Bethesda Softworksより2024年12月9日に発売されたXbox Series X|S/PC(Steam/Microsoft Store)向けタイトル「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」のレビューをお届けする。
「インディ・ジョーンズ/大いなる円環」の開発を担当したのは、近年の「ウルフェンシュタイン」シリーズを手掛けるMachine Games。
本作は言わずと知れた伝説のアクション映画「インディ・ジョーンズ」シリーズを基にした一人称視点のアクションアドベンチャーゲーム。鞭を片手に世界各国を飛び回る考古学者インディアナ・ジョーンズとなり、《大円環》にまつわる財宝を見つけるのが目的だ。
映画さながらの大興奮が味わえるメインストーリーは必見で、老若男女問わず誰しもが楽しめる極上のエンターテイメントに仕上がっていたが、面倒な収集要素など気になるところもあった。それではレビューに入っていこう。
映画の興奮が今蘇る――太古の昔より隠された財宝を追え
本作は映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」と「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のあいだに起きた出来事を描く作品だ。舞台は1937年。夜中にマーシャル大学で仕事をしていたインディは、謎の巨漢が大学に侵入してきたことに気づく。インディはあえなく返り討ちに遭ってしまうが、その男が「猫のミイラ」という比較的どうでもいい宝だけを盗んでいったことに違和感を覚えた。
彼を追ってバチカンに飛び、調査を続けていくと、世界中の重要な遺跡をつなげた《大円環》に関係しているのではないか、という説が浮上してくる。それと同時に、ムッソリーニやナチ党もインディと同じ財宝を求めていることもわかった。果たしてインディは、邪悪な連中よりも先に財宝を手にすることができるのか?
さて、本作の体験において何よりも伝えたいことは、メインストーリー部分の出来は100点満点だということだ。
インディ・ジョーンズを操り、バチカンの地下墓地や、ギザのピラミッドのなかに侵入して、トラップを掻い潜って宝を手に入れていく。もちろん、罠が起動して死にかけることも何度もある。砂に埋もれそうになったり、閉じる扉にギリギリで駆け込んだり、飛行船に飛び乗ったりといった“インディ・ジョーンズあるある”を山ほど体験できるゲームになっていた。
敵味方の関係もわかりやすく、たとえインディ・ジョーンズを一切知らなくてもすぐに物語に入り込めるようなテンポの良い脚本だ。しかも、ここぞというシーンではあの印象的なテーマソングが流れる。このタイミングもバッチリで、思わずガッツポーズしたくなるほどアツい!
といった具合で、メインストーリーはほとんど幸福な瞬間しかなかったが、それ以外のゲームプレイについても触れていこう。
チュートリアルとなるジャングルでのパート(これまたファンには嬉しいサプライズだった)と、その後のマーシャル大学で巨漢と戦うパート以外は、バチカンやギザなどといったワイドリニアなステージを探索することとなる。
そこにはそれぞれファシストやナチ党といったエネミーがうろついており、特に警戒地域ではバレないように服を着替える必要があり、服ごとにアクションが変わるのは面白かった。
戦闘は一人称視点ということもあり、ボクシングのように目の前の敵を殴る近接主体のものである。鞭やパンチやその辺に落ちているスコップなどを使って、とにかく敵を昏倒させるか、やたらリロードの遅い自前のリボルバーか、敵が装備している銃を奪って撃ち殺してしまえば勝ちだ。
スタミナはブロックで管理されていて、空になると歩く以外の行動ができなくなるため、ただパンチを連打すればいいわけではない。複数人に絡まれるのも最悪だ。なので、ひとりひとりに忍び寄って気絶させるのがベストであり、割とステルスゲーム的な体験になることが多かった。
基本的にこの戦闘スタイル自体は、一定のリアリティと迫力こそあるものの、体験自体が大きく変わることはなく、後半は飽きてきてしまったのが正直なところだ。しかし、鞭を使って上手く敵を翻弄できると「いま、インディっぽい動きができた!」といった感じの気分になれるので、ほどほどにロールプレイしつつ、面倒になったら走って回避するのをオススメする。
また、ワイドリニアのステージには「ディスカバリー」や「ミステリー」といったサイドクエストも多数用意されている。NPCから依頼を受けたり、街に散らばる古代の遺物を探したり、はたまた謎解きをしたりとバリエーションは豊かだが、本筋には関係ない(メインストーリーだけを楽しむなら一切プレイする必要はない)。
サイドクエストはそれぞれ長さや面白さにバラつきがあり、地下施設を探索するようなリッチなものもあれば、単に猫の写真を撮って回るだけのものもあり、すべて遊ぶべきかというと難しいところである。特に「古代の遺物」に関しては数も多く、スキルを解禁するためのポイントとコンプリート欲にしか関係がないので、後回しにしても問題ない。
これらの収集要素などが、メインストーリーの疾走感に比べるとただ置かれているだけという印象を受けてしまった。ただ、ストーリーの進行度に関係なくいつでも取りに帰ることはできるので、味変程度にちょっと遊ぶのが良いかもしれない。
総じて、インディ・ジョーンズ的な体験を楽しめるアクションアドベンチャーとして、最高の出来であったのは間違いない。一部のクエストや収集要素まで遊ぶべきだとは言わないが、メインストーリーを追いかけるだけでも思い出に残る一本足り得るだろう。
ちなみに、筆者が一番好きなパートは、体が砂漠に埋まってしまったインディが、朦朧とする意識のなか、迫りくるサソリ軍団を追い払うために息でフーフーするところだ。
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