声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第18回は日本のインディーデベロッパー・NAYUTA STUDIOが開発し、Steam/PLAYISMで配信されている「CINERIS SOMNIA」を紹介します。

平成最後のクリスマス、平成最後の年末年始…などなど、前回の探訪でも平成最後の夏休みについて話題にしましたが、最近は何かと「平成最後の○○~」というフレーズを見かけますね。昭和生まれの私は二つの元号を跨ぐことになりますが、平成になった時は幼すぎてあまり覚えていないので当時もこんな空気だったのかなあとぼんやりと周りの盛り上がりを見ています。
とはいえ、自分が平成最後に遊ぶゲームが何になるのか、何にするのかはこだわっていきたいですね。本日探訪させていただきます「CINERIS SOMNIA」も、そんな平成最後に遊ぶゲームの一本としてみなさまにおすすめしたい作品です。
「CINERIS SOMNIA」とは?
だれもいない砂浜で目を覚ました少女。残された妹の黄色いバケツ。砂の城。つい先ほどまでそこにいたはずの母親。目が眩んでしまいそうな日差しの中、少女はそっと足を踏み出す。
「CINERIS SOMNIA」は、日本のインディーデベロッパーNAYUTA STUDIOが「3Dゲームを作りたい」、「想像した物語や世界をゲームで表現したい」という思いから開発した三人称の3Dアドベンチャーゲーム。美しく奇妙で不可思議な世界を探索しながら、純粋さや醜さ、喜び、不安など、人の内側にある綯い交ぜの感情と、儚い物語を楽しもう。
ゲームをスタートすると最初に操作キャラクターになるのは《少女/THE GIRL》。服装や海辺で遊んでいた様子から季節は夏のようだと窺えます。視点を太陽に向けると眩しそうに手を自然とかざすのが可愛らしいです。
家族の姿が見えないので探索をはじめると、海のすぐそばに廃屋が。少女と廃墟…。この組み合わせに心惹かれる方の期待は裏切りません。そう、「CINERIS SOMNIA」はゴシックやロリータ、バイオレンスなど、そういった響きに胸が躍る方々にはより刺さる作品なのです。
灯台まで来ると、今度は操作キャラクターが全身黒づくめの青年に変更となります。場所も海から森に移り、プレイヤー自身何も情報がないまま森の中を彷徨うことになります。青年が森を探索していると森の中で出会った少女《マリー/MARIE》と出逢います。川に鳥籠を落としてしまい、躊躇なく水の中に足を踏み入れる青年。格好いいですね。少しずつ交流していくうちに、マリーは兄のために青い鳥を探していることを教えてくれて青年は青い鳥探しの手伝いをすることになります。
青い鳥といえばモーリス・メーテルリンクが作った童話劇。兄のチルチルと妹のミチルが幸せの象徴である青い鳥を夢の中で探し歩くお話ですが、マリーの行動とも事柄が被ります。青い鳥の童話劇の様に展開するならここは夢の話なのかしらんとプレイヤーの足元が揺れ始めた頃から少しずつ森の中が様相を変えてゆきます。物語が進む度に変化するフィールド画面は必見です。グロテスクさや退廃した雰囲気がありながらも幻想的で「CINERIS SOMNIA」の魅力の一つです。調度品一つ一つの変化もあわせて必見!
マリー以外にも、療養所で暮らす病弱な少女《シャーロット/Charlotte》、両親からの愛情を与えられなかった孤独な名家の令嬢《オフィーリア / Ophelia》と様々な少女に出会うことになりますが、彼女たちの過去に触れていくにつれ彼女たちが抱える悩みや深い闇を知れる事でしょう。
青年を通じて様々な体験をしますが、青年には台詞がなく、性格を判断できるような動きをしないため、彼が何を考え、どう受け止めているのかはプレイヤーに委ねられています。答えのない問いや少女たちに関わる登場人物達の葛藤を、みなさまはどのように捉えるのでしょうか。こちらも「CINERIS SOMNIA」の魅力の一つ。プレイ中、プレイ後に考察したくなる要素が散りばめられています。
ゲームシステムはプレイヤーキャラクターを操作していくシンプルなアドベンチャー。次にどこへ行けばいいのかわからなくなっても、メニュー画面から進行状況と共に簡単に確認できます(進行したら斜線が自動で引かれるのでありがたい! 痒いところに手が行き届く!)。場所のヒント画面も右側に表示されるので、物語に集中でき、普段ゲームをあまりしない方にも易しい設計です。
セーブ・ロードは基本的にいつでもどこでも可能。ゲーム起動時に立ち上がるメニュー画面では、前回中断した場面や時間が表示され、ゲーム本編をはじめる導入として一役買っています。最初、違和感がなくて自分の情報だと気づかなかったほど。メニュー画面で自分の情報が表示されているのって、自分だけのプレイ記録を作っているのだと実感できていいですよね。
可愛らしい少女たちと青年による、幻想的で残酷で、儚さが漂う「CINERIS SOMNIA」。効果的に流れるピアノの旋律も美しく、のんびりと時間がある時に少しずつ探訪したくなります。青い鳥を探す所から物語が動き始めることもあり、童話のような世界観ですが、童話劇では青い鳥を探すのは夢の中。そして過去や未来。青年が少女たちと邂逅している場所はどこなのでしょうか。
もう一つ気になるのは、青い鳥のテーマである「死と生命の意味」。「CINERIS SOMNIA」では生と死をとても意識するような登場人物や展開が起こりますがそれがどう関わってくるのか、果たして関わってこないのかは是非みなさま自身で探訪して体験してみてくださいね。
私が一つだけ言えることは、幸せはそばにあるという事。そうです、目の前の(もしくは家にある)パソコンを使えば「CINERIS SOMNIA」はすぐプレイできますからね。
三宅麻理恵さんプロフィール

生年月日:1985年6月7日
出身:大阪府
趣味:読書・落語・ゲーム
主な出演作品:「輪るピングドラム」萩野目苹果 役、「銀の匙」御影アキ 役、「緋色の欠片」春日珠紀 役、「アイドルマスターシンデレラガールズ」安部菜々 役
Nayuta Studio All rights reserved. Licensed to and published by Active Gaming media, Inc.
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