2023年9月23日にiOS/Android版がサービスインを迎える「レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~」の先行プレイレポートをお届けする。
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「アトリエ」シリーズの最新作としてスマートフォンおよび、後日PC(Steam)で配信予定の本作は、「アトリエ」シリーズを手掛けるコーエーテクモゲームスのガストブランドに加えて、同社のTeam NINJAブランド、そしてモバイルゲームの運営実績を持つアカツキゲームスのタッグによってリリースされた。
さらに、タカヒロ氏(ストーリー原案・シリーズ構成、シナリオ監修)、吉池真一氏(「アトリエ」シリーズ監修)をはじめ、キャラクターデザインとして海鵜げそ氏、tokki氏、さらにキャラクターデザイン・衣装デザインとしてNOCO氏が参加するなど、幅広いクリエイター陣が参加。これまでコンソール向けに展開してきたことが多い「アトリエ」シリーズだが、それらと遜色ない力の入れようが伺える。
今回、いよいよ9月23日にサービスインした本作の序盤をプレイ。これからプレイする人たちにとっての参考になれば幸いだ。
スマートフォンの画面からもはっきりと伝わる、高水準のグラフィック
まずゲームを開始してすぐに目に入ったのが、そのグラフィックのクオリティ。昨今の「アトリエ」シリーズは毎度グラフィックのアプローチに進化を感じてきたが、それをスマートフォンの画面から感じることができたのは、嬉しい驚きだった。
街並みや草原などの風景の質感はもちろんのこと、本作のビジュアルを支えていると個人的に感じたのがキャラクターを魅力的に見せるための効果の数々だ。光の当て方やブラー、そして髪の揺れから表情の変化に至るまで、キャラクターの存在感がしっかりと表現されており、ずっと見続けていてもその細やかさで飽きさせない。
歴代の「アトリエ」シリーズのキャラクターが登場するということで、ベースとなるデザインこそ多種多様だが、全体にバランスの良いキャラクターモデルに落とし込まれている点も好印象だ。筆者も長いこと「アトリエ」シリーズのファンとしてゲームを楽しんでいるが、近年登場したキャラクターだけでなく、懐かしのキャラクターも3Dモデルで表現されている点には感動した。
ゲーム進行は二人の主人公によるストーリーを軸に展開
そうしたグラフィック表現をベースに描かれる本作のストーリーは、基本的にスタミナ消費が無く、一度始めると連続して進めることができる(スタミナは後述するクエストなどで消費)。都度選択画面に戻ることがないため、没入感とともにストーリーを楽しめるというのは嬉しいところ。
本作では、かつては錬金術が栄えていたものの、今は衰退して錬金術士自体が数少なっている世界が舞台となる。主人公であるレスナ(CV:白砂沙帆)は見習い錬金術士として、師匠であるザスキア(CV:能登麻美子)からの課題を達成すべく旅をしている。そんな中、ザスキアが作った異世界のアトリエでいろんな世界からやってきた錬金術士たちとの出会いを果たすこととなる。その後、目的地である王都へとたどり着いたレスナは、錬金術を用いてさまざまな問題を解決しつつ一人前になるべく奮闘する。
このように、ゲーム序盤はレスナの視点を中心に進行するものの、一部で視点が切り替わり、もう一人の主人公であるヴァレリア(CV:沼倉愛美)の物語が描かれる場面も。こうしたゲーム体験はスマートフォンではあまり馴染みがなく、二人がニアミスする場面などではいつ出会うことになるのかとワクワクさせられた。
また、主人公像としても従来の「アトリエ」とはまた一味違うものとなっていた。レスナはとにかく元気いっぱいではあるのだが、“錬金術オタク”でその話題になるととにかく早口でまくしたてる。一方で、丁寧な言い回しをする場面も多く、根の真っ直ぐさを感じることができる女の子だ。ヴァレリアは記憶喪失という境遇ながらそんな雰囲気を感じさせないカラッとした話し口で、見た目のミステリアスな印象よりもはるかに親しみやすい。
そして、レスナとヴァレリアを取り巻く人々の魅力も、物語の一端から感じることができた。レスナと行動をともにする幼馴染のイザナ(CV:田中美海)、ヴァレリアの相棒で戦術面のサポートをするハイディ(CV:大空直美)、健気な姿が印象的な行商人のフロッケ(CV:大野柚布子)など、今作から登場するキャラクターはもちろんのこと、歴代の「アトリエ」シリーズからのキャラクターも単なるゲストというわけではなく、一連のやり取りにしっかりと溶け込んでおり、違和感なく楽しめる。
