6月21日と22日、埼玉県のベルーナドームにて「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~」が開催。スクールアイドルグループ「Aqours」9人での最後のワンマンライブと銘打った本公演について、22日に行われたDay.2公演の模様をお届けする。

目次
  1. 出演者(敬称略)
  2. ライブの始まりは、波音が響く会場で砂浜に書いた「Aqours」の文字
  3. TVアニメ2期メドレーから「永久hours」までAqoursの集大成を感じるステージ
  4. 「この9人で、最高のスクールアイドル、Aqoursでした!」
  5. 1stライブから見続け、国木田花丸がお気に入りのライターが語る思い出(余談)
  6. Day.2セットリスト
「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

「ラブライブ!サンシャイン!!」は、「ラブライブ!」シリーズの第2弾として、2015年にプロジェクトが始動。静岡県沼津市を舞台に、浦の星女学院で結成されたAqoursの活躍を描いた作品となっている。

アニメなどのオールメディアで展開するなかでは、メンバーの声を担当するキャストが、作中と同名のグループとしてステージに立つライブステージも恒例のイベント。Aqoursに関しては、2017年に初めてのワンマンライブ(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~」)を開催して以降、精力的に実施。2018年と2022年には東京ドームでのワンマンライブを実現したのをはじめ、2019年には単独でのアジアツアーを実施し海外公演も行うなど、国内外で人気を集めている。また、2018年には「第69回NHK紅白歌合戦」に出場した経歴も持っている。

2024年で9周年を迎えるにあたり、「Aqours 9周年 永久hours Project」と題したさまざまなプロジェクトを展開。本公演はそのひとつとして行われるもので、これまでの数々行われてきたライブイベントの集大成として、9人での最後のワンマンライブと銘打った“フィナーレライブ”として開催された。

主催者発表によれば、現地、ライブビューイング、配信を合わせて、2日間で10万人を動員。会場となったベルーナドームでは、立ち見指定や見切れ席のみならず、ステージ裏側の完全見切れ席まで販売され、それでも埋め尽くすほどの多くのファンが詰めかけた。

ちなみにベルーナドームは、Aqoursにとって初めてのドームライブとなった2ndライブツアー(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 2nd LoveLive! HAPPY PARTY TRAIN TOUR」)埼玉公演をはじめとして、3rdライブツアー(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 3rd LoveLive! Tour ~WONDERFUL STORIES~」)埼玉公演、5thライブ(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~」)、6thライブツアー(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 6th LoveLive! ~KU-RU-KU-RU Rock 'n' Roll TOUR~」)<SUNNY STAGE>と、4度開催され、過去のトークでも“セカンドホーム”との言葉が出てくるぐらいに、おなじみとなっている会場。そしてフィナーレライブの舞台として、5度目の公演が行われることとなった。

※写真はDAY1のものも含まれています

出演者(敬称略)

伊波杏樹(高海千歌役)
逢田梨香子(桜内梨子役)
諏訪ななか(松浦果南役)
小宮有紗(黒澤ダイヤ役)
斉藤朱夏(渡辺 曜役)
小林愛香(津島善子役)
高槻かなこ(国木田花丸役)
鈴木愛奈(小原鞠莉役)
降幡 愛(黒澤ルビィ役)

ライブの始まりは、波音が響く会場で砂浜に書いた「Aqours」の文字

真夏を思わせるような晴天となり、“半屋外球場”と呼べるようなベルーナドームの場内も熱気に包まれるなか、ステージのスクリーンには波が打ち寄せる砂浜が映し出され、さらに両サイドには、こぼれ落ちる砂時計の映像が目を引くものに。開演を待つ会場で、おそらく気合い入れを行ったであろうAqoursの声がかすかに聞こえると、場内も歓声と拍手が巻き起こっていた。

