Activision Blizzard Japanが10月25日に発売したPS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用ソフト「Call of Duty: Black Ops 6」。本稿ではその発売に際して実施された、Matt Scronce氏への合同インタビューの模様をお届けする。
Matt氏は2010年の「Call of Duty: Black Ops」からTreyarchで「Black Ops」シリーズに関わり続けている大ベテランで、本作ではアソシエート・デザイン・ディレクターとして主にグローバルプレイのメカニクスとマルチプレイヤーのデザインを統括。
今回のインタビューでは、マルチプレイヤーの開発コンセプトやシリーズ前作にあたる「Call of Duty: Black Ops Cold War」から数えて4年にわたる開発期間を踏まえたエピソードなど、興味深い話題が次々と飛び出した。
また、今後のアップデートや調整についてなどこれからの展開も伺っているので、まだ購入を悩んでいる方や既にガンガン遊んでいる方は参考にしてほしい。
オムニムーブメントは「どの方向にもダッシュできるようにしたい」というアイディアから生まれた
――発売を迎える今の心境をお聞かせ願えますか?
Matt氏:発売前の不安や期待など、全ての感情がない交ぜになっています。私は2010年の「CoD:BO」から全てのシリーズ作品でローンチに携わってきましたが、Treyarchに入る前は「CoD」の掲示板でモデレーターをやっていたこともあり、その経験からプレイヤーのみなさんの意見や想いは大事にしています。
本作が「Black Ops」シリーズで一番素晴らしい作品だという自信を持っていますし、新たなゲームとして様々なプレイヤーが遊んでくれることを期待しています。
スタジオには本作が初めて関わったゲームである人だったり、これが初めて関わる「CoD」だったりする後輩スタッフがかなりいるので、スタジオ中もう大盛り上がりで。既にゲームのコードを購入してウキウキしている社員もいたくらいです。
――「CoD:BOCW」から4年ぶりとなるTreyarchさんによる作品かと思います。お話いただける範囲で構わないので、この4年の間に開発で苦労したことなどをお教えください。
Matt氏:「CoD:BOCW」から本作までに経過した時間が長かったからこそ、新しい「Black Ops」シリーズを提供できることにワクワクしています。今回から全ての「CoD」シリーズのエンジンが統一されましたが、この4年ずっと脳裏にあったのは、「Black Ops」シリーズであることが何を意味するのかでした。
それを再設定する良い機会になったので、私たちはこのチャンスにゲームを1から作り直すことに決めました。そして、「Black Ops」シリーズであることが何を意味するのかという問いに、「動きの滑らかさとリアリティを追及してきたこと」だと結論付けました。それが本作で追加されたオムニムーブメントに繋がっています。
過去にはその質問を自分たちに問いかける猶予がなかったので、この4年という時間はその答えを出すためにも必要だったと思います。2010年の「CoD:BO」から本作のベータを遊んで面白そうだと思ってくれた新規のプレイヤーまで、きっと全員に楽しんでもらえる素晴らしいゲームになったのではないかと。
――マルチプレイヤーの開発コンセプトについて伺わせてください。「BO6」と過去作との違いはどういった部分になるのでしょうか?
Matt氏:やはり最初に思いつくのは本作の根本とも言えるシステムであるオムニムーブメントです。きっと最初に本作を遊んだその瞬間から、これまでのシリーズとは違う部分だと感じられると思います。
オムニムーブメントは新たな試みではありますが、本作から新たに「CoD」を始めるプレイヤーでも扱いやすいものを目指しました。これを活かさないと戦えない訳ではありませんので、少しずつ自分にあったペースで慣れてもらえたら嬉しいです。
戦闘中はこれまで以上に頭を使う場面が増えるのではないかと思います。プレイヤーのゲーム体験としては、これまでよりスムーズに臨場感やリアリティが感じられるはずです。
――オムニムーブメントは、マルチプレイにどんな影響を与えるのでしょうか?
Matt氏:それは本作をこれから遊ぶプレイヤーに委ねられるところです。このシステムが生まれるきっかけとなったアイディアは、「どの方向にもダッシュできるようにしたい」という発想からきています。
開発段階でキャラクターのアクションについて自問自答することがあったのですが、その際になぜ前にしかダッシュができないのだろうかという疑問が出てきたんです。なぜなら現実世界で駐車場を歩いている時だって、すぐにどの方向にも走りだせるじゃないですか。
そんな簡単なことが、世界最高の特殊部隊であるブラックオプスのメンバーの運動能力でできないはずがない。その発想から生まれたシステムがオムニムーブメントです。
これによって、例えば足元にグレネードを投げられた時でも前にカメラを向けたまま後方へダッシュできますし、アクションヒーローのように後方へジャンプして爆風を避けつつ射撃するようなことが可能になっています。ローンチ後にはきっと、様々なプレイヤーがスタイリッシュで華やかなアクションを見せてくれるはず。
また、立ち止まって射撃する人も動きながら射撃する人も、活用法はプレイヤー各自に委ねられます。オムニムーブメントによって生まれる選択肢は広いので、おそらく人によって扱い方が変わってくるとも思っています。
――ベータで回収した意見の中で印象に残った物や、ポジティブに受け取った感想はありましたか?
