日本ファルコムより2025年9月19日に発売予定のPS5/Nintendo Switch/Steam用ソフト「空の軌跡 the 1st」。8月5日に行われたメディアを対象としたイベントで試遊できた、本日8月21日に配信となった体験版のプレイレポートをお届けする。

本日8月21日に配信となる「空の軌跡 the 1st 体験版」では、ゲーム冒頭から序章終了まで、劇中のサブイベントや各種クエストも含めて「空の軌跡」の舞台・リベール王国でのはじまりの物語をたっぷりと楽しめるものとなっている。

メディアイベントで試遊できた時間はおよそ2時間半ほどだったが、結論から言うと序章をクリアするにはあらゆる意味で時間が足らないほどのボリュームになっていた。と同時に、リメイクによって本作がどのような進化を遂げているのかを確認するには十分すぎるほどのプレイ体験となった。その一端を紹介していきたい。
「空の軌跡」ってどんな作品?
ゲームプレイに関する話に移る前に、軌跡シリーズ未プレイの方に向けて、まずは簡単に本作の導入を紹介しておこう。
本作の物語は、主人公であるエステル・ブライト(CV:高柳知葉)とヨシュア・ブライト(CV:藤原夏海)が幼少期に出会うところから始まる。エステルの父親であるカシウス・ブライト(CV:浜田賢二)が怪我をしたヨシュアを突如として連れてくる顛末を経て、義姉弟として5年の歳月を重ねて2人は、父・カシウスの職業である遊撃士(ブレイサー)になるための試験に挑む。



序章ではその後、晴れて見習いである準遊撃士になった二人がカシウスの代わりに依頼をこなしていくことになるのだが、正直なところ今回のプレイではここでタイムアップとなってしまった。細かな部分も確認しながらではあったので参考程度に留めておいてもらえればと思うのだが、それだけ体験版の内容はボリュームがあることは保証しておく。



そんな中で、ある程度知っておいてほしいのが作中の舞台がリベール王国であることと、作中世界における重要なエネルギー源となる《導力》の存在、そして遊撃士という職業だ。
リベール王国は過去に北の大国・エレボニア帝国の侵略によって被害を受けたものの、10年の歳月を経て、女王アリシア・フォン・アウスレーゼII世のもとで平和を維持している。豊かな自然と王家の伝統が息づくその風土もあるのか、どこか牧歌的な雰囲気が漂うのが特徴となっている。

また、シリーズ全体の舞台であるゼムリア大陸全体で七耀石(セプチウム)と呼ばれる鉱石を用いた《導力》によってさまざまな産業が発展していった歴史があり、本作においてもそうした背景があることを念頭に置いておくと、作品世界を理解しやすいだろう。

そして、遊撃士という職業は、公式による説明をそのまま用いると、「地域の平和と民間人の保護」を理念に、市民の依頼を解決したり魔獣退治や犯罪防止を行っている国際的な民間組織となっている。大陸各地に支部が存在するものの、国ごとにその影響力は異なっており、リベール王国においては国民にも頼られていることが随所でうかがえる。

情報量が増したグラフィック、コメディに寄せた演出の数々
前置きはここまでにして、実際にゲームをプレイしてみて驚かされたのはそのビジュアルと演出表現だ。こちらオリジナル版未プレイ、プレイ済みそれぞれの観点から触れていく。
先述の通り、リベール王国は自然が豊かな土地となっており、そうした風土の中で各地を冒険するというところに「空の軌跡」が持つクラシックなJRPGの魅力がある。

当時はそれをキャラクターの等身に合わせてデフォルメされたルックをベースに想像で補完していたのだが、本作ではその情報量が格段に変わっている。家や街、街道といった要素がしっかりと表現されることで、作中世界がより色濃く映し出されている。その点は未プレイのプレイヤーにとっても分かりやすいところとして感じてもらいたい部分だ。

と同時に、「空の軌跡」はエステルをはじめとした個性的なキャラクターによる会話劇が面白さを生み出している部分もあり、演出表現においてもそうした一連のやり取りをブーストさせるようなややコメディ寄りな演出が多数施されている。単純なテンポという意味ではワンクッション挟まってしまうものの、動きと会話の連動によって生み出されるダイナミズムがあり、こうした点はオリジナル版のプレイの有無を問わず楽しめるところだろう。