そして開演時間に差し掛かると、周囲をうかがうような様子で小宮さんが棒を手にして登場し、スクリーン前に設けられた本物の砂浜に“Aqours”の文字を書き記していく。ダイヤがTVアニメの作中で行った光景を場内が見守りつつ、実際に書き上がると大きな歓声が。そのあとスクリーンにはアニメのAqoursの砂文字と重なり、沼津の光景や学校に向かう千歌の姿が映し出される。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像
「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

ライブの始まりは、波の音だけが流れるステージに、メンバーたちが無言でひとりずつ身振り手振りなどアピールしながら立ち位置に着くという、静かな幕開けとなった。そしてオープニングナンバーとなったのは「DREAMY COLOR」。沼津を舞台とした初めてのキャスト実写PVが制作された楽曲でもあり、PVのなかでは砂浜で歌い踊るシーンもあるため、砂浜があるセットというのはどこかオマージュしているような光景にも思え、1曲目からして特別な意味と想いを持って歌われていると感じられるものだった。

続いた「GEMSTONE“DE-A-I”」では、ファンとともに高らかなコールで一体感を高め、展開初期からの盛り上げソングである「Aqours☆HEROES」では、ステージいっぱいにメンバーが広がり、ファンに手を振ったり、セットにある大きなみかんを手にしたりと自由な雰囲気のなかで歌い、そして「届かない星だとしても」では、特徴的なクラップも交えつつさらに熱気を高めていった。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

9人が整列し、「私たち、浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursです!」と“A”を描くAqoursポーズを決めて、ファンに挨拶。Aqoursのライブを初めて見る方や、海外から来場した方について呼びかけると、少なからずコンサートライトが振られる光景に喜ぶ一幕も。おなじみとなった個々のメンバーによるコール&レスポンスも、にぎやかさとともに、いつも以上の気合いの入ったものになっており、キャストもファンも全力で望む気持ちが伝わるものに。また衣装について、沼津市制100周年を記念して制作されたコラボイラストで、メンバーたちが着用しているものをモチーフにしていることにも触れられていた。

ライブが再開され、まず歌われたのは2ndシングルの表題曲「恋になりたいAQUARIUM」。スクリーンにアニメPVが流れるなか、「ラブライブ!」シリーズの特徴でもあるシンクロパフォーマンスを展開。曜のセンター曲でもあるため、斉藤さんが中心となって9人が軽快に歌う。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

続いての「Deep Blue」は、公式スピンオフ作品「幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-」をテーマにしたゲームタイトル「幻日のヨハネ -BLAZE in the DEEPBLUE-」のテーマソング。今回のフィナーレライブにしてライブ初披露が実現し、ヨハネ役である小林さんが中心となってのステージが展開。

さらに、これまでもAqoursのクールで大人びた姿を表現してきた「Daydream Warrior」、ステージ上でも吹き上がる炎、スクリーンにも炎が描かれるぐらいの熱いロックソング「スリリング・ワンウェイ」で、わき上がるコールも含めて熱気も最高潮に。

クールダウンを求めるかのように、幕間映像が上映。ここでは1年生メンバーによるTVアニメの名場面とモノローグ的に振り返るナレーションとともに、新規で制作されたと思われるアニメ映像も流れる形となり、そこでは3人が部室を片付けながら、思い出の物などを見て懐かしむ姿が描かれていた。

TVアニメ2期メドレーから「永久hours」までAqoursの集大成を感じるステージ

ここでメンバー紹介となるムービーの上映とともに、TVアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」第2期のスペシャルメドレーのパートがスタート。まずは、オープニングテーマの「未来の僕らは知ってるよ」で、メンバーたちが着用している衣装に着替えてのフルバージョンでのパフォーマンスを皮切りに、センターステージへ移動しつつの和風ロック「MY舞☆TONIGHT」、トロッコに乗り込みアップテンポで紡がれる「MIRACLE WAVE」、穏やかな気持ちになれる「空も心も晴れるから」、スクールアイドルの祭典「ラブライブ!」決勝大会の勝負曲で優勝を勝ち取った「WATER BLUE NEW WORLD」、2期13話の挿入歌で終盤に流れた「WONDERFUL STORIES」と、メドレーで歌い繋ぐ。とかく「WATER BLUE NEW WORLD」ではコンサートライトによる一面の青い海が広がり、その海を渡っていくかのようなトロッコで歌唱するシーンや、「WONDERFUL STORIES」において、伊波さんは2期13話で千歌が口にした言葉を披露しつつ、まっすぐに手を伸ばす光景が目を引くものとなっていた。

