スクウェア・エニックスは、2025年12月27日・28日に東京国際フォーラム ホールAで「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2025 -Eorzean Symphony-」を開催した。本稿では12月27日に行われたDAY1昼公演の模様をお届けする。
2026/01/07 19:20 カメラマンのクレジットに関してメーカー発表に誤りがございました。謹んでお詫び申し上げるとともに、ここに訂正いたします。
本公演は、MMORPG「ファイナルファンタジーXIV」(以下、FF14)の楽曲をフルオーケストラ編成で届けるコンサートだ。10年以上にわたって積み重ねられてきた「FF14」の歴史を、音楽という軸から振り返る内容となっている。3年ぶり4度目となる日本公演だが、今回とくに印象的だったのは、楽曲群が拡張パッケージごとに章立てされ、全体を通してひとつの“冒険の回想”として再構成されていた点だ。単なる名曲集ではなく、プレイヤーそれぞれの体験を呼び起こす時間として、緻密に設計されたコンサートであったと言える。
指揮は栗田博文氏、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団とGLORY CHORUS TOKYOが担当。ゲストボーカルとして、Amanda Achen氏、Jason Charles Miller氏が参加していた。
「FF14」の旅路を振り返るオーケストラ演奏
コンサートの幕開けを飾ったのは「そして世界へ」。「ファイナルファンタジー」シリーズのオープニングテーマのアレンジ曲で、公演冒頭に本曲が選ばれたことは「FF14」というタイトルがシリーズの中で担う立ち位置を端的に示していたように思う。プレイヤーが自身の冒険が始まる前に「ファイナルファンタジー」という大きな世界へ足を踏み入れた感覚を共有する導入として、これ以上ふさわしい一曲はなかっただろう。

次に「FF14」プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が、タキシード姿のMCとして登場。「オーケストラコンサート経験者は挙手をお願いします」と呼びかけ、タンクとして周りの初心者を導いてあげてほしいとアドバイス。さらに普段ヒーラーをしている人は演奏中に泣き崩れた人のケアをお願いしますが、ヒーラー含め全員ダウンしたらLB3を使って全員を蘇生してほしい。DPSの方はDPSチェックに負けないように火力(拍手)を頑張ってと、吉田氏らしい作中のロールになぞらえたユーモアで会場は笑いに包まれ、「FF14」らしい温かな空気感で公演がスタートした。


そうして始まった「新生エオルゼア」のパートは、「天より降りし力」から開始。イベントバトルやF.A.T.E.など、さまざまな場面で使用されてきた「FF14」を代表する一曲である。今回は、新生編以降のすべての拡張パッケージを網羅する映像とともに演奏された点が興味深い。それはまるで主人公が数々の出会いと別れを経験しながら成長していく、その長い道のりを予感させる構成で、「これから冒険の振り返りが始まる」という合図のようでもあった。歴代拡張パッケージのムービーが流れるなかで、プレイヤー自身の体験が自然と呼び起こされ、思い出とステージ上の演奏が静かに重なっていく感覚を覚えた。

「希望の都」は、エオルゼアの都市国家のひとつ、ウルダハを象徴する楽曲。筆者のようなキャラクター作成時のスタート地点としてウルダハを選んだプレイヤーにとって、とくに思い入れの深い一曲でもあるだろう。映像に登場するモモディをはじめとしたNPCたちの姿が、冒険を始めたばかりの頃の空気感を鮮やかに呼び戻してくれた。そして「究極幻想」は、クライマックスであるアルテマウェポン戦を彩る楽曲であり、大迫力のオーケストラとコーラスによる演奏は、ゲーム内で聴いた印象を超えるスケール感を生み出している。「新生エオルゼア」という、文字どおり“再出発の物語”を締めくくるにふさわしい一曲を、改めて噛み締める時間となったはずだ。



「蒼天のイシュガルド」セクションとして演奏された「彩られし山麓 ~高地ドラヴァニア:昼~」では、厳しくも美しいドラヴァニアの大地を思わせる旋律が、オーケストラによってより雄大に描かれた。「Dragonsong」は植松伸夫氏が作曲した蒼天編の主題歌で、エンドロールで流れる一曲だ。今回は2022年公演でも披露されたカルテットバージョンでの演奏とのこと。「竜詩戦争」という人と竜の長く悲しき対立と和解の歴史が、繊細に浮かび上がり、物語に静かに寄り添うようなAmanda Achen氏の歌声が、蒼天編の余韻を深く残していた。



続いて披露されたのは、「メビウス~機工城アレキサンダー:天動編~」。蒼天編で実装されたレイドダンジョン「機工城アレキサンダー」の楽曲である。竜詩戦争という重い物語の裏で展開された、どこかコミカルでありながら“時間”をテーマにしたシナリオの記憶が蘇る。「蒼天のイシュガルド」という拡張が内包していた体験の幅広さを象徴する一曲であり、オーケストラで聴くことで、何度もコンテンツに挑んでいた当時の記憶が自然と呼び起こされた。

またアレキサンダーといえば“時間停止”ギミックだが、本曲の演奏中にも指揮と演奏がピタリと止まる瞬間が訪れた。何が起きたのかと客席がざわつき始めたそのとき、吉田直樹氏と「FF14」サウンドディレクター祖堅正慶氏が、まさかの“チンドン屋”姿で登場。観客席の間を練り歩くという予想外の演出に、思わず笑いを堪えきれなかった。厳かな雰囲気に包まれがちなオーケストラコンサートの場にあって、こうした「FF14」らしい遊び心とエンターテインメント性が織り込まれていた点も、本公演で強く印象に残っている。

