「王様戦隊キングオージャー」撮影の8割に導入!UEを活用したバーチャルプロダクション事例【CEDEC2024】

CEDEC2024
0コメント 近藤智

2024年8月21日~23日にわたって開催されている「CEDEC2024」。本稿では8月21日に実施されたセッション「『王様戦隊キングオージャー』 特撮×バーチャルプロダクション ~ゲームエンジンを活用した映像表現の最前線~」のレポートをお届けする。

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レポートの前に、スーパー戦隊に詳しくないゲームプレイヤー、ゲームに詳しくないスーパー戦隊ファンに向けて簡単に説明しよう。

「CEDEC(Computer Entertainment Developers Conference)」とは、CESA(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会)が主催する国内最大のゲーム開発者向けのカンファレンスだ。コンピュータエンターテインメント開発者を対象に、エンジニアリング、プロダクション、ビジュアルアーツ、ビジネス&プロデュース、サウンド、ゲームデザイン、アカデミック・基盤技術の7分野にわたりゲームに関する技術や知識を共有する場として毎年開催されている。

「王様戦隊キングオージャー」は、2023年3月~2024年2月までテレビ放送されていたスーパー戦隊シリーズ47作品目だ。チキューという星に存在する、中世欧州風の工業国「シュゴッダム」、近未来風のITテクノロジー国家「ンコソパ」、煌めく美と医療の国「イシャバーナ」、氷雪に覆われた中立国「ゴッカン」、和のテイストが色濃い農業の国「トウフ」といった特徴の大きく異なる5つの国が登場。タイトルから想像できるとおり、その各国の王がヒーローへ変身する。主なコンセプトアートやアセット制作については、東映公式サイトに掲載されている3~15話のエピソードトークを参照してほしい。

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多彩なロケーションでの撮影に応えるバーチャルプロダクション

登壇者は「王様戦隊キングオージャー」の監督を務めた上堀内 佳寿也氏、ソニーPCLの遠藤和真氏、増田 徹氏。本作には前述のとおり、設定として5つの異なる国が登場するため関東圏のロケーションでは限界がある。そこで、ゲームエンジンを使用したバーチャルプロダクションを活用できないかといった点から取り組みがスタートしたという。

本作のバーチャルプロダクション撮影を行ったのは「清澄白河BASE」で、実際のロケーションも活用しつつ撮影の8割をスタジオ内で実施。ソニーPCLでは撮影領域のバーチャルプロダクション部分と、ボリュメトリックキャプチャを担当した。

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バーチャルプロダクションスタジオは1.58mmピッチのLEDで構成され、横は約27m、高さは約5.5m。主にLEDへ映した映像を背景とし、カメラで同時に映すバーチャルプロダクションシステムという形で提供している。

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映像手法は、インカメラVFXとスクリーンプロセスの2つ。インカメラVFXではUnreal Engine(UE)でCG空間を作り、その空間のカメラと物理的なカメラがトラッキングで同期している。映像を投影するだけではカメラを動かすとパース感が崩れてしまうが、作った空間のそのままの動きをカメラが追従するため違和感のないアングル作りが可能だという。スクリーンプロセスでは、高精細のLEDへあらかじめ用意した静止画や動画などを投影。例えば走行する動画を流せば、車を止めたままでも走行している車の映像を撮ることができる。

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実際の撮影には東映の撮影チームによる全点球の360度動画も利用したほか、LEDへグリーンの画像を表示してクロマキー合成も実施。インカメラVFXからクロマキー合成への切り替えも10分程度で行えたため、映像手法ごとに撮影をまとめるのではなく、芝居の順に合わせて撮影できたそうだ。

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また、例えば実写であれば太陽の位置は決まってしまい、照明にも限界はある。一方バーチャルプロダクションでは、UEで作ったオブジェクトをリアルタイムに調整できるため好きなところに太陽を置いて影を落とすことも可能だ。

さらにスクリーンプロセスが効果的だった事例として雪のシーンを挙げ、ここでは実写の360度映像を使用し、撮影用の雪を降らせてスタジオで撮影した。ポストプロダクションで調整することもあったが、クロマキー合成でもLEDでも実際に降らせた方がリアリティを感じられるため行ったという。水分は厳禁だが使用した泡の雪はすぐ蒸発するため、適度な距離を取れば問題なかったそうだ。

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演者への負担を抑えてCG化できるボリュメトリックキャプチャー

ボリュメトリックキャプチャーとは、360度グリーンバックのスタジオへ複数のカメラを人物を取り囲むような形で配置し、空間そのものをキャプチャーする手法だ。物の動きや服のシワをはじめ、生身の動きを保持したまま3次元の空間をすべて撮影してCGデータにできる。ARやVR、裸眼に対応した立体ディスプレイなどのアプリケーションにも利用可能だ。

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まずは映画の宣伝用プロモーションビデオとして3体を撮影し、それを増殖させて配置。データは上堀内氏がUEで配置し、さらにそのデータをスタジオ側へ送る形を取った。上堀内氏はUEを使い始めて1年弱だったそうだが「そうした人間でも、ここまでできるのがゲームエンジンの面白さ」と語る。

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清澄白河BASEのスタジオは撮影可能範囲が直径6m、高さ3mという円筒形のエリアとなる。この手法の特徴は、演者が一発OKな演技をすればそれで撮影終了する点だ。そのため演者の負担を大幅に軽減き、この3人分の撮影も2時間かからず完了したそうだ。

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さらに「王様戦隊キングオージャー」39話で敵の幹部との総力戦となった場面、49話でチキューの一般人が戦う場面、最終話で巨大ロボットが戦う場面での事例を紹介。この手法ではカメラワークや2D的なエフェクトなどを並行して行えたため、比較的短期間で十分なクオリティの映像を実現できたのも大きかったそうだ。

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最後に上堀内氏はドラマや映画はもちろん、アニメーションやゲーム業界などへバーチャルプロダクションがもたらす魅力を強く感じたとコメント。遠藤氏は映像制作を中心としているためこれまでCEDECという場に縁がなかったが、ゲームエンジンが映像制作と切っても切れない関係になりつつあると感じたそうだ。増田氏はドローンが映像制作でごく普通に使われるようになってきている中、それ同じぐらいの気軽さでボリュメトリックやバーチャルプロダクションが使われるようになればと締めくくった。

このバーチャルプロダクションがどのように使用されたか、より詳しく解説した書籍「王様戦隊キングオージャー バーチャルプロダクションガイド(玄光社)」も発売中だ。今回の講義も踏まえ、興味のあるファンはこちらもチェックしてみよう。

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CEDEC2024公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2024/

趣味のゲーム系をはじめ、IT/ビジネス系などWeb媒体を中心に活動。AAAタイトルから乙女ゲーム、インディーズまで何でも遊ぶ雑食ゲーマー。あらゆる次元のアイドルと映画も愛してます。 https://contacos.hatenadiary.jp/

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