2024年8月21日~23日にわたって開催の「CEDEC2024」。本稿では21日に行われた講演「『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』3周年アップデートのUI全リニューアル!デザイナーとエンジニアの相互学習とUI開発フローの効率化について」のレポートをお届けする。
登壇者は「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下「プロセカ」)の開発を手掛けるColorful Paletteに所属する斉藤俊介氏と、古川勝氏だ。

異なるセクション同士の“歩み寄り”と“相互理解”が叶えた夢
リリース3周年にあわせて大規模なリニューアルが行われた「プロセカ」。主要キャラクターたちが1学年進級し、ストーリーが新たなフェイズに入ったことが象徴的だったが、これにあわせてゲーム内のUI(ユーザーインターフェース)も一新された。


このUIの一新を実現する上で、当時のColorful Paletteには問題点があったという。UIのデザインは“UIデザイナー”が担当するが、その実装はエンジニアにしかできないため、ちょっとした調整もUIデザイナーからエンジニアに依頼しなければならず、非効率的な往復が多かったのだ。リニューアル対象となるUIは200画面以上、固有ダイアログは300以上にも及び、当時の体制のまま3周年までに全工程を終わらせるのは困難だった。
この状況を変えるためにColorful Paletteでは“UI夢を語る会”と名付けられた話し合いの場が設けられた。これはUIデザイナーとエンジニアが「より良いUIを実現するにはどうすればいいのか?」について、セクションの垣根を超えて意見を出し合う場だったという。


“語る会”で行われた雑談で、その後の方針を決定づける案が出された。それは「UIデザイナー自身がUnityを使えるようになったら、工数を大幅に減らせるのでは?」というもの。これを実現するため、UIデザイナーはエンジニアチームからUnityの使い方を教わることになった。
Unityはゲーム開発の広範囲において利用されるゲームエンジンであるため、その機能は多岐にわたる。すべて使いこなすには膨大な知識が必要だ。そこでUIデザイナーが覚える知識は、UI実装に必要なものだけに焦点が絞られることに。“1週間に1時間”という無理のないペースで、約半年後にはUIデザイナーが“独り立ち”できる状態を目指し、エンジニアとの共同作業がスタートした。
Unityの勉強を効率良く進めるための工夫についてもいくつか紹介された。“失敗しながら覚えていけるように本番環境とは別の仮想環境を作る”、“楽しんで勉強できるよう、「好きなUI実装に取り組める自由課題」の導入や、「使える知識をインプットしたらすぐにアウトプットに繋げる」ことができる環境作り”などが行われたとのこと。
また、単にUIデザイナー側が教えてもらうだけでなく、UI実装にまつわる新たな仕組みについては、UIデザイナーとエンジニアの両者が情報共有を行い、それぞれがメリット・デメリットを理解するといった部分も意識されていたようだ。


技術的なトピックが増えていった講演後半の内容は省くが、ここまでに書いてきた方針が功を奏し、結果的にUIの表示に関する不具合などはUIデザイナー自身が調整できるようになり、作業は大幅に効率化。エンジニアはクリティカルなバグの修正に専念できるようになり、その対応速度は以前の約3倍までになったというから驚きだ。
“UI夢を語る会”が始まったばかりのころ、UIデザイナーによるUnityの活用は「(3周年の)UIリニューアルに間に合ったら最高!」といったように、あくまで“夢”として語られていたという。しかし、この試行錯誤は「これが成功したことでリニューアルを乗り切れた」と言えるまでの成果をもたらした。


夢が叶うために不可欠だったもの、それは異なるセクション同士の“歩み寄り”と“相互理解”の姿勢だったと言えるだろう。この点についてはゲーム開発のみならず、あらゆる組織での共同作業に教訓として活かせそうだと感じられた講演だった。
CEDEC2024公式サイト
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