センターステージに9人が戻り、歌ったのは「キセキヒカル」。諦めずに走り続けてきたAqoursを象徴するような楽曲であり、段々と日が落ちて夕暮れどきとなったベルーナドームの光景も相まって、エモーショナルな気持ちにさせてくれるものだった。

3年生メンバーにスポットがあたった幕間でのアニメ映像が流れ、新規映像では3人の変わらない想いや絆が垣間見える内容が描かれる。このシーンを経て歌われたのは、3rdシングルの表題曲である「HAPPY PARTY TRAIN」。果南のセンター曲であり、スクリーンでは果南が、ステージでは諏訪さんが中心となってパフォーマンス。アニメPVにおける線路の光が伸びていくシーンにあわせて、ドームの天井に光で表現する光景も含めて印象に残るものに。

続いたAqoursの9周年記念楽曲「僕らの海でまた会おう」や、東海道新幹線60周年記念の推し旅コラボソング「僕らの旅は終わらない」は、ともにフィナーレライブで初披露となり、まだまだAqoursは進んでいくことを示すようなステージとなっていた。

そして、4thシングルの表題曲である「未体験HORIZON」では、花丸のセンター曲ということもあり、高槻さんが中心となって、アニメPVでも象徴的に描かれている蝶をイメージするかのような振り付けなどを交えながらパフォーマンス。終盤では蝶の形をした紙吹雪が舞って、会場に彩りを加えた。

2年生メンバーにスポットがあたった幕間アニメ映像が流れ、新規アニメでは「ラブライブ!」に優勝したときの写真を見て思い出に浸りつつ、未来でも面白いことが待っているという内容が描かれ、歌われたのは劇場版「ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow」の挿入歌である「Brightest Melody」。イントロが流れた段階からでも歓声が沸き上がり、アニメPVのメンバーたちとシンクロするようにAqoursとしての輝きを示すようなダイナミックなパフォーマンスで魅了していく。さらに「幻日のヨハネ」からの楽曲となる「SAKURA-saku KOKORO-saku」では、ドームの天井に桜のグラフィックも映し出されるなかで、桜が舞う春の季節をイメージできるような切なさと希望を感じられる楽曲で、フィナーレライブとして歌われることにどこかこみ上げてくるものがあった。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

落ち着いた雰囲気のなかでファンからの声援が飛び交うなか、伊波さんが次で最後の曲と告げつつ、「みなさんの心に刻んでください」と言って歌ったのは、フィナーレライブのテーマソング「永久hours」。ステージには、Aqoursの文字が書かれた砂浜が再度登場。沼津の風景と海の映像が流れるなかで、明るく楽しい気持ちにさせてくれるようなパフォーマンスで、Aqoursが紡いできた夢のような時間、そしてAqoursのことを忘れないという想いが詰まったような空間が作り出されていた。

「この9人で、最高のスクールアイドル、Aqoursでした!」

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

アンコールを求めるAqoursが起こるなか、コンサートライトによって9色の虹がスタンドとアリーナで作り上げられるという壮観な光景ができる一幕も。下にこぼれ落ちる砂時計の砂も少なくなってきたことが目に見えてわかるぐらいの状況になるなかで、ステージ袖にいるアニメのAqoursメンバーたちの姿が映し出される。ひとりずつメンバーの名前をファンが呼びかけるなかで、ステージに立った千歌と同じように、リアルなステージには真っ直ぐにファンを見つめてステージに立つ伊波さんと8人のメンバーの姿が。そして9人が円陣を組み、カウントアップとともに「0から1へ! 1から、その先へ! Aqours! サンシャイン!」と、高らかに声をあげつつ指を点に向けて掲げる。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

