エンディングが反響を呼んだ「英雄伝説 閃の軌跡III」(以下、閃の軌跡III)、その続編にしてシリーズ完結作の「英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-」(以下、閃の軌跡IV)や「閃の軌跡」シリーズ誕生秘話など、日本ファルコム代表取締役社長にして軌跡シリーズのプロデューサーを務める近藤季洋氏にさまざまな話を伺ってきた。

※本文中には、「閃の軌跡III」を含むシリーズのネタバレが含まれていますのでご注意ください。

――「閃の軌跡III」は非常に衝撃的なエンディングとなりましたが、ファンの方々からの反応はいかがでしたか?

近藤氏:やはりびっくりされた方が多い印象だったのですが、中には「知ってた」という反応をされる方もいましたね(笑)。これまでも軌跡シリーズは何作かに分かれるという形はありましたが、あそこまで緊迫した状況で終わるというのは初めてだったので、「なぜ物語が途中で終わっているんだ」という厳しいご意見もありました。賛否両論になることは想像していたのですが、どちらのご意見の方も続きを楽しみにしていただいていることは感じられましたね。

なので、なるべく期間を空けずに「閃の軌跡IV」をお届けしたいなと思っています。元々「閃の軌跡III」で終わる予定ではあったんですが、「閃の軌跡II(以下、閃の軌跡II)」を終えた時点で、内容を考えると2作に分けたほうがいいのかなという話を開発チームとしまして、「閃の軌跡IV」まで続けてそこで終わろうという形になりました。もっと遡ると二部作の予定だったのですが、さすがにそれは無理でしょうと(笑)。1作で終わる予定だったクロスベル編が2作になったくらいですからね。エレボニア帝国の話となると、最低でも3作にはなるだろうなと思っていました。

近藤季洋氏

――エンディング以外で、反響が大きかったシーンはありますか?

近藤氏:「英雄伝説 零の軌跡(以下、零の軌跡)」と「英雄伝説 碧の軌跡(以下、碧の軌跡)」のキャラクターの登場が、シリーズのファンの方には印象的だったようですね。ロイドが拳を突き上げて合図を送ってくれるシーンが良かった、という意見が多かったです。

あとはやっぱり、クロスベルに行けたということも喜んでいただけました。あれは自分たちで作った時も、「おぉっ!」と喜んだくらいですからね(笑)。「碧の軌跡」のエンディング後からクロスベルがどのようになっていくのかも、「閃の軌跡IV」ではサイドストーリーのような形で補完されていきますのでそちらも期待していただければと思います。

あとはハーメルの話もよくユーザーさんの間で話題になりましたね。もちろんハーメルの謎についても、「閃の軌跡IV」では語られていきます。なぜ3人目の生き残りがいたのかとか、ヨシュアとレーヴェがなぜ見落としたのかとか(笑)。ただハーメルの話もまだ全てが語られたわけではないので、これから明らかにされていく部分も残っています。

――特に人気を感じたキャラクターはいますか?

近藤氏:「閃の軌跡III」になって人気が上がったと感じたのはアルティナでしょうか。リィンのパートナーになって、なおかつ悩んだりする人間味が出てきて、そこにミリアムとの関係性の変化もあったりと。リィンにとって身近なキャラクターになったことも大きいんだと思います。これまでは敵勢力のキャラクターだったぶん、より愛着が湧くようになったのではないでしょうか。逆にユウナは最初に反発してくるキャラクターなので、慣れてくると本当はいい子だというのはわかるんですけど、ユーザーさんによっては感情移入しづらいという意見も目立ちましたね。

あとはオーレリアも大きく印象が変わったキャラクターでしょうか。「閃の軌跡III」に登場すると発表した時点では「誰この人?」という声もあったんですよ(笑)。オーレリアが初登場した「閃の軌跡II」は登場キャラクターも非常に多くて、オーレリア自身の出番がそこまで多いわけでもなかったので。「閃の軌跡II」ではリィンたちとは別の場所で戦っていましたが、「閃の軌跡III」だとリィンたちの上司ということもありますし、前作までと印象の変わったキャラクターの人気が高まったように感じます。

