バンダイナムコエンターテインメントは、「アイドルマスター(以下、アイマス)」をテーマにしたライブ「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』追加公演」をフェニーチェ堺 大ホール(大阪府堺市)と、ASOBI STAGEにて2月1日に開催した。
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本公演は、「961プロダクション」(961プロ)がお届けするエンターテインメントステージで、2024年8月に行われた「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』」の追加公演として開催されたもの。961プロは、黒井崇男社長が率いるライバル芸能プロダクションとしてアイマスシリーズに登場している。
出演したのは、前回と同様に星井美希、四条貴音、我那覇響。さらに今回は「Re:FRAIN/DAWN」と「Re:FLAME/DUSK」の2公演が行われるなか、「Re:FLAME/DUSK」では、奥空心白と亜夜がゲスト出演として名を連ねた。2人は「アイドルマスタースターリットシーズン」(スタマス)に登場しているアイドルであり、かつて961プロにおいて「アルバノクト」というユニットを結成していた経歴を持っている。


会場ではきらびやかなステージでアイドルたちがパフォーマンス。また配信ではxRライブストリーミングと題して、配信ならではの特別な演出も盛り込まれた。本稿では「Re:FRAIN/DAWN」に一部触れつつ、心白と亜夜がゲスト出演した「Re:FLAME/DUSK」を中心に、その模様をお届けする。なお、本記事はASOBI STAGEでのオンライン配信を視聴してのレポートとなっており、演出についても、配信上の内容に準じている点はあらかじめお伝えする。
前回公演では歌われなかった楽曲や、新ユニット曲「REALIZE!!!」を披露
大きな歯車や近未来の工場をイメージさせるようなステージが映し出されたのち、せり上がりで3人が登場し、「Re:FRAIN/DAWN」のライブがスタート。ユニット「プロジェクト・フェアリー」を結成していた3人が、ユニット衣装である「ビヨンドザスターズ」をまとい、「オーバーマスター -Rio Hamamoto Rearrange-」を皮切りにパフォーマンス。


プロジェクト・フェアリーとしてはおなじみの「KisS」や、前回のライブにおける新曲「FlaME」、961プロのユニット「ディアマント」の楽曲「1st Call」のカバーなど、ユニットやソロ、あるいは2人での楽曲披露も行われた。





前回は「Re:MEMBER/MOON」、「Re:SIST/STAR」、「Re:FRAME/SUN」の3公演を行い、そこでもさまざまな楽曲が歌われたが、その前回でも歌われなかった美希の「追憶のサンドグラス」や貴音の「フラワーガール」、さらに響による「迷走Mindカバー」のカバーといったステージもあり、どよめきが起きるような場面もあった。




終盤には、新たなユニット楽曲である「REALIZE!!!」も披露。かっこよさとスピード感にあふれる曲調のなかで、クールに決めていくステージに。事前のMCでもコールをお願いしていたこともあり、統率のとれたコールにも後押しされ、一体感も感じさせるものとなっていた。


アンコールには、アルバノクトの楽曲「EVER RISING」を3人がカバー。夜の星空をイメージさせる映像演出などを背景に、それぞれが伸びやかに歌声を響かせる。歌い進めるうちに、朝焼けをイメージさせるような赤みのあるステージとなり、朝日が昇るような映像を背景にして締めくくった。




心白と亜夜による「EVER RISING」や、ソロパフォーマンスも
「Re:FLAME/DUSK」でも、オープニングではアイドルがせり上がって登場。ただ、ふたりの人影で髪型からも察したのか、どよめきの声があがる。そして、オープニングナンバーとなったのは「EVER RISING」。イントロとともに心白と亜夜の姿が映し出されると、ゲスト出演ながらいきなりの登場は予想していなかったのか、大歓声が巻き起こる。白と黒のツートンカラーを基調としつつ、心白は白、亜夜は黒をメインにした衣装をまとってパフォーマンス。時折お互いを見つめ合うようなシーンもありつつ、息の合ったステージを披露した。





驚きはまだ続く。ステージでは亜夜が残り、ソロで「1st Call」を歌う。前述のようにディアマントの楽曲であり、亜夜はそのユニットメンバー。ソロであっも圧巻のパフォーマンスで釘付けにするようなステージを展開。さらに心白もソロで「ダンス・ダンス・ダンス」を披露。オリジナル歌唱メンバーのひとりである心白が、ポップで軽快なダンスナンバーを、時折笑顔を見せつつクラップの音やコールを受けながら歌っていた。










MCパートでは、2人が自己紹介とともに、アルバノクトというユニットとして活動していることや、心白はゲスト出演ながら派手に登場したことに心配したり、亜夜は「名前を売ってこい」と社長から言われたことなどが語られた。
アルバノクトのステージはここまでとなり、プロジェクト・フェアリー3人のステージへ。まずは「FlaME」で、独特な曲調から織りなす貫禄あるパフォーマンスで魅了していく。さらに「KisS」も披露し、魅惑で大人な世界を作り出していった。