そんな気合い入れの言葉とともに歌われたのは、Aqours始まりの曲である「君のこころは輝いてるかい?」。これまで幾多の場面で歌われ続けてきたこの曲を、衣装もメンバーと同じくしたシンクロパフォーマンスで展開。見どころのひとつでもある、斉藤さんによる馬跳びもきれいに決めつつ、ファンのコールも含めて全力でのステージであることが伝わってくるほどのものとなっていた。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

9人がセンターステージからひとりずつ挨拶をするなかでは、笑いも起きるようなにぎやかなAqoursらしいトークも随所に見られるぐらいだったが、やはりフィナーレライブの締めくくりとあってか、エモーショナルな気持ちがあふれたトークも少なくはなかった。

小林さんは、今日が終わったらどうなってしまうのかと思っていたそうだが、自然と何もかわらないのかもしれない、と思うようになったとともに、それはファンのみなさんが愛を届けてくれたからだと説明する。そして「何1つ変わらない。Aqoursは永久になっただけ。みんなの心の中にずっとずっとAqoursは生き続けるんです。Aqoursに会いたくなったら、また会いたいって言ってください!」と呼びかけつつ「みんながAqoursに会いたくなったら沼津に行ってください!」と語る。

鈴木さんはファンに対しての感謝を送りつつ、自身が学生時代にいい思い出がなかったことを振り返り、Aqoursとしてみんなと一緒にいると、当時味わえなかった青春を感じられたと語る。そしてメンバーに対して「みんながいてくれたからこそ、ここまで10年、私も一緒に走ることができたと思っています」と、メンバーに対しても素直な気持ちを伝えるとともに、感謝の言葉を送っていた。

降旗さんは、オーディション時に“この9人で何かをしたい”と言っていたことを振り返り、10年間の軌跡すべてが、自身としてしたかったことと語る。メンバーに対しては「Aqoursのみんなとは、友達とも、戦友とも、ライバルとも言えない不思議な関係」と表現しつつ、「Aqoursと生きた日々、ラブライブ!と生きた日々は、私にとって青春です!」と真っ直ぐに語っていた。

小宮さんは、今すごく晴れやかな気持ちであることを告げ、「悔しい思いもしたけど、それも全部乗り越えて、ちゃんとAqoursのやりたいこと、頑張りたいことを9人でやってこれたから」と語る。続けて「明日からみんなとなかなか会えなくなったとしても、心はつながっている。これからも私たちのことを好きでいてもらえたら嬉しいです」と話しつつ、「私たちのこと好きですか?」との問いかけに対して、全力の声援が帰ってくると、満足そうな表情で応えていた。

高槻さんは、ファンに対してたくさんの夢をかなえてくれたことの感謝や素直な心境を語るとともに、明日からの自身としての約束を決めると口にする。「もう、もしもということは考えない。もしもあのとき、ああしてたらとか、あのときもっと素直になれてたらとか。みんなともっとしたいことはあった。でも、そういう“もしも”は全部置いていって、アニメでも言っていたように、起きることすべてを受け止めて、明日からまた新たな人生のスタートを切ろうと思います」と誓いの言葉を立てていた。

諏訪さんは、フィナーレライブが近づいていくなかでも、フィナーレという実感が全く沸かず、インタビューでも常に実感は湧かないと回答していたという。さらに、当日を迎えたDay.1でも沸かなかったことに触れつつ、「昨日も今日も、今まで行ったライブで一番汗をかいたくらい、とにかく暑すぎる」と、素直な感想を口にする。それでいても「こうやってフィナーレがめちゃくちゃ汗をかくライブって、Aqoursらしい」と語ったほか、Day.2公演において“この曲をやるのも最後”と思いながらパフォーマンスをしたことが実感なのかもしれないと振り返り「これがフィナーレという感じがしないけど、Aqoursらしいライブがフィナーレでできてよかった」と笑顔で話していた。