もちろん、歴代作品からそのキャラクターのバックボーンを知っていることで楽しめる部分が多くなるのは事実だが、一方でそのキャラクターを知らなくても問題なく、単なるファンサービスではない点には触れておきたい。このあたりはぜひ実際のプレイで確かめてみてほしいポイントだ。
戦闘、採取、調合といった「アトリエ」おなじみの要素も
本作ではゲームにおけるストーリーの比重が相対的に一番大きくなっているのだが、一方でストーリーの先に進むためには戦闘に勝利したり、一定の条件をクリアしないといけないものもあり、そこがプレイヤーの介在する要素にもなってくる。
最大5人編成で挑むことになる本作のバトルは、過去の「アトリエ」シリーズでも採用されていたタイムライン制になっており、行動順が鍵を握ることになる。行動するキャラクターの上に表示された「効果パネル」はさまざまな効果をもたらしてくれるのだが、敵側が効果パネルを獲得してしまうケースもあるため、スキルの選択やアイテムの使用によって、タイムラインをコントロールするアプローチも必要になってくる。
また、同じくタイムライン上に出現する「バーストパネル」を獲得すると、キャラクター固有の必殺技である「バーストスキル」も繰り出せる。発動時の演出にもぜひ注目してほしいところだ。
そのほか、敵にはブレイクゲージがあり、ゼロにすることでブレイク状態になって行動順が遅くなる。また被ダメージ量も増えるため、攻撃を一気に畳み掛けるチャンスとなる。なお、キャラクターにはブレイクする威力が高いロールの「ブレイカー」など、それぞれにロールが設定されているので、そこも編成する上でのポイントになりそうだ。
ちなみに、バトル中はオートモード、倍速モードを標準搭載。クエストは一度クリアしたり、すべてのミッションを達成してクリアすれば以降はスキップも可能になるなど、スマートフォンゲームならではの効率性も確保されている。
この流れで育成にも触れておくと、本作の育成は経験値によるレベルアップに加えて、光玉と呼ばれる素材を用いてパネルを解放していく「グロウボード」、「アトリエ」シリーズの名シーンなどを楽しめるイラストカードで、キャラクターに装備できる「メモリア」などが用意されている。育成クエストを通してこれらの成長に必要な素材を集めるのも、ストーリーを進める上では欠かせない。
バトルを有利にする要素はこれだけでなく、アイテムや装備を活用することももちろん大事。それらを獲得するために、「アトリエ」シリーズおなじみの「調合」を行うことになる。本作では採取によって入手した素材とマナを使って、戦闘に役立つアイテムをはじめ、キャラクターが装備できる武器・防具・装飾品を調合できる。ただし、アイテムを作るためにはレシピ発想を通じてそのアイテムのレシピを得る必要がある。
調合時は、作りたいアイテムと、一緒に調合するキャラクターおよび素材を選択。アイテム、キャラクター、素材は、それぞれに持っている「ギフトカラー」を左右隣同士でつなぎ合わせたり、キャラクターや素材の持つ特性を意識したりと、シンプルながらも調合らしいアプローチで楽しめる。
なお、調合時に消費するマナは無尽蔵に用意されているわけではないので、限られた数しか繰り返し調合できない点には注意してほしい。時間経過によってマナは回復していくので、調合のタイミングを見計らうのも重要になってくる。
調合時に必要な素材を集める採取に関しては、クエストの「ダンジョン」の探索というかたちで楽しめるようになっている。基本的には決まったルートを移動することになるのだが、道中ではさまざまな採取のアプローチが楽しめるほか、ダンジョンの奥にはボスが待ち受けるなど、歯ごたえも感じられるものとなっている。
これらの要素は、おもにコンソール向けに展開してきた「アトリエ」シリーズとはフローこそ変われども、ゲームサイクルとしてはそのままのかたちを実現している。当然ながらアイテムなどの準備が不十分では強敵には苦戦することになるので、一連のフローを忘れずにプレイしておこう。
新たな「アトリエ」を体験しよう
今回はわずかな時間でのプレイだったものの、それでもキャラクターの魅力や「アトリエ」シリーズタイトルならではのアプローチは感じることができた。ゲームシステムこそスマートフォンゲームに合わせた最適化が図られているものの、キャラクター同士の関係を見せるストーリーの一場面など、従来の「アトリエ」シリーズが表現していたものが盛り込まれている印象を受けた。
「アトリエ」シリーズファンにとっては、お気に入りだった歴代作品のキャラクターを再び楽しむことができるし、初めて「アトリエ」シリーズに触れるという人も、本作は独立した世界観で描かれるものとなっているので、まずはぜひ一度体験してみてほしい。
(C)コーエーテクモゲームス / Akatsuki Games Inc.
※画面は開発中のものです。
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