ここからは3人のソロパート。そして3曲とも、前回公演を含めて歌われていなかった楽曲となっており、それぞれにどよめきも起こっていた。
貴音が歌ったのは「Melted Snow」で、はかなげなバラードソングを、粉雪が舞うような光景のなかで披露。響は「黒い犬」で、童謡っぽさも感じさせるポップソングを、時折手を振ったり犬の手のようなポーズを決めたりと、日常感もあるようなステージに。そして美希は「ストレートラブ!」で、文字通りのストレートなラブソングをキュートに歌っていた。















3人がステージに姿を見せ、配信でもたくさんのファンが見ていることもあってか、美希の提案で自己紹介とともにポーズで挨拶をしていき、“スクショ”がとれたかどうかを気にする一幕も。
ライブは3人による「インセインゲーム」で再開。間奏が「オーバーマスター」を想起させるメロディとなっているなど、同曲を意識した楽曲で再度盛り上げていく。





再度3人のソロパートとなり、ここでは961プロカバーと呼べるような選曲に。まず貴音が歌ったのは「Blooming Star」。オリジナルは詩花が歌っており、オーケストラサウンドに載せた壮大な楽曲を、バレエの振り付けを交えながら華麗に披露する。






美希は「アルティメットアイズ」をパフォーマンス。オリジナルは玲音が歌っており、疾走感のあるアップテンポな曲調のなかで、クールなかっこよさを醸し出しながら歌う。






そして響は「アクセルレーション」を披露。重厚なリズムと、緩やかになる部分がありつつも、攻撃的ともいえるような激しさもあるサウンドが特長の楽曲をパフォーマンスし、魅了していくステージとなっていた。




3人がステージにそろい、新曲「REALIZE!!!」も披露。「Re:FRAIN/DAWN」で披露していたこともあってか、コールもより熱気と一体感を帯びたものとなっていた。






MCでは詩花と玲音の楽曲をカバーした感想を語りつつ、「REALIZE!!!」についても触れ、自分たち以外のアイドルにもカバーしてもらいたいと語られるなか、美希から玲音や詩花、心白や亜夜の名前をあげたうえ、「いつもかっこつけている3人にも」と、おそらく男性アイドルユニット「Jupiter」のことを指していると思われる一言も飛び出し、大いに沸いていた。
最後の曲とアナウンスして歌われたのは、「Miracle Night」。夜の星空や星のきらめきをイメージさせる映像を背景に、EDMナンバーを3人が軽快に歌う。奇跡の夜、そして“夢じゃ無い”という「『Re:FLAME』」の公演を象徴するような光景となっていた。







一旦ライブが一区切りしつつ、会場から巻き起こったアンコールの声に応えて、3人がステージに登場。さらに呼び込みの提案があり、会場からの声に応えて心白と亜夜もステージに登場。5人でのやりとりが展開されたのち、改めて最後の曲であることを告知しつつ、“5人で歌う”という言葉に歓声も沸き上がる。美希が「みんなの心が、このときだけでもつながりますように」と語って、歌う曲のイントロが流れた瞬間、あきらかに場内騒然ということがわかるぐらいの声が響き渡る。
ここで5人が歌ったのは「空」。オリジナルは765プロ事務員の音無小鳥が歌っている楽曲であり、まさかの選曲ということもあってか、イントロ中もしばらくどよめきが止まらない状態に。軽快なポップソングで時折手を振ったりしながら歌唱。“レインボー”のフレーズにあわせて、レインボーカラーのライトになる演出も交えながら笑顔で歌い、最後は5人が横並びに立って締めくくった。








5人が終わりの挨拶をして降壇し、エピローグと思われる「空」や「オーバーマスター」のピアノ音が鳴り、余韻を残しながら終演……かと思いきや、ステージからプロジェクト・フェアリーの3人がせり上がりで登場。ダブルアンコールとして「オーバーマスター」を披露するサプライズとなった。追加公演の最初と最後がつながりつつ、この日はまだ披露していなかった、オリジナルバージョンでの「オーバーマスター」で最後の盛り上がりと熱狂を生み出す。曲のラストには、美希から公演のお礼とともに、「プロジェクト・フェアリーは、みんなの心の中にずっとずっといるよ!だからまた、どこかで!」との言葉を残していった。そして5人のオフショット映像も交えたエンディングムービーが流れ、場内には「961」コールも巻き起こるなかで、追加公演は締めくくられた。







知っているとより染みいる度合いが高くなる楽曲たち(余談)
ベースとなるものは前回の公演を踏襲しつつも、披露していなかった楽曲を盛り込み、また配信ではカメラワークなども洗練されたものと感じられ、そのうえアルバノクトのゲスト出演もあり、単に公演回数を増やしたという追加公演にとどまらない内容となっていた。
「『Re:FLAME』」の公演は、961プロの“あったかもしれない未来”のひとつという、いわゆる“ifの世界でのライブ”という位置づけではあるなか、やはりここまでのことが実現したのであれば、もっとその先の未来……一部では要望の声も聞かれる、961プロのアイドルがそろい踏みなライブ……というのも期待したくなるようなステージと思えた次第だ。