逢田さんは、このような素敵な仲間に出会い、素敵な場所に身をおけるとも思ってなかったと振り返り、宝物のような時間を過ごしてきたと語る。そしてAqoursについては、「みんなの心に残り続けるけど、簡単には会えなくなってしまうかもしれない。でも、Aqoursのことをみんなが好きでいてくれたら、この先もずっと思いはひとつだと思います。ちょっと距離はできてしまうかもしれないけど、みんなここを新たなスタート地点にして、それぞれの場所でいろんなことを学んで進んでいって、その先にまた出会える未来があったらいいなと思っています」と話し、「この10年間、最高に『ラブライブ!』してきたなと思います!」として、感謝の言葉を送っていた。

斉藤さんは、今の率直な感想として「寂しい」と口にしつつ、どこか自身の言葉とも、曜の言葉とも受け取れるような話し方で「私は千歌ちゃんと小学校の頃からずっと一緒に何かをやりたくて、やっとできたのがこのスクールアイドルでした。このスクールアイドルで、こんなにも素敵なメンバーと出会えて、こんなにも素敵な皆さんと出会えました!」と、お礼を述べる。そして約束はできないと前置きをしつつ、目標として“またAqoursでステージに立つこと”と掲げる。「いつかはわからない。けど、ずっとみんな、待っててくれる?そしたら、きっとまた、いつかAqoursに会えると思うから。永久で居続けられるように、私がんばるから。だから、みんなもがんばって。またいつの日か会いましょう」と、呼びかけとともに誓いを立てるように語った。

伊波さんは、自身としても初代作のスクールアイドルグループである「μ's」が大好きということにも触れつつ、Aqours展開初期のころを振り返るなかでは“トゲがいっぱいで茨の道だった”“覚悟してたけど、覚悟以上だった”と、Aqoursへの風当たりが強かったことがあったと話す。「笑えない日もあった。だけど、高海千歌ってすごく笑う人なの。太陽みたいに輝く笑顔でって言うの。それが苦しいときもあったけど、励みになることもいっぱいあった。みんなもそうじゃないかな?」と語り、客席に向けて、9人それぞれの笑顔に励まされたり、その言葉や力がなかったらここにはいなかったという人と呼びかけると大歓声がわき起こり、「その気持ちが、Aqoursを10年間導いてくれたんです!」と、力強くお礼を述べる。さらに、短い期間で終わってしまう可能性もゼロではなかったということにも触れつつ、ひとりひとりの想いが10年間導いてくれたと、みんなのおかげであると、改めて感謝の言葉も送っていた。そして、「私、胸を張ってここで言う。最高のスクールアイドル人生だった!私『ラブライブ!』大好きだから!μ'sが導いてくれた千歌ちゃんと、9人で導かれたこの景色、一生忘れないと思います」と、ときに精一杯叫びながら語っていた。その後もメンバー8人を集めて円陣を組み、忘れないことを約束するように、小指を立てて誓い合っていた。

挨拶も終わり、本当に最後の曲であるとともに、一緒に歌ってほしいとお願いをしつつ、ラストナンバーとして歌われたのは、TVアニメ2期エンディングテーマ「勇気はどこに?君の胸に!」。メンバーがトロッコに乗り込み常に手を振りつつ、ファンと一緒になって歌う。またトロッコが連結し、9人が肩を組んでファンとともに大合唱するかのように歌うシーンでは、少なからず目を赤くしているメンバーの姿もあったが、終始笑顔で歌いきっていた。

全ての楽曲披露が終わっても、トロッコから手を振り続けるメンバーに対して、「勇気はどこに?君の胸に!」のBGMにあわせて、ファンが大合唱。そのことにも感謝する一幕も。また、カメラを見つけた伊波さんが、“涙ではなく笑顔で”というメッセージを伝えるような表情と手振りをしていたのも目を引いていた。