ミリアムもそういった意味では、あのラストも含めて話題になりましたね。あと、ミリアムと同時にユーシスにも再度注目が集まっていました。ミリアムを失ったあとの彼は、あまりにも辛くて見ていられないというように。

――ユーシスを含め、「閃の軌跡」は複雑な立場にいるメインキャラクターが多いという印象があります。

近藤氏:ユーシスはもちろんですが、アリサもそうですね。お母さんが世界を侵略する兵器を作っていて、お父さんは敵対組織の黒幕で、仲の良かったメイドとは決別して…と酷い目に遭っています(笑)。そういった面も含めて、アリサの動向には「閃の軌跡IV」で注目が集まるんじゃないかな、と個人的に予想しています。自分の家族が原因で大きな事態が起きていると彼女は考えてしまうでしょうし、今までのように仲間と接することができるのかも注目ポイントですね。

――気になる点が多い「閃の軌跡IV」ですが、主人公は変わらずリィンと考えてよろしいでしょうか?

近藤氏:主人公は基本的にリィンですね。ただ、前作のラストを見ていただいた方はなんとなく想像がつくんじゃないかなと思うのですが、最初は普通の状態では始まりません。最初はリィンが中心ではなく、新旧VII組メンバーが彼を助けなきゃという状況から始まります。

時系列としては、ほぼ「閃の軌跡III」のエンディング直後からです。イメージイラストで鎖に繋がれているリィンが描かれていますが、あれがスタート時点でのリィンの状況ということですね。当然、ほかのメンバーたちはあの状況から一度離脱するのですが、そこから立て直してどのように行動していくか、というのが「閃の軌跡IV」での冒頭部分になります。

新VII組のメンバーの動きに関しては、ユウナやクルト、アルティナはリィンを助けにいこうとなるのが自然な流れでしょうし、一方でミュゼはこのあと一緒に行動する気があるのかどうかわからないですね。そしてアッシュは、オーレリアに助けられていましたが、目を覚ましたあとどうするのかも注目です。

――戦闘に参加するプレイアブルキャラは、どれくらいの数になるのでしょうか?

近藤氏:数はハッキリとは言えないのですが、「閃の軌跡III」よりは増えます。スポット参戦のゲストキャラクターも含めると、シリーズで最大の数になる予定ですね。「閃の軌跡」シリーズで使っているエンジンを作ったヨーロッパの方たちから、「こんなに個別のモデルをたくさん表示することを想定されていない」って言われてしまいました(笑)。ヨーロッパだと、プログラムでひとつのモデルを作って別バージョンのキャラクターを作るという手法が前提としてあったので…。

――初めてプレイアブルになるキャラクターもいるのでしょうか?

近藤氏:「閃の軌跡」だけでなく、これまでの軌跡シリーズの完結編でもあると思っていますので、その流れで過去の作品から初めてプレイアブルとして参戦するキャラクターもいます。チラ見させているキャラクターもいれば、全く発表していないキャラクターもいます。リベール派もクロスベル派も、これは押さえておかないと、と思っていただけるのではないでしょうか。

――バトルシステムについて、何か新要素はありますか?

近藤氏:基本的にはこれまでのシステムを踏襲したものになりますが、新要素もいくつかありますね。オーダーに成長要素が追加されたり、「閃の軌跡II」のときにあったロストアーツを集めて利用するようなシステムも再び追加されます。あとは色々なメカをバトル中に呼び出すシステムを予定しています。騎神や機甲兵をはじめ、ラインフォルト社が作ったものなどですね。

これまでの集大成といえるような内容で、バランスチューニングのスタッフが悲鳴を上げています(笑)。要素が増えるほど、バランスをとるのが大変になりますからね。プレイヤー有利のシステムを追加すると、理不尽にならないように手応えを出すというのが難しくて…。プレイアブルキャラが増えることも大変になる要因ですが、RPGで群像劇をやると決めたときからこれは覚悟していました。

――注目してほしいキャラクターは誰でしょうか?

近藤氏:一番動向に注目してほしいのは、やはりオズボーンでしょうか。彼が一体何者なのか、心臓を失ったはずなのになぜ生きているのかといった謎も明らかになっていきます。

「閃の軌跡IV」では開始直後から帝国内で徴兵制が施行されていて、それを主導しているのがオズボーンなんです。彼の周りにいた人物も色々な思惑があって、レーグニッツ都知事のように穏健派の人たちはどう動くのかとか、オズボーンに対してどんな感情を抱いているのかが描かれていて、まさにオズボーンが中心にいる形です。

あとはリィンとオズボーンの関係こそ明かされましたが、これからどのように変化していくのかにも注目です。それと鉄血の子供たちも、それぞれ色々な形で行動をとっていくと思います。また今回はカルバード共和国の模様も描かれるので、そちらから新規のキャラクターも登場します。過去の作品でいうとキリカが登場するかはわかりませんが、共和国の政治に関わるキャラクターが登場することになるでしょうね。

――ちなみに今回も、眼鏡の人物には注目すべきでしょうか?

近藤氏:「英雄伝説 空の軌跡」(以下、空の軌跡)のアルバ教授から“眼鏡をかけたいい人は怪しい”という流れが恒例のようになっていますからね。担当者にわざとやっているのか聞いたことがあるんですが、意識はしていなかったみたいです。フランツも眼鏡かけていたんですが、あとから外すという新しいパターンも出てきましたね。あとレーグニッツ都知事が黒幕かどうかは、まだわかりません(笑)。

――ゲームのボリュームはどれくらいになる予定でしょうか?

近藤氏:メインシナリオに関しては、実は「閃の軌跡III」よりも若干少ないんですよ。ただクエストとかサブシナリオのボリュームは「閃の軌跡III」より多くて、プレイ時間はもしかしたら今回の方が長くなるかもしれません。

「閃の軌跡IV」では置かれている状況が大きく変わって、各地を巡るシチュエーションがあるのでメッセージの量が増えています。巡る地域については「閃の軌跡III」で登場した場所が中心になっていて、そこにプラスされていく形です。クロスベルも、そのままクロスベルだけじゃなくて懐かしい場所にも行けたりしますよ。あとは「閃の軌跡II」のドラマCDで、名前だけ出てきた街や登場人物などが、実際にゲームの中で登場します。

ほかには魔女の里と、そこに暮らす魔女たちも登場します。魔女と呼ばれていますが男はいるのかどうか、ローゼリアの年齢についてなど、黒の工房のメンバーを通していくつかの秘密も明らかになりますね。

ちなみに移動手段も、表立って行動できない集団になってしまったので、そのあたりも今までとは違う感覚で楽しめるかもしれません。街に入るときに、一部のキャラクターが変装しないといけなかったり。過去に登場した乗り物でいうと、メルカバも登場しますね。とはいえメルカバは個人用ですから、ちょっと手狭でしょうか(笑)。

――改めて「閃の軌跡III」までをプレイする方に、ここに注目するといいというポイントはありますか?

近藤氏:やっぱりオズボーンが多くの伏線を振りまいている点ですね。あとは帝国の歴史が謎の中心になるので、黒の史書を振り返っておいてもらえると、「閃の軌跡IV」をやったときに気付けることが多いと思います。黒の史書も多くの謎が明かされますので。

――「閃の軌跡IV」の発売を控えるタイミングで、「閃の軌跡」、「閃の軌跡II」をPS4でリリースされた理由はどのようなものでしょうか?