そのほか、ゲームプレイ済みの身として印象的だったのはブライト家の作りだ。もちろん細部まで覚えているというわけではないものの、当時エステルを操作して家の中を歩き回った思い出が、今こうしてより精細になって呼び起こされるというのは言葉にできない気持ちがわきあがる。ノスタルジーに浸ることが必ずしも正しいわけではないが、記憶にあるほかの場所が本作ではどのように表現されているかだけでもワクワクさせられる。

オリジナルのゲームループをベースに細かな機能を用意
導入の部分から語りが長くなってしまったが、こうしたリメイクとしての変化はありつつも、ゲームサイクルには大きな変化はない。端的に言ってしまえば、遊撃士としてキーとなるクエストを達成することで、物語が進行していく作りだ。これは今に続く軌跡シリーズでも変わらない、シリーズ全体を通してのゲームループとなっている。

しかしながら、ここでもオリジナル版から変わった部分がいくつかある。その一つがUIや機能の洗練だ。次項のゲームシステム紹介でも触れていきたいのだが、基本的なものだけでも過去のシリーズで搭載されてきたハイスピードモードの実装、地点移動におけるファストトラベルの採用、リワード機能の実装などが挙げられる。また、ショップでの購入時などにキャラクターが表示されるようになっているなど、細かな部分にもこだわりが見て取れる。





また、マップ移動もオリジナル版から考えると情報量が多くなっており、後述のクイックバトルも含めて考えると比較的滞在時間が長くなる印象なのだが、そうした中でも旅している感覚を生み出すために道中でエステルとヨシュアの会話が挟まるなど、演出強化の取り組みが盛り込まれている。

オリジナルはある意味ですごく収まりの良い作品だったということを考えると、本作は全体的にボリュームが膨れ上がっている印象があり、それにはやはり3Dモデルならではの表現の拡張があることは間違いない。実際のテンポ感はもう少しプレイしながら確認したいところだが、体験版の範囲だけでもある程度は垣間見えるだろう。

2つの戦術を切り替えるかたちになっても変わらぬバトルの歯ごたえ
そして本記事で最後に紹介するのが本作のバトルシステムについて。これはコマンドバトルのみで進行していたオリジナル版のものとは大きく変わっているため、まずは基本的な仕組みを解説していく。
「空の軌跡 the 1st」では、フィールド上で攻撃や回避を駆使して戦う「クイックバトル」と、敵味方の行動順・位置取りを意識しながら1ターンずつ行動指示を出して戦う「コマンドバトル」の2つが用意されている。エンカウントする敵に対しては戦術を切り替えながら戦うことができ、いわゆるボス戦やクエストで登場する手配魔獣など、強制的に発生するバトルではコマンドバトルで進行していく。

「クイックバトル」のようにバトルにアクション要素を加える試みは「英雄伝説 黎の軌跡」から採用されたものだが、本作に関しては攻撃と回避の使用のみに限定した、シンプルな操作感に落ち着いている。

攻撃は連打することでコンボ攻撃のように連撃を繰り出すことができるほか、チャージゲージを溜めることでキャラ固有の技「クラフト」が発動できる(最大2回まで連続発動可能)。攻撃を当てていくと敵がスタン状態になるため、そこで一気にダメージを畳み掛けて撃破することも可能だ。

そして、回避はバックステップやローリングによって敵の攻撃を避けることができるコマンド。回避後に攻撃するとジャンプ攻撃に変化するほか、いわゆるジャスト回避が成功すると戦術のチャージゲージが最大回復するため、ジャスト回避からカウンターで攻撃を叩き込むことも可能となっている。さらに、ブレイブゲージを消費して、エステル&ヨシュアによる広範囲の必殺攻撃「コンビアタック」を発動することもできる。