また余談ではあるが、筆者個人としても印象的な場面はいろいろとある。とかく、「Re:FLAME/DUSK」におけるソロ曲「Melted Snow」「黒い犬」「ストレートラブ!」の3曲は、2008~2009年にかけてリリースされたドラマCD「THE IDOLM@STER Eternal Prism」シリーズの関連楽曲となっており、これまでリアルライブやイベントで歌われなかった、あるいは歌われる機会があまりなかったと言えるぐらいのものであったため、まさかここで披露されると思わなかったということがまずあるなか、やはり触れておきたいところと言えば「EVER RISING」と「空」の2曲だろう。
「EVER RISING」は、前述のように心白と亜夜によるアルバノクトのユニット曲で、2人は「スタマス」に登場する。そのなかで2人としての物語も描かれているのだが、詳しいことはYouTubeのアイドルマスターチャンネルにある「【961】『Re:FLAME』追加公演直前!アルバノクトを大解剖!【アイドルマスター】」を参照していただきたい(※動画に一部ネタバレが含まれている)。
アルバノクトの活躍の場があまりなかった状態だっただけに、こうした形で2人のステージが見られたことも感慨深ければ、「スタマス」のライブシーンでも象徴的だった、満月を背景にして歌うシーンがここでも見られたところにグッと来るところがあった。

そして「空」は、こちらも前述のようにオリジナルは765プロ事務員の音無小鳥の楽曲。どよめきの声もあがっていたが、単に予想外だったという以上に、真っ先に思い浮かぶことといえば、コミック「朝焼けは黄金色 THE IDOLM@STER」であろう。小鳥とともに、若かりし頃の高木順二朗(後の765プロ社長)と、黒井崇男(後の961プロ社長)を描いた、スピンオフ作品となっている。こちらも詳細は作品を見てほしいと思うのだが、あくまで筆者が感じたことということで言うのであれば、内容を知っていると、心白が歌唱前に語っていた「この曲をリハーサルで合わせたときに、いつもは厳しい顔の社長が、ほんの少しですけど、笑ってくれたような気がしたんです」という言葉も感じ入るところがある。また歌唱終盤で、朝焼けのような映像が背景に浮かび、今回のステージセットがライティングによっては黄金色というべきゴールドカラーとなっていたのも無縁ではないのかな、と思いたくなるところがあった。
背景となるストーリーなどを知らなくても、「EVER RISING」と「空」は心に染みいるような楽曲として聴くことができる。でも、作品を知っているとより染みいる度合いが高くなり、涙腺を刺激するほどになるという、違った感覚にもなることを象徴するような2曲と思えた次第だ。

なお2公演ともにアーカイブ配信を期間限定で実施。アーカイブ視聴期間は共通で3月2日23時59分まで(チケットの販売は同日21時まで)を予定。また、2024年8月に開催された「『Re:FLAME』」3公演と、今回の追加公演2公演をあわせた、全5公演の模様を収めた「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』 LIVE complete Blu-ray BOX」の発売も決定。追加公演の開催を記念したグッズも登場している。詳細はイベント公式サイトまで。
「961 PRODUCTION presents 『Re:FLAME』」公式サイト
https://idolmaster-official.jp/live_event/re/
「Re:FRAIN/DAWN」セットリスト
M01.オーバーマスター(M@STER VERSION) -Rio Hamamoto Rearrange-/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M02.マリオネットの心/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M03.FlaME/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M04.追憶のサンドグラス/星井 美希
M05.目が逢う瞬間/星井 美希
M06.迷走Mind/我那覇 響
M07.Rebellion/我那覇 響
M08.フタリの記憶/四条 貴音
M09.フラワーガール/四条 貴音
M10.I Want/四条 貴音・我那覇 響
M11.edeN/星井 美希・四条 貴音
M12.inferno/星井 美希・我那覇 響
M13.Fate of the World/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M14.1st Call/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M15.KisS/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M16.REALIZE!!!/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
en.EVER RISING/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
「Re:FLAME/DUSK」セットリスト
M01.EVER RISING/奥空 心白・亜夜
M02.1st Call/亜夜
M03.ダンス・ダンス・ダンス/奥空 心白
M04.FlaME/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M05.KisS/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M06.Melted Snow/四条 貴音
M07.黒い犬/我那覇 響
M08.ストレートラブ!/星井 美希
M09.インセインゲーム/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M10.Blooming Star/四条 貴音
M11.アルティメットアイズ/星井 美希
M12.アクセルレーション/我那覇 響
M13.REALIZE!!!/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
M14.Miracle Night/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
en1.空/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響・奥空 心白・亜夜
en2.オーバーマスター/星井 美希・四条 貴音・我那覇 響
(C)窪岡俊之 THE IDOLM@STER(TM)& (C)Bandai Namco Entertainment Inc.
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