近藤氏:一度プレイされている方はこれを機におさらいしてもらえるのかなということと、軌跡シリーズは聞いたことがあるけど途中からは手を出しにくいという方に向けて、ひとつのプラットフォームで「閃の軌跡」シリーズを揃えたいということがありますね。

――PS4で初めてプレイする方と、既にプレイ済みの方、それぞれにアピールしたいポイントをお願いします。

近藤氏:シリーズに初めて触れていただく方は、RPGとしての緻密な作り込みを何より見ていただきたいですね。シナリオの本筋はもちろん魅力的なんですけど、先ほどもお話が出たようにNPCたちや合間にあるクエストでの会話メッセージの緻密さも、評価をしていただいる部分ですし、今の軌跡シリーズの基礎になっている伝統ですので、そこに注目してほしいですね。

既にシリーズを知っていてプレイ済みの方は、グラフィックは1ランクアップしていますし、「閃の軌跡III」から導入している、主人公の位置によって会話相手の目線が動くというシステムも採用していますので、キャラクターの仕草や演技が以前よりも細やかになっています。あとは大国の動乱を描くというのが、「閃の軌跡」全体におけるテーマなので、改めて注目してほしいポイントです。

「英雄伝説 閃の軌跡I:改 -Thors Military Academy 1204-」 「英雄伝説 閃の軌跡II:改 -The Erebonian Civil War-」

――開発環境がPS4になって、何か大きく変わった点はありますか?

近藤氏:携帯ゲーム機のときは読み込み時間の最適化に時間を割かなければいけなかったのですが、PS4になったことでそこまで神経質にならなくてもよくなり、そのぶんゲームの内容に人員を割けるようになったことが一番ありがたいと思ったことですね。期間でいうと1~2ヶ月は違ってくるんですよ。

その反面、クオリティを上げなきゃいけないという点では苦労もありますね。PS4になったら容量を気にしないで済むのかと思ったら、「閃の軌跡III」でいきなりディスク容量を使い切ってしまいました(笑)。当然ながら「閃の軌跡IV」も引き継いだマップデータをベースに作っていくのですが、既にいっぱいなので削るか、より効率化して新たなデータが入るようにしていかなきゃいけないんですよ。「閃の軌跡III」からはキャラクターの頭身も見直して、よりイラストに近い雰囲気にするという部分は時間を使いましたね。

――「閃の軌跡」シリーズの開発を通して、特に苦労したことは何でしょうか?

近藤氏:キャラクターをフルポリゴンで描くというのが初めてだったので、画面作りがほぼ0からだったことに苦労しましたね。実は思い切ったことをやっていて、背景マップの担当者にキャラクターをお願いしたんです。グラフィックよりは中身で勝負する会社だと思われているかもしれませんが、決して手を抜いているわけではないんです(笑)。グラフィックは「閃の軌跡」で大きく進歩したんじゃないかなと思っています。

逆に「空の軌跡」から「碧の軌跡」までは、こなれていることをやってきたというところがありますので。3Dにしたことでゲームエンジンを採用したりとか、そのあたりも以前とは違う点ですね。

ただ、当初は3Dに表現が変わることに対して、社内でもすごく議論になりました。軌跡シリーズのアイデンティティがなくなってしまわないように、工夫を積み重ねていきましょうと。とはいえ、意図的に抑えている部分もあるんですよ。たとえば「碧の軌跡」までならほとんどの建物に入れましたが、「閃の軌跡」からは入れない扉があったりというように。入れない扉があるのは当たり前のことなんですけどね(笑)。

ここはすごく悩みました。「軌跡シリーズで入れない建物があるなんてありえない!」と。入れそうで入れないというのは僕らだけじゃなく、シリーズに触れてきたユーザーさんにとっても違和感が出てしまうので、入れないことを視覚的に分かりやすくする工夫はしました。ユーザーさんもここなら許してくれるだろう、というラインを見極めるのが大変でしたね。

RPGの表現が3D主流になっていく中で世界を作ることが難しくなっていって、作り手としては妥協しなきゃいけない部分があるのもすごくわかるんですけど、軌跡シリーズはそのあたりの見極めを丁寧にやりたかったので。今後大都会を舞台に描くとしたら、反応しないNPCというのが軌跡シリーズでも出てくるかもしれませんが、そのあたりもわかりやすい表現を入れたいとは思っています。

ほかに大変だなと思ったのは、張ってきた伏線の数が多くて、並べるだけでもリィンたちの話がなくなっちゃうなということですね。あくまでも帝国の話がメインですから、その隙間にハーメルの話をはじめ、これまで謎としてきた部分の回収を挟んでいますね。本当はもっと個別に描いていきたいのですが、本編で描ききれない部分は会話メッセージやクエストなどで、フォローしていきたいなと思っています。カプア一家が住んでいた場所なんかもそうですね(笑)。

――軌跡シリーズはNPCの多さや深いドラマも特徴だと思いますが、そのあたりの苦労はあるのでしょうか?

近藤氏:毎回NPCは1,000人を超えていますね。シリーズ当初は、名前がかぶらないようにNPCのリストを作っていたんですけど、もう気にしていられないと。主人公の名前とかぶったりもしていますからね。そのあたりはクエストで同じ名前だね、という感じでフォローしていました。この4月から新入社員が入ってきて、シナリオの研修でNPCに起承転結をつけろという講義が行われています(笑)。

タイムラインでメッセージが組まれていて、本編の進行に合わせてNPCのメッセージも変わっていくようになっていますが、これは元々英雄伝説シリーズが好きだった僕たちが引き継いで、なんとなくやってきたものだったんです。それがいつの間にか、ファルコム社内では体系化されてしまいました。ただそれができると物語が作れるようになるので、教材としてもいいんじゃないかなと思っています。

――逆に嬉しかったこと、思い出に残っていることはありますか?

近藤氏:キャラクターのモデルが出来たときは嬉しかったですね。実は「空の軌跡」でも、フル3Dで作りかけていて、エステルも最初はポリゴンだったんですよ。ただ当時はなかなか上手くいかなくて、それまでにやってきたドットのキャラクターと比べると、キャラクターとしての魅力が明らかに落ちてしまうということで戻したんです。そのときに一度挫折していることなので、「閃の軌跡」でこれだったらいけそうというモデルが上がってきたときは「おっ!」と思いましたね。

その代わりイベントを組むのがどんどん大変になってきて、追い込みの時期になるとプログラムの知識があるグラフィックスタッフまで駆り出すこともありますね。営業をやっている事務やサーバー管理をやっている子が、イベントを組んだりもしています(笑)。

――学園ものという設定は企画段階で決まっていたのでしょうか?

近藤氏:「閃の軌跡」は企画当初は学園ものではなく、主人公たちが軍人か、もしくは結社の一員という予定だったんです。「空の軌跡」の頃に、帝国編を作るときはそのどちらかでいこうと。ただ、軍人はそんなに自由に動き回ることができるのか?という疑問が出てきて、その名残として士官学院生になりました。

僕らはずっとファンタジーRPGばかり作ってきたので、「空の軌跡」のときにジェニス王立学園のスカートの丈の長さでケンカした覚えがありますね(笑)。当時はあれでも短いと言われていたんですけど、「閃の軌跡」のキャラクターを見ると時代が変わったなと思います。

――海外の方の反応はいかがでしたか?