Matt氏:例えばマップについて、スカイラインはかなり好評という位置付けだったのですが、それでも遮蔽物が少ない場所があるのではないかという意見があり、少しだけ変更を加えています。
武器に関してはベータの1週目でジャッカルが強いと話題になったので、データを見つつプレイヤーの意見を踏まえて2週目では少し調整しました。このバランス変更で最終的にプレイヤーの要望と開発陣の目的、その両方をしっかり果たせたのかなと。
後はヘッドショットの倍率の数値変動を調整したり、より洗練されたアクションをオムニムーブメントでできるように改良を重ねました。
開発チーム内でもテストプレイを重ねていたので驚くような意見は少なかったのですが、マップ内の遮蔽物の少なさや武器バランスについては自分たちとしても違和感をもっていたところだったので、それをベータで証明してもらったように思っています。
――ベータ時点では少し狭めのマップが多いような印象がありました。その意図もお聞かせください。
Matt氏:フェイスオフやモッシュピッドでは小さめのマップで濃密な撃ち合いが繰り広げられたかと思います。ベータでは一部しかお見せできなかったのですが、全体的なマッププールを見ていくと大体は中ぐらいのサイズのマップが大半を占めるかなと。
実はプレイヤーにとっても開発陣にとっても、歴代の「Black Ops」シリーズで最高のマップだとされるのはニュークタウンなりレイドなりエクスプレスなり、大きなマップではないんです。
なので、本作のマルチプレイでは意図的にマップサイズを調整しています。ベータでは全てを見せられていませんが、ローンチ後にはマッププールの幅の広さにきっと満足していただけるはずです。
湾岸戦争で用いられた武器をベースに「Black Ops」シリーズらしい珍しいものも……!?
――本作で採用された武器はどのように決まりましたか? 時代背景が考慮されているのでしょうか?
Matt氏:武器チームがよく資料を漁っている姿は見ていました。歴史的に正しい武器を登場させることを大切にしていたので、1990年代の湾岸戦争で用いられた武器がベースになっています。しかし、今まで見たこともない武器が登場することも「Black Ops」シリーズらしさなので、そのふたつのバランス感はかなり難しい部分でした。本作には今までのシリーズに登場していない武器が12種も登場しますが、中にはみなさんも見覚えのあるものだけではく、見たことも聞いたこともない武器があることでしょう。
――ベータ時点では武器レベルを上げるのが過去作よりも大変だったように思います。このあたりは調整されるのでしょうか? また頻繁に経験値アップキャンペーンを打ったりするのでしょうか?
Matt氏:1週目のデータを見たところ少し厳しそうだったので、2週目でテコ入れしました。ベータを見て各プレイヤーが武器レベル上げにどれくらい時間がかかったのかデータを取ったので、開発陣が当初想定した所要時間と照らし合わせて見直しています。製品版ではもう少しレベル上げしやすいようになっているはずです。
とはいえ、基本的に武器レベル上げはこつこつやるのが大事になるかなと。やっぱりいきなり色々なアタッチメントが解放されてプレイヤーが戸惑うことは避けたかったので、1マッチごとに新たなアタッチメントを解放しつつ、プレイする中でお気に入りの装備を見つけてほしかった。
ベータ以降もフィートバックはずっとチェックしますので、レベル上げが早すぎたり遅すぎたりした場合はまた再調整します。
――本作のパーク構成について、バランス調整にはどんなところに気を遣っていましたか?
Matt氏:例えば「ディアブロ」なら緑の防具をいくつか揃えて装備すると、セットボーナスが発動するというシステムがありますよね。そのセットボーナスのようなものを、どうすれば「CoD」に組み込めるかを考えました。
とっつきやすいけれど幅があって、徐々にパークを増やしていける。加えてそれによって深みを増しつつ、あまり難しくならない理解しやすいシステムとしてコンバットスペシャリティは考えました。
ここで注意したのは、全てのプレイヤーが同じパークをテンプレのように使うことを強要しないことでした。そのためにも、状況や装備に応じてコンバットスペシャリティやパークを切り替え、それぞれ自らのプレイスタイルを確立できるようなバランスを目指しています。
パークの強さを決めるバランス調整は、凄くデリケートな問題でした。このパークは強すぎるから取らないといけないという風潮になるのも避けたいですし、弱すぎても誰も使わないので獲得したいと思わせる程度の強さは必要になったんです。
例えば戦場を駆け回るのが好きならエンフォーサー、敵のやりたいことを妨害したいならストラテジストといった具合に、コンバットスペシャリティやパークはプレイヤーの基本的なプレイスタイルを確立してくれるはずです。
また、パーク1は自分のプレイスタイルを設定するようなものなので、ニンジャやゴーストなどかなり重めのパークが多くなっています。ベータの後にもこのあたりは調整していて、例えばエンフォーサーの場合はガンホーとデクスタリティがパーク1に移動しています。
――発売後のスケジュールやアップデート予定も話せる範囲でお願いします。武器やマップは定期的に追加されますか?
Matt氏:今週はローンチに力をいれていますが、開発チームはもう既に新しいコンテンツなりマップなりを考えています。
10月29日にマルチプレイヤーへインフェクテッドモードを追加すると既にお知らせしていますが、これはゾンビチームとの共同作業なのでゾンビモードのような雰囲気を取り入れたものになるかと。今後はニュークタウンも追加されますし、それ以外にも次々新しいコンテンツを出していきます!
――最後に本作を楽しみにしている日本のファンへのメッセージをお願いします。
Matt氏:この週末から「BO6」のマルチプレイをみんなが遊んでくれることに心の底からワクワクしています。ぜひ楽しんでください!
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その他の商標や製品名はその所有者に帰属します。
※画面は開発中のものです。
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