敵のHPを削り切るのはそれなりに苦労するのだが、逆にプレイヤーよりも低レベルの敵が相手の場合、与ダメージ&スタンダメージが増加。さらに、レベルが5以上離れると与ダメージが2倍となり、クイックバトルで簡単に魔獣の群れを掃討できるようになるという。オリジナル版通りなら、本作はストーリー進行に応じてレベル差があるところに赴くこともあるだろうと推測できるため、そうした局面では役に立ちそうだ。

そして、AT(アクティブターン)ごとにコマンドを選択して戦う戦略バトルを楽しめるコマンドバトルは、ATボーナスの仕組みも含めてオリジナル版のコマンドバトルに近いものとなっている。基本的な攻撃に加え、クラフトやアーツを駆使して戦う仕組みも同様だ。




その上で、本作では「英雄伝説 閃の軌跡」シリーズでのリンクアタックを彷彿とさせる「ブレイブアタック」(スタン発生時およびスタン中の攻撃で仲間による追撃・チェイン・バーストが可能になる仕組み)を採用。ブレイブゲージは最大5本溜まり、追撃はブレイブゲージを1本追加、チェインは範囲攻撃になる代わりにブレイブゲージを3本消費、そしてバーストは全デバフ解除&メンバー全員による一斉攻撃で発動時にブレイブゲージを5本消費するという、仕組みとしてはほぼ同等のものとなっている。これはバトルにおけるスピードアップの狙いもありそうだ。


そのほかにも、一時的に自己強化ができる「オーバードライブ」、特定の条件下でさまざまな支援行動が発動する「サポートアビリティ」などの要素もあり、これらを駆使してバトルに挑むこととなる。

もちろんこれらの機能的な実装もリメイクならではの取り組みではあるのだが、本作においては敵側の強さが歯ごたえのあるかたちにチューンナップされている点に特にフォーカスしたい。
同行者がダメージを受けすぎてしまうとゲームオーバーになってしまうなど、当時も少し気を抜くとピンチに陥る場面が多々あり、その一つひとつに一喜一憂したものだが、本作ではそのエッセンスがしっかりと組み込まれている点が特に印象的だった。
ここに書くのは少し恥ずかしい気持ちがあるものの、筆者は今回のプレイ中で何度かコンティニューを強いられる場面があった。それも理不尽な実力差というよりは、戦略的に足りない部分があったという感じなので、むしろ撃破できたときの喜びもひとしお。そうした一つ一つの戦略の楽しさを味わえるのは素直に嬉しかった。

なお、補足として本作の戦術オーブメントは、オリジナル版同様に組み込んだクオーツの属性値によって使えるアーツが決まっていく。現行シリーズを遊んでいるプレイヤーにとっては特に懐かしい仕組みだろう。

レガシーのエッセンスとシリーズのノウハウを組み合わせたタイトルに
これまでにお伝えしてきた要素をまとめると、本作は軌跡シリーズのレガシーである「空の軌跡」のコンセプトやエッセンスを取り込みながら、軌跡シリーズが積み重ねてきたノウハウを組み合わせた、まさにハイブリッドなタイトルになっていることが、体験版の範囲からも随所に感じることができた。
筆者はこれまで軌跡シリーズは全タイトルプレイしてきていて、それぞれに楽しさも課題も感じてきたのだが、本作に関しては正直期待のほうが大きい。それはインタビューなどでもプロデューサーの近藤季洋氏が口にしていた、「空の軌跡FC」がエステルとヨシュアの旅を描いた作品であるということを開発側が意識しているであろうと感じられる点にある。
筆者も当時「空の軌跡FC」をプレイして、二人の旅をともに味わう楽しさ、その中で巻き込まれていく大きな陰謀の渦、そして最後に待ち受ける結末を経て、軌跡シリーズに惹き込まれる結果となった。それから20年以上の時を経て、再び本作が多くのプレイヤーにとってそうしたタイトルになることを願ってやまない。

以上、体験版のプレイレポートをお届けした。なお、体験版で作成したセーブデータは「空の軌跡 the 1st」製品版でも利用でき、セーブデータを引き継ぐことで一章以降の物語をそのまま楽しめるとのことなので、本記事を読んで気になった人はぜひ触ってみてはいかがだろうか。

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