Gamerで執筆しているライターに、年末年始に合わせて自由に書いてもらおうという企画。hororoによる、ウォーハンマー40,000の記事をお届けします。

目次
  1. そもそもウォーハンマーってどんな作品なの?
  2. 予想を超えたおもしろさを叩き出してきた「スペースマリーン2」はウォーハンマー世界の入門にピッタリ
  3. まさかの「シークレット・レベル」への参戦。気軽に“日本語で”見れるウォーハンマーの映像作品の登場

年末年始ということで、各ライターが好きなテーマで書いていいというこの企画。昨年は参加できずでしたが、今年はどうしても書きたいことがあったので、参加させていただきました。

どうしても書きたいことというのは、私が長いこと沼に沈み続けている“ウォーハンマー”について。近年では日本でも少しずつ名が知れてきたので、聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

個人的に、2024年はウォーハンマーにとってちょっとした転機になった年だと思っています。それはいったいなぜなのか……という話をしていきたいのですが、その前にウォーハンマーというコンテンツについて、軽く触れておきましょう。

そもそもウォーハンマーってどんな作品なの?

ウォーハンマーは、アナログゲームのジャンルのひとつ“ミニチュアゲーム”と呼ばれる系統の作品です。ミニチュアゲームというのは、その名の通りミニチュアを用いて遊ぶ卓上ゲームのこと。金属やプラで作られたミニチュアを組み立てて自分の軍隊を編成し、対戦相手と勝敗を競うというのが主な内容になります。雑に説明してしまうと、小さいプラモデルを集めて戦うアナログゲーム、といった感じですね。

なかでもウォーハンマーはもっとも知名度が高いミニチュアゲームと言えるでしょう。日本のデジタルゲームでいえば、RPGというジャンルのなかの「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といった一大長寿シリーズを思い浮かべてください。

もう40年ほど続いているシリーズであり、定期的にルールの刷新やモデルチェンジを行いつつ、現在も不動の人気を誇っています。日本においては海外ほどの知名度はないものの、それでも日本語版が展開され始めてから20年以上経過しています。

私がウォーハンマーの何にそんなハマっているのかというと、まずひとつは“自分だけの軍隊を作る”ということ。ウォーハンマーに出会った頃の私は、子供心にそのフレーズに憧れを抱きました。「君が指揮官となって、自分で集めた軍隊を指揮する」という要素にめちゃくちゃ惹かれたのです。

ウォーハンマーファンとして歓喜した2024年【年末年始企画】の画像

もうひとつの魅力が、ウォーハンマーの世界の濃密な設定と、そこで活躍する名だたるキャラクターやモンスターたち。彼らはとても魅力的なバックストーリーを持っており、単体で小説が書かれている人物も少なくありません。

ウォーハンマーは、グリムダークと呼ばれるような、陰鬱としたディストピア的な世界観が売りでもあります。そのような世界でひたすら命を消費される一般人と、逆にヒロイックに描かれる英雄、さまざまな異種族が入り混じり止むことのない戦争が繰り返される、そんな蟲毒のような世界は、ウォーハンマーでしか味わえません。

あとは単純に、立体物としての造形の魅力ですね。ミニチュアゲームというジャンルの都合上、遊ぶとなるとミニチュアが際限なく増えていくのですが、どのミニチュアも非常に格好いい! コレクションとして棚に飾っておくだけでもかなりの満足感があります。最近は物価の上昇などもあり、以前よりもかなり価格が上がってしまったのが残念ではありますが……。

ウォーハンマーファンとして歓喜した2024年【年末年始企画】の画像

予想を超えたおもしろさを叩き出してきた「スペースマリーン2」はウォーハンマー世界の入門にピッタリ

さて、そんなウォーハンマーですが、一口にウォーハンマーといっても、その中にもいくつか種類があります。大別すると、ファンタジー世界を描く「ウォーハンマー:エイジ・オブ・シグマー」(AoS)と、SF世界を描く「ウォーハンマー40,000」(40k)のふたつ。細かく分けるともっといろいろあるのですが、ファンタジー版とSF版があるんだな~くらいの認識で構いません。私個人としてはどちらも好きではありますが、今回の主題となるのはSFの40kのほうです。

じつはウォーハンマーというコンテンツはデジタルゲームも数多く出ています。Steamのセールで“Warhammer”の文字がでかでかと載ったバナーを見たことがあるかもしれません。ただ各ゲームで開発会社はまちまちですし、ゲームとしての規模感もバラバラなため、内容的には正直ピンキリ……。当然おもしろい作品もありますが、微妙なものも割とある印象です。

しかし2024年。ウォーハンマーファンが期待していたヤツがやってきました。そう、「ウォーハンマー 40,000: スペースマリーン2」(以下、「スペースマリーン2」)です。

ウォーハンマーファンとして歓喜した2024年【年末年始企画】の画像

前作に当たる「ウォーハンマー 40,000: スペースマリーン」は2011年の発売ですから、じつに13年ぶりの続編! 前作もファンからの評価は高かったのですが、開発元であるTHQの倒産に伴い、続編の発売は絶望的だと思われていました。そこからの復活ということで、発表時はファンのあいだで歓声が起こっていたほどです。