近藤氏:海外の方は僕らと違うゲームの見方をしているのかと思っていたのですが、どの国の方も全然変わらなかったんですよ。海外の方からも「クロウを生き返らせてください!」という意見をいただきました(笑)。日本のユーザーさんと同じように、ストーリーを評価していただいたことは嬉しかったですね。

昔は日本のRPGというと、テキストが多い点をなかなか受け入れていただけなかったのですが、ここ10年くらいで大きく変わってきたように思います。ファルコム作品の売り上げも海外市場の比率がどんどん伸びていて、今は2割以上が海外になりますね。

あとは、「2015 RPG Of The Year Awards」(世界最大の発行部数を誇るゲーム雑誌・Game Informerの企画)で、「閃の軌跡」が最も優れた戦闘システムであるベストコンバット賞を受賞したことも嬉しかったです。あの戦闘システムは僕自身も結構アイデアを出していたので。コマンドバトルのRPGが北米で賞をもらえる、ということも驚きましたね。

――「閃の軌跡」シリーズを通してのテーマ性はどのようなものなのでしょうか。

近藤氏:大国の動乱の中でどのように生きていくか、という点ですね。それと群像劇にRPGでチャレンジすること。このふたつが大きな柱になっていました。RPGというジャンルでこれだけの期間と規模でひとつの流れを作っていくことはなかなかできないので、それが「閃の軌跡IV」でしっかりとしたラストを迎えられるというのは嬉しいですね。

「空の軌跡」を作ったときに、途中で終わるものを作ってしまったので(笑)。あれは、あの当時の僕らにできる最大限だったんですよ。それがこうして、大きな一区切りをつけられるというのは、感慨深いものがあります。ここまで多くのユーザーさんたちに連れてきてもらった、という想いが強いですね。

もしも「空の軌跡」だけだったら、人気や売り上げも落ちていったと思うんです。なので「零の軌跡」や「閃の軌跡」で新たな展開をして、新しいユーザーさんが入りやすいような工夫をしてきて、なんとかここまで続いてきました。

――軌跡シリーズを通しての謎は、「閃の軌跡」を通して明かしていく予定だったのでしょうか?

近藤氏:軌跡シリーズ全体での謎といえば、結社やゼムリア大陸が大きなものとしてあって、それらが帝国編でどこまで明かされるかというのは、かなり以前から決まっていたことなんです。ただ結社の目的や組織としての全容が明らかになるかというと、やはりここはシリーズの根幹に関わる謎ですので、明かされる部分もあれば残される部分もあると思います。

それでも「閃の軌跡IV」では、結社はそんな風になっていたのかと感じていただける、核心に迫る部分も出てきます。またそれらとは別に、リィンの“鬼”の力やオズボーンのことなど、帝国編で新たに出てきた謎に関しては「閃の軌跡」の中で全て完結していこうと決まっていました。帝国の謎は「空の軌跡」の頃から伏線を張ってきているので、ようやくここで肩の荷が下りるという感覚です。

――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

近藤氏:ここまで大きなシリーズを最後まで続けさせていただいてありがとうございます、という気持ちで「閃の軌跡IV」は作っています。それと同時に、多くの謎がここまで持ち越しになって申し訳ありません。「空の軌跡」から続いてきた流れが今回で一通り収束する形になりますので、きっとシリーズファンの皆様が満足していただけるものになっていると思います。是非手にとっていただければ幸いです。

それと、軌跡シリーズに触れたことのない方も、緻密なRPGに触れてみたいと思いましたら、この機会にPS4で出る「閃の軌跡」、「閃の軌跡II」をプレイしていただけたら嬉しく思います。

英雄伝説 閃の軌跡III

日本ファルコム

PS4パッケージ

  • 発売日:2017年9月28日
  • 15歳以上対象
英雄伝説 閃の軌跡III

英雄伝説 閃の軌跡III

日本ファルコム

PS4ダウンロード

  • 発売日:2017年9月28日
  • 15歳以上対象

英雄伝説 閃の軌跡II:改 -The Erebonian Civil War-

日本ファルコム

PS4ダウンロード

  • 発売日:2018年4月26日
  • 12歳以上対象

英雄伝説 閃の軌跡I:改 -Thors Military Academy 1204-

日本ファルコム

PS4ダウンロード

  • 発売日:2018年3月8日
  • 12歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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