メインステージに9人がそろって、固く手を繋ぎ合う。ファンからの歓声が飛ぶなか、伊波さんは「この9人で、最高のスクールアイドル、Aqoursでした!10年間本当にありがとうございました!」と、改めて感謝の言葉を伝えるとステージからひとりずつ降壇して締めくくった……かに見えたが、最後に改めて登場し「みんな大好きー!」と叫び、そして「沼津に帰ろう!」という言葉も聞こえるなかでステージを降りていった。

これまでも見ていて感じてきた、大規模会場でもステージの遠さを感じさせないほどのパフォーマンス力は健在で、迫力があるというだけではなく気持ちでも伝わってくるもの。軽妙なトークも含めて、どんな会場でも距離感の近さを感じられるものとなっていた。何よりフィナーレだからこその意気込みがありつつも、どこか自然体でこのステージを存分に楽しんでいる様子も伝わってくるものだった。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

私事で恐縮だが、筆者はTVアニメ1期をリアルタイムで、そしてAqoursの1stライブから見ており、またフィナーレライブのDay.1を配信で見いたことを踏まえると、この2日間の公演をもってしても、見たかった、披露してほしかった楽曲や演出があったという本音も少なからずある。ただ、それはこれまで歌ってきた楽曲や紡いできた軌跡がそれだけ多く、そして大きいことの裏返しと思うところもある。特にこのフィナーレライブでは、一貫して9人で披露する楽曲のみで構成されていたのも、“9人のAqours”を伝えたかったように感じられるところもあった。

トークのなかでは、初期の風当たりが強かったことも触れられていたが、それを乗り越えても決して順風満帆ではなく、特に5大ドームツアーや、静岡での野外ライブも新型コロナウイルスの影響によって中止を余儀なくされ、無観客でのオンラインライブを行っていた時期もあり、それを乗り越えられたのもAqoursやファンの力や思いの強さがあってこそというのが、その後のライブを見ていて感じられ、そしてフィナーレライブで改めて実感したところがある。何より、終わりの悲壮感というのは全くなく、あくまで9人としてのワンマンライブが一区切りというだけで、Aqoursにはまだこの先がある、沼津とともにあるというのが信じられるのも、10年にわたって紡いできた軌跡があってこそと思えた。

ライブが終わると、ステージ上に表示されていた砂時計の砂も落ちきったのだが、砂時計は再び逆さまになって、また砂が落ちていく様子が映し出される。それはAqoursの新たな始まり、新たな未来に向かっている、夢を追いかけ続けることを示しているように感じられた次第だ。

1stライブから見続け、国木田花丸がお気に入りのライターが語る思い出(余談)

また余談ではあるが、ライブは全編見どころというぐらいのなかでも、筆者として印象的な場面は多々ある。まず本稿はDay.2のレポートではあるのだが、前述のようにDay.1は配信で視聴しており、かつ初めて見たAqoursライブは、1stライブのDay.2だった人間として、Day.1のみ披露された、TVアニメ第1期のスペシャルメドレーのパートにおける「想いよひとつになれ」と「MIRAI TICKET」は、どうしても触れておきたい。1stライブのDay.2における「想いよひとつになれ」で起きた出来事も、そのときにサクラピンクに染まった会場の光景は今でも覚えているうえ、4thライブ(「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 4th Love Live! ~Sailing to the Sunshine~」)では、9人で歌うステージを披露していて、アニメの再現を超えた現実と感じられて興奮したこと、「MIRAI TICKET」では1期第13話のステージシーンをそのまま再現した形で披露したことに、とても感動したとともに未来への可能性をすごく感じたことを覚えており、トロッコ上であったりメドレーのショートバージョンであっても、歌われている光景を見ていると、当時感じた気持ちとともに鮮明に思い出されて感慨深かったというのがまずある。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像
「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

