上田文人氏、外山圭一郎氏のトークセッションで制作裏話も!HDリマスター版として蘇るPS3「ICO」「ワンダと巨像」発売に先立ちクローズドプレミアムイベントを開催

エンタメ
0コメント 細山田 亮太

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンは、2011年9月22日発売予定のPS3「ICO」と「ワンダと巨像」の発売に先立ち、9月3日にクローズドのプレミアムイベントをプレイステーションホールで開催した。

本イベントは、8月15日より、スペシャルサイトにて実施された「Great Scene Sharing」キャンペーンの一環で行うもので、8月15日~21日の期間中に応募した人の中から、抽選で40名が招待されたプレミアムイベントとなる。

また、「ICO」「ワンダと巨像」のPS3HDリマスター版を先行体験できたほか、2作品のディレクターを務め、現在は最新作PS3「人喰いの大鷲トリコ」の開発を手がけるゲームデザイナーの上田文人と、「サイレントヒル」、「SIREN」を担当し、現在、PS Vita対応ソフトの最新作「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」を手がけるゲームディレクター外山圭一郎氏をモデレーターに迎え、トークセッションが実施された。

さらに、3D立体視体験、「ICO」「ワンダと巨像」の未公開原画集も展示され、招待された当時のファンやブロガーたちはたっぷりと2タイトルの世界に浸れたようで、イベント終了後もロビーなどで話が弾んでいるようだった。

「ICO」「ワンダと巨像」クローズドプレミアムイベント

日時

9月3日(土)

出演者

「上田 文人」氏
「外山 圭一郎」氏

トークセッション

「ICO」について

上田氏:この作品は自分が初めてゲームデザイン、ディレクションをしたタイトルです。当時は本当にわからないことだらけで苦労した思い出の作品です。今回HDリマスター版として解像度が上がったり、テクスチャーを差し替えを行ったり、3D立体視にも対応しましたが、特に見て欲しいところ、当時志したところは今でも変わらず受け入れてくれると思っています。当時遊んでいた人には懐かしんでもらいつつ、何かを発見してもらえれば嬉しいです。

外山氏:ここは変わったな、という箇所はありますか?

上田氏:もちろん解像度が変わったということは大きいんですが、当時のオリジナル版をそのまま移植した形です。自分はもともとゲーム業界に入ってはいたのですが、制作の根幹(デザイン・ディレクション)に携わっていたわけではなかったので、ゲームを作れるチャンスをもらったときに、今までの経験者に対して「商品価値」のあるものを提供できるか悩んだのが最初の発想でしたね。

外山氏:少なくとも「ICO」は日本で作ったゲームではないと当時は思ってました(笑)。

上田氏:実は一緒のフロアでゲームを作っていたんですよね(笑)。

外山氏:自分がSCEに移って最初にデザイナーとして開発に参加したタイトルが「夜明けのマリコ」なんですが、実は「夜明けのマリコ」と「ICO」は同じ発売日なんですよ。なので雑誌などに掲載されるタイミングも同じで「絶対ICOって海外で作ってるよね。」と言ってました。

「ワンダと巨像」について

上田氏:「ワンダと巨像」を制作したきっかけは、細かい整合性のとれたギミック(レベルデザイン)を4年くらい作っていた時のストレスを発散するようにスタートしました。最初はオンライン対応のタイトルの予定だったんですが、だんだんと形が変わって今の「ワンダと巨像」になりました。

外山氏:ちょうどその頃の自分は、「SIREN2」をリリースするタイミングですかね。その時社内で「ワンダと巨像」の話題になっていて「ボス戦がすごい!」って盛り上がっていました。

上田氏:ボス戦しかないですけど(笑)。今でも外山さんに「よく決断した」と言われますね。普通のオープンフィールド形式のゲームでは、途中に敵などを配置してプレイヤーに飽きさせないようにするんですが、自分はそこには注力しませんでした。

外山氏:「ワンダと巨像」のようなゲームは後にも先にもリリースされていないですし、発売後の特に海外での影響もすごかったです。

上田氏:思っていたことは、「巨大な」ものにしがみつくようなアクションは今後主流になっていくと当時は強く思っていましたが、さほど主流にならなかったので、「人喰いの大鷲トリコ」を作ったという経緯もあります。

「Great Scene Sharing」キャンペーンについて

外山氏:「ICO」に関しては自分が気になるのはScene#9「崩れる橋」です。僕が「ICO」をプレイしていて感じたのは「廃墟感」です。自分も廃墟は取材に行ったりするんですが、ゲーム内で肌に感じる危険な雰囲気などの生々しさを体感できたことに驚きました。

上田氏:このシーンは、崩れる橋で宙ぶらりんな状態から必死に這い上がる、「これからも手を離さないで」というメッセージを含んでいます。

外山氏:このようなシーンを作るために世界中のさまざまな場所に取材にいったんですよね?って昔聞いたら…。

上田氏:実はまったく行っていないんです(笑)。でも「ワンダと巨像」では乗馬の取材だけは行っているんです。モーションもそうですけど、車など自分でコントロールできる乗り物より、ダイレクトに操作しにくい馬のほうが人間は不安定な挙動をするので、取材に行って良かったですね。

外山氏:カメラの表現も当時ではかなり凝っていましたよね。

上田氏:当時の開発現場ではカメラに関しては「視認性」が重要視されており、「ICO」のカメラワークではちょっと不親切な箇所もあるかな、とおもったままリリースしました。

外山氏:「ワンダと巨像」の気になるショットはScene#20「最後の一撃はせつない。」です。このシーンの後に巨像が崩れて…という本来なら「倒して嬉しい」はずなのに音楽ともあいまってなぜか背徳感を感じたんです。

上田氏:それには実は裏話があって、もともとゲームを作るときには楽曲は用意していないので、巨像を倒すシーンで映画のせつない楽曲を挿入していたんですが、それを聞いたスタッフが爆笑して「何かの間違いじゃないか」と言ったんです。本来ならファンファーレではないかって。ここでやはり多数決で何かを決定するのはいいこともあるが、危険性を含んでいるんだと認識しました。

上田氏:そして自分が選んだ「ICO」の気になるショットはScene#23「その手を離さない」です。このシーンではイコに対して「ジャンプしろ」とは一切言わないんです。プレイヤーがどうするか選択するもので、発売後に「あのシーンでは迷わずジャンプしました!」という意見を多くいただき、自分のレベルデザインは成功したと感じました。いかに感情移入してもらうかと苦労した場所でもあります。

上田氏:さらに「ワンダと巨像」の気になるショットはScene#34「崩れる橋」です。ここはエンディングの1シーンなんですが、気に入っているのはエンディング全部です。ここでの楽曲のこだわりは本当に苦労したのでとても気に入っています。

外山氏:まさに崩れの美学ですね。

上田氏:レベルデザインの整合性としては「扱いやすい」シチュエーションですね。当時は物理計算をハード上でさせることも不可能でしたし、ツールの安定性も悪かったので、橋が崩れるシーンなどは手づくりです。

プレイヤーからたくさんの嬉しいコメントをもらっていることに関して

上田氏:「ICO」で特に気をつけたことは、初対面の2人の距離感を大事にしたところです。カメラワークも意識してこだわっていますね。ゲームのシーンに限らず、トレーラーなど公開する素材についてもイメージを壊さないように特に神経を使いました。

「ワンダと巨像」愛馬アグロについて

上田氏:本当にこのアグロについては、本当に思い入れを強く持たれている人が多いです。実はこのキャラクターを作っているときには、そこまで思い入れを持ってくれるキャラクターにはならないだろうと思っていました。もちろんアグロがいないと倒せない巨像もおり、コミュニケーションを特別に取っているシーンもないのですが、とても愛してくれて嬉しいです。

外山氏:完全なコントロールや意思疎通が成立しえない者との「今通じている」といった絶妙なバランスが秀逸ですね。今制作している「人喰いの大鷲トリコ」にもこの要素をもっと表現できないかと思っています。

作品を創作するにあたって

外山氏:上田さんは、鮮烈な世界観を重視して、それをそう表現するかに注力するのかと思っていたんですが、話をしてみて実はもっとメカニックな箇所から入ると気づいたんですよ。

上田氏:強烈なビジュアルイメージというのはなくはないんですが、同時にメカニックの部分を考えます。「馬に乗って巨大なものとたたかう」みたいな要素を考え、世界観や衣装などは、ゲームデザインの機能性や整合性から考え、その中で考えられるベストなものからチョイスしていく、というスタイルが多いです。

外山氏:自分も近いところはありますね。「サイレントヒル」では、プレイヤーの周りしか見えないギミックがあったんですが、最初からそのスタイルで開発していたわけではなく、PSのスペックで街全体を表現することはできないので近景だけ表示しよう、と変わっていったんです。AI駆動についても「ICO」などでも1人に絞っているところもすごいですね。

上田氏:一点豪華主義なんです。外山さんと近い点は、「モノを作りたい」ことと、「ビジネスとして成立しなければならない」といった両極のポイントをうまくミックスさせることができることですかね。

今後の活動について

上田氏:「人喰いの大鷲トリコ」については、満足のいく作品に仕上げたいと思っています。

外山氏:年末に向けてPS Vitaというハードが発売されます。そのタイトルとして「GRAVITY DAZE/重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動」を開発しています。もともとホラーゲームを作る前から作りたかったタイトルなので気合が入っています。東京ゲームショウ2011で体験できますのでぜひ来場して手に取ってみてください。

「ICO」「ワンダと巨像」「Great Scene Sharing」キャンペーンについて

「ICO」「ワンダと巨像」の名シーンの中から自分の好きなシーンをTwitter、Facebook、mixiでシェアすることで、WEB限定のオリジナルプレミアムグッズが抽選で当たるキャンペーン。好きなシーンをシェアすればするほど、プレミアムグッズが当たる確率も上がるぞ。

http://ico-wander.jp/gss/

キャンペーン期間

2011年8月15日(月)~10月31日(月)

プレゼント概要

A賞:プレミアムポストカードアルバム(40名)
B賞:オリジナルカードUSBメモリ(260名)

「ICO」「ワンダと巨像」 商品概要

PlayStation2専用ソフトウェアとして発売された「ICO」(2001年発売)は、その静寂に満ちた世界観と“手をつなぐ”という独特のゲーム性、プレイした人の心に深く残る作品性から、世界中のプレイヤー・クリエイターに支持された。

また、同じくPS2専用ソフトウェアとして発売された「ワンダと巨像」(2005年発売)は、「ICO」を彷彿させる独特の世界観を持ちつつも、登場する巨像達の圧倒的な存在感とその巨像を倒すというダイナミックなアクション性が話題となり、世界中の主要なゲーム賞を受賞するなど高い評価を受けている。

そして今回、2つのゲームがPS3専用、HDリマスター版として甦り、「ICO」は一層美しく、「ワンダと巨像」はより迫力のある世界観を楽しめるようになっている。

「ICO/ワンダと巨像 Limited Box」 商品概要

PS3専用、HDリマスター版となった「ICO」と「ワンダと巨像」の2作品と、BRUTUS編集部が手がけた豪華な特製ブックレットなどここでしか手に入らない特典をセットにした数量限定スペシャルボックス「ICO/ワンダと巨像 Limited Box」を同日、希望小売価格6,980円(税込)で発売。

※画面は開発中のものです。

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー

関連タグ

ワンダと巨像 関連ニュース

関連ニュースをもっと見る

注目ゲーム記事

ニュースをもっと見る

ゲームニュースランキング