞するという知らせが届き、製作者のなる氏も「(取材現場)今初めて聞きました」と驚きの様子であった。
本作は、横スクロールと縦スクロールが入り乱れる“2.5D”とも称すべきスタイルが取り入れられているほか、高品質な演出、グラフィック、ダイナミックなステージ構成にドラマチックなシナリオと、STG本来の面白さはそのままに、現代向けのフィーリングが存分に盛り込まれている。今回のPS4版ではグラフィック面などにさらなる磨きがかけられている点に注目だ。
SCE側もこの「アスタブリード」をインディーズパブリッシングのフラッグシップタイトルとして立て、PS Storeでも大いに宣伝していくという方針を語った。なお、なる氏においては「ようやく作業がひと段落したので、今後は『アスタブリード』とはまた違う方向性に向けてチャレンジしたいです」と抱負を語ってくれた。
デジタルハリウッド大学の学生が制作した「Bot!」
今回サプライズでお披露目された「Bot!」は、デジタルハリウッド大学・香田ゼミの卒業制作として現在開発が進められているSi-Fiスニーキングアクションゲーム。
“卒業後も商品として世に残せるクオリティを目指して”をコンセプトに、学内最高の人材を集めたという3人の開発メンバー+グラッフィカー+サウンドエンジニアこと「AimedFreedom」が手掛けているタイトルで、PLAYISMよりPS4向けに配信されることがこの場で明かされた。
水谷氏によると、インディーズゲームのクリエイターは仕事との両立や趣味化で高齢化が進んでいるようなので、若い力が大きく芽吹いてくれることは喜ばしいこととしていた。なお、「Bot!」のグラフィックやテーマ、開発目的などについてはこちらのリリース記事よりチェックすることができるので、興味がある人は目を通しておこう。
個人・学生制作のゲームが世界に羽ばたく
少人数で作っていてもクオリティーが高いゲーム、面白いゲームがたくさんあるのは周知の事実といって差し支えないだろう。しかし、日本国内のインディーズゲーム事情は明るくなってきているものの、ゲームユーザーの層には、まだその熱量が届いていないのが現状である。
日本で作られたタイトルが海外で好評を博しているのに、国内では何故かマイナーなゲームとなる。そういった環境を覆すために動いている両社のパブリッシングは、国内インディーズゲーム界隈の動向としては、類い稀にみる大きな波なのだ。
今後のパブリッシングでは、アクティブゲーミングメディアはオリジナル作品ならではの強みを押し出したり、学校との提携などで業界を盛り上げていき、SCEはPSプラットフォームのブランド力をもってして“目立たせ甲斐のあるタイトルを、しっかりと目立たせる”ことを目標に進めていくとしている。
PLAYISM パブリッシングタイトル紹介ページ
http://www.playism.jp/publishing/
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