ほかにもいろいろと語りたいところがあるなかでも“ベルーナドームで”ということであれば、「HAPPY PARTY TRAIN」は2ndライブツアー埼玉公演で見たとき、冒頭でステージから機関車の先頭部分とともにキャストが登場するという、アニメ映像から飛び出したような派手な演出があったということが思い出されたうえ、素直に曲としてもお気に入りなので見ることができて嬉しかったこととか、「MIRACLE WAVE」は3rdライブツアー埼玉公演で歌った際、アニメでも千歌が実践したバク転を伊波さんがステージ上で披露したときの場内の大歓声と、歌い終わったあとに伊波さん自身の気持ちとも千歌の気持ちともとれるぐらいに喜びを爆発させていたことが、こちらも鮮明に思い出されたこととか、アンコールでできた客席の9色の虹は、5thライブでもあった光景であり、これを再び見ることができるとは思っていなかったこととか、なによりも完全見切れ席も含めて多くのファンが詰めかけて埋まっているネットライフドームの光景そのものも、また見ることができて嬉しかったというのがある。また会場とは関係ないところではあるが、「勇気はどこに?君の胸に!」が歌い終わったあとのBGMでファンが大合唱するところは、μ'sの東京ドームライブ(「ラブライブ!μ's Final LoveLive!~μ'sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪~」)での大合唱を見ていた人間としてもグッとくるところがあった。

そして筆者お気に入りメンバーが国木田花丸ということを踏まえても、印象的なところはいろいろとある。花丸は読書好きで、優しい性格の文学少女となっている。幕間でのアニメ映像では、茶飲料「ぬまっちゃ」を飲む花丸がかわいい、3人寄り添って眠っているときの花丸の寝顔がかわいい、さらには善子……“ヨハネ”の回想シーンで出てくる幼少期の花丸がかわいいというのもあるのだが、花丸の回想シーンのなかでもTVアニメ1期第4話をもとにしたシーンで、μ'sを特集している本を花丸読んでいるときに、星空 凛がファッションショーライブで「Love wing bell」を歌ったときのものと思われる、ウエディング風衣装をまとった姿のページで目がとまったときは、μ'sにおけるお気に入りが凛なだけに、リアルタイムで声が出たこともはっきりと覚えている。もちろんスクールアイドルに憧れを持つルビィの背中を押したことや、逆にルビィや千歌から誘われ、花丸がスクールアイドルに対する憧れを秘めていたことに気づくシーンも含めて、1期第4話は心を打たれるお話だったことが、幕間のアニメ映像を見ていて思い出された。ちなみに、さらに余談を重ねて恐縮だが、かつてサービスを行っていたスマホゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」(スクスタ)では、凛に憧れを持っていると花丸が打ち明けるシーンもあり、それがとても嬉しかったことは付記しておきたい。

話題がそれたのでライブの話に元に戻すと、花丸は歌が得意で聖歌隊に所属しているという一面もあるのだが、そのことを実感できるぐらいに、高槻さんが花丸として歌うときの抜群の歌唱力と真っ直ぐに響いてくる歌声が魅力的。そこで語りたいこともいろいろとあるのだが、どうしてもひとつ触れておきたいこととして、花丸のソロ曲を披露する機会は限られていたなかでも、6thライブツアー<WINDY STAGE>で披露した「やあ!行雲流水!?」では、高槻さんがアコースティックギターを手にして、自ら演奏する形で披露されたもの。東京ドームの大舞台でひとりスタンドマイクを前に弾き語りを行うということもさることながら、花丸がギターを弾いているようなシーンや描写を見たことがないながらも、すんなりと花丸が演奏して歌っているように感じられるぐらい、ギターを手にした花丸がピッタリくるぐらいにイメージできる光景で、花丸と歩んできた高槻さんだからこそのシーンだと感じられ、それを見ることができたのがられたのが強く心に残る思い出のひとつとなっている。

再度話しがそれたので元に戻すと、このフィナーレライブで一番印象的だったのは、やはり花丸のセンター曲である「未体験HORIZON」のステージだ。前述のように4thシングルの表題曲であり、花丸のセンターは「センターポジション総選挙」で決まったもの。そこに高槻さんの強い想いを表したシーンも見ていたところがある。

