「勝利の女神:NIKKE」をレビュー。「デスティニーチャイルド」などの作品で知られるキム・ヒョンテ氏が率いるSHIFT UPが開発を手掛けた美少女終末シューティングRPG。その魅力を紹介する。
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「勝利の女神:NIKKE」は、Level Infiniteからリリースされた美少女終末シューティングRPG。魅力的なキャラクターデザインで知られるキム・ヒョンテ氏率いるSHIFT UPが開発を担当。このため筆者は、リリース前からビジュアルのクオリティには期待をしていたが、結果は想像以上!非常に高いクオリティで美少女を描き、「背中で魅せる」というコンセプトを実現している。それでいて、決して美少女やビジュアルだけに頼った作品ではない。バトルのゲーム性も非常におもしろい。App StoreやGoogle Playのランキングで1位を獲得したことも納得の作品だ。その魅力に引き込まれた人間の一人として、今回はその内容を紹介したい。
美少女たちの背中に魅了される!超ハイクオリティなビジュアル
キム・ヒョンテ氏といえば人気イラストレーターであり、もちろん実力もトップクラス。それだけに、本作のビジュアルが凄いということはプレイせずとも十分わかる。…プレイ前、筆者はそんな風に思っていたのだが、起動直後にいきなり驚かされた。キャラクターのアップが描かれたタイトル画面がまず美しい。「イラストが上手い」「キャラがかわいい」というレベルではない臨場感に、一気に引き込まれてしまった。
美少女キャラクターにフィーチャーしたゲームは数多く存在している。ただそんな中で本作は、頭一つ抜けていると感じた。それぞれのキャラクターのビジュアルが美しいということもさることながら、ビジュアルのパターンが豊富。1キャラクターにつき、会話用の立ち絵、バトル時のリロード中と攻撃中という3枚が用意されている。しかも、3枚とも非常によく動く!
冷静に考えれば、イラストの枚数がただ多いというだけの話。しかし、キャラクターを様々な角度から見ることでより立体的にキャラクターの存在を捉えることができる。このため、キャラクターが実在するかのような臨場感が味わえるのだ。
その上で、やはり注目すべきはバトル時の攻撃中ビジュアルだろう。本作のバトルは前方から攻めてくる敵と戦うガンシューティング的な視点になっている。このため、攻撃中のキャラクターは前方…すなわち、プレイヤーに対して背中を向けることになる。そう、本作のコンセプトとなっている「背中で魅せる」を体現したビジュアルだ。これがなんともカッコよく、美しい。そして何より、背中やお尻、太ももがセクシーに描かれている!
臨場感の高い美少女たちの、カッコよくセクシーな後姿…。これが見たくない人などいるだろうか?新キャラクターが登場したら、「戦っている時はどんな後姿なのだろう?」と想像せずにはいられない、圧倒的な魅力だ。正直、美少女ゲームのファンはもうこれだけで本作をプレイする価値がある。でも、「美少女が魅力的」というだけで終わらないのが本作の凄いところ。本作、仮に美少女キャラクター抜きだったとしてもバトルがおもしろいのだ。
お手軽だが興奮度が高い!ガンシューティングバトル
先ほど触れた通り、本作のバトルはガンシューティング形式。3D空間を自由に移動して戦う「FPS」スタイルではなく、位置固定で出現した敵が攻撃するまでの間に狙いを合わせて射撃するガンシューティングスタイルだ。形式としては3D技術が発展する前の2D時代から存在するため、「昔ながら」のゲームジャンルといってもいいだろう。だが、本作のバトルは決してレトロなものになっていない。むしろ、現代的。「昔ながら」のガンシューティングを、現代に合わせて生まれ変わらせたものといえるだろう。
現代的に感じる理由のひとつが、操作系。スマートフォンゲームなので操作はタッチで行う。画面をタッチしている間は照準の移動+射撃。画面から指を離すことでリロードとなる。非常に直感的でお手軽。しかし、ショットの効果音や敵の破壊描写などの演出は現代的なので爽快感が高い。結果として、スマートフォンというデバイスにマッチしたバトルに仕上がっている。
