「オクトパストラベラー0」レビュー:群像劇からたったひとりの物語へ―「復讐と復興」をテーマにしたダークファンタジーは健在

プレイレポート・レビュー
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スクウェア・エニックスが、PC(Steam/Microsoft Store)/Nintendo Switch/Nintendo Switch 2/PS5/PS4/Xbox Series X|S向けに12月4日発売予定の新作「オクトパストラベラー0」(以下、「オクトラ0」)のレビューをお届けする。

「オクトラ0」は、ドット絵と3Dグラフィックを組み合わせた「HD-2D」が魅力の「オクトパストラベラー」シリーズの最新作だ。スマートフォン向けRPG「オクトパストラベラー 大陸の覇者」(以下、大陸の覇者)をコンソール向けに再構築したストーリーが特徴だ。本記事では「オクトパストラベラー」および「オクトパストラベラーII」の過去ナンバリングはクリア済、「大陸の覇者」は未プレイという筆者の立場から、シリーズらしさや本作ならではの要素などについて触れていきたい。

「復讐と復興」をテーマにしたダークなストーリー

「オクトラ0」は第一作と同じ「オルステラ大陸」が舞台で、ストーリーは主人公の故郷ウィッシュベールから開始。年に一度の聖火祭が催されていたが、町のどこかにあるという「神の指輪」を狙って赤き軍勢によって襲われ、祭りを祝っていた人々は殺されウィッシュベールは焼け野原となってしまう。辛くも逃げ出した主人公と幼馴染の建築士「スティア」は、町外れに住む学者「ノモス」によって助けられた後、傷を癒しながら修練を積み襲撃事件の首謀者である「三人の覇者」への復讐と、故郷の復興を誓って旅に出ることになる。

“強欲の魔女”ヘルミニア、“英雄”タイタス、“劇作家”アーギュストの三人の覇者も、神の指輪を手にしており、“富・権力・名声”を極めし者としてオルステラ大陸を支配。主人公はそれぞれが根城とする町に潜り込み、現地の協力者と力を合わせながら敵討ちの機会を狙っていく。一方で新システム「タウンビルド」に代表される旅の道中で素材を集めながら、荒廃したウィッシュベールに施設を建設し人を移住させ、かつて以上の賑わいを取り戻していくストーリーが展開していく。

「オクトパストラベラー0」レビュー:群像劇からたったひとりの物語へ―「復讐と復興」をテーマにしたダークファンタジーは健在の画像
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「オクトパストラベラー」は人間や社会の暗部と向き合うダークな物語に定評があり、シリーズを通じて描かれるのは、復讐や喪失・権力の腐敗・社会的格差などの重いテーマだ。冒険の果てに待つ結末は、悪党を退治してハッピーエンドという単純な勧善懲悪では終わらないことが多く、過酷な現実とどう折り合いをつけるかに焦点を当てる。

「オクトラ0」は覇者たちの気まぐれで次々と人が殺されたり、ヘルミニアが支配するヴァローレでは人々が「粉」と呼ばれる薬物に耽溺したりと、ドット絵じゃないとまず描けないだろうという展開が山盛り。富・権力・名声の三軸を通して、人間の欲望の際限なさと堕落を描写しており、個人的にシリーズで一番と思えるほどに重い物語と感じた。

「オクトパストラベラー0」レビュー:群像劇からたったひとりの物語へ―「復讐と復興」をテーマにしたダークファンタジーは健在の画像
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だからこそ仲間を思いやったり自らの弱さや過去と向き合ったりと、絶望や困難の中で見せるキャラクターのわずかな善意や勇気が、光として一層際立って描かれている。つまり「オクトパストラベラー」シリーズは美麗なHD-2D表現を通じ、苦難や挫折を深く描くことで善性や希望の輪郭を鮮明に浮かび上がらせる。闇と光の対比を通じて人間の複雑さを描くヒューマンドラマが魅力で、本作のテーマ「復讐と復興」はまさにその両軸を強調していると言えるだろう。

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「覇者」という言葉から察せられるように、復讐の物語の流れは「大陸の覇者」と似ているようだ。本作独自のストーリーラインは、大陸中に散り散りになったウィッシュベール住民を探す「聖火を灯す者」として用意されていた。筆者は「大陸の覇者」を未プレイだったため全編を新鮮に楽しめたが、既プレイ者はオリジナル要素があっても新鮮味を感じにくいか、それとも些細な差分まで楽しめて嬉しいかどちらに転ぶかは読めない。

特筆するべき点として、主人公の存在が挙げられるだろう。ナンバリング作品では8名の固有キャラクターから主人公を選択する形式だったが、本作ではたった一人のメインという印象が強調されている。またキャラクターメイクも行え、体格・髪型といった外見はもちろん、教わった技や好きな料理といった内面まで設定できるのが特徴だ。それに合わせてストーリーの描かれ方もこれまでは群像劇を俯瞰するイメージだったが、本作ではあくまで主人公と主人公を支える仲間という印象に思えた。

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そして特定の主人公がおらずキャラクターがガチャ排出のため、プレイヤーが操作キャラクターを固定できない「大陸の覇者」のストーリーをベースにしている弊害と思えたのが、主人公が“自ら話を回さない”ことだ。三人の覇者への復讐を決めたというのに、シナリオ上では存在感をほとんど示さない。

代わりにタイタスに対しては「ヴェルノート」、ヘルミニアに対しては「バルジェロ」などのサブキャラクターが主役として活躍。どうやら覇者たちとの神の指輪を巡るセリフが足されているようだが、シナリオとしていてもいなくても成立するバトル要員と思えるような添え物感が気になった。