アニメPVでは、蝶をモチーフにした衣装をまとい、蝶たちが舞うなかで歌う姿が描かれている。蝶が羽ばたくような振り付けもあるのも特徴。アップテンポで素直に元気が出てくる、そして前に向かって進んでいくことを示す楽曲となっている。ちなみにアニメPVではメガネをかけた花丸の姿もあり、とても美人ということは付記しておきたい。

ライブでは、そのアニメPVが流れるなかで高槻さんを中心にパフォーマンス。キャスト9人のなかでも背が高い高槻さんがセンターに立つとすごく映えると感じられるものであり、花丸を表すような頭上で大きな丸を作るポーズやウインクといったところも目を引くところ。

もちろんこれまでも歌われる機会はあり、ライブで初披露となったのが「ラブライブ!フェス」で、しかも1曲目だったので驚いたのと同時に感慨深かったことも、6thライブツアー<WINDY STAGE>では、東京ドームという大舞台で浦の星交響楽団によるオーケストラ生演奏も加わった形で披露されてとても感動したことも、「異次元フェス アイドルマスター★♥ラブライブ!歌合戦」では、筆者も愛好している「アイドルマスター ミリオンライブ!」との共演によって披露され、夢のような光景が広がっていたという、これまで見てきたことも思い出させるもの。

常に大きく羽ばたく蝶のごとく躍動感があるステージを見せている9人が紡ぐパフォーマンスの素晴らしさを、この曲のステージから感じていたが、アニメとのシンクロがいつも以上と思えるぐらいに強いと感じられるぐらいで、それがスクリーンでわかりやすく映し出されていた、終盤で舞った蝶の紙吹雪が彩る光景、そしてラストで見せた、充実した表情で大きな丸を作った高槻さんの姿を見ていると、どこか“極まった「未体験HORIZON」”のようにも思えて、フィナーレライブの場でそれを見ることができ、そしてメンバー発表時に花丸を見て気になったところからはじまり、フィナーレライブまで見届けることができたことが、素直に良かったと心から思えた次第だ。

「ラブライブ!サンシャイン!!」Aqoursフィナーレライブレポ――9人での最後のワンマンライブで見た“10年の集大成と永久への道”の画像

なお本公演は、Day.1、Day.2共にU-NEXTにて見逃し配信を期間限定で実施。配信期間はともに7月6日23時59分(販売期間は7月6日18時)までを予定。詳細はライブ特設サイトまで。

https://www.lovelive-anime.jp/uranohoshi/live/live_detail.php?p=Aqours_Finale

またGamerのYouTubeチャンネル「Gamerチャンネル」では、Day.1公演におけるダイジェスト映像を掲載している。

Day.2セットリスト

01.DREAMY COLOR
02.GEMSTONE "DE-A-I"
03.Aqours☆HEROES
04.届かない星だとしても
05.恋になりたいAQUARIUM
06.Deep Blue
07.Daydream Warrior
08.スリリング・ワンウェイ
09.未来の僕らは知ってるよ
10.MY舞☆TONIGHT
11.MIRACLE WAVE
12.空も心も晴れるから
13.WATER BLUE NEW WORLD
14.WONDERFUL STORIES
15.キセキヒカル
16.HAPPY PARTY TRAIN
17.僕らの海でまた会おう
18.僕らの旅は終わらない
19.未体験HORIZON
20.Brightest Melody
21.SAKURA-saku KOKORO-saku
22.永久hours
ENCORE
EN1.君のこころは輝いてるかい?
EN2.勇気はどこに?君の胸に!

本業はお堅い会社の会社員。かつてはテクノロジー&ビジネス情報メディアの硬派(自称)なIT系編集記者であったにもかかわらず、ゲームエンタメ担当としてこれまで特定のキャラにスポットをあてたゲーム記事や、キャラコンテンツのライブイベント記事を書き続け、特に「アイドルマスター」と「ラブライブ!」シリーズは、10年以上にわたってあわせて100本以上を執筆。諸般の事情により、副業ゲームエンタメライターとして寄稿も行うことに。 アイマス歴は、アーケード版ロケテスト1回目からのプレーヤー。

X(旧Twitter):https://x.com/310kazuya

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー