本日2月26日に実施した「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」のリニューアルについて、その経緯や制作エピソードを開発者に聞いた。
目次
「アイドルマスター シャイニーカラーズ(以下、シャニマス)」の新たなアプリゲームとして、2023年11月14日にリリースされたアイドル育成シミュレーション&リズムゲーム「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism(以下、シャニソン)」。プロデュースパート(カードデッキを駆使した育成)、ライブパート(MVとともに楽しむリズムゲーム)という2つの軸が連動する点が特徴のタイトルとなっていたが、プロデューサー(「アイドルマスター」シリーズのファンの呼称)からの反応などを背景として、リニューアルが実施されることとなった。
今回、Gamerではリニューアルのタイミングに合わせて同作の開発陣にインタビューを実施。リニューアルのコアメンバーに、いかにしてリニューアルに至ったのか、そしてリニューアルによって何が変わるのかをたっぷりとお話いただいた。

インタビュー回答者
高山 祐介氏(「アイドルマスター シャイニカラーズ」プロデューサー 兼 「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」プロデューサー)
吉川 純生氏(「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」プロデューサー)
岡部 穂孝氏(「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」プロジェクトマネージャー)
給前 瞬氏(「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」リードエンジニア)
リニューアルは2024年初頭から動き始めていた
――「シャニソン」のリリースからおよそ1年、というところでのリニューアルとなりましたが、その背景についてお聞かせください。
高山:「シャニソン」では、出会ったアイドルをプロデュースし、そうして手塩にかけて育てたアイドルをライブステージに立たせて輝かせるといった、一連の体験を楽しんでいただきたいと考え、プロデュースパート、ライブパートの双方をプロデューサーのみなさまに提供してきました。
プロデュースパートをお楽しみくださっている方も多い一方で、アイドルたちのライブシーン・MVであったり、リズムゲームを中心にゲームを楽しみたいというご意見もいただいていました。そういったプロデューサーのみなさんの反応も踏まえ、リニューアルといった発想はリリース当初からプロジェクト内でもうっすらと浮かび上がっていました。
吉川:リニューアルの相談を高山や開発メンバーとしたのは、2023年11月にリリースしてから1か月経った頃だったと思います。ゲーム内でアンケートを実施しまして、そこでプロデューサーの皆様からの楽しんでいるポイントや改善を期待したいポイントなど多数のご意見をいただきました。先ほど高山が申し上げたようなご意見が多数寄せられたこともあって、すぐにチーム内でリニューアルについて本格的に協議を始めていったかたちです。
その後、2024年に入った頃にすぐにチームメンバーで集まって、プロデュースはプロデュース、リズムゲームはリズムゲームとして遊べるようにするにはどうするかという打ち合わせを何回も重ねていきました。とはいえ、プロデュースしたアイドルをリズムゲームで輝かせるという一連のゲームサイクルにしている都合上、変更にあたってはその影響範囲がかなり大きいというところもあり、1月はその整理に時間を費やし、本格的に内容の検討に取り掛かったのは1月下旬くらいでしたが、実はリニューアル自体は短期間で何度も協議して早期に決めていました。

――リニューアルの方向性を固めるまではどのような試行錯誤があったのでしょうか? また、プロデューサーの方々の意見の中でより大事に取り組んだ部分があればお聞かせください。
吉川:リリースしてすぐに実施したアンケートの回答や、SNSで挙げられたお声なども含めて、アイドルをステージの上で輝かせるというコンセプトには定評があったものの、そこの感慨深さを得るまでに障壁を感じてしまい、本来の体験価値を届けられないままゲームが終わってしまうというプロデューサーの方も多数いらっしゃったので、端的に言うとプロデュースとリズムゲームを分けてご提供するという、ご要望いただいていた通りの方向でリニューアルを進めていきました。
ただ、先ほど申し上げた通り、ゲームサイクルを作り変えるとなるといちから開発し直すというイメージが近く、当初の計画だとリニューアル完了が2025年の9月以降になってしまうという話が出てきました。
そこからインタビューにも参加いただいている岡部さんと相談しながら、今から1年半もプロデューサーさんをお待たせするわけにはいかないため、開発の体制自体を変化させていかないといけないと考え、そこからは試行錯誤の繰り返しでした。
岡部:体制面の話として、もともと運用していく中で別に引いていた機能開発のラインがありましたので、それらとのバランスをどう取るのか、リニューアルをしようとなったときにすでに予定していた機能開発と並行しながら進めるのかを含めて、どう工数を捻出するのかというのを検討した結果、先ほど吉川さんが仰っていたような最初のスケジュール見積もりが出てきました。
それを踏まえて、もっと早くリニューアルをしないとプロデューサーさんの期待には沿えないだろうということもありましたので、そこから体制であったりやることの整理、チームメンバーの増強を含めて行いまして、最終的には2025年の2月頃であれば現実的に対応ができるだろう、というところが見えてきました。
吉川:そのように開発体制自体は見直したものの、どうしても途中からは定常のコンテンツの更新頻度の調整をする必要が生じてしまい、去年の9月に実施した生配信で高山さんから発表させていただいた通り、プロデュースエピソードの追加を隔月にさせていただいた背景もありました。
残念な思いをされたプロデューサーの方も多数いらっしゃると思い、大変申し訳ない思いを抱きつつも、その分なんとかこのリニューアルを早くできないかというところで、本当に苦渋の決断でした。
また、リニューアルには1年半以上かかってしまう中で、それとは別に短期的な解決策も考えていた中には、例えばプロデュースで誕生するフェスアイドルについて、プロデュースアイドルとサポートキャラを編成して、ボタンひとつで強力なフェスアイドルが生まれるのはどうかなど極端な改修案もありましたが、間をつなぐような小手先のアップデートをしたところで喜んでくださる方がどのくらいいらっしゃるのかという議論も重ねました。
その上で本格的に具体的な仕様策定に取り掛かったのですが、体制がどんどん出来上がっていくにつれ、実現できる範囲も増えていって、仕様が固まった部分から開発を進め、並行して新たな仕様も考えるというやり方を取ったことで、最終的には8月ぐらいまでは仕様策定にかかったという記憶があります。

プロデュースとリズムゲームを分離させる上での苦労とは?
――実際にリニューアルに取り掛かる上での問題点や、逆に手応えを感じられた点はありますか?
吉川:まずプロデュースアイドルとサポートキャラという2つある中で、それをどうやってリズムゲームに落とし込むのかという点に一番苦労しました。
サポートキャラ(Sキャラ)の性能は、プロデュースでの活用をメインに考えられていたり、プロデューサーの皆様から評価いただいているプロデュースアイドル(Pアイドル)/Sキャラを、なるべく同様の感覚でリズムゲームで活用できるようにしないと、プロデューサーの皆様が獲得されてきたPアイドルやSキャラが十分に活躍できなくなってしまう。それこそ折角のリニューアルが、プロデューサーの皆様にとってのデメリットになってはいけないと強く考えていました。
そこで、元々リズムゲームのパートに総合力を高めてよりハイスコアを目指すためのサポートメンバーという仕様があったので、そこにサポートキャラにライブ専用のステータスを追加し、そのまま編成して、ライブに寄与するような仕組みにしました。

また、プロデューサーの皆様も、プロデュースやリズムゲームで評価されていたプロデュースアイドルやサポートキャラがいる中で、ここまでゲームサイクルを変えるとゲームバランスが変わってしまうじゃないかというご心配をされていると思います。
そういったゲームバランスという部分については開発チーム一同、細心の注意を払って検討を重ねていまして、リニューアル前後で評価がまるっきり変わってしまうとか、全く活躍できないプロデュースアイドルが生まれてしまうなどといったことが極力発生しないように、バランス調整を進めるという方針は初期から立てていて、現在も最後のバランス調整を行っている最中です(※インタビュー時点)。

手応えの部分でいうと、今回のリニューアルとは別軸で、MVについては高山さん、給前さん、岡部さんたちとリニューアル前からどんどんブラッシュアップしていこうというのを方針として掲げていて、そこの手応えは着実に跳ね返ってきているという風に思っています。
そしてリニューアルさせていただくVer.2.0でもさらに磨きをかけてアップデートを行う予定なので、そういったところはぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。
岡部:今までですとプロデュースアイドルやサポートキャラが、それぞれ1つのパラメーターを持っているだけだったんですが、プロデュースパートとライブパートという2つのゲームパートに分けるというところで、プロデュースアイドルでも、プロデュースパート向けのパラメーターと、ライブパート向けのパラメーターの2種類を持つことになる。普通にやると複雑になってしまうので、そこをどう分かりやすくするのかというところが開発の上ではすごく難しかったと思っています。


一方、プロデュースとライブを分けたことによって、リリース時と比べても分かりやすいゲームサイクルになったと思っていまして、これから「シャニソン」に触れる方、リリース時に一度触れていただいた方にもぜひプレイしていただけると嬉しいなと思っております。
給前:「シャニソン」では、評価いただいているenza対応ゲーム「シャニマス」の2Dイラストのテイストを、3Dで表現するというコンセプトを採用していたのですが、その分3Dの強みを発揮しきれていない部分があったのも事実でした。
なので、今回のクオリティアップにあたっては、2Dイラストとしてのテイストや表現は維持しつつも、3Dならではの強みを加えるという方向性で検討を進めていったのですが、それをすると今度は画面上でアイドルや衣装、背景に白飛びが発生したりと、なかなか容易にはいきませんでした。3Dの強みを入れることでクオリティを上げつつ、どのように2Dイラストとしての強みも残していくかというバランス調整が非常に大変でしたね。
吉川:「シャニマス」の強みであるイラスト表現をどうやって3Dに落とし込むかというところと、アイドルたちが本当にそこにいるかのように表現するというところで、イラストとリアル、相反するコンセプトを軸に「シャニソン」では独自性を持ったものにしていこうという難しいお題をMVチームや給前さんにはご相談させていただいていました。給前さんが手応えを感じたポイントはありますか?
給前:やはり光の表現ですね。リニューアル時のアップデートではフォトリアルな部分を混ぜています。リニューアル以前のMVで採用していた、画面全体の白っぽいエフェクト表現をブラッシュアップし、リニューアル以降に登場するMVでは、イラスト調なのに立体的に見えるような光の表現を模索しました。そこは独自の強みだと思います。
また、背景のクオリティもかなり上がっていて、細かい部分までご覧いただきたいですし、密かに自信があるポイントです。ただ、まだまだクオリティアップできるポイントはたくさんあって、そういったリッチな表現も負荷軽減を並行して進めていけばモバイルでも十分に実現できると思っているので、そこは今後のアップデートでより良くしていきたいという気持ちでいます。
高山:今までお話ししてきたように、リニューアルについてはリリース初期の段階からプロデューサーのみなさんのご意見を踏まえて考えていた部分にはなりますが、リニューアルと並行してプロデュースパートの改修も進めていたり、給前さんが仰ったようにMVもプロデューサーのみなさん期待に沿えるようどんどん進化させていきたいという思いもありました。
そのほか、多くのプロデューサーさんに楽しんでいただくために、例えば端末負荷の軽減であるとか、スペックが比較的高くない端末でもより綺麗に3Dが描画できるようなアップデートであるとか、短期的に対応すべきアップデートは確実に行っていきながらのリニューアル進行ではありましたので、そういった意味では開発メンバーに負担をかけてしまったと思いますし、プロデューサーのみなさんにもお待たせをしてしまった部分があり、そこは心苦しくも難しかったポイントです。
手応えとしては、配信でも何度かリニューアルについてお伝えしてきた他、1月には実際の端末でゲーム画面をお見せしながら、プロデューサーのみなさんにご説明できたことで、リニューアルの具体的なイメージを掴んでいただいた方も多く、期待の声もいただいているところではございますので、岡部さんからもあったとおり、シンプルに直感的に楽しんでいただけるようになるかなと期待しています。
――リニューアルについて発信する機会をたくさん持たれていたと思うのですが、そのタイミングと開発の進捗というのはある程度連動しながら進めていったのでしょうか?
吉川:初めてプロデューサーの皆様にお伝えしたのは9月の末でしたが、実際には冒頭にお話した通り、高山さんと早期から検討や準備はしてきました。ただ、プロデューサーの皆様にリニューアルしますとお伝えしても、具体的に何が変わるのかが分からないとどうしてもイメージがつかないですし、逆にすべて出来上がってからリニューアル直前にすべての情報をまとめて出しても唐突に感じられてしまうんじゃないかというところはありましたので、開発体制も整って実現確度が上がって、プロデューサーの皆様にお伝えしてもある程度イメージがつくタイミングになってから、生配信を実施させていただきました。
9月の情報初出以降はプロデューサーの皆様にどのくらい内容が伝わっているかであったり、伝え方が不十分だった点はあったか、どういった部分に共感いただいているか…いった反応を、YouTubeのコメントを見返しながら振り返っていました。それを踏まえて、伝わりづらかったと感じたところは改めてご説明をさせていただいたり、プロデューサーさんがご懸念を抱かれている箇所は別の説明の機会を設けたりと、適宜高山さんと検討しながら、生配信など発信して参りました。
MVをはじめとしたグラフィックの向上はリニューアル後も取り組んでいく
――CEDECの講演などでも言及されていた通り、MVをはじめとしたグラフィックの向上はリリース後も取り組まれていたと思いますが、リニューアル前後で特に変わる部分をお聞かせください。
給前:先ほども簡単には話しましたが、背景はフォトリアルに近づいていて、アイドルの表現に関しても、(特に衣装に)反射などのリアルな表現が入っている状態になっています。フォトリアルと、アイドルたちを魅力的に見せる2Dのテイストを維持しつつ、総合的にリアルな3D表現としてうまく馴染むようなかたちで工夫を行っています。
また、アイドルのセルフシャドウ(アイドルの肌や服などに落ちる影)が結構変わっていて、今までは例えば手を顔や体の前に置いた状態でライトが入った時に、顔や体に落ち影が入るという表現をしていなかったのですが、リアルな落ち影が入るように変更しています。2Dイラストの考え方でいえば、アイドルの命でもある顔に影を落としたり暗くするといった点は避けることが多いのですが、3D表現においてはむしろ、そこにアイドルが“いる”感を感じていただけるポイントなんじゃないかなと思います。

あとは、モーションのフレーム数、カクつきといったポイントも、原因を探りながら根本的な対処をすることができたので、その点もブラッシュアップできたと思っています。
吉川:モーションに関しては、モーションキャプチャーをする際のリダクションが要因だろうと考えました。どういうことかと言いますと、モーションキャプチャーをするのは実際の人間ですし、当然リアルな人間の動きをキャプチャーし、データに変換することになります。3Dモデルに反映する際に余計な動作と思わしきものを削ぎ落として、綺麗なモーションとしてデータを成形していくのですが、そうすると、ノイズは除去でき、取り扱いやすいデータになる一方で人間らしさ、リアルな動き感も削られていくため、そういった部分のバランスを整えました。リリース初期と比べると自然な動きに近づいていると思います。
また、「シャニソン」ではユニットでの楽曲というところが売りのポイントではありますので、MVチーム、振付師の先生の皆様で話し合いをしながら、どのようにユニットの魅力を出していこうかのアイディアを出し、結果振付や演出、カメラワークなど様々な要素でできること、表現の幅が広がっていきました。給前さんが仰ったような表現の綺麗さだけではなく、ぜひそういったところにも目を向けて見ていただきたいです。

高山:グラフィックについて、技術的にもできることが増えているというところはご説明の通りですが、あとはMVの制作をしているチームも例えばカメラワークの勘所であったり、コンテの切り方であったり、表情付けであったり、それこそライティングや演出といった、演出・企画みたいな部分もどんどん進化しているなというところもありますので、テクニカルと演出の両面でどんどん精度を上げてきているのが頼もしい部分ですね。
そこはやはり「シャニソン」をお休みされているプロデューサーのみなさんご覧いただきたいなと思いますし、MVで表現されるアイドルたちの魅力を届けられるように我々も頑張っていきたいです。

――ホーム画面やコミュなどのMV以外の3D表現について、これまでに全体的な調整やブラッシュアップというのはされているのでしょうか?
高山:シナリオの作りやアドベンチャー(ADV)パートの見た目といった意味でも、どんどんやれること、表現の幅というのは広がっていると思います。
enza対応ゲーム「シャニマス」ですと、あえてキャラクターを映さずに背景だけで構成したり、間を使ったりといった演出を取り入れる事があります、「シャニソン」ではアイドルたちのモーションや表情を見せて、3D的な強みを活かさねばという風に思っていた部分がありました、ただ、背景や間をうまく使うといった演出も含めて、「シャニマス」のストーリーとしての情緒感みたいなところも上手く引き出せるようになってきた印象ではあります。
給前:技術的なところでは、ADVパートに関しては今までのアップデートでFSR(超解像度技術)に対応しています。具体的には、ADVパートで用いられているポストエフェクトと呼ばれる画面を綺麗にするような処理を、全てのADVパートでFSRに対応させました。これによって、3Dモデルの輪郭が粗く、ギザギザして見えてしまうような部分が減っていて、比較的スペックの低い端末でも綺麗さが向上しています。そういった技術的な部分は大々的にお伝えすることは基本的にはしていないのですが、実は裏側でも綺麗な見た目を多くのプロデューサーさんに届けようと頑張っている部分はありますね。
さらに、今までMVに関してはFSRを入れていない状態だったのですが、リニューアル時のアップデートでFSRに対応するかたちになるので、MVの綺麗さもさらに向上すると思います。
吉川:また、今回のリニューアル以降にはなってしまうのですが、ADVに関しては演出面だけでなく技術的にも磨きをかけていこうというところで、さらに表現の深みを出せるようなADVパートの制作基盤の開発を進めておりまして、今年の夏ぐらいには成果をお見せできると良いなと思っています。
岡部:先ほどの吉川さんの通り、アイドルの表情なども含めてですが、今までの表現とは少し違った見せ方というのを、エンジンから開発しております。今までMVで使っていたアイドルたちの表情とADVパートの表情は同一ではなかったのですが、MVの豊かな表情のバリエーションをADVにも反映できるようなかたちに改修を進めております。
給前:今までご意見をいただくこともあったアイドルの表現をしっかりとブラッシュアップしたいという思いで作っているので、お楽しみにしていただければ嬉しいです。

リニューアル後の「シャニソン」では何を楽しめる?
――リズムゲームに特化するかたちになるということですが、MV以外でプレイのモチベーションになる部分をどのように考えられていますか?
吉川:大きく分けてふたつあると思っていて、ひとつが衣装にまつわるモチベーションで、ふたつ目はスコアに関するモチベーションだと思っています。
まず衣装については、ドレスオーダーというほかのアイドルの衣装を自分の担当しているアイドルに着せ替えられる機能を去年の夏頃から常設化していて、その機能に必要なチケットを集めていただいたり、Pアイドルの特訓を最後まで進めていただくと全アイドルにその衣装を着せられたり、といったところは引き続きお楽しみいただけます。
アクセサリーや髪型、衣装など細かい要素を好きな組み合わせでカスタマイズして、アイドルに着せ替えられるという点もひとつのプロデュースであると思っていますので、この衣装だったらこの子に似合うんじゃないかといったところもどんどん追求していって、自分だけのMVを完成させていただくのも一つの楽しみ方かなという風に考えています。

また、去年の夏頃から楽曲ストーリーイベントの報酬で主に獲得できる「マスターバッジ」というものを実装していて、今だと“セーラーミズギ”という「アイドルマスター」シリーズに度々登場する衣装を獲得できるという仕組みになっているのですが、次は「シャニソン」オリジナルの衣装シリーズを提供いたします(25日の生配信で発表された「メニーハニーバニー」のこと)ので、そちらを楽しみにしていただけると嬉しいです。
ふたつ目のスコアについてはある程度ゲームに慣れてきた方々のモチベーションになるもので、いかにハイスコアを記録できたかというハイスコアレートと、ご自分のリズムゲームの腕前が評価されるテクニカルレートが用意されているので、その2点をどんどん更新していって、報酬を獲得して、というのが序盤の楽しみ方になるかと思います。
さらに、ハイスコアをより突き詰めたいという方向けには楽曲別のハイスコアランキングも提供させていただいております。各プロデュースアイドルと楽曲には、アジュール・トワイライト・スターリットという3種類のタイプを振り分けていて、この楽曲ではこの編成が有利とか、このアイドルをセンターにしたほうがいいといった微妙な差が生まれてくるので、ハイスコアをより突き詰めたい場合はアイドルの育成や編成の幅も楽しんでいただけるのではないかと。

ハイスコアレートとテクニカルレポートについて、すでに「シャニソン」を遊んでいただいている方にはリニューアルに合わせてどうなるのかと不安に思われる部分もあるかもしれませんが、テクニカルレートについては、リニューアル前後で特に変更はなく、そのまま残る形となります。
ハイスコアレートについては、リニューアル前後でPアイドルやSキャラのステータスがライブ向けに調整されることもあり、フェスアイドルを編成していたリニューアル前のスコアは一度リセットさせていただきます。その代わりに…ではないですが、報酬の獲得状況もリセットされますので、新たな編成で改めて報酬をどんどん獲得していただけると嬉しいです。

――プロデュースパートについてはメニュー自体も表に出ないかたちになっていますが、その立ち位置についてはどのように考えているのでしょうか?
高山:メニュー画面などのUI(ユーザーインターフェース)の変更は仰るとおりで、配信等でもお話している通り、まずはプロデューサーの皆様にはライブを楽しんでいただこうという考えでリニューアルを進めております。そして、ライブを経てさらにアイドルたちとのふれあいを深めていく機能としてプロデュースパートに触れていただくような流れを想定しています。

まずはPアイドルやSキャラを活用してリズムゲームをプレイいただき、先ほどご説明したテクニカルレートやハイスコアレートの報酬を獲得いただくのを目指していただき、そのうえでプレイ体験を変えたい時にはプロデュースパートでローグライク的なゲーム進行や、プロデュースカードゲームとしての体験を遊んでいただけると、また違った体験として新鮮に楽しんでいただけるかもしれないと思っております。
もちろん、プロデュースを楽しんでいただいていたプロデューサーさんがいらっしゃるのも認識しておりますので、そういったプロデューサーのみなさまが追加でプレイできるコンテンツとして、今後「シャイニーコンペティション」というものも考えております。ローグライクやカードゲームなどを好まれる方にはプロデュースは引き続き楽しんでいただけると思っておりますので、そういった方々には引き続き味の異なるコンテンツとして楽しんでいただきたいという思いがございます。

――これまで「シャニソン」ではコミュやOurSTREAMなどのコンテンツでアイドルたちをさまざまな方向性で見せていますが、リニューアル後も基本的には同様のかたちで展開していくのでしょうか?
高山:これまでOurSTREAMでは自己紹介配信を提供しています。アイドルひとりずつ配信をしていることもあり、お時間をいただいているのですが、全員分配信をいたしますので、楽しみにしていただければ嬉しいです。シナリオについても毎月リリースしている楽曲ストーリーイベントを中心に、引き続き更新をしていくものとなります。
その上で、「シャニソン」から「シャニマス」のアイドルたちを知っていただいた方に対して、まずはアイドルたちのライブやパフォーマンスを楽しんでいただいたうえで、それぞれのアイドルとの出会いやアイドルになった想いを知ることのできるストーリーの追加を考えています。先ほどお伝えしたADV表現の改修と合わせて、アイドル28人との出会いから成長する過程を、ストーリーとしてご提供する想定ですね。
具体的には、主にenza対応ゲーム「シャニマス」の「S.T.E.P.」編から「W.I.N.G.」編までのストーリーをベースに再編集をさせていただくイメージです。また、すでにenza対応ゲーム「シャニマス」で上記のストーリーを楽しんでいただいている方であっても、アイドルによってはenza版では描かれていない部分にも触れていたりしますので、お楽しみいただけるのではないかなと思います。
一方で、その兼ね合いから、プロデュースエピソードの更新については引き続き隔月での更新になってしまいます。お楽しみいただいているプロデューサーのみなさんには申し訳ないのですが、その分、良いものをご提供できるように頑張ってまいります!

リニューアルに合わせた「VOY@GER」の実装理由は?
――プロデューサーの方々はリニューアル後こそタイトルの動きに注目されるかと思いますが、現状で言える範囲でどのようなことをしていきたいと考えていますか?
高山:「シャニソン」のリリースから、MVを中心にアイドルたちが魅力的に見える表現というところはこだわってきまして、プロデューサーのみなさんにも評価をいただいている部分であると感じています。新たなMVを公開し、プロデューサーのみなさんに見ていただく度に良くなっていることをお褒めいただく一方で、ゲームはプレイしていないがMVだけご覧いただいているプロデューサーさんもいらっしゃることは感じておりました。
そんなプロデューサーのみなさんに向けて、今回のリニューアルでは、リズムゲームを通してアイドルたちの魅力により手軽に触れていただくことができるようになりますので、また「シャニソン」に触れていただく機会にできるといいなと思っております。
吉川:私からは細かなお話をさせていただくのですが、リニューアルに合わせて「VOY@GER」という楽曲をMVとして実装いたします。
「VOY@GER」が制作された「アイドルマスター」15周年のプロジェクトに当時私も関わっていたのですが、その際に作られたMVが16周年目以降の未来を描くコンセプトムービーだという話を伺っていました。こちらのMVには「シャニマス」のアイドルたちも参加させていただいていましたし、今回20周年という機会もあって、「シャニソン」がこれからリニューアルしていくというところにもピッタリな楽曲だと思いました。
リニューアルと並行した、当初の予定には含まれていないMVの制作ではありましたので、最初は難しいというお話もあったのですが、岡部さん、給前さんをはじめ、開発の面々にご協力いただきながら実装できる運びとなりました。「VOY@GER」のアニメ映像は本当に特別感のあるものだと思っていますので、そういった点に最大限リスペクトをさせていただきつつ、映像から感じるワクワク感みたいなものをプロデューサーの皆様にお届けできるといいなと思っています。