「紅蓮のリベレーター」では、地域と物語をバランスよく辿る構成が取られていた。「塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~」は、アラミゴ解放という重いテーマを背負った土地の空気を伝える一曲であり、抑圧の中で生きてきた人々の歴史が、旋律の中に刻み込まれている。「月読命之唄」は、ヤンサを舞台とする物語、そしてヨツユというキャラクターの一生を描いた楽曲だ。紅蓮編の中でも感情の振れ幅が大きいエピソードを担っており、ヤンサのフィールド曲から始まるオーケストラ演奏と、ステージを彩る彼岸花のライト演出が、彼女の悲劇的な人生と、わずかな救いを際立たせていた。「鬨の声」では、ギラバニアやヤンサに加え、アジムステップを含めた紅蓮編全体の戦いが一気に想起。バトル映像とともにまとめ上げることで、「紅蓮のリベレーター」という拡張が描いてきた“闘争と解放”の物語を、力強く提示していた点が印象的だった。



「漆黒のヴィランズ」編に入ると、コンサート全体の空気は一段とシリアスさを増していく。なかでも「Shadowbringers」は、その変化を強く印象づける楽曲だった。Jason Charles Miller氏による力強くも哀切を帯びた歌唱が、光に覆われた第一世界を舞台に「英雄とは何か」を問い直す、漆黒編のテーマを真正面から突きつけてくる。「Tomorrow and Tomorrow」は、漆黒編エピローグを彩る楽曲として、多くのプレイヤーの記憶に残っているだろう。物語の終盤に向けて積み重ねられてきた感情が、オーケストラと歌声によって丁寧にすくい上げられ、会場全体を包み込むような響きを生み出していた。そして「To the Edge」は、漆黒のクライマックスを担う一曲であり、パッチ5.3で実装された「ウォーリア・オブ・ライト討滅戦」で、「始まりの光の戦士」という「ファイナルファンタジー」主人公を彷彿とさせる姿へと変化したアシエン・エリディブスとの戦い。その緊張感と高揚感が、そのままステージ上に持ち込まれたかのような演奏であった。



「暁月のフィナーレ」を象徴する楽曲として演奏された「Close in the Distance」と「Flow」は、世界の終焉を目前にしながらも前に進もうとする意志と、冒険の終わりの双方を内包した楽曲だ。オーケストラならではの豊かな響きによって、暁月編が描いてきた物語の到達点を旋律として静かに示していた。光の戦士の新たな旅立ちを描いた「黄金のレガシー」の最初として演奏されたのは、「山峡の涼風~オルコ・パチャ:昼~」である。フィールドの風景と冒険の空気感を思い出させる一曲であり、「暁月のフィナーレ」までの重厚な物語とは異なり、「夏休み」という題材とリンクする開放的な雰囲気が印象に残った。



「Give It All~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~」は、黄金編で実装されたレイドシリーズ「至天の座アルカディア」の楽曲だ。軽快で勢いのあるリズムとどこか挑発的なフレーズが特徴的で、強敵「ウィケッドサンダー」へと立ち向かう緊張感を鮮やかに描き出していた。公演本編の最後として「黄金のレガシー」のエンディングテーマ「Smile」が奏でられた。オーケストラで聴くことで旋律のやわらかさが際立ち、冒険の一区切りでありながら、「FF14」のこれからも続いていく旅路の空気感を整える一曲として響き渡る。


アンコールでは「終焉の戦い」が演奏。同曲は「新生エオルゼア」から「漆黒のヴィランズ」までの歴代ラスボス戦のフレーズも織り込まれた楽曲構成となっており、ハイデリン・ゾディアーク編を通して歩んできた冒険の記憶を一気に呼び起こす。公演全体を振り返るうえでも、まさに総括と呼ぶにふさわしい一曲だ。続いて披露されたのは、「黄金のレガシー」を締めくくる「記憶幻想 ~遠き日々のメドレー~」。この一曲をもってコンサートは終演を迎えた。拍手はいつまでも鳴りやまず、客席ではスタンディングオベーションで応える観客の姿も多く確認できた。



本公演は光の戦士がどのように歩んできたのかを、音楽を通してあらためて辿るためのコンサートだったと言える。各楽曲が結びついていた物語や場面、当時のプレイ体験が、オーケストラという形で再構成されることで、記憶はより立体的なものとして立ち上がり、「音楽で辿るFF14史」と呼ぶにふさわしい体験を刻み込んだ。
12月27日昼公演セットリスト
1.そして世界へ
2.天より降りし力
3.希望の都
4.究極幻想
5.彩られし山麓 ~高地ドラヴァニア:昼~
6.Dragonsong
7.メビウス~機工城アレキサンダー:天動編~
8.塩と苦難の歌~ギラバニア湖畔地帯:昼~
9.月読命之唄
10.鬨の声
11.Shadowbringers
12.Tomorrow and Tomorrow
13.To the Edge
14.Close in the Distance
15.Flow
16.山峡の涼風~オルコ・パチャ:昼~
17.Give It All~至天の座アルカディア:ライトヘビー級~
18.Smile
アンコール
19.終焉の戦い
20.記憶幻想 ~遠き日々のメドレー~
「FINAL FANTASY XIV ORCHESTRA CONCERT 2025 -Eorzean Symphony-」特設サイト
https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/ff14/concert/2025/
(C) SQUARE ENIX
カメラマン:山川哲矢
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