また、武器の種類によって操作が変化するという点も現代性を感じさせる部分だ。マシンガン系は照準の移動と攻撃が同時に発生するが、ロケットランチャーやスナイパーライフル系の武器の場合、タップ中はチャージとなり指を離すことで攻撃となる。もちろん、操作系が異なるだけでなく、攻撃スピードや攻撃範囲、攻撃力などが異なるため武器ごとに異なる立ち回りが必要。その上で、5人編成のパーティーとなっており、使用キャラクターの切り替えができるため、状況に応じたキャラクター選択も可能になっている。つまり、ただ「時間内に狙って撃つ」だけではないため、「昔ながら」ではなく「現代的」に感じられる。
そして何より現代的な表現のひとつといえるのが、スキル発動時のエフェクトだろう。ここでも美少女キャラクターの専用イラストレーションが用意されており、スキルのド派手さと共にキャラクターのカッコよさと美しさを味わうことができる。
さらに、芸が細かいと感じたのが建物の破壊描写。銃撃はビルなどの建物などにもヒットし、ダメージを与える。建物へのダメージが一定以上になると、建物が壊れていく。戦闘の激しさが上手く表現されているのと同時に、破壊の爽快感が底上げされていると感じた。こうした細かい部分まで手を抜かない演出と調整によって、本作のバトルはお手軽だが非常に高い興奮を味わわせてくれる。正直な話、本作が美少女キャラクタ―抜きのミリタリーものとして作られていたとしても、筆者は高く評価しただろう。
泣いた!笑った!引き込まれずにいられないストーリー
魅力的なキャラクター、そして興奮度の高いバトル。もうこれだけで十分良作タイトルだと思うが、本作はその上ストーリーがいい。ステージ2までの時点で泣いて笑って、筆者は感情を大きく揺さぶられてしまった。
本作の舞台は、「ラプチャー」と呼ばれる存在の襲撃により地上を奪われた人類が、「アーク」と呼ばれる地下で生活する世界。とはいえ人類は地上奪還をあきらめたわけではない。地上奪還のための希望が「ニケ」。人間に絶対服従し、脳さえあれば何度でも復活できる少女たちだ。本作の主人公=プレイヤーは、この「ニケ」を指揮する新米指揮官として赴任するところ、敵の攻撃を受け輸送機ごと墜落してしまう。
死ぬ間際だった主人公=プレイヤーを救ったのが、マリアンという「ニケ」。主人公=プレイヤーは彼女と共に合流地点を目指す…というのが本作冒頭の展開だ。「ニケ」は人間ではないため、ケガをしてもパーツを交換すれば済む。そんな「ニケ」であるマリアンに対して包帯を巻こうとする主人公=プレイヤーとマリアンの心の交流が描かれていく。
しかし、合流地点で待っているのは衝撃の出来事。ここは是非とも自分の目で見てほしいので、詳細は書かない。だが注目してほしいのは「ここです」というマリアンのセリフだ。一件特別な意味を持たないこのセリフだが、本作のシナリオではひとつのイベントの中で大きく3通りの意味に変化する。このセリフの使い方が非常に巧みで、筆者は心を打たれた。ガチで泣いてしまったシーンだ。
ガチ泣きしている時点で本作に心を奪われたことは間違いないのだが、本格的に引き込まれたのはその後の展開だ。舞台に加わる新たな「ニケ」、ネオンとアニスとのやりとりがとにかくおもしろい。「火力」にこだわる変わり者のネオンがボケ役として、冷めた価値観を持つアニスがツッコミ役として軽妙な掛け合いを見せてくれる。ガチ泣きした後にも関わらず、大笑いしてしまった。ガチ泣きするほどハードな世界観ではあるが、このキャラクターたちのこの先を見たいと思えるストーリーだ。
結論!対応スペックのスマートフォンを持っているならプレイすべき一作
ここまで、ベタ褒めといっていい内容だが、実際に筆者はそれほど本作を気に入った。対応するスペックのスマートフォンを持っているなら、プレイすべき一作だと思う。バトルにはオート機能が用意されているので、シューティングやアクション性の高いバトルが苦手という人でも問題なく楽しめるだろう。
(C)PROXIMA BETA PTE. LTD. (C)SHIFT UP CORP.
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