ですが、おそらく私だけでなく、多くのウォーハンマーファンは思っていたことでしょう。「きっとゲームとしては普通におもしろいくらいだろうな。でもあの世界に浸れるなら十分だよ」と……。

しかしふたを開けてみればハチャメチャに面白く、X(旧Twitter)でウォーハンマーを知らない人が遊んでいるようすが見られたほどの反響があり、驚きました。加えて年末には、ゲームアワード2024のベストアクションゲームにノミネートしているのを見て、二度驚くという……! 間違いなくウォーハンマー原作のゲームとしては快挙といえます。

2023年には、私のもうひとつの大好きな趣味である「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を原典とした「バルダーズゲート3」がゲームズ・オブ・ザ・イヤーを受賞していたことから、冗談半分で「次はゲームズ・オブ・ザ・イヤーを取れるウォーハンマーのゲームが出ないかな」などとつぶやいていましたが、それに近しいものが翌年に現れるとは……!

「スペースマリーン2」の素晴らしいところは、アクションゲームとして高い水準を持っていることに加え、ゲームを通して40kの世界観やスペースマリーンという超人兵士の立場や特別さ、人類が直面している危機の苛烈さというのを、体験として味わえることです。

ウォーハンマーファンとして歓喜した2024年【年末年始企画】の画像

「40kってどんな世界観?」と聞かれたら、まず「スペースマリーン2」を遊んでもらえばだいたい説明が済むくらい。“ただ戦争のみがある世界”というのがどういうものなのかを、ビジュアルでブン殴ってくる、そんな作品です。

なのでトレーラーなどを見て、ちょっとでも好みの匂いを感じたら、ぜひプレイしてみてほしいですね。

まさかの「シークレット・レベル」への参戦。気軽に“日本語で”見れるウォーハンマーの映像作品の登場

「スペースマリーン2」の評判は良いとはいえ、それでも現実的には「スペースマリーン2」によってウォーハンマーの認知度が高まったというほどではないと思います。そこで追い風となったのが、Amazon Prime Videoで配信されたアンソロジーアニメ「シークレット・レベル」。

「シークレット・レベル」はさまざまなゲームの作品をモチーフに作られた映像作品。40kもそのひとつに入っており、「スペースマリーン2」の主人公、タイタスが同作品の主役も務めています。

40k回(第5話)のサブタイトルとなっている「恐怖を知らざる者に」というフレーズは、原作のミニチュアゲームでスペースマリーンたちを指す言葉としても使われており、ファンとしては嬉しいポイントです。

この話では、タイタスらスペースマリーンの戦士たちが、悪魔を信仰するカルト教団の基地を破壊するという任務を描いています。とにかくスペースマリーンのパワフルな戦い方は見ているだけでテンションが上がるので、かなりおすすめ! 例えとしてはちょっとアレですが、筋肉ですべてを解決していくマッスルな映画的なノリがあります(笑)。それでいて、敵対する悪魔の恐ろしさや、ウォーハンマーならではの宗教的退廃感も味わえる、いい映像に仕上がっていると思いました。

ちなみに作中ではほとんどセリフがないため、ほかの作品に比べると日本語化の恩恵は受けられてはいないですが、“日本語で展開されている”、“いろんなビデオゲームが参加しているアンソロジー”に入ったというのは重要なことだと思っています。

例えばこれがウォーハンマーのドラマが始まった~という流れであれば、興味持つのは既存のファンがメインだと思うんですよね。でも、いろいろな作品の中のひとつであれば、別の作品目当てで集まった人が、流れで見て気に入ってくれるかもしれない。

それこそ今の流行りでいえば「アーマード・コア」が話題性としては一番大きいでしょうし、知名度でいえば「パックマン」や「ロックマン」あたりも十分です。

そういった、今までウォーハンマーのメディア展開が掠りもしなかった層が触れる可能性があるというのが嬉しかったのです。

ちなみに40kの映像作品といえば、映画「マン・オブ・スティール」などのスーパーマン役や、Netflix配信のドラマシリーズ「ウィッチャー」でゲラルト役を演じたヘンリー・カヴィル氏が主演と製作総指揮を務めるドラマ版を製作中。彼もウォーハンマーの大ファンなので、こちらも完成が楽しみ。

とにかく、2024年はゲーム分野では「スペースマリーン2」で、映像分野では「シークレット・レベル」でと、とにかく既存ファン以外がウォーハンマーに触れられる機会が多かった年として、記憶に残りました。

願わくばこの流れが続き、もっともっとウォーハンマーの世界に興味を持ってくれる人が増えますようにと願わずにはいられません。そうすれば、たくさん出版されているウォーハンマーの小説や、PCゲームなんかも日本語版がでたりするかもしれない……!

ということで、この記事を読んでくれた皆さんは、とりあえず「スペースマリーン2」をプレイして「シークレット・レベル」のエピソード5を観ましょう!!

2008年から、主にゲームメディアを中心に活動しているフリーランスライター。海外ゲームを遊ぶ比率が多く、ファンタジーやSFがテーマのものが大好物。特にミニチュアゲームの「ウォーハンマー」やTRPGの「ダンジョンズ&ドラゴンズ」は、もはや人生になくてはならないものとなっています。

それはそれとして日本のかわいいキャラも好きで、「Fate/Grand Order」や「ウマ娘」もプレイ。最近は「ウマ娘」の影響でダンスを始めました。

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