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また、冒険に連れ歩いたり、所持している道具を買ったりと、NPCに介入可能な「フィールドコマンド」の立ち位置も変化している。これまでは各主人公のパーソナリティーに応じて「情報を手に入れる」、「所持アイテムを手に入れる」、「NPCを連れ歩く」など様々な行動ができたが、本作では主人公はひとりしかいないため、逆に“相手の価値観”によって行動が決定される。

特定のフィールドコマンド実行のためにパーティーを変える必要はなくなったが、それに合わせて「闇討ち」や「盗む」など、強引な手段は取れないように。従来のように数パーセントしかない確率で、強力な武器や貴重なアイテムを買うなどの手段は残されているが、シリーズ作の持ち味であった“ゲームで合法的にズルをしている”ような感覚はやや薄味に感じた。

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8人編成によってバトルの戦略性が拡張

「オクトパストラベラー」のバトルシステムは、「ブレイク」と「ブースト」という独自システムで戦略性を楽しめるのが魅力。「オクトラ0」もシリーズを踏襲しているため、一作でも過去作をプレイしたことがあったらすぐに馴染めるはずだ。「ブースト」とは毎ターン1ポイントずつ貯まっていく「ブーストポイント(BP)」を消費して、行動をパワーアップさせるシステムだ。最大でBPを3ポイント消費することで段階的に強化でき、通常攻撃では強化分だけ攻撃回数が増加、アビリティは威力や持続ターン数が増す効果がある。

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「ブレイク」は敵の弱点に対応した攻撃を繰り出すことで、「シールドポイント」を削ることが可能。シールドに表示された回数分弱点を突くことで「ブレイク」が発生し、敵は次のターンまで行動不能かつ防御力が低下する。つまり、「ブレイク」に合わせて「ブースト」を使用して高い威力を狙いたいが、「ブレイク」させるためには何度も弱点を突かなければならない。

通常攻撃に「ブースト」をして複数回攻撃をするのか、それともジワジワとシールドポイントを削り「ブレイク」まで温存しておくのか。あえてBPを溜めるために「ブレイク」しない選択肢もあり、“BPをいつ切るか”という駆け引きがシンプルなターン制コマンドバトルでありながら、プレイヤーを熱中させる要因だ。

またRPGにおける「敵の弱点を探り当てる行為」を、単なる作業ではなく戦闘の醍醐味として成立させている点もバトルデザインが光る部分だ。武器の属性は「剣/槍/短剣/斧/弓/杖/本/扇」の8種類、魔法の属性が「火/氷/雷/風/光/闇」の6種類と、合計14の属性が用意されている。バトル開始時点では何が弱点なのかは伏せられているが、該当属性で攻撃するとアイコンが開示される仕組みだ。

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弱点の並びは上記した順番どおりという規則があり、たとえば3つの弱点枠のうち、1番目が剣、3番目が短剣であると判明した場合、間に位置する2番目は槍で確定する。このようにバトルに対して「推理」する余地が用意されており、属性同士の関係性を利用して「弱点を暴く」という行為そのものをパズルのような面白みに落とし込んでいるのが巧みだ。

また本作からバトルに前衛・後衛の概念が導入され、最大8人まで参加可能になった点にも触れておきたい。まず4人パーティーから8人へ変化したメリットとして、敵をブレイクさせやすくなった。後衛も前衛と同じように毎ターンBPが溜まるため、シールドポイントを削り切るだけのBPを前衛が持っていなくても、後衛と交代することで一気にブレイクを狙えるのだ。

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さらに前衛が攻撃したあとに後衛と入れ替わるアビリティや、後衛が前衛に入れ替わったときに威力が上昇するアビリティなども存在。中には前衛を対象をしたデバフを打ってくるボスもいるが、そういった場合は主力を後衛に下げておくことで被害を低減するなど、本作ならではの戦略性が生まれている。結果的にパーティー全体を強化することが重要で前衛メンバーが固定化しにくく、RPGでありがちな“控えメンバーの影が薄い”と感じにくく、全員で戦っているという仲間意識も生まれやすかった。

「オクトパストラベラー」に何を求めるか

「オクトパストラベラー」に何を求めるかによって、「オクトラ0」の評価は大きく変わるだろう。HD-2Dで描かれる情景の美しさとダークなストーリー、ブレイクとブーストを軸とした戦略性の高いバトルといった“JRPGとしての手応え”を期待しているなら、きっと応えてくれる。

一方で、従来のように8人の主人公がそれぞれの旅路を交差させ、やがて一つの物語へと結びついていくという群像劇的な面白さを求めるなら、受け取り方はやや異なるかもしれない。主人公の立ち位置は意図的に抑制され、プレイヤーが能動的に世界へ介入していくフィールドコマンドも本作では中心とは言いにくい。つまり「JRPGとしての快感」を楽しむか、「群像劇と探索によるナラティブ性」を期待するか。どちらの軸を重視するかによって、「オクトラ0」はまったく違う表情を見せる作品になっていた。

RPGとADVが好きなフリーのゲームライター。同人ノベルゲームは昔から追っているのでそこそこ詳しい。面白ければジャンル問わずなんでもプレイするのが信条。 X:https://x.com/sigh_xyz Bluesky:https://bsky.app/profile/sigh-xyz.bsky.social note:https://note.com/sigh_xyz

※画面は開発中のものです。

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2026-01-13 10:43:28