ステート・オブ・サバイバル」をレビュー。週末世界を舞台に、ゾンビと生存者の戦いを描くマルチスタイル生存戦略RPG。マルチプレイとソロプレイという、本作の持つ2つの魅力について紹介する。

目次
  1. ソロRPGとマルチプレイ戦略シミュレーションが融合した作品
  2. 魅力的なキャラクター!ソロプレイの魅力が光る作品

「ステート・オブ・サバイバル」は、KingsGroup Internationalからリリースされたスマートフォン向けマルチスタイル生存戦略RPG。謎の病原体に侵され「アンデッド」となった人々が襲い掛かる荒廃した世界を、仲間と協力しながら生き残るというゾンビものRPGで、海外版は全世界で9,000万ダウンロードを突破した人気作。今回はリリースされたのは日本版で、単に言語を翻訳するだけではなく、日本専用のシナリオやイベントも実装。さらに「七海」「華夜」という新キャラクターも追加。単純な「ローカライズ」という枠に留まらない作品となっている。

ソロRPGとマルチプレイ戦略シミュレーションが融合した作品

本作は「マルチスタイル生存戦略RPG」と銘打たれているが、大枠で言うとマルチプレイ型の戦略シミュレーションに分類される。自分の領地に様々な施設を建設・アップグレードして軍備を増強。他のプレイヤーの領地を攻撃して支配力を増やしていく…というタイプのゲームだ。ただ、ゲームスタート直後はマルチプレイではなく、ストーリーやNPC(ゾンビ)とのバトルを楽しむソロRPG的な作りとなっている。

本作以外にも、冒頭部分をソロパートにするマルチプレイ型の戦略シミュレーションゲームは少なくない。ゲーム開始直後のシステムを把握していない状態で人間プレイヤーと対戦しても負けることの方が多いので、まずはNPC相手にシステムを覚えてもらおうというためだ。ただ、そうしたチュートリアル目的の作品と違い、本作はソロRPGとしてしっかり楽しめるレベルまで作り込まれている。

ソロ部分で本作を特徴づけているのが、バトルシステムだ。本作のバトルシステムは2タイプ用意されている。1つめは、主に屋外での大規模な集団戦闘に使われるフルオートのバトル。これは、一般的なマルチプレイ型戦略シミュレーションのバトルに近いものだ。特徴的なのは2つめのバトルシステムで、屋内探索ステージなどの小規模な集団戦闘に使われる、ディフェンスゲーム的なシステムとなっている。

屋内探索ステージは画面をタップしてパーティを移動し、ある程度進むとゾンビが出現するという構成。敵と遭遇するとパーティは移動を停止し、自動的に攻撃を実行。プレイヤーは、スキルの使用を指示するという形だ。スキルを発動するためにはリソースが必要で、リソースは時間経過とともに蓄積していく。

このシステムだけ見ると、一般的なディフェンスゲームのシステムのようにも思える。しかし、そうではない。スキルの効果によって、本作のバトルは、独特な戦略性が楽しめるものに仕上がっているのだ。

本作のスキルの代表的なものは、サブユニットを召喚するもの。たとえば、「サージ」のスキルはフィールド上にタレットを設置。設置されたタレットはゾンビを自動的に射撃してくれる上、ゾンビからターゲットとして扱われる。このため、パーティーメンバーの前に壁として設置すれば、与ダメージを増やした上で、被ダメージを減らすことが可能だ。

これに対して、マディのスキルであるパイプ爆弾は、ゾンビを引き付けた上で爆発するというもの。1回ダメージを与えて終わりなので、単なる追加攻撃スキルにも思えるが、そうではない。ポイントは「ゾンビを引き付ける」という点。ゾンビが大量に出現するようなシチュエーションでは、タレットを複数設置していたとしても、ゾンビに押し切られてしまう。いくらタレットを設置したところで、一定時間あたりに攻撃できるゾンビの数には限度があるからだ。

こうした状況で威力を発揮するのがパイプ爆弾。大量のゾンビを引き付けた上で範囲ダメージを与えることができる。その上、投げる場所を上手にコントロールすれば、ゾンビの群れを引き離すことが可能。状況の打開に使えるわけだ。

こんな風に、屋内探索ステージのバトルは状況に対して適切なスキルを使うことが重要な、戦略的なバトルに仕上がっている。一見難しいステージであっても、適切なタイミングで適切なスキルを使うことができればクリア可能。だから、スキルをどう使うかを考えるのが楽しい。ソロプレイならではのおもしろさが詰まったバトルだ。

屋内探索ステージをクリアすることで、新たな施設がアンロック。また、資源を消費して空き地に施設を建設するなどして自分の領地内を拡充していく。少しずつではあるが、確実に自分の領地が広がっていく感覚が楽しい。また、領地内の施設は自由に移動ができるので、自分好みの領地をデザインする楽しさも味わえる。領地内の拡充に伴いストーリーが進行し、ワールドマップが解放されてマルチプレイ対戦が解禁されるという流れだ。

魅力的なキャラクター!ソロプレイの魅力が光る作品

ところで、屋内探索ステージのバトルで魅力的なのはシステムだけではない。キャラクターも魅力的だ。特に、日本版リリースで追加されたキャラクター「七海」と「華夜」の魅力は光っているように思う。

「七海」は、セーラー服と和服が融合したような服装に身を包み、刀で戦う女性キャラクター。「華夜」は弓道着に身を包んだ、弓使いのキャラクターだ。本作に出てくる他のキャラクターは、シリアスなポストアポカリプスものに出てきそうなテイストだが、「七海」「華夜」についてはB級バトルゾンビもののテイストを持っている。ゾンビ好きでB級映画好きな筆者としては、そこがたまらない。

一方で、個人的にやや残念に感じたのが、マルチプレイによる戦略シミュレーションの部分。…というのも、ここまで書いてきたとおり、本作のソロプレイ用ステージにこの上ない魅力を感じてしまったから。ルチプレイ部分も楽しいのだが、筆者的には、ギルドに入って他プレイヤーと戦うより、RPG的にお気に入りキャラを強化し、ディフェンスゲーム的なバトルをひたすら楽しみたい…。ディフェンスゲーム的なバトルを繰り返すことで少しずつ箱庭マップが充実していく様子に、麻薬的な魅力を感じてしまった。正直、今後もソロ用のモードをガンガン追加してほしいと思う。

もちろん、マルチプレイの戦略シミュレーション部分もよくできている。なので、両方好きな人だったらこの上なく楽しい時間を過ごせることだろう。その一方で、これまでソロのRPGしかプレイしたことがないという人も、是非本作に触れてみてほしい。それくらい、ディフェンスゲーム的なバトルがよくできている作品だ。

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