角川ゲームスが2013年8月29日に発売したPSP用ソフト「生徒会の一存 Lv.2 PORTABLE」は、原作の持ち味を活かしながらも、完全オリジナルのストーリーを楽しめるアドベンチャーゲームだ。ここでは、本作のプレイレポートをお届けしよう。
「生徒会の一存 Lv.2 PORTABLE」は、富士見ファンタジア文庫で刊行されている人気ライトノベルを題材にした妄想アドベンチャーゲーム。
PSPで発売された本作では、ゲーム内で「『生徒会の一存』がゲーム化される?」というメタ展開を軸に、フルボイスでストーリーが展開。ゲームオリジナルストーリーのため、原作ファンはもちろんのこと、TVアニメやコミックからこの作品を知った人でも、存分に楽しめる内容になっているぞ。
かくいう筆者も、「生徒会の一存」ファンの1人であり、ニンテンドーDSで発売された「生徒会の一存 -DSする生徒会-」以来、約3年ぶりのゲーム化とあっては見逃すことは許されない! ということで、プレイしてみてのインプレッションを紹介していこう。
生徒会メンバーがフルボイスで駄弁りまくる!
本作の魅力は、生徒会メンバーにしてヒロインでもある桜野くりむ、紅葉知弦ら生徒会メンバーが、フルボイスで脱線しまくりな会議を繰り広げること。「生徒会の一存」をゲーム化する…とは言うものの、本題にまったく移らないほどひたすら駄弁りまくるのだ。その勢いは原作やアニメに負けず劣らずで、「生徒会の一存」ファンであれば、これだけでも一見の価値あり。
また、本作はさまざまな角度から会議を俯瞰して見る構図になっており、ある時は会議室全体を、ある時は個人をカメラが追いかける。会議中の生徒会メンバーのアクションも盛りだくさんで、細かい点ではあるが「見ているだけで楽しい生徒会」を作り出すことに一役買っている印象だ。
本作のストーリーは、生徒会唯一の男子メンバー・杉崎鍵の視点で描かれる。会議の合間で入る分岐は、一般的な選択肢のほかに、時間制限のある選択肢も。この時間制限ありの選択肢が特に重要で、会議が脱線する方向、しいてはストーリーが大きく変わるトリガーになっている。
時間制限ありといっても、その内容は単純明快。生徒会メンバーの無茶振りに「乗る」か「乗らない」か、あるいはさまざまな質問に「理性」で返すか「本能」で返すか、といった具合に、すべてが2択となっている。
「理性or本能」の選択肢では、本作における杉崎の能力「杉崎EYE」が発動し、例えば本能を選ぶと、なぜかカメラは机の下にまで潜入してしまう。もちろん本能を選択するばかりではストーリーの展開に幅が生まれないが、せっかくの能力だし、杉崎の「妄想目線」を存分に試してみるのもあり。
ちなみに、理性で返した場合はどうなるのかというと、さすがに机の下へ潜り込みはしないものの、視線は胸でピタリと止まってしまう。このあたりは、杉崎らしさといったところか。
1つの章の中だけでも実に多彩な分岐を見せる本作は、1周では到底すべての議題をカバーできないほど。後述するカードの収集要素もあるので、ぜひ何回も挑戦して、すべての「駄弁り」を体験してもらいたい。
集めたカードでさらなる妄想イベントを楽しもう
ゲームのエンディングを見るごとに手に入る、TCGなどで使われるようなカードも、本作を楽しむうえでは重要なシステム。これは特定のカードを3枚組み合わせることで、ゲーム本編ではまずお目にかかれないであろう妄想イベントを堪能できるというもの。
入手できるカードは大きく分けて「シチュエーション」「キャラクター」「アイテム」の3種類。これを、どのキャラクターが、どのシチュエーションで、どのアイテムを使って杉崎と絡むかを考えて選ぶ。
手に入るカードはそれぞれの章で全15枚あり、組み合わせも千差万別だが、中にはうまくデッキ構築できない組み合わせもある。「真冬といえばこのコスチュームだよね」、「深夏にはこんなシチュエーションが似合うかも」など、プレイヤー自身が妄想力を働かせることも重要だ。
なお、このカードは各章のエンディングを見れば必ず手に入るが、次の章へ移行できるグッドエンディングの場合は3枚、会議が脱線し続け、グダグダになったエンディングの場合は1枚のみもらえる仕組み。
もちろんグッドエンディングを目指したほうが効率はいいものの、収拾のつかないエンディングでも、思わぬレアカードが手に入るかも。カードをコンプリートしようとすると、自然と周回プレイが必須になるので、常識にとらわれず、さまざまなルートに入ることが大切だ。
目まぐるしく変わる会話劇はゲームでも健在
狗神煌氏が描く原作イラストに、アニメ声優陣のボイスが乗るという、なんとも不思議な感覚を味わえる本作。生徒会メンバーの駄弁りはもちろんのこと、さらに磨きのかかった杉崎の妄想力など、ファンならば見逃せない点が数多く存在する。
ボイスをすべて聞くかなど、プレイスタイルによって多少の変化はあるが、1章をクリアするのに大体2、3時間かかる。周回プレイによって会議はありとあらゆる方向へ分岐するうえ、それが全6章も用意されているのだから、ボリューム面も申し分なし。筆者自身、刻々と様変わりする議題を前に「本当に以前と同じ章をプレイしてるのか」と驚くほどだ。
見るものをグイグイ引きこむボケとツッコミの応酬、いつも以上に悪乗りする杉崎のハーレム妄想、普段とは違った表情を見せるイベントの数々、2013年の今だからこそ笑える小ネタの数々…と、「生徒会の一存」らしさを味わえる魅力が随所に散りばめられているので、ファンの人にはぜひ手にとってもらいたい。
(C)2012 葵せきな・狗神煌/富士見書房/新・碧陽学園生徒会
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