また、関係各所にご協力いただき、ひとつサプライズを準備していまして、これは3月のなるべく早いうちに発表する予定ではあるので、そういったところもお楽しみいただきたいです。
また、先ほどプロデュースエピソードを隔月で提供するというお話もありましたが、その間楽しんでいただくコンテンツとして、「ASOBINOTES」というバンダイナムコエンターテインメントにある楽曲レーベルチームにご協力いただいて、各8ユニットのリリックビデオ(2DMV)を合計8曲分制作しております。
プロデュースエピソードの更新ができないタイミングでも、リリックビデオを更新することでプロデューサーさんにライブを楽しんでいただければという風に思っていますし、加えてご要望が多かった歴代CDシリーズのカップリング曲から楽曲を選出していますので、どんな楽曲が選ばれるのか、そしてどんなリリックビデオになるのかを、ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです。


そして晩春から初夏にはまた新たな企画を実施したり、少し時間はかかってしまうかもしませんが、ゲーム内イベントの数なども増やしていきたいと計画している最中です。具体的な情報はまだお伝えできないのですが、詳細の発表までもう少しお時間をいただけると幸いです。


――「シャニマス」全体における今後の展望についてお聞かせください。
高山:まずは「シャニソン」について、昨年からリニューアルについてお伝えをしてきて、それがようやくプロデューサーのみなさんに触れていただけるようになったというところで、発表から長らくお待たせしてしてしまったこと、そしてメンテナンスによってプレイできない期間が発生してしまったことをお詫びいたします。一方で、リニューアルされ、よりプレイしやすくなった「シャニソン」に改めて触れていただける機会ですので、これまでプレイいただいているプロデューサーさん、まだプレイしたことのない方、そして一度ゲームをお休みされている方、それぞれみなさんに楽しんでいただければ幸いです。
そこから4月には「シャニマス」が7周年を迎え、enza対応ゲーム「シャニマス」の7周年の取り組みであるとか、5月には「シャニソン」の1.5周年、6月以降も2ユニットでめぐるライブツアー、その他にも音楽やコミックの展開など、2025年もプロデューサーのみなさんに楽しんでいただきたいコンテンツがたくさんございます。
まずはその皮切りになれるように「シャニソン」のリニューアルについてご提供となりますので、引き続きプロデュースのほどよろしくお願いいたします。
――最後にプロデューサーのみなさんに向けてメッセージをお願いします。
吉川:我々の目線だとリニューアルの計画自体は動き始めてからもう1年経ったんだなというところはありつつも、プロデューサーの皆様からすると、昨年9月に発表されて、その発表に驚かれた方や、具体的にどう変わるのかご心配されていた方ももちろんいらっしゃると思います。
それでも、リリース初期にプロデューサーの皆様からいただいたお声だったり、生配信でいただいたコメントだったりは本当に参考にさせていただいていて、どうやったらより多くのプロデューサーさんに喜んでいただけるのかというところを開発チーム一同ずっと検討しながら取り掛かってきました。
MVチームや給前さんたちエンジニアチームと一緒に、リニューアル前からもっとクオリティを高いものを、と追求してきました。リニューアル後も、グラフィックも含めてもっと良くしていけると思っていますので、ぜひご期待いただければなと思います。
そして、ようやくリニューアルとしてver2.0を届けられることを大変嬉しく思うのと同時に、ゲームを9日間触れなくなってしまったり、発表から現在までに長い時間を要してしまったことに対しては、改めてお詫び申し上げます。MVやリズムゲームの部分をはじめ、リニューアルでかなり遊びやすくなっていると思いますので、ぜひ皆様に楽しんでいただけると幸いです。
――ありがとうございました。
THE IDOLM@STER(TM)& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
※画面は開発中のものです。
コメントを投稿する
この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー