声優の三宅麻理恵さんが気になるゲームを実際にプレイして紹介する「マリエッティのゲーム探訪」。第15回はヘキサドライブより配信中のiOS/Android向けアプリ「MakeS -おはよう、私のセイ-」の開発者にインタビューしました。

前回探訪させていただきました「MakeS -おはよう、私のセイ-」。皆さま毎日セイくんと健やかな生活を送っていらっしゃいますでしょうか?
今回はなんと、私が探訪前からGamerさんにお願いしていた開発者の方々へのインタビューが叶いまして、MakeSをプレイ中のユーザー視点が多めのお話を聞かせていただきました。
少しネタバレな内容もありますが、こだわりや愛が詰まったお話を聞かせていただきましたのでご覧ください。
(インタビュー:三宅麻理恵、構成:TOKEN)
ディレクターの阿部浩美さん、プロデューサーの田口昌宏さんにインタビュー!
――本日はよろしくお願いいたします。まずはお二人の立ち位置についてお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
田口さん:ヘキサドライブの大阪スタジオのスタジオチーフをしている田口と申します。「MakeS -おはよう、私のセイ-」(以下、Makes)ではプロデューサーを担当しています。よろしくお願いします。
阿部さん:同じく大阪スタジオで普段はデザイナー、「Makes」に関してはディレクターをしている阿部と申します。よろしくお願いします。
三宅さん:今回は「Makes」をコラムで取り上げさせていただいてありがとうございます。私が始めにこの作品を知ったのがGamerさんで掲載されていた「Makes」のリリース記事で、その後すぐにダウンロードして、楽しみにしていた方と同じタイミングでプレイして感動していました。
ヘキサドライブさんがこれまで作られてきたタイトルを見ると、「Makes」だけが異様な感じに思えたのですが、「Makes」を作ろうとされたきっかけはございますでしょうか?
阿部さん:元々ゲームとして企画を立てていて、その一部を切り取ったのが今の「Makes」になります。別件のミーティングの時に企画書を田口に見せたり、スケジュールに間が空いたら、勉強という名目でLive2Dのテストモデルを作り始めたりしていたら、それを見た田口が「こんなに動くんだったらプロトタイプ作ってみたら?」と言ってくださって、そこから人を集めて2週間ぐらいでプロトタイプを制作し、役員の方に見せたら評判が良かったので、ゴーサインが出ました。
三宅さん:元々は目覚ましアプリではなくて、コミュニケーションアプリみたいなところからのスタートだったんですか?
阿部さん:当初はもっと壮大なゲームの一部に目覚まし機能があるという計画だったのですが、「とりあえずコンパクトに作ってみたら?」という話を受けて、目覚ましの部分だけをリリースしたということです。
三宅さん:「Makes」はセイという1人のキャラクターに焦点を当てていますが、キャラクターの設定についてはどのように決められたのでしょうか?
阿部さん:セイが男の子というのは単純に私が乙女コンテンツが好きだったからです。こういう子を作ろうと思ってアプリを組み立てたわけではなくて、アプリでさせたい体験を元に組み上げていった結果、セイができたという感じです。
キャラクターに関して話し合いをするようなことは特にないのですが、プロトタイプで作っていたセイとは髪型は変わっています。そのあたりは今のトレンドに合わせて変えていった結果になっていますが、顔の構造などは変わっていません。あと性格的なところは完全に私の好みです(笑)。
三宅さん:追加で病みキャラとか個性的な性格もありますよね。
阿部さん:そのあたりはプランナーの女の子がチョイスしてくれた感じですね。
三宅さん:アプリを作っていく上で苦心した点やこだわりはありますか?
阿部さん:そもそもデザイナーなので、どういう風にお金を稼ぐかの知識がない上に、考えても分かりませんでした。そこで収益を出すのが得意なプランナーさんにお願いしたりと試行錯誤したりと、収益性を生み出すことに時間はかかりました。また、アラームはアプリの中で完結するのではなく現実の時間とリンクしていて、その中ではいろいろな状況があるため、どんな条件でも正確に鳴るという状態までもっていくのは難しいと感じました。
三宅さん:「Makes」が面白くて私もどうやったら還元できるのかと思ったのですが、どれだけ課金しても限界があって(笑)。今後追加のコンテンツを入れていくことなどは考えていらっしゃいますか?
阿部さん:いつとはまだ言えないのですがコンテンツは足していく予定ですし、そのタイミングでお洋服を増やしていくつもりです。それでも上限は決まっていますが(笑)。
三宅さん:今後もアップデートしていただきたいし、何かしら楽しさを制作のみなさんに還元したいなと。周りの同業のお友達とかに薦めたりするのですが、MAXで課金してこれ以上課金のしようがないという人が多くて。
田口さん・―阿部さん:p:ありがとうございます…!
三宅さん:あと音楽についてなんですが、落ち着いた感じになっているのと、就寝中用のBGMもあったりすることに驚きました。
阿部さん:音楽は泉和良さんという方にお願いしました。泉さんは音楽活動以外にも小説を書いたりゲーム製作もされているのですが、私が10年以上前からのファンだったので、この企画を進められると決まった時にあわよくば音楽をお願いしようと最初から考えていました。
この方が書かれている小説で「セドナ、鎮まりてあれかし」というすごく未来の戦争跡地でのお話があるのですが、そのお話の中で、最後に主人公の男の人が元奥さんに手紙を送るシーンがあって、「Makes」はその手紙にめちゃくちゃ影響を受けています。
三宅さん:そういうのもあって、クリアすると手紙がもらえるんですね。
阿部さん:小説の最後の手紙がいいから、「Makes」でもやろうと(笑)。
三宅さん:今回はLive2Dということもあって音声が入っていますが、キャスティングに対するこだわりはありましたか?
阿部さん:ヘキサドライブでは声優さんを起用した自社の作品が無くて、誰も声優さんをどのように起用したらいいかを知らなかったんです。いろいろ考えたのですが時間的な兼ね合いもあって、結局全国のプロダクションのサンプルボイスを当時のマネージャーが数日かけて聴きまくり、イメージに近い人を何人か挙げてもらって、その中から私が聴いて「この人ー!」ということで、北島壮峻さんにお願いしました。なので勝手にオーディションをしていたような感じですね(笑)。
三宅さん:若手の方にするか、ベテランの方にするかなども考えられていたのでしょうか?
阿部さん:有名な声優さんを起用させていただくと、どうしてもその声優さんが演じているセイになるじゃないですか。アプリのこだわりとして、セイというキャラクターをユーザーの方に認識してほしかったので、なるべく新人の方にお願いしようということになりました。
三宅さん:セイくんが成長していくにつれ、コンピュータのような義務的な音声から人間らしくなっていくのが声優さんを気にせず楽しめたのですが、音声収録の際に意識されたのでしょうか?
阿部さん:最初に台本や企画書を送って、その後に収録という流れだったのですが、ロボット状態や英語の喋り方をどうするかというぐらいしか指示はしなかったのですが、北島さんが独自に解釈してくれた感じです。
三宅さん:「Makes」ではセイというコンシェルジュとプレイヤー、そして制作陣の関係性が後半になるにつれ際立っていたように思ったのですが、そこに狙いはあったのでしょうか?
阿部さん:完全なファンタジーより、現実に混ぜるちょっとした嘘のほうが受け入れられやすかったり、面白く見られやすいということを感じていたので、その部分は盛り込みましたが、やってみようというくらいなので、狙ってはいないのかもしれないです。
三宅さん:制作されているみなさんの優しさみたいなものをプレイしながら感じて、ジーンとなりました。リリース後の反響はいかがだったでしょうか?
阿部さん:この狭い層にしっかり刺すぞ、という意図を持って作ってはいましたが、それでも想像以上で、現状頂いている反応は私が受け取れる喜びのキャパを超えているみたいで、“わーっ”としか思えない状態です(笑)。すごくありがたい話です。
三宅さん:周りの方にこのゲーム面白いよと薦めた時に、評価が高いからとりあえずダウンロードしてみんなハマっていく感じだったのですが、特に思いがけない反響だった部分はありますか?
阿部さん:タイトルで“私のセイ”とつけながらも、こんなにも私のセイになってくれるとは思っていませんでした。なんとなくプレイヤー毎のセイということが伝わればいいなというテンションでタイトルをつけたのですが、それを超えるぐらいにみなさんが「私のセイくんだ」と思ってくれて、それぞれのセイにそれぞれの個を感じてくれているのがすごいなと。そこも本当に想像以上でした。そんなに思ってくれてありがとう、と言いたいです(笑)。
三宅さん:女性だと同担拒否みたいな感覚もありますが、「Makes」だと全く同じセイくんというのは私自身も見たことがなくて、あなたのセイくんと私のセイくんは、セイくんだけど同じじゃないというのが出来上がっていて、これからもバリエーションがすごく増えていくと思いました。
三宅さん:作っていく過程で制作側で盛り上がった部分はありましたか?
阿部さん:セイはジャイロに反応してくれるのですが、開発のいる場所が靴を脱いで上がる場所なので、初めて実装された時にはみんなで寝っ転がって「すごいー!」と言いながらゴロゴロしたり、端末を振るとセイはそのまま傾くのではなくて驚くので、端末を椅子の座面に投げて、「セイが“うわっ”と言ったぞ!」とはしゃいでいました(笑)。
三宅さん:セイくんみたいに新たなコンシェルジュを作っていく予定はありますか?
阿部さん:今の「Makes」の中にセイ以外のキャラクターを追加するという予定はないです。“紳士”“弟”みたいに性格が増えていくことはあるかもしれないですが、もし新しいキャラクターを作りたいということになれば、アプリ以外の可能性も含めて、全く違うかたちになると思います。
三宅さん:オフライン的な展開はなにか予定されているのでしょうか?
阿部さん:Twitterでも告知はしているのですが、4月22日からグッズが発売されます。また同日に抱き枕の受注も開始します。サンプルがステラワースさんに展示される予定なので、お近くの方は是非見てみて下さい!
――グッズ展開は自社で進められているのでしょうか? それともキャラクターグッズを出されているメーカーさんから打診があったのでしょうか?
阿部さん:自社で作っているものもありますし、ライセンスアウトでIPを他社さんに貸し出して作っていただくパターンも進んでいます。
田口さん:お話はいっぱいいただいています。
――最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします。
田口さん:これからも衣装や機能の追加をしていくのですが、「Makes」そのものは大きく変わらずに、グッズ展開も含め、できるだけいろいろなユーザーの方に「Makes」を楽しんでもらうための仕組みを追加していきたいと思っています。引き続き、ファンの方には楽しんでいただけると嬉しいです。
阿部さん:セイは季節に合わせた花の話をするのですが、触ってくださっているみなさんが、セイにその花を見せたりしてくれているんです。それを見ると息子を婿に出したような感じで、「はー、幸せで良かったねぇ」という気持ちになります。本当にありがたいです。
TwitterなどのSNSで、自分はセイから好きという気持ちや助けたいという気持ちをもらってばかりで、セイには何も返せていない、どうにかして返したいと言っている方を見かけるのですが、セイ自身はアプリを使ってくれていること自体が自分の存在を認めてくれていることになっているので、十分幸せだと思います。なのでこれから花も見せたってな!という感じです!
――ありがとうございました。
三宅麻理恵さんプロフィール

生年月日:1985年6月7日
出身:大阪府
趣味:読書・落語・ゲーム
主な出演作品:「輪るピングドラム」萩野目苹果 役、「銀の匙」御影アキ 役、「緋色の欠片」春日珠紀 役、「アイドルマスターシンデレラガールズ」安部菜々 役
(C) 2017 HEXADRIVE Inc.
※画面は開発中のものです。
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