2025年3月2日、東京・すみだトリフォニーホールにて「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」が開催された。ここでは、2nd公演(夜公演)の模様を紹介する。

目次
  1. コルニアからドラケンガルド、エルヘイムまで
  2. 「ユニコーンオーバーロード」楽曲の創作秘話
  3. バストリアス、アルビオンから再びコルニアへ
解放軍の戦いを音楽で振り返る「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」夜公演をレポートの画像

「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」は、3月8日に迎える「ユニコーンオーバーロード」発売1周年と、全世界100万本突破を記念して企画された作品初のオーケストラコンサートだ。

橘直貴マエストロの指揮のもと、TOKYO Chamber Orchestraが作品世界を彩った楽曲をフルオーケストラで演奏。通常の編成に加え、コーラスやアコースティック楽器も取り入れた多彩な音色が会場を包み込んだ。

音楽演奏のみならず、金田充弘氏をはじめとするベイシスケイプの作曲家陣と、ヴァニラウェアの野間崇史氏によるトークセッションも織り交ぜられた。

コルニアからドラケンガルド、エルヘイムまで

コンサートは、プレイヤーの記憶に鮮明に刻まれた「メインテーマ」で幕を開け、「プロローグ -暗雲-〜幕開け メドレー」へと続く。まさに物語の黎明とアレインの旅立ちを想起させる始まりだ。

本公演は、作中の解放軍が各国を巡る旅路を辿るように構成されていた。最初の訪問地はもちろんコルニア王国。「コルニアフィールド」「コルニアステージ」「コルニアバトル」と、笛の繊細な音色が特徴的な曲目が連なる。戦いの緊張感を高める「敵将との戦い」の後には、勝利を告げる「ステージクリア」のチャイムが高らかに会場に響き渡った。

解放軍の戦いを音楽で振り返る「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」夜公演をレポートの画像

アコースティックギターの温かな音色が心を癒す「平穏〜追憶メドレー」で一息ついた後は、砂漠の国ドラケンガルド、豊かな緑の国エルヘイムへと旅は続く。ヴァイオリンとフィドルが奏でる「ドラケンガルドステージ 〜 -竜を継ぐ者 メドレー」で砂漠の過酷さを表現した後、鉄琴とマークツリーの愛らしい音色で彩られた「エルへイムフィールド(昼)〜 エルへイムテーマ メドレー」へと移行。重苦しさをも覚える「ガレリウスのテーマ 〜 バルトロのテーマ メドレー」を経て、「エルへイム ステージ 〜 -魔女の言の葉- メドレー」で前半を締めくくった。

「ユニコーンオーバーロード」楽曲の創作秘話

コンサートの合間に行われたMCパートでは、声優・磯村知美さんの司会進行のもと、金田氏と野間氏に加え、ベイシスケイプの武田十季氏、リヒター氏、ドゥニ・フォンタナローザ氏が登壇し、制作の裏側を語った。

解放軍の戦いを音楽で振り返る「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」夜公演をレポートの画像
解放軍の戦いを音楽で振り返る「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」夜公演をレポートの画像

本作の楽曲は4〜5年の歳月をかけて作り上げられているが、最初に焦点を当てたのは「メインテーマ」だったとのこと。野間氏は「メインテーマが最も思い出深い。1ヶ月半ほど金田さんと綿密に相談を重ねて作り上げていった」と当時を振り返った。

この原点となるメインテーマを軸に、各国を担当する作曲家が決まっていったという。基本的には国ごとに作曲家が専任する体制だったが、武田氏が印象深いエピソードとして語ったのは、複数人で分担制作されたバストリアスの楽曲だった。フィールド曲とステージ曲を金田氏が手がけると、バトル曲を武田氏が担当し……というように、リレー形式で作曲が進められたという。異なる作曲家とバストリアスのイメージを共有できたこと、自身とは違うアプローチに触れられたことが貴重な経験だったと武田氏は述べた。

また、印象に残る曲として、リヒター氏は「悪役のテーマを書けたことが嬉しかった」と「バルトロのテーマ」を、ドゥニ氏は「ロマンチックな曲が好きで創作がスムーズに進んだ」と「契約の儀式」を挙げていた。

ちなみに、開発期間中はイラスト、ストーリー、プログラミングまでマルチな才能を発揮していた野間氏だったが、金田氏もイベントシーンの実装スクリプトを手がけ、楽曲の割り当てまで行っていたことが明かされた。本作が、職種の垣根を超えて作り上げられていったことがうかがえるエピソードだった。

バストリアス、アルビオンから再びコルニアへ

後半はアコーディオンの温かな響きが特徴的な「食卓の賑わい」と「バウムラッテ闘技場」から始まり、バストリアスの地へと場面は移る。チターの繊細かつ力強い音色が印象的な「バストリアスフィールド」から、「バストリアスバトル 〜 -一炊の夢- メドレー」へと展開した。

解放軍の旅路はアルビオンへ。厳かなコーラスが加わり神聖な雰囲気を醸し出す「アルビオン フィールド(昼)〜-大聖堂への道- メドレー」、スタッカートが効いたコーラスが特徴的な「アルビオンバトル」と続き、強国の荘厳さが音楽で表現された。

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コンサートはいよいよクライマックスへ。「アレインのテーマ」で主人公の揺るぎない決意を奏でた後、マークツリーとコーラスが織りなすロマンチックな「契約の儀式」と続く。「一角獣の覇王 メドレー」「Farde mal diavolo, ~悪を滅し、来たれり~」では、コンサート序盤と同じコルニアが舞台でありながら、まったく異なる迫力を持った楽曲が演奏され、ガレリウスとの長く険しい最終決戦の緊張感が再現された。

フィナーレは神秘的なコーラスが響き渡る「Haades, ~戴冠式~」、そして民衆の喜びを歌い上げるかのような「So We Sing 〜 Fin メドレー」。コルニア王国に人々の豊かな声が戻ってきたかのように、美しいヴォーカルがホール全体を包み込んだ。

観客席の大きな拍手に応じたアンコールでは、コンサートマスターによる繊細で情感豊かなソロが印象的な「パレヴィア島」が演奏されると、最後は本作の音楽的原点と言える「メインテーマ」が再び奏でられ、壮大な音楽の旅は幕を閉じた。

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さて、既報の通り本コンサートのCD化が決定しており、2025年6月6日に発売される予定だ。ゲームの壮大な物語とともにオーケストラコンサートの音色を再び体験したいファンは、ぜひ予約しておこう。

「ユニコーンオーバーロード オーケストラコンサート」公式サイト
https://www.ticketport.co.jp/lp/unicorn-overlord2025/

とあるIT企業でWebコンテンツ系のお仕事をしながら、個人で時おりGamerの記事や「ラブライブ!」関連の書籍等で取材・執筆しています。ゲームジャンルではアクションRPGと育成シミュレーションLove。リアルではコーヒーの香りがする本屋さんが好き。

HP:https